障害年金において所得制限を受けて減額されるパターンについて

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障害年金の受給を考えておられる方の中には収入がある方も多くいらっしゃるでしょう。

「所得の分を相殺されたりすることはあるの?」「所得制限が掛かるケースはあるの?」などといった疑問に答えていこうと思います。

【年金額を試算したいとき】 所得があると障害年金は減額になりますか?

障害年金は年金保険料の納付が前提となる制度であり、所得による制限はありません。家族の収入も影響しません。簡単に言えば、所得制限がないケースがほとんどですが、

後述する「障害年金の所得制限があるケース」を除いて、満額を受給できます。

国民年金や厚生年金の保険料を支払っている方、保険料免除や納付猶予を受けている方、学生で学生納付特例制度を受けている方も、年収にかかわらず、満額の障害年金を受給する資格があります。

 

障害年金受給で気をつけて欲しいのは、「未納」です。1/3以上未納になっていると障害年金を申請することが出来ません

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障害年金の所得制限があるケース

障害年金の所得制限が掛かるケースには以下の2つがあります。順番に見ていきましょう。

・20歳より前に初診日があるケース

・特別障害給付金を受けるケース

①20歳になる前に、障害の原因となる病気やケガで初めて病院に行った日(初診日)があり、その初診日に厚生年金に加入していない場合。(知的障害など先天性障害も含まれます)

通常、障害基礎年金の支給要件には保険料の納付が求められますが、20歳未満で障害が原因で障害認定を受ける場合、国民年金の保険料をまだ納めていないか、あるいは保険料納付要件を満たしていないかもしれません。このため、一定以上の所得がある場合、所得制限が設けられ、公平性が保たれています。

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※保険料の納付または免除が初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上にわたり、または初診日の前日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないことが、保険料納付要件となります。

発達障害に関しては、先天性の障害ですが、「診断=出生日が初診日」ということにはなりません。精神疾患と同じ扱いになります。

 

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単身世帯の場合の所得制限

この場合は「障害基礎年金」「所得制限あり」という区分になります。障害基礎年金に3級はありませんので、1級、もしくは2級に該当する場合支給されます。

年金保険料を納めていなくても障害の程度が該当すれば受けることができるものであるため、本人の所得による制限が設けられています。

※ただし、20歳未満で就労し、「厚生年金」を納めていた場合は、「厚生障害年金」の対象となりますので、収入制限はありません。満額受給が出来ますので、ご自身がどちらに該当するのか確認してみてください。

所得(年収) 所得制限 等級 支給される障害基礎年金の額
3,704,000円以下 全額支給 1級 993,750円(67歳以下)
3,704,000円以下 全額支給 1級 990,750円(68歳以上)
3,704,000円以下 全額支給 2級 795,500円(67歳以下)
3,704,000円以下 全額支給 2級 792,600円(68歳以上)
3,704,000円超
4,721,000円以下
障害基礎年金の1/2が支給停止 1級 496,875円(67歳以下)
3,704,000円超
4,721,000円以下
障害基礎年金の1/2が支給停止 1級 495,375円(68歳以上)
3,704,000円超
4,721,000円以下
障害基礎年金の1/2が支給停止 2級 397,500円(67歳以下)
3,704,000円超
4,721,000円以下
障害基礎年金の1/2が支給停止 2級 396,300円(68歳以上)
4,721,000円超 全額支給停止 1級 0円
4,721,000円超 全額支給停止 2級 0円
年金額は2023年の価格

※扶養家族がいる場合、 扶養家族一人に付き、38万円を上記に加算した額が所得制限額になります。

扶養親族が老人控除対象配偶者や老人扶養親族の場合には、1人につき480,000円プラスの計算、19歳以上23歳未満(その年の12月31日現在)の特定扶養親族の場合は1人つき、所得制限額が630,000円分プラスとなります。

収入がある場合、単身者なら年収3,704,000円、2人世帯(扶養親族1人)なら、4,084,000円までは仕事などの収入があっても、障害基礎年金を全額もらうことができます。子どもの加算分は支給停止の対象ではありません。

こちらも参考に:障害福祉サービス受給者証について【障害福祉サービス】種類、申請から利用までの流れ

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子の加算額

2人まで 1人につき228,700円
3人目以降 1人につき76,200円

参考:老人控除対象配偶者とは?

参考:老人扶養親族とは?

参考:特定扶養親族とは?

 

 

②特別障害給付金を受ける場合。(特別障害給付金は、国民年金が強制加入ではない時代に、初診日に任意加入していなかったことで障害年金の対象とならない方のための救済制度です)

「特別障害給付金」または「特別障害者手当」と呼ばれる制度になります。

病気や怪我により初めて病院に行った日(初診日)に国民年金に任意加入しておらず、障害基礎年金などの支援を受けることができない方を金銭的に救済するための制度が、特別障害給付金です。

特別障害給付金は、「特別障害者に対する特別障害者給付金の支援に関する法律」によって規定されており、障害年金とは異なる制度です。

令和元年度時点での支給金額は、障害基礎年金2級に該当する方が基本月額41,960円、障害基礎年金1級に該当する方が基本月額52,450円支給される仕組みとなっています。

 

参考:初診日とは?

参考:障害手当金とは?

所得額の確認について

毎年、年金機構は市区町村から所得情報を受け取り、受給者本人の前年の所得を確認します。年金機構が所得情報を受け取れない場合、対象者に案内が送られ、所得状況届を提出する必要があります。

前年の所得額は、市区町村で6月以降に発行される所得証明書で確認できます。前年の所得が制限額に該当すると、10月から翌年9月までの1年間が支給停止となります。その後、所得が制限額未満に下がった場合は、翌年の支給が再開されます。

支給停止や再開については、年金機構からの通知と手続きが行われるため、原則として本人の手続きは不要です。

参考:所得状況届とは?

こちらも参考に:発達障害と障害者手帳 取得できる条件や手帳の種類や申請手順について解説

 

その他注意する点

障害年金では、特定の障害を除いて、定期的に「更新」と呼ばれる手続きがあります。この手続きでは、引き続き障害年金を受ける権利があるかどうかを確認するため、一定の期間ごとに診断書付の「障害状態確認届」を提出する必要があります。

更新の時期は、年金証書に「次回診断書提出月」として表示されています。更新の診断書を提出して年金の支給継続が決まった場合、次回の診断書提出時期が「次回の診断書の提出について」というハガキで案内されます。障害状態確認届用紙は、更新時期になると年金機構から送付されます。

所得制限による支給停止中であっても、障害状態確認届は必ず提出する必要があります。提出しないと、所得制限がなくなっても支給が再開されない可能性があるので、ご注意ください。

参考:障害状態確認届

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