知覚運動の概要
1. 知覚運動とは
知覚と運動のシステムを指します。外界からの情報を五感で受け取り、脳で処理し、適切な運動指令を出して行動を起こす一連の過程を指します。視覚、聴覚、体性感覚などの感覚情報と、随意運動、反射運動などの運動機能が密接に連携して働きます。
2. 知覚運動の役割
知覚運動は以下の役割を果たします。
- 日常生活における動作の遂行
歩く、走る、物を掴む、食事をするなど、日常生活における様々な動作を円滑に行うために必要です。
- スポーツのパフォーマンス向上
ボールを打つ、シュートする、ドリブルするなど、スポーツのパフォーマンス向上にも重要な役割を果たします。
- 認知機能の発達
乳幼児期においては、知覚運動の発達が認知機能の発達にも大きく影響します。
3. 知覚運動の発達
知覚運動の発達は、乳幼児期から青年期にかけて徐々に発達していきます。
- 乳幼児期
乳幼児期は、運動機能の発達が著しく、這い歩き、立ち歩き、走り方などを習得していきます。また、視覚や聴覚などの感覚情報も発達し、周囲の環境を理解し、それに応じた行動ができるようになってきます。
- 児童期
児童期になると、運動能力がさらに向上し、複雑な動作もできるようになります。また、ボール遊びやスポーツなどを通して、協調性や空間認識能力なども発達していきます。
- 青年期
青年期になると、知覚運動機能は完成に近づきます。精密な運動や判断力も必要とされる高度な動作もできるようになります。
4. 知覚運動障害
知覚運動の発達に遅れがあったり、障害があったりする状態を、知覚運動障害と呼びます。原因としては、脳性麻痺、発達障害、脳卒中、外傷などがあります。
5. 知覚運動障害の症状
知覚運動障害の症状は、以下のようなものがあります。
- 運動機能の障害
粗大運動や微細運動の障害、協調性やバランス感覚の障害などがあります。
- 感覚情報の処理の障害
視覚や聴覚などの感覚情報を正しく処理できず、空間認識や時間認識に困難があったり、注意散漫になったりするなどの症状があります。
- 認知機能の障害
学習や記憶、問題解決などの認知機能に障害がある場合があります。
6. 知覚運動障害の治療
知覚運動障害の治療は、原因や症状によって異なりますが、理学療法、作業療法、言語療法などのリハビリテーションが中心となります。薬物療法や手術療法が行われる場合もあります。
7. 知覚運動に関する研究
知覚運動に関する研究は、心理学、脳科学、運動学など様々な分野で行われています。近年では、脳科学の発展により、知覚運動のメカニズムがより詳細に解明されるようになってきています。
8. 知覚運動に関する用語
- 運動知覚
物体や自分の身体が空間内で移動する方向と速さを知覚すること。
異なる感覚情報を統合し、意味のある情報として理解すること。
- 運動学習
繰り返し練習することで、運動技能を習得すること。
- 運動制御
脳が運動指令を出し、筋肉を動かして目的の動作を実行すること。
9. 参考情報
- 日本運動療法学会 – 運動療法とは
- 国立特別支援教育総合研究所 – 知覚運動障害
https://www.umin.ac.jp/kagoshima/jgopher/4/N0426.txt
- 東京大学大学院教育学研究科 – 知覚運動発達と学習
https://idaten.c.u-tokyo.ac.jp/
知覚運動のよくある質問
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Q運動の知覚の例は?
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A
視野の大部分が一定の方向に動くと、それに誘導されて運動を知覚することがあります。たとえば、列車の窓から隣の列車を見ていると、その列車が動くと自分が動いているように感じることです。
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Q動きの知覚とは?
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A
運動の知覚とは,物体や自分の身体が空間内で移動する方向と速さを知覚する心理過程である。 物体の動きは視覚,聴覚,触覚を通じて感知されるが,視覚の研究が最も進んでいる。 視覚的運動visual movementは,刺激条件によって実際運動,仮現運動,運動残効,誘導運動,自動運動などに分かれる。
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