不当解雇の概要
1. 不当解雇とは?
不当解雇とは、労働基準法等の法令に違反して行われた解雇を指します。具体的には、以下の2つの要件を満たす解雇が不当解雇とされます。
- 解雇が客観的に合理的な理由に基づいていないこと
- 解雇が労働者に対して著しく不利益を与えるものであること
2. 不当解雇の具体例
- 解雇の理由が虚偽または不当なものである場合:例えば、会社都合による解雇と称して、実際には労働組合活動への嫌がらせを目的とした解雇など
- 解雇手続きが法令に違反している場合:例えば、解雇予告をせずに解雇したり、解雇理由を明確に説明せずに解雇したりするなど
- 解雇が労働者に対して著しく不利益を与えるものである場合:例えば、生活に困窮する恐れがあるにもかかわらず解雇したり、長期間勤続しているにもかかわらず解雇したりするなど
3. 不当解雇された場合の対応
不当解雇された場合は、以下の方法で対応することができます。
- 労働基準監督署に相談する:労働基準監督署は、労働基準法等の労働関係に関する法律の施行を監督する行政機関です。不当解雇された場合は、労働基準監督署に相談することで、解雇の有効性について調査してもらったり、会社に対して是正勧告を出してもらったりすることができます。
- 民事訴訟を起こす:不当解雇された労働者は、会社に対して損害賠償を求める訴訟を起こすことができます。民事訴訟で勝訴すれば、会社から解雇撤回や慰謝料の支払いなどを命じられる可能性があります。
- 労働組合に相談する:労働組合は、労働者の利益を守るために結成される組織です。不当解雇された場合は、労働組合に相談することで、解雇に関するアドバイスを受けたり、会社との交渉をサポートしてもらったりすることができます。
4. 不当解雇を証明するために必要な証拠
不当解雇を証明するために必要な証拠としては、以下のようなものがあります。
- 解雇通知書
- 雇用契約書
- 給与明細書
- タイムカード
- 退職証明書
- 会社からのメールや文書
- 目撃者の証言
5. 弁護士に相談する
不当解雇は、法律的な問題が複雑になるため、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は、不当解雇の有効性を分析し、適切な対応方法をアドバイスすることができます。また、必要に応じて、民事訴訟の代理人として労働者を弁護することもできます。
6. 和解
裁判をせずに、労働者と会社が話し合いで解決することを和解といいます。和解は、裁判よりも迅速かつ低コストで解決できるというメリットがありますが、労働者が希望する全ての要求が認められるとは限りません。
7. 損害賠償
不当解雇によって労働者が受けた損害に対して、会社が支払う賠償金を損害賠償といいます。損害賠償には、解雇によって失った賃金、退職金、福利厚生、精神的苦痛などに対する慰謝料などが含まれます。
8. 慰謝料
不当解雇によって労働者が受けた精神的な苦痛に対する賠償金を慰謝料といいます。慰謝料の金額は、解雇の態様、労働者の精神的苦痛の程度、労働者の社会的地位などが考慮されて決定されます。
9. その他
不当解雇された場合は、早めに専門家に相談することが重要です。労働基準監督署、弁護士、労働組合などの専門家に相談することで、適切なアドバイスを受けることができます。
参考情報
- 厚生労働省 – 労働基準法:https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/newpage_00379.html
- 厚生労働省 – 不当解雇:https://roudou.nishifuna-law.com/kaiko_syurui/
- 全国労働組合総連合会 – 不当解雇:https://www.vbest.jp/roudoumondai/columns/5175/
- 弁護士会:https://www.nichibenren.or.jp/
10. 不当解雇に関する相談窓口
全国
- 全国労働基準監督署相談窓口:電話:0570-067-333
- 法テラス:電話:0570-663-333
- 厚生労働省 総合労働相談コーナー:フリーダイヤル:0120-601-556
都道府県
各都道府県には、労働相談窓口が設置されています。詳細は、厚生労働省のホームページまたは各都道府県のホームページでご確認ください。
参考情報
- 厚生労働省 – 総合労働相談コーナー:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/kijyungaiyou/kijyungaiyou06.html
- 厚生労働省 – 都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧:https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shozaiannai/roudoukyoku/index.html
その他
不当解雇は、労働者の生活に大きな影響を与える問題です。不当解雇されたと感じたら、一人で悩まずに、早めに専門家に相談することが重要です。
専門家への相談
- 弁護士
- 労働組合
- 労働基準監督署
- 法テラス
弁護士
弁護士は、不当解雇に関する法律的なアドバイスを提供し、必要に応じて裁判の代理人として労働者を弁護することができます。
労働組合
労働組合は、労働者の利益を守るために結成される組織です。不当解雇された場合は、労働組合に相談することで、解雇に関するアドバイスを受けたり、会社との交渉をサポートしてもらったりすることができます。
労働基準監督署
労働基準監督署は、労働基準法等の労働関係に関する法律の施行を監督する行政機関です。不当解雇された場合は、労働基準監督署に相談することで、解雇の有効性について調査してもらったり、会社に対して是正勧告を出してもらったりすることができます。
法テラス
法テラスは、経済的に困窮している方が法律上の問題を解決できるように、弁護士等の法律専門家による法的サービスを提供する制度です。不当解雇に関する相談も法テラスで行うことができます。
参考情報
- 弁護士会:https://www.nichibenren.or.jp/
- 全国労働組合総連合会:http://www.zenroren.gr.jp/
- 厚生労働省 – 労働基準監督署:https://www.mhlw.go.jp/index.html
- 法テラス:https://www.houterasu.or.jp/
不当解雇のよくある質問
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Q不当解雇されたら労基に相談できますか?
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A
もし会社が労働法違反を行っている場合、国民には労働基準監督署への通報権利と義務があります。そのため、通報を理由とした解雇は「不当解雇」にあたります。解雇後、会社から提供される解雇証明書には、適切な理由が記載されていない場合があります。
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Q退職前に体調不良で欠勤してもいいですか?
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A
体調不良による欠勤で退職しても法的に問題はありません。要するに、体調不良などの自己都合による欠勤のまま退職することが可能です。なぜなら、退職の権利は雇用主ではなく労働者側にあるからです。体調不良は民法628条の「やむを得ない理由であれば退職できる」という規定に該当します。
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参考:民事法律扶助とは?