双極性障害にはⅠ型とⅡ型の2つのタイプがあります。Ⅰ型は、日常生活や仕事に大きな影響を及ぼす激しい躁状態が見られる場合に診断されます。一方、Ⅱ型は、周囲からは普段と異なる行動が見られても、日常生活や仕事にそれほどの支障をきたさない軽躁状態が特徴です。
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双極性障害(躁うつ病)は、感情が極端に高揚する「躁状態」と、深い落ち込みを伴う「うつ状態」が周期的に現れる精神疾患です。この疾患には主に「一型」と「二型」が存在します。それぞれ特徴が異なり、発達障害との関連が注目されています。この記事では、一型と二型の違いを整理し、発達障害の観点から考察します。
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双極性障害:Ⅰ型とⅡ型の詳細比較
双極性障害は、気分が極端に高揚したり落ち込んだりする病気を指します。
大きくⅠ型とⅡ型の2種類に分けられ、それぞれ異なる特徴と症状、治療法などを有します。
双極性障害Ⅰ型とⅡ型の比較表
項目 | 双極性障害Ⅰ型 | 双極性障害Ⅱ型 |
---|---|---|
躁状態 | 激しい躁状態が現れる。日常生活や仕事に支障をきたす可能性が高い。 | 軽躁状態が現れる。日常生活や仕事に支障をきたすことは比較的少ない。 |
うつ状態 | 重度のうつ状態が現れる。 | 中等度から重度のうつ状態が現れる。 |
症状の持続期間 | 躁状態とうつ状態それぞれが数週間から数ヶ月続く。 | 躁状態が数日間、うつ状態が2週間以上続く。 |
混合状態 | 躁状態とうつ状態が同時に現れることがある。 | 混合状態は稀である。 |
診断基準 | 躁状態が少なくとも1回以上認められる。 | 軽躁状態が少なくとも2回以上、うつ状態が少なくとも1回以上認められる。 |
発症率 | 双極性障害全体の約20% | 双極性障害全体の約60% |
治療 | 薬物療法と心理療法を組み合わせることが一般的。 | 薬物療法と心理療法を組み合わせることが一般的。 |
二型双極性障害(双極II型障害)
特徴:
二型は、「軽躁状態」と「うつ状態」を繰り返すタイプです。一型に比べ躁の症状が軽いですが、抑うつが深刻なことが多いです。
- 軽躁状態:高揚感や自信過剰があるが、一型ほど極端ではない。
- うつ状態が診断の中心であり、長期間にわたり日常生活の質が低下する。
- 軽躁状態は見過ごされやすく、うつ病として誤診されることがある。
双極性障害Ⅰ型の症状
- 極端な高揚感、多弁、活動過多
- 睡眠時間の減少
- 思考の奔逸
- 無謀な行動
- 誇大妄想
- 攻撃性
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双極性障害Ⅱ型の症状
- 軽度の高揚感、多弁、活動過多
- 睡眠時間の減少
- 軽度の思考の奔逸
- 軽度の無謀な行動
- 自尊心の高まり
- 軽度の易怒性
発達障害との関連
発達障害(自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症など)を持つ人では、双極性障害が併存する可能性が高いとされています。これにはいくつかの理由が考えられます:
-
感情調整の困難さ
発達障害を持つ人は感情の起伏を調整するのが難しいことが多く、これが双極性障害の症状に似ているため、診断が複雑になります。 -
共通する脳機能の特性
発達障害と双極性障害には、感情の制御を司る脳領域(前頭前野や扁桃体)に共通の特徴があることが研究から分かっています。 -
誤診のリスク
発達障害における感情の不安定さ(特にASDやADHD)と双極性障害の軽躁状態や抑うつが混同され、誤診されるケースがあります。このため、慎重な評価が必要です。
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双極性障害の診断と治療
双極性障害の診断は、精神科医による問診と心理検査に基づいて行われます。
治療法としては、薬物療法と心理療法を組み合わせることが一般的です。
薬物療法には、気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬などが用いられます。
心理療法には、認知行動療法、対人関係療法、支持療法などが用いられます。
発達障害が発覚して障害者雇用をしています。勤務を開始した頃はこんなキャリアが描けると思っていませんでした。
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双極性障害に関するよくある質問
Q. 双極性障害1型と2型どちらが多い?
A. 一般的に、双極性障害Ⅱ型が双極性障害全体の中でより一般的であると考えられています。
双極性障害Ⅱ型は、躁病の症状が比較的軽度で、うつ病の症状が重視されるため、より広く認識されています。
一方、双極性障害Ⅰ型はより重篤な症状を有しており、全体の割合は比較的少ないとされています。
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Q. 双極性障害は治りますか?
A. 双極性障害は完治することはできませんが、適切な治療によって症状をコントロールし、社会生活を送ることは可能です。
双極性障害の治療には、長期間の継続が必要となります。
双極性障害に関する情報は、以下のウェブサイトなどで確認できます。
- 厚生労働省:双極性障害 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/index.html
- 一般社団法人 日本双極性障害学会 https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/
- 一般社団法人 全国精神障害者福祉手帳協議会 https://shogaisha-techo.com/
双極性障害は、適切な治療によって症状をコントロールし、社会生活を送ることができます。
もし、双極性障害について不安や疑問がある場合は、精神科医に相談することをおすすめします。
双極性障害、一型と二型の違いよくある質問
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Q双極性障害1型と2型どちらが多い?
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A
一般的に、双極性障害II型が双極性障害全体の中でより一般的であると考えられています。双極性障害II型は、躁病の症状が比較的軽度で、うつ病の症状が重視されるため、より広く認識されています。一方、双極性障害I型はより重篤な症状を有しており、全体の割合は比較的少ないとされています。
ただし、双極性障害の正確な頻度は、文化的な要因や研究方法の違いによって異なる可能性があります。また、双極性障害の診断には専門的な医師の判断が必要であり、正確な統計は確定しているわけではありません。双極性障害については、さらなる研究と情報の収集が進行中であり、正確なデータが得られるようになる可能性があります。
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Q双極性障害の1型と2型の症状は?
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A
双極性障害は、脳の病気であり、気分が高まったり落ち込んだり、躁状態とうつ状態を繰り返す特徴があります。一方、双極性障害には躁状態とうつ状態の症状の程度によって、双極I型と双極II型があります。双極I型は激しい躁状態と重度のうつ状態を示す一方、双極II型は軽い躁状態(軽躁状態)とうつ状態を示す傾向があります。
躁状態では、患者は極端な興奮状態にあり、例えば無理な買い物や多くのプロジェクトを同時に始めるなどの行動を取ることがあります。一方で、うつ状態では、患者は深い悲しみや無力感、希望喪失感に苦しめられます。双極性障害の治療には、薬物療法と心理療法が用いられることが一般的です。
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