国民健康保険は、病気やけがに見舞われた際に、個々がお互いに支え合い、経済的な負担を分かち合う仕組みです。これは、各加入者が保険料を拠出し、それに加えて国や自治体が税金などで医療費を補填するものであり、他の社会保険への加入がなくても必須の制度です。就業していない場合でも国民健康保険への参加が必要であり、所得の有無にかかわらず保険料の支払いが求められます。国民健康保険の保険料は、「医療分」「後期高齢者支援金分」「介護分」の三つに分かれており、年度(4月から翌年の3月まで)ごとに計算されます。
保険料はそれぞれの部門において、平等割額や均等割額などの均等に分担する部分と、所得に応じて支払い額が変動する所得割額の部分などから構成され、家族全体で合算されます。このため、事情によっては保険料が負担となり、支払いが難しくなる場合も考えられます。
財産や余暇に充てるお金があっても、保険料を支払えないという理屈は成り立ちませんが、所得が急減した場合や、前年度に比べて所得が減少し、支払いが難しい状況に陥った方々には、免除制度や減免の手続きが設けられています。以下では、国民健康保険料の減免や免除に関する制度について解説します。
減免等の免除制度の概要
自然災害や所得の急激な減少などの理由により、国民健康保険料の支払いが難しくなり、困っている方々は、場合によっては保険料の免除や一部負担にすることが可能です。国民健康保険の免除や減額の条件は各市町村によって異なりますが、減額や免除の対象は世帯全体の所得を総合的に評価し、その結果に基づいて7割、5割、2割などの減免率が選択されます。
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基準となる所得金額適用についての留意点
自分の収入に対して適用される軽減率は、申請者が計算する必要はありません。所得に基づいて適切な割合が自動的に適用され、保険料が軽減されます。減免を希望する月の保険料の納期限までに申請する必要がありますので、留意してください。また、未申告の所得がある場合は適用されないことがあるため、十分な注意が必要です。
なお、一部の自治体では独自の減額や免除の制度が存在する場合があり、これらに関する詳細な情報や申請手続きについては、各市区町村に直接お問い合わせいただくか、公式ウェブサイト等で確認することが重要です。
保険料の減免
国民健康保険料に関しては、災害(震災・風水害・火災など)に起因する減免措置や、退職・倒産・休廃業、営業不振などにより所得が著しく減少した世帯への減免制度があります。さらに、令和5年5月31日までは新型コロナウイルス感染症に関連する減免対策も実施されています。
減免対象は以下になります。
① 特例対象被保険者等(非自発的失業者)の保険料所得割額の軽減
65歳未満で、会社の倒産や都合で退職した方で、雇用保険の「特定受給資格者」または「特定理由離職者」である場合、国民健康保険料が軽減されることがあります。
離職理由コード
対象者 | 離職理由コード |
特定受給資格者 | 11・12・21・22・31・32 |
特定理由離職者 | 23・33・34 |
国保料の計算上、30%の減額対象になるのは前年給与所得のみですが、非自発的失業者に対する軽減措置の期間は2年間となります。そのため、翌年度の国保料も前年収入が給与収入であれば、引き続き軽減の対象になる可能性があります。
軽減判定所得(世帯の合計所得金額)は330,000円以下の場合には軽減判定区分が7割軽減に該当する事となり、均等割額と平等割額が7割軽減となります。この場合、国民健康保険料の計算上の減額対象は前年の給与所得に限ります。
民主商工会(民商)では集団で減免申請を行っています。国保料が払えないときは最寄りの民商に相談してください。滞納をそのまま放置していると保険証の取り上げや、滞納処分(預金等の差し押さえ)が執行されるため、国保課の窓口に出向いて払う意思を示し、減免の相談しましょう。
・2年分は国保料の7割軽減が可能
・世帯年収が330,000以下の場合に限る
・民主商工会で減免申請は行なっている
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②保険料均等割額の軽減
前年の世帯所得が一定基準以下の世帯は、保険料均等割額が軽減されます。住民税の申告が確認できれば、自動的に判定しますので申請は不要になります。
減額割合 | 所得基準 |
7割 | 43万円+{10万円×(給与所得者等の数ー1)} |
5割 | 43万円+{28.5万円×被保険者数)+{10万円×(給与所得者等の数ー1)} |
2割 | 43万円+{52万円×被保険者数)+{10万円×(給与所得者等の数ー1)} |
③未就学児の均等割額の軽減
令和4年度から、未就学児の国民健康保険料の均等割額が5割軽減されます。この措置は、子育て世帯の負担軽減を目的としたものであり、申請は不要です。
均等割額とは、国民健康保険料の基本となる金額です。未就学児の均等割額は、令和4年度からこれまでの1万8000円から1万2000円に引き下げられます。
なお、低所得世帯に適用される均等割額の軽減(7割、5割、2割)が適用されている世帯の未就学児は、適用後の均等割額をさらに5割軽減されます。つまり、7割軽減が適用されている世帯の未就学児の均等割額は、1万2000円×0.7×0.5=4200円となり、5割軽減が適用されている世帯の未就学児の均等割額は、1万2000円×0.5×0.5=3000円となります。
この措置により、未就学児の国民健康保険料の負担が軽減され、子育て世帯の経済的負担の軽減につながることが期待されます。
④旧被扶養者の減免
65歳以上の健康保険被扶養者が、世帯主の後期高齢者医療制度の対象者となったことにより国保に加入した場合、申請に基づき保険料の緩和措置を受けることができます。
具体的には、
この措置は、65歳以上の旧被扶養者による国保加入時の保険料負担の軽減を目的としています。
国民健康保険のよくある質問
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Q国民健康保険制度とはどのような制度ですか?
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A
国民健康保険制度とは、国が運営する社会保険制度のひとつで、日本国内に住むすべての人が加入する医療保険制度です。
国民健康保険は、病気やケガをした時などに、みんなが安心して医療を受けられるようにするための制度です。日本に住んでいる人なら、基本的に誰でも加入しなければなりません。ただし、会社員や公務員など、他の保険に入っている人は、国民健康保険に加入する必要はありません。
国民健康保険制度の保険料は、所得割額と均等割額の2つで構成されています。
国民健康保険制度の保険給付は、以下のとおりです。
・療養費:病気やケガで医療機関を受診した場合の費用の一部を支給する
・入院費:入院した場合の費用の一部を支給する
・出産育児一時金:出産した場合に支給する一時金
・死亡見舞金:死亡した場合に支給する一時金
国民健康保険制度は、国民の健康を守る上で重要な役割を果たしています。
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Q国民健康保険に加入するのはどのような人ですか?
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A
国民健康保険(国保)に加入するのは、以下のいずれかに該当しない人です。
- 被用者保険(健康保険、船員保険、共済組合等)の被保険者
- 後期高齢者医療制度の被保険者
- 任意継続被保険者
つまり、以下の人々が国保に加入します。
- 自営業者、フリーランス、農業、漁業、家事従事者など、被用者保険の適用を受けていない人
- 被用者保険の適用を受けているものの、退職や失業などにより、被保険者資格を喪失した人
- 後期高齢者医療制度の適用を受けていない75歳未満の高齢者
具体的には、以下のとおりです。
- 自営業者、フリーランス、農業、漁業、家事従事者など
- 公務員(国家公務員、地方公務員)、教職員、民間企業の正社員、アルバイト、パート、派遣社員など
- 学生、主婦、無職の人
- 75歳未満の高齢者のうち、後期高齢者医療制度の適用を受けていない人
国保に加入する際には、市区町村の国民健康保険窓口に「国民健康保険被保険者資格取得届」を提出します。
国保の保険料は、前年の所得に応じて決まる「所得割額」と、世帯の人数に応じて決まる「均等割額」の2つで構成されています。
また、国保では、病気やケガで医療機関を受診した場合の費用の一部を支給する「療養費」、入院した場合の費用の一部を支給する「入院費」、出産した場合に支給する「出産育児一時金」、死亡した場合に支給する「死亡見舞金」などの保険給付が受けられます。
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Q減免が認められなかった場合は
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A
国保料・税の納付が困難な場合、納税緩和制度を利用することができます。納税緩和制度は、徴収猶予、換価の猶予、滞納処分の執行停止の3つが柱となっています。
徴収猶予
徴収猶予とは、納付が困難な場合に、一定の期間、納付を猶予する制度です。認められると、1年以内の納付が猶予され、さらに1年延長できます。また、差し押さえを受けていたときは解除を申請でき、延滞金が減免されます。
換価の猶予
換価の猶予とは、納付が困難な場合に、一定の期間、差し押さえを猶予する制度です。申請型と市町村長の職権による2種類があります。
- 申請型の換価の猶予は、納期限から6カ月以内の滞納が対象です。認められると、差し押さえ処分の解除や延滞金などが減額・免除され、1年以内の分納(最長2年)が認められます。
- 市町村長の職権による換価の猶予は、納期限から6カ月以上経過した滞納でも認められる可能性があります。
滞納処分の執行停止
滞納処分の執行停止とは、差し押さえなどの滞納処分の執行を停止する制度です。認められると、差し押さえなどの滞納処分が停止されます。
納税緩和制度の利用を検討しましょう
国保料・税の納付が困難な場合は、納税緩和制度の利用を検討しましょう。納税緩和制度を利用することで、差し押さえなどの滞納処分を回避し、延滞金の増加を防ぐことができます。
単なる分納では十分ではありません
単なる分納(納付誓約)では、担当者が代わった途端に一括納付を迫られる場合もあります。また、延滞金が減免されることはありません。
納税緩和制度に基づいて親身に納付相談に応じるように主張しましょう
国保料・税の納付が困難な場合は、納税緩和制度に基づいて、親身に納付相談に応じるように主張しましょう。
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