放出制御製剤

放出制御製剤とは、体内への主薬成分の溶出速度を制御する工夫が施された製剤の総称で、コントロールドリリース製剤とも呼ばれます。主に「経口投与型」「皮下注入型」「口腔内適用型」「子宮内適用型」の4つの形態があり、どの形態も製剤の工夫を無効化させないために形状を変化させずに用いることが重要です(嚙む、砕くなどをしない)。

放出制御製剤には、治療効果の向上、副作用の軽減、薬物耐性の発現の抑制などの効果があります。製剤の加工方法によって「徐法性製剤」と「時限放出型製剤」に大別され、それぞれの特徴は以下の通りです。

・徐法性製剤: 薬の成分が徐々に放出されるように加工された製剤。主薬成分を少しずつ放出することで、薬剤自体が持つ効果を長時間維持できます。これにより服用回数を減らす利点があり、また、血中の有効成分濃度の急激な上昇を抑え、長時間一定に保つことで副作用の発現を弱める効果が期待されます。

・時限放出型製剤: 服用(投与)後に一定時間経過後に薬の成分が速やかに放出されるように加工された製剤。薬を必要としている部位に到達する時間に合わせて成分を放出することで、副作用や薬物耐性の発現を抑制することができます。

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放出制御製剤の概要

1. はじめに

放出制御製剤とは、体内への主薬成分の溶出速度を制御する工夫が施された製剤の総称です。コントロールドリリース製剤とも呼ばれ、主に以下の4つの形態があります。

  • 経口投与型:口から服用するタイプの製剤です。代表的な放出制御製剤として、徐放性錠剤、口腔内崩壊錠、口腔内粘膜貼付剤などがあります。
  • 皮下注入型:皮下に注射するタイプの製剤です。インスリン製剤やホルモン補充療法製剤などが代表的な例です。
  • 口腔内適用型:口腔内に貼付するタイプの製剤です。ニコチンパッチや抗菌薬パッチなどが代表的な例です。
  • 子宮内適用型:子宮内に挿入するタイプの製剤です。避妊薬や子宮内膜症治療薬などが代表的な例です。

どの形態の製剤も、製剤の工夫を無効化させないために形状を変化させずに用いることが重要です(噛む、砕くなどをしない)。

2. 放出制御製剤の効果

放出制御製剤には、以下のような効果があります。

2.1 治療効果の向上

薬剤を必要としている部位に長時間、一定濃度で供給することで、治療効果を向上させることができます。従来の製剤と比べて、以下の点が期待できます。

  • 薬効時間の延長
  • 薬剤の血中濃度変動の抑制
  • 服用回数の減少
  • 薬剤耐性の発現抑制

2.2 副作用の軽減

血中濃度を一定に保つことで、副作用の発現を抑制することができます。従来の製剤と比べて、以下の点が期待できます。

  • 副作用の頻度や強度の軽減
  • 患者さんのQOL向上

2.3 薬物耐性の発現の抑制

薬剤を必要としている部位にのみ供給することで、薬物耐性の発現を抑制することができます。従来の製剤と比べて、以下の点が期待できます。

  • 長期的な治療効果の維持
  • 医療費の削減

2.4 服薬回数の減少

徐放性製剤の場合は、薬剤を長時間効果的に持続させることができるため、服薬回数を減らすことができます。患者さんの利便性が向上し、コンプライアンスの向上にもつながります。

3. 放出制御製剤の種類

放出制御製剤は、製剤の加工方法によって、大きく2種類に分類されます。

3.1 徐法性製剤

薬の成分が徐々に放出されるように加工された製剤です。主薬成分を少しずつ放出することで、薬剤自体が持つ効果を長時間維持できます。これにより服用回数を減らす利点があり、また、血中の有効成分濃度の急激な上昇を抑え、長時間一定に保つことで副作用の発現を弱める効果が期待されます。

徐法性製剤には、以下の代表的な種類があります。

  • 徐放性錠剤:薬剤を芯に含め、コーティングした錠剤です。コーティングの種類によって、溶出速度を制御することができます。
  • 口腔内崩壊錠:水に溶けやすいように加工された錠剤です。口腔内で崩壊することで、薬剤が速やかに吸収されます。
  • 口腔内粘膜貼付剤:薬剤を粘着剤に含ませ、口腔内の粘膜に貼付するタイプの製剤です。長時間、一定濃度で薬剤を供給することができます。

3.2 時限放出型製剤

服用(投与)後に一定時間経過後に薬の成分が速やかに放出されるように加工された製剤です。薬を必要としている部位に到達する時間に合わせて成分を放出することで、副作用や薬物耐性の発現を抑制することができます。

時限放出型製剤には、以下の代表的な種類があります。

  • タイムドリリース錠剤:薬剤を複数の層に含め、それぞれの層が溶解する時間を調整することで、放出時間を制御するタイプの製剤です。
  • プッシュプルシステム:薬剤層とプッシュ層を組み合わせた製剤です。プッシュ層が浸透圧によって薬剤層を押し出すことで、薬剤を徐放します。
  • ゼロオーダー型製剤:一定速度で薬剤を放出するタイプの製剤です。

4. 放出制御製剤の注意点

4.1 製剤の形状を変化させない

放出制御製剤は、製剤の形状が溶出速度に影響を与えるように設計されています。そのため、噛んだり、砕いたり、割ったりすると、薬剤の溶出速度が変化し、本来の効果が得られなくなる可能性があります。

4.2 水で服用する

経口投与型の放出制御製剤は、水で服用することが重要です。水以外の飲み物で服用すると、製剤が溶けずに効果が得られなかったり、副作用が起こったりする可能性があります。

4.3 他の薬剤との相互作用

放出制御製剤は、他の薬剤との相互作用を起こす可能性があります。服用中の薬剤がある場合は、医師に相談してください。

4.4 副作用

放出制御製剤は、従来の製剤と比べて副作用が起こりにくいですが、まれに副作用が起こる場合があります。主な副作用としては、以下のようなものがあります。

  • 消化器症状(胃痛、嘔吐、下痢など)
  • 頭痛
  • めまい
  • 眠気

これらの症状が現れた場合は、医師に相談してください。

4.5 保管方法

放出制御製剤は、直射日光や高温多湿を避け、涼しい場所で保管してください。

5. 放出制御製剤の適応疾患

放出制御製剤は、様々な疾患の治療に用いられています。主な適応疾患としては、以下のようなものがあります。

  • 高血圧
  • 狭心症
  • 喘息
  • 胃潰瘍
  • パーキンソン病
  • アルツハイマー病
  • ADHD
  • てんかん

6. まとめ

放出制御製剤は、従来の製剤と比べて多くの利点を持つ優れた製剤ですが、注意点もあります。服用前に医師や薬剤師に相談し、指示に従って服用することが重要です。

7. 参考資料

放出制御製剤のよくある質問

Q
放出制御とはどういう意味ですか?
A

薬物が特定の部位に到達した際に、適切なタイミングで薬物を解放するように制御することを「放出制御」と呼びます。この方法により、目標とする部位で、治療効果が現れる最適な濃度以上の薬物が供給される一方で、毒性や副作用が現れる濃度以下の範囲に留めることが重要です。このような制御が薬物の効果を最大限に引き出す上で重要な要素となります。

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Q
コンサータのプッシュ層は何成分ですか?
A

コンサータ錠やインヴェガ錠は、浸透圧を利用した徐放性製剤であるOROSプッシュプルシステムを採用しています。これらの製剤は、薬物層1(低濃度)、薬物層2(高濃度)、およびプッシュ層(NaCl)から構成されています。

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