遅延損害金(延滞利息)

遅延損害金(遅延利息)とは、金銭債務において債務者が履行を遅滞した場合に発生する、損害を補償するために支払われる金銭のことです。通常、この遅延損害金は金銭債務の元本額に対して一定の料率を適用し、遅滞の期間に応じて計算されます。

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遅延損害金(延滞利息)の概要

遅延損害金とは、金銭の債務者が履行を遅滞した場合に、債権者が損害賠償として請求できる金銭のことを指します。一般に「延滞利息」とも呼ばれますが、利息とは異なり、損害賠償金という性質を持っています。

1. 遅延損害金と利息の違い

  • 利息は、お金を借りた対価として支払う金銭です。一方、遅延損害金は、お金の支払いが遅れたことによる損害を賠償するために支払う金銭です。
  • 利息は、契約に基づいて支払う義務がありますが、遅延損害金は、法律に基づいて支払う義務があります。
  • 利息は、借入金に対してのみ発生しますが、遅延損害金は、金銭債務全般に対して発生する可能性があります。

2. 遅延損害金の発生要件

遅延損害金が発生するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 金銭の債務があること
  • 債務者が履行を遅滞していること
  • 債権者が損害を被っていること

金銭の債務とは、お金を支払う義務を指します。例えば、売買代金、借金、損害賠償金などが金銭の債務に該当します。

債務者の履行遅滞とは、債務者が約束した期日までに履行を行わないことを指します。

債権者の損害とは、債務者の履行遅滞によって債権者に生じた損害を指します。例えば、遅延によって生じた金銭的損失、信用毀損、精神的苦痛などが損害に該当します。

3. 遅延損害金の利率

遅延損害金の利率は、約定利率法定利率の2種類があります。

  • 約定利率とは、当事者間で合意した利率です。民法404条1項では、約定利率は年6%以下と定められています。ただし、特約により、年6%を超える利率を定めることも可能です。
  • 法定利率とは、法律で定められた利率です。民法404条2項では、法定利率は年5%と定められています。約定利率がない場合や、約定利率が無効である場合に、法定利率が適用されます。

2024年7月1日現在の法定利率は、以下の通りです。

  • 令和2年4月1日から令和5年3月31日まで:年3%
  • 令和5年4月1日から:年2%

4. 遅延損害金の計算方法

遅延損害金の計算方法は、以下の通りです。

遅延損害金 = 遅延期間 × 債務金額 × 利率
  • 遅延期間とは、債務者が履行を遅滞している期間を指します。
  • 債務金額とは、債務者が支払うべき金銭の額を指します。
  • 利率とは、約定利率がある場合は約定利率、約定利率がない場合は法定利率を適用します。

  • 100万円の売買代金を支払う期日が1ヶ月後に到来しているにもかかわらず、買主が支払いを遅らせた場合、売主は買主に対して遅延損害金を請求することができます。
  • この場合、遅延期間は1ヶ月、債務金額は100万円、利率は年6%と仮定すると、遅延損害金は以下の通り計算されます。
遅延損害金 = 1ヶ月 × 100万円 × 6% = 5万円

5. 遅延損害金の支払い義務

債務者は、債権者から請求があった場合、遅延損害金を支払う義務があります。支払わない場合は、裁判所の手続きによって強制的に支払いを命じられることもあります。

6. 遅延損害金に関する注意点

  • 遅延損害金は、あくまでも損害賠償金であるため、債権者が実際に被った損害の額を超える請求することはできません
  • 債務者が履行を遅滞しているにもかかわらず、債権者が遅延損害金の請求をしない場合、遅延損害金は発生しません
  • 遅延損害金の請求権は、5年間で消滅します。

 

7. 遅延損害金に関する相談窓口

遅延損害金に関する相談は、以下の窓口にできます。

  • 弁護士
  • 法テラス
  • 市区町村の消費者相談窓口

8. その他

遅延損害金は、債権者にとって重要な権利ですが、債務者にとっても負担となるものです。金銭の貸借を行う際には、契約書に遅延損害金の利率を明記しておくことが重要です。また、債務者は、約束した期日までに確実に履行を行うように心掛けましょう。

 

遅延損害金(延滞利息)のよくある質問

Q
利息と遅延損害金の違いは?
A

「遅延損害金と利息、どう違うの?」と思ったことはありませんか。利息は借りた日から返済期日までに発生する一方、遅延損害金は返済期日の翌日から実際の返済日までに発生します。遅延損害金は返済が遅れたことに対するペナルティの性質を持ち、消費者金融などでは年20%近い高い金利が適用されることもあります。

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Q
遅延損害金は払わなくてもいいの?
A

遅延損害金には、契約時に規定されている場合とそうでない場合があります。支払う側からは、「契約書に明記されていなければ支払わなくてもいいのでは?」と考えることもあるかもしれません。しかし、遅延損害金は法律で支払うべきと定められているため、契約書に規定がなくても支払う必要があります。

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