せん妄の概要
せん妄とは?
せん妄とは、脳の機能が一時的に混乱することで、意識レベルの変動、注意の集中困難、思考内容の混乱、知覚異常などの症状が現れる状態です。通常、数時間から数日で回復しますが、放置すると重症化し、命に関わることもあります。
関連用語
- 急性脳症: 急激に発症する脳の機能障害の総称。せん妄は急性脳症の一種です。
- 意識混濁: 意識がはっきりせず、周囲の状況や自分自身を正しく認識できない状態。
- 錯乱: 妄想や幻覚などの異常な知覚体験を伴う状態。
- 興奮状態: 落ち着きがなく、興奮したり、攻撃的になったりすることがあります。
- 傾眠: いつも眠そうだったり、眠気が強い状態。
- 不眠: 眠れない状態。
- 見当識障害: 時間、場所、人、状況などがわからなくなる状態。
せん妄の原因
- 感染症: 肺炎、尿路感染症など
- 代謝異常: 低血糖、脱水、電解質異常など
- 薬物: 鎮静剤、睡眠薬、抗コリン作用のある薬など
- 脳の病気: 脳卒中、脳腫瘍、脳出血など
- 手術後: 大手術後など
- 高熱: 高熱を伴う病気など
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せん妄の症状
- 意識レベルの変動: 意識がはっきりしない、ぼーっとしている、眠気が強いなど
- 注意の集中困難: 集中力が低下し、会話が続かない、話が脱線するなど
- 思考内容の混乱: 考えがまとまらず、話が支離滅裂になる
- 知覚異常: 幻覚(視覚、聴覚、触覚など)、妄想など
- 睡眠障害: 不眠、傾眠など
- 興奮状態: 落ち着きがなく、興奮したり、攻撃的になったりすることがあります。
- 見当識障害: 時間、場所、人、状況などがわからなくなる
せん妄のリスク因子
- 高齢者: 高齢になるほど、せん妄のリスクが高まります。
- 基礎疾患: 心臓病、肺疾患、腎臓病など
- 手術歴: 大手術の経験がある
- 多種類の薬物服用: 特に中枢神経系に作用する薬物
- 入院期間: 入院期間が長いほど、リスクが高まります。
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せん妄の診断
- 病歴聴取: いつから症状が出始めたか、どのような症状があるかなどを詳しく聞き取ります。
- 身体診察: 脈拍、血圧、体温などを測定し、身体的な異常がないかを確認します。
- 血液検査: 感染症、電解質異常などを調べます。
- 脳の検査: CT、MRIなど
せん妄の治療
- 原因の除去: 感染症であれば抗生物質、脱水であれば点滴など、原因となっている病気を治療します。
- 環境調整: 静かで明るい部屋で、規則正しい生活を送れるようにします。
- 薬物療法: 興奮状態が強い場合や、幻覚、妄想がある場合は、薬物治療を行います。
せん妄の予防
- 基礎疾患の管理: 高血圧、糖尿病などの基礎疾患をしっかり管理します。
- 薬の適正使用: 必要最低限の薬を使用し、副作用に注意します。
- 水分補給: 脱水を防ぐために、こまめに水分を補給します。
- 環境調整: 静かで明るい部屋で、規則正しい生活を送れるようにします。
まとめ
せん妄は、高齢者を中心に、様々な原因で起こる可能性のある急性脳症です。早期発見・早期治療が重要であり、原因となる病気の治療と同時に、環境調整や薬物療法を行うことで、症状の改善が期待できます。
この用語集が、せん妄についてより深く理解するための手助けになれば幸いです。
より詳しい情報が必要な場合は、お気軽にご質問ください。
関連キーワード: 意識混濁, 錯乱, 興奮状態, 傾眠, 不眠, 見当識障害, 急性脳症, 脳の病気, 高齢者, 感染症, 薬物
せん妄のよくある質問
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Qせん妄 何歳から?
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A
熱せん妄に関しては1~10歳頃までの子どもで起こることが多く、特に起こりやすい年齢は1~4歳とされています。
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Q夜間せん妄 なぜ起こる?
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A
夜間は暗いため、昼間に比べて周囲の状況を把握することが難しくなります。このため、不安や恐怖が増してせん妄を起こしやすくなります。私たちも、夜は周囲が見えづらくなり不安を感じることがありますが、認知症の方はその不安をより強く感じる傾向があります。
参考:不支給期間とは?
参考:労務不能期間とは?