弁証法的行動療法

 

弁証法的行動療法の概要

弁証法的行動療法(DBT)は、アメリカの心理学者マーシャ・リネハン博士によって開発された認知行動療法の一種です。

DBTは、「変化させること」「変化させず受容すること」のバランスを重要視する点が特徴です。

  • 変化させること: 問題行動を減らし、望ましい行動を増やすためのスキルを身につける
  • 変化させず受容すること: 現在の自分自身や状況をありのままに受け入れる

このバランスを取ることで、より効果的に問題に対処し、生きづらさを軽減していくことを目指します。

DBTの開発背景

DBTは、境界性パーソナリティ障害(BPD)の治療法として開発されました。BPDは、衝動性、不安定な対人関係、自己イメージの混乱などを特徴とする精神疾患です。

当時、BPDは治療が難しいとされていましたが、DBTはBPDの症状を改善する効果があることが示されました。

DBTの構成

DBTは、以下の4つの要素から構成されています。

  • 個別療法: 週に1回のペースで行われるセラピストとの面談。問題解決やスキル習得などをサポートします。
  • グループスキルトレーニング: 週に1回のペースで行われるグループセッション。マインドフルネス、情動調節、対人関係、苦悩耐性などのスキルを学びます。
  • 電話スキルコーチング: 必要に応じて行われる電話でのサポート。スキルを日常生活で活かすためのアドバイスを受けられます。
  • セラピストコンサルテーション: セラピスト同士で行われるコンサルテーション。より効果的な治療を提供するために、セラピスト間で情報共有や連携を行います。

DBTの対象

境界性パーソナリティ障害(BPD): 衝動性、不安定な対人関係、自己イメージの混乱などを特徴とする精神疾患。DBTは、BPDの治療法として開発されましたが、近年では、以下のようなさまざまな精神疾患に効果があるとされています。

    • うつ病
    • 躁うつ病
    • 依存症
    • 摂食障害
    • PTSD
    • 発達障害
    • 慢性疼痛

DBTは、BPD以外にも、うつ病、躁うつ病、依存症、摂食障害、PTSDなど、さまざまな精神疾患に効果があるとされています。

近年では、発達障害慢性疼痛の治療にも応用されています。

DBTの特徴

DBTは、以下の点に特徴があります。

  • 受容と変化のバランス: 変化を起こすことと、現状を受け入れることの両方を重視します。
  • スキル訓練: 問題に対処するための具体的なスキルを学ぶことを重視します。
  • 治療者と患者の関係: 治療者と患者の間に信頼関係を築くことを重視します。
  • 弁証法的アプローチ: 矛盾や葛藤を認め、そこから学びを得ることを重視します。
  • 受容と変化のバランス: 変化を起こすことと、現状を受け入れることの両方を重視します。

DBTの効果

DBTは、以下の効果があることが示されています。

  • 問題行動の減少: 自傷行為、自殺企図、衝動的な行動などの減少
  • 情緒の安定: 感情の起伏の軽減、ストレスへの対処能力の向上
  • 対人関係の改善: 人間関係の構築や維持の円滑化
  • 生活の質の向上: 幸福感や充実感の増加

DBTを受ける

DBTは、臨床心理士精神科医などの専門家によって提供されています。

DBTを受ける場合は、医療機関を受診し、医師や心理士に相談する必要があります。

参考情報

 

DBTの核となる概念

  • 弁証法: 矛盾や葛藤を認め、そこから学びを得る考え方。DBTでは、問題と現状の受容、変化と安定のバランスを重視します。
  • マインドフルネス: 今この瞬間に意識を向け、ありのままを受け入れる状態。DBTでは、感情や思考を客観的に観察し、衝動的な行動を抑制するスキルとして重要視されます。
  • スキル訓練: 問題に対処するための具体的な行動パターンを学ぶこと。DBTでは、マインドフルネス、感情調節、対人関係、苦悩耐性などのスキルを習得します。
  • 治療者と患者の関係: 信頼関係に基づいた治療関係を築くこと。DBTでは、セラピストが患者の努力を認め、共感的にサポートすることが重要視されます。

DBTの4つの構成要素

  • 個別療法: 週に1回のペースで行われるセラピストとの面談。問題解決やスキル習得などを個別に行います。
  • グループスキルトレーニング: 週に1回のペースで行われるグループセッション。マインドフルネス、感情調節、対人関係、苦悩耐性などのスキルを仲間と共に学びます。
  • 電話スキルコーチング: 必要に応じて行われる電話でのサポート。スキルを日常生活で活かすためのアドバイスを受けられます。
  • セラピストコンサルテーション: セラピスト同士で行われるコンサルテーション。より効果的な治療を提供するために、セラピスト間で情報共有や連携を行います。

 

DBTの効果

  • 問題行動の減少: 自傷行為、自殺企図、衝動的な行動などの減少
  • 情緒の安定: 感情の起伏の軽減、ストレスへの対処能力の向上
  • 対人関係の改善: 人間関係の構築や維持の円滑化
  • 生活の質の向上: 幸福感や充実感の増加

DBTを受ける

DBTは、臨床心理士や精神科医などの専門家によって提供されています。

DBTを受ける場合は、医療機関を受診し、医師や心理士に相談する必要があります。

参考情報

その他

  • チェーン分析: 過去の出来事と現在の問題行動の関連性を分析する手法。DBTでは、問題行動の背景にある思考や感情を理解するために用いられます。
  • 暴露療法: 恐怖や不安を回避するのではなく、あえて対象に暴露することで克服を目指す療法。DBTでは、対人恐怖や社会不安などの治療に用いられます。
  • コンティンジェント・マネジメント: 望ましい行動を強化し、問題行動を減少させるための報酬やペナルティを用いる手法。DBTでは、日常生活でのスキルの定着を促進するために用いられます。
  • 弁証法的行動療法の倫理的課題: DBTの有効性や安全性に関する議論、セラピストと患者の間の権力関係など、倫理的に考慮すべき課題があります。

弁証法的行動療法のよくある質問

Q
弁証法的行動療法はBPDに有効ですか?
A

弁証法的行動療法(DBT)は、境界性パーソナリティ障害(BPD)の患者に効果的な精神療法です。BPDの患者は、自殺念慮や自傷行為、衝動的な行動など、さまざまな問題行動を繰り返す傾向があります。DBTでは、マインドフルネスやスキルトレーニングなどの方法を用いて、これらの問題行動を減らすことを目的としています。

DBTは、BPDの患者だけでなく、PTSDなどの他の疾患にも応用されています。例えば、PTSDの患者は、トラウマ体験を思い出して強い不安や抑うつ症状を感じることがあります。DBTでは、マインドフルネスを用いて、これらの症状をコントロールすることを学ぶことができます。

こちらも参考に:双極性障害(躁うつ病)の方への接し方で大切な事と悩んだ際の対処法

参考:ウィニコット博士とは?

Q
DBTとは精神科で何ですか?
A

弁証法的行動療法(DBT)は、境界性パーソナリティ障害(BPD)の治療法として最もエビデンス(科学的根拠)が豊富です。DBTは、1980年代にアメリカのマーシャ・ラインハン博士によって開発されました。ラインハン博士は、DBTの詳細なマニュアルを作成しました。また、DBTの有効性を示す研究を数多く実施しました。

DBTの開発当初は、その詳細なマニュアルと確固たるエビデンスは、驚きと疑いを持って迎えられました。しかし、その後の研究で、DBTの有効性が再確認されました。現在では、DBTはBPDの標準的な治療法の1つとして広く認められています。

参考:認知的技能訓練とは?

参考:ピアサポート・ピアサポーターとは?活動や目的、分野について

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