NMDA受容体拮抗薬は、NMDA受容体に結合してその活性を阻害し、カルシウムイオンの流入を抑制します。この働きにより、脳内の情報伝達が調節され、進行する可能性のある記憶障害などが予防されます。
NMDA受容体はリガンド依存性イオンチャネルであり、グルタミン酸受容体ファミリーに属するイオンチャネル型受容体です。この受容体は興奮性シナプス伝達や学習、記憶において重要な役割を果たしています。NMDA受容体の機能不全は神経変性疾患、脳卒中、統合失調症などと関連があります。NMDA受容体拮抗薬は、これらの異常な活性を調整し、脳の正常な機能を保つ役割を果たします。
NMDA受容体拮抗作用のよくある質問
- QNMDA受容体拮抗薬はどんな効果があるのですか?
- A
NMDA受容体拮抗薬は、脳内のグルタミン酸の過剰な興奮を抑える薬です。
NMDA受容体拮抗薬は、NMDA受容体と呼ばれる、グルタミン酸が結合する受容体に結合し、カルシウムイオンの流入をブロックします。カルシウムイオンは、神経細胞の興奮を調節する役割を担っているため、カルシウムイオンの流入をブロックすることで、グルタミン酸の過剰な興奮を抑えることができます。
その結果、脳内の情報伝達が整い、記憶障害などの進行を防ぐことができると考えられています。
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- Q抗NMDA受容体抗体脳炎とは何ですか?
- A
グルタミン酸は、脳内で最も重要な神経伝達物質の一つです。NMDA受容体は、グルタミン酸が結合することで活性化し、神経細胞同士の情報伝達を担っています。
抗NMDA受容体脳炎では、患者自身の免疫細胞が、NMDA受容体のGluN1サブユニットに結合する抗体を産生します。この抗体が、NMDA受容体の機能を阻害することで、脳内の情報伝達が乱れ、さまざまな症状を引き起こします。
この疾患は、2007年にスペインのDalmauらによって報告されました。当時は、卵巣奇形腫を伴う若年成人女性に好発すると考えられていましたが、その後、卵巣奇形腫を伴わない症例や、男性や高齢者にも発症することが明らかになりました。
抗NMDA受容体脳炎の症状は、以下の通りです。
- 精神症状:錯乱、幻覚、妄想、言語障害、行動異常など
- 神経症状:痙攣、意識障害、運動障害、感覚障害など
- 自律神経症状:発熱、高血圧、発汗、不整脈など
抗NMDA受容体脳炎の治療は、免疫抑制薬による治療が中心です。
免疫抑制薬を投与することで、抗NMDA受容体抗体の産生を抑え、症状の改善を図ります。また、症状に応じて、抗てんかん薬や抗精神病薬などの併用治療が行われることもあります。
抗NMDA受容体脳炎は、早期発見・早期治療が重要です。
適切な治療を受けることで、大部分の患者さんは回復します。しかし、治療が遅れると、後遺症が残る可能性があります。
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