起立性調節障害の概要
はじめに
起立性調節障害(OD)は、思春期を中心に発症する身体と心の不調が複合的に絡み合い、日常生活に支障をきたす病気です。自律神経機能の乱れが主な原因と考えられており、立ちくらみ、めまい、頭痛、倦怠感、朝起きられないなどの症状が現れます。
この用語集では、起立性調節障害に関する基本的な用語を解説します。
目次
- 症状
- 原因
- 診断
- 治療
- 日常生活における注意点
- その他
症状
- 立ちくらみ: 立ち上がった時に突然目の前が暗くなったり、ふらつきを感じたりする症状
- めまい: ぐるぐる回るような感覚や、体が揺れているような感覚を感じる症状
- 頭痛: 頭全体が締め付けられるような痛みや、ズキズキと脈打つような痛みを感じる症状
- 倦怠感: 常に疲れているような感じ、何もやる気が起きない感じ
- 朝起きられない: 朝起きるのが辛い、二度寝してしまうことが多い
- 腹痛: お腹が痛くなったり、吐き気を感じたりする
- 集中力の低下: 勉強や仕事に集中できない
- 無気力: 何に対してもやる気が起きない
- イライラ: 些細なことでイライラしてしまう
- 社交不安: 人と話すのが苦手、人前に出るのが怖い
参考:不安障害
原因
- 自律神経機能の乱れ: 交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、様々な症状が現れる
- 成長ホルモンの分泌異常: 思春期に起こるホルモンバランスの変化が影響している可能性がある
- 遺伝: 家族にODの患者さんがいる場合は、発症するリスクが高い
- 心理的な要因: ストレスやプレッシャーなどの心理的な要因が症状を悪化させることがある
診断
- 問診: 症状や日常生活の様子について医師が質問する
- 身体検査: 血圧や脈拍、心拍数などを測定する
- 検査: 血液検査、心電図検査、脳波検査などを行う
治療
- 生活習慣の改善: 規則正しい睡眠、適度な運動、バランスのとれた食事など
- 薬物療法: 症状に合わせて、頭痛薬、めまい薬、抗不安薬などを使用する
- 心理療法: ストレスや不安に対処するための方法を学ぶ
- 理学療法: 体の歪みを整えたり、筋力をつけたりする
日常生活における注意点
- 十分な睡眠をとる: 毎日7~8時間程度の睡眠時間を確保する
- 規則正しい生活を送る: 毎日同じ時間に寝起きし、同じ時間に食事をする
- 適度な運動をする: ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動が効果的
- バランスのとれた食事を心がける: 野菜や果物、魚などをバランスよく食べる
- ストレスを溜めない: ストレス解消法を見つけて、ストレスを溜めないようにする
- 水分をこまめに摂取する: 水分不足は症状を悪化させるので、こまめに水分を補給する
- カフェインやアルコールを控える: カフェインやアルコールは症状を悪化させるので、控える
その他
- 起立性調節障害は、適切な治療を受ければ改善する病気です。
- 症状が重い場合は、学校を休んだり、仕事を休んだりする必要があることもあります。
- 周囲の理解と協力が大切です。
参考情報
- 一般社団法人 起立性調節障害改善協会:https://www.odpaj.com/
- 厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/index.html
- 国立成育医療研究センター:https://www.ncchd.go.jp/
起立性調節障害のよくある質問
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Q起立性調節障害はどんな人がなりやすいですか?
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A
朝が苦手な人やよく立ちくらみがする人はもともと自律神経の働きが弱く、発症しやすい傾向にあるとされています。 さらに貧血や脱水、低血圧の人や下肢特にふくらはぎの筋力が低下している方など心臓へ戻る血流量が少ない時、エネルギー不足の時にも発症しやすい傾向にあります。
こちらも参考に:精神障害者手帳3級取得のメリット | 割引や控除割引や支援を紹介
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Q起立性調節障害は完治しますか?
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A
軽症でなくても9割程度のケースは数年以内に改善するとされています。 適切な治療が行われれば、軽症であれば数ヶ月以内での症状改善が見込まれます。 日常生活に支障をきたすレベル(中等症)であっても、1年後の回復率が約50%、2~3年後は70~80%と、ほとんどのケースが数年以内に改善するとされています。