
【発達障害一人でできる仕事】とは
発達障害を持つ皆さんは「組織に馴染むのが擬態していても大変。」「言われていることが分からず、違う作業をやってしまった」といった数々の失敗があるのではないでしょうか?
ADHDの場合、第一印象が良さすぎるため面接は楽々突破できるものの、決まったやり方で抜け漏れなく作業をこなすことに難があり、ボロが出てくる。
ASDの場合、なかなか社内の人と馴染めず、自分は嫌われているに違いないと考え、過剰適応で疲れ切ってしまった。
といったこともよくある話です。
社内の中で疲れ果ててしまう発達障害者に向けて、今回は「一人でできる仕事」を紹介していきたいと思います。
発達障害(ADHD、ASD、SLD)の特性はそれぞれ。自身の特性の強みと弱みを探そう
発達障害者の多くの方がADHDかASD、あるいは両方の診断を受けているはずです。
仕事の中で、ご自身がADHDの特性で躓く部分と、ASDの特性で躓く部分とがあるはずです。
過去の仕事の中で自分の「苦手なこと」を棚卸して特性と当てはめてみましょう。どちらの特性が原因で起こる事象なのか、項目の横に「ADHD or ASD ある場合はSLD」と記述していきましょう。
その次にどうすれば解決できるのか番号をつけていきましょう。
①自分工夫して解消できそうなもの
②配慮でクリアできるもの(他人に頼る)
③やりたくないもの
例えば筆者の場合は以下になります。
苦手なこと・やりたくないこと
時間管理→ADHD①②
マナーやルールにうるさい→ADHD②
状況変化を読み取り、臨機応変な対応→ADHD&ASD②
ツールを見てメールや電話などマメな対応→ADHD①
コードエラーの解決→ADHD①②
クレーム対応→ADHD③
繰り返しの作業→ADHD③
誰かの指示をもらう(齟齬が起こりやすい)→ASD②
指示内容忘れる→ADHD①
誰かのサポート(余計なことはしてしまう割に肝心な部分は抜ける)→ADHD&ASD①②
細かい部分の修正→ADHD③
事務処理→ADHD①
皆さんマーキングできましたでしょうか?
①の場合は対応策を書き出してトライ&エラー
②の場合は配慮の申し出。拒否されたら①か③に移動
③をつけているものに関してはやらない方針
で業務内容を加味して仕事を探していきましょう!
①や②が多く、環境に恵まれている方なら職場で働くことに抵抗がないかもしれませんが、
③がとても多く「とても仕事が見つかりそうにない。」と思った方もいるでしょう。
そういった方は、「転職エージェントに相談してみる」または「一人でできる仕事を探す」をおすすめします。
発達障害の仕事選びは転職サイトを利用するのがおすすめ!
発達障害での転職は求人数がだいぶ限られますので、複数の転職エージェントに登録することをオススメします。以下で障害者雇用に特化した転職エージェントを紹介します。
LITALICO仕事ナビ
障害者の就職に特化した求人を紹介しています。障害でブランクがある方を対象とした求人がメインです。特に福祉事業所(A型・B型)や就労移行支援所の求人が豊富です。
dodaチャレンジ
人材大手のパーソルが運営する障害者特化型転職エージェントです。社内選考の基準が厳しくなかなか通過しないため、利用を断られる方も多いとの口コミが散見されました。
事務職中心の求人情報になっています。
atGP(アットジーピー)
求人数が多く、精神疾患の紹介実績が豊富にあるエージェントです。
利用者の満足度が高いので、とりあえず登録しておくと良いでしょう。
なぜ発達障害者は一人の仕事がよいのか
発達障害者は健常者の方と見え方、聞こえ方、感覚の違いなどがあり、健常者の思う「普通」が理解しづらいため同じルールで働くことがしんどくなりがちです。発達障害者がみんなと働きづらくなる、主な理由を以下に記してみます。
・齟齬が起こりやすいため、指示内容が理解しづらい
・人のやり方に合わせるのが苦手なため、自分独自のやり方をしてしまう。
・社内の状況で自分のやりたいことができない可能性もあるため退屈してしまう
・一人だとできることがチームのやり方でやるとできなくなるため、チームワークを疑問に感じてしまう
・無理して周囲に合わせていて適応障害を起こしやすい・感覚過敏で喋り声や匂いなどが気になって集中できない
「周囲の人と感覚が一致している」ということは「コミュニケーションコストが低くて楽」ということなのですが、こちらは健常者、発達障害者が共に意識してコミュニケーションをとっていくことで徐々に負荷が下がっていくものだと考えています。一方だけの歩み寄りは不毛な結果になりやすいので気をつけましょう。
こちらも参考に:生活福祉資金貸付制度の審査基準と返済免除について徹底解説
10~20代のうつ病の割合が急増している理由は発達障害の仕事選びも原因
前章でも触れている通り、合わない仕事や過酷な労働環境に過剰適応し、二次障害を起こしてしまう発達障害者はとても多いとされています。二次障害を起こしたことがある発達障害者は全体の9割に上るとされており、中には寛解せずに二次障害を一生引きずったまま仕事に従事する当事者も多くいます。
体や感情が自分のコントロールの効かない状態で仕事をしなければいけないことは本当に辛いことです。うつ病にかかってしまった時は初期症状を見逃さずに精神科に掛かるようにしましょう。
発達障害の仕事選びでも自分に合う仕事を見つけて働こう
「心身ともに負担が少なく多少金銭に余裕がある仕事」をしたいと考える発達障害の方は多いでしょう。発達障害者は精神障害者福祉手帳が取れたり、病状が思わしくない場合には障害年金を受給することも可能な障害です。働く条件によっては障害年金を受給しながら労働により、給与を得ることも可能ですので適切な情報を集め、自身の暮らしに役立てていきましょう。
発達障害者(特にADHD)は日常生活で散財しがちですので、自身の出費を見える化して必要のない出費を削っていくように心掛けましょう。収支のバランスが取れるようになると心身ともに安定してくる。といった声もよく聞かれます。
自分の生活に必要な収入を計算する
生活のために収支を考えることは生きていく中で重要なことです。前章で述べた障害年金は条件によっては働きながら受給を続けることも可能ですし、手帳の各種割引や節税に使えます。
家計簿をつけてみて毎月のおおよその出費を割り出しましょう。固定費と変動費まで算出するとご自身が毎月いくらで生活しているか解るのではないでしょうか。少し余裕を持って稼いでおくことで貯蓄や急な備えに回せます。
新しい仕事にチャレンジする時は副業から始めてみる
最初からやったこともない仕事に全振りするよりも、副業として始める方が雰囲気や進め方も分かって安心でしょう。自分の趣味を副業にすることも可能ですし、職場によっては新しいスキル習得をすることも可能になります。
例えば、注意欠陥多動性障害(ADHD)を持つ人は、創造力に富み、アイデアを素早く考え出す傾向があります。この特性を生かして、デザインやライティングの仕事を請け負うことなどもオススメです。昨今はリモートの普及やクラウドワーカーの台頭もあり、隙間時間で仕事をすることができるようになってきています。
自閉症スペクトラム障害(ASD)を持つ人は、細かいミスによく気づき、単純な処理の繰り返しを得意とします。プログラム開発や事務作業、校正などで能力を活かすことが出来るでしょう。リモートの仕事を選べば、ASDの方が苦手とする電話対応や接客なども発生せず、得意を活かすことが可能となってきます。
体力が無い発達障害者のための体力温存方法
発達障害者は以下のような理由で体力がなく疲れやすいと言われています。
・気圧の変化に敏感で低気圧に弱い
・生理中の心身のダメージが大きく情緒不安定で仕事が辛い
・夜型の発達障害者が多いため、朝早い仕事が苦手
・感覚過敏で通勤するだけでも疲れる。残業すると次の日起きれない
・体幹が弱く同じ姿勢を保つのが困難。姿勢が悪く、身体を痛めやすい
一人で行う仕事の場合は上記のようなデメリットを解消できる場面も出てくるかと思いますので、自分のデリケートさを考慮して検討してみてください。
【発達障害一人でできる仕事】のメリットとデメリット
どんな仕事にもメリットとデメリットがあります。仕事を始める前に情報を知っておくと心の準備ができますので参考にしてください。
メリット1 余計なコミュニケーションをとらなくてすむ
一人でできる仕事は、余計なコミュニケーションをとらなくてすむという点で発達障害の人にとって魅力的な選択肢です。これらの仕事は、個人のスキルやライフスタイルに合わせて調整でき、コミュニケーションが最小限に抑えられるため、特に内向的で自由を求める発達障害者に適しています。
メリット2 他人と比較されない
マイペースな発達障害者において、一人でできる仕事は他人と比較されにくい点で非常に魅力的です。この種の仕事は、個々のスキル、才能、スタイルに合わせて設計でき、競争や他人との比較が最小限に抑えられるため、自己主張とクリエイティビティの発揮に最適です。
メリット3 始業時間・終業時間に縛られない
一人でできる仕事は、その特性から、始業時間や終業時間に厳密に縛られる必要がないという魅力を持っています。この柔軟性は、体調を崩しやすい発達障害者にとって、ライフワークバランスを実現する上で非常に重要です。
メリット4 やった分だけ稼げる
個人事業主である場合はやった分だけ稼げるという柔軟性と成果主義のメリットがあります。個人事業主は自身のビジネスを経営し、収益を直接自分の労力と能力に応じて制御できるといった点で非常に意義のあることでしょう。
メリットだけでなくデメリットもお伝えしていきます。
デメリット1 価格交渉などを自分でしなければならず、損してしまう場面がある
個人事業主で仕事を受ける場合は価格交渉が発生する場面もあるでしょう。「工数を甘く見積りがち」だったり、「強く言われると、嫌と言えず引き受けてしまう」など発達障害の特性がマイナス方面に出てしまいがちが場面でもあります。
デメリット2 スケジュール管理を自分でしなくてはならない
スケジュールを忘れやすいADHDにとってスケジュール管理は難題です。一人で仕事をしていると、社内にいて誰かに声掛けしてもらえるわけではないので、「ツールを使う」などといった対策をとる必要があるでしょう。また、仕事がパツパツになってくると労働時間が不規則になり、休暇や週末を取ることが難しくなることがあります。ワークライフバランスといった点ではマイナスでしょう。
デメリット2 相談相手がいない
仕事の進め方やコードのエラーが解消できない場合、相談相手がいないことは大きなマイナスになります。場合によっては解決に1日の大半を要してしまう事態もあるでしょう。勉強会や交流会などに積極的に顔を出し、相談者を探しておく必要があります。
デメリット3 仕事が無くなった時に失業保険が出ない
こちらも自営業の場合に限ります。雇用保険に入っている場合は仕事を辞めると失業保険が出ますが、自営業の場合は適応されません。障害年金や民間の失業保険など何らかの対策を考えておいた方がよいでしょう。
【発達障害一人でできる仕事】を紹介
発達障害者が一人でできる仕事1 WEBデザイナー・WEBエンジニア
基本的にPCに向かっている時間が多く、コミュニケーションもツールを使う文化のため、コミュ障なASDでも馴染みやすい職種でしょう。WEBデザイナーはデザイン、コーディングが主な仕事となり、WEBエンジニアはインフラか開発がメインになるでしょう。
技術の進化が早いため、常に勉強し続けなくてはならない部分はあるものの、求人は多く、多種多様な働き方が出来るためオススメです。
発達障害者が一人でできる仕事2 グラフックデザイナー
WEBデザインよりデザインの自由度が高く、イラストが得意な方なども需要がある仕事になります。一人で請け負える仕事が多いため、クライアントの意向からズレていなければ個性を発揮することも可能です。発達障害に多い視覚優位特性を活かすことができます。WEBデザイナー同様、修正が発生しやすいため、見積りをキッチリしておく必要があります。
発達障害者が一人でできる仕事3 タクシー運転手
タクシー運転手は、お客さんを安全に目的地まで連れていくお仕事になります。一人で業務する仕事ですし、長距離トラックなどと違って疲れたら適宜休憩を取ることが可能です。個人タクシーの場合、「法人タクシー・ハイヤーで10年以上の経験が必要」と条件が厳しいですが、働いた分だけ収入が上がるというメリットもあるでしょう。
発達障害者が一人でできる仕事4 タイミー
主に飲食店のスポットワークになります。毎回勤務先が変わるため、人間関係に疲れてしまって職場に行きたくなくなる発達障害者にもオススメです。基本的にバタバタと忙しい仕事ですので、ADHDの多動タイプに向くでしょう。
発達障害者が一人でできる仕事5 データ入力
覚えることが少なく、コミュケーション能力も必要としない単純作業ですのでASDに向くお仕事です。視覚優位で細かいミスをすぐに発見できる能力はこの仕事で大いに役立つことでしょう。繰り返しの作業も苦にならない特性はコツコツ作業にピッタリです。
発達障害者が一人でできる仕事6 土方・塗装業者など職人系
発達障害の職人さん少ないと思いつつ、実は結構多いんですよね。筆者の友人にも数人います。専門的な知識や細かいこだわりが活かせる点で適職なのだと感じます。また、空間認知能力に優れる、知覚統合凸者にとっても能力を活かしやすい仕事といえます。
朝が早かったり、体力が必要な部分もありますので、ご自身の特徴と併せて考えてみてください。
参考:知覚統合とは?
発達障害者が一人でできる仕事 7 ウーバーイーツ、アマゾンなどの配達
「発達障害者最後の砦」と言われるウーバーイーツです。雇用契約を結ばず、業務委託契約ですので配達した分だけ自分の収入となります。自転車やカバンなど自分で用意するものはありますが、基本的に自由な時間で稼働でき、運動にもなるので副業としてやられている方も多いです。
参考:業務委託契約とは?
発達障害者が一人でできる仕事8 ナイトワーク
水商売の中では自由な時間に出勤でき、お客さんと1対1で接客するキャバクラは副業として良い収入になるでしょう。距離感がバグりがちで男性を勘違いさせる特性もここではプラスになります。高級クラブやスナックはチームプレイになりますので、除外します。
風俗の場合は「料金の受取り忘れ」や「備品の置き忘れ」などが発生しやすいため、店舗型をおすすめします。のんびりマイペースな発達障害の特性もプラスになり人気が出るでしょう。
発達障害者が一人でできる仕事9 新規営業
「継続的な人間関係が苦手」で第一印象のよいADHDにはルート営業より新規営業の方がオススメできます。ルート営業と違い、合わないお客様と距離も置きやすいため、人の好き嫌いがハッキリ出る発達障害の方にはよい仕事と言えます。ダブルブッキングやスケジュール忘れには重々注意しましょう。
いくつかの仕事を紹介してきましたが、そのほかにも一人で出来る仕事としては以下があります。おおまかにADHDかASDどちらに向くか書いておきますので、参考にしてみてください。
ADHD向きの仕事
「ポスティング・ちらし配り」「動画制作編集(YouTubeなど)」「アンケートモニター」
ASD向きの仕事
「士業」「ケアワーカー」「翻訳」「校正・校閲」「工場作業員(ライン作業)」「商品梱包、検品」
発達障害者が一人でできる仕事に就くための面接対策
一人でできる仕事を紹介してきたとはいえ、面接に受からなかれば元も子もありません。以下で面接に受かるための対策を書いていきます。
資格を取る
WEBエンジニアなどは資格を取ることにより、理解が深まり実務経験がなくても採用されやすくなります。面接でその資格に関連するスキルや実績を強調することができ、自信を持って応対できます。ただ、実務経験者と比べて弱くはなるので自身のPCに環境を作って操作できるようにしておきましょう。
また、士業は資格を取らないと開業できないことが一般的ですので年単位における勉強が必要になります。
考えをまとめるために一人の方が良いとアピールする
「勉強してきたことを活かしたい」「黙々と考える職種」であると一人で行う仕事のメリットが活きてきます。デザインを考える仕事や設計などは静かな空間で己と向き合う方が効率が良く、一人で居たいという理由も理解されやすいと考えます。
まとめ
発達障害者は疲れやすく、一人でいることに抵抗が無い方が多いため、マイペースに物事を進められる環境を好む傾向にあります。また、情報の処理やコミュニケーションに関して過負荷を感じることが多く、少しでも心身のストレスを軽減させてポジティブに働くことが出来るとよいと考えています。
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