NMDA受容体拮抗作用

NMDA受容体拮抗作用とは、NMDA受容体の活性を抑制する作用です。NMDA受容体は、脳内の興奮性の神経伝達物質であるグルタミン酸の受容体です。NMDA受容体が過剰に活性化されると、神経細胞の障害や記憶・学習機能の障害を引き起こすと考えられています。

NMDA受容体拮抗薬は、アルツハイマー病、てんかん、統合失調症などの治療に用いられています。アルツハイマー病では、異常なタンパク質が蓄積し、グルタミン酸の過剰放出が起こります。NMDA受容体拮抗薬は、このグルタミン酸の過剰放出を抑制することで、神経細胞の障害を防ぐと考えられています。

NMDA受容体拮抗薬には、競合的拮抗薬と非競合的拮抗薬の2種類があります。競合的拮抗薬は、グルタミン酸と競合的に結合し、NMDA受容体へのグルタミン酸の結合を阻害します。非競合的拮抗薬は、グルタミン酸とは異なる部位に結合し、NMDA受容体の活性を阻害します。

NMDA受容体拮抗薬には、幻覚や錯乱などの副作用が起こることがあります。また、依存性や耐性も起こる可能性があるため、注意が必要です。

NMDA受容体拮抗作用の主な効果は、以下のとおりです。

  • 神経細胞の障害の抑制
  • 記憶・学習機能の改善
  • てんかんの発作抑制
  • 統合失調症の症状改善

NMDA受容体拮抗薬は、アルツハイマー病などの神経変性疾患や、てんかん、統合失調症などの精神疾患の治療に期待されています。

NMDA受容体拮抗作用のよくある質問

Q
NMDA受容体拮抗薬はどんな効果があるのですか?
A

NMDA受容体拮抗薬は、脳内のグルタミン酸の過剰な興奮を抑える薬です。

NMDA受容体拮抗薬は、NMDA受容体と呼ばれる、グルタミン酸が結合する受容体に結合し、カルシウムイオンの流入をブロックします。カルシウムイオンは、神経細胞の興奮を調節する役割を担っているため、カルシウムイオンの流入をブロックすることで、グルタミン酸の過剰な興奮を抑えることができます。

その結果、脳内の情報伝達が整い、記憶障害などの進行を防ぐことができると考えられています。

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Q
抗NMDA受容体抗体脳炎とは何ですか?
A

グルタミン酸は、脳内で最も重要な神経伝達物質の一つです。NMDA受容体は、グルタミン酸が結合することで活性化し、神経細胞同士の情報伝達を担っています。

抗NMDA受容体脳炎では、患者自身の免疫細胞が、NMDA受容体のGluN1サブユニットに結合する抗体を産生します。この抗体が、NMDA受容体の機能を阻害することで、脳内の情報伝達が乱れ、さまざまな症状を引き起こします。

この疾患は、2007年にスペインのDalmauらによって報告されました。当時は、卵巣奇形腫を伴う若年成人女性に好発すると考えられていましたが、その後、卵巣奇形腫を伴わない症例や、男性や高齢者にも発症することが明らかになりました。

抗NMDA受容体脳炎の症状は、以下の通りです。

  • 精神症状:錯乱、幻覚、妄想、言語障害、行動異常など
  • 神経症状:痙攣、意識障害、運動障害、感覚障害など
  • 自律神経症状:発熱、高血圧、発汗、不整脈など

抗NMDA受容体脳炎の治療は、免疫抑制薬による治療が中心です。

免疫抑制薬を投与することで、抗NMDA受容体抗体の産生を抑え、症状の改善を図ります。また、症状に応じて、抗てんかん薬や抗精神病薬などの併用治療が行われることもあります。

抗NMDA受容体脳炎は、早期発見・早期治療が重要です。

適切な治療を受けることで、大部分の患者さんは回復します。しかし、治療が遅れると、後遺症が残る可能性があります。

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