陰性症状

陰性症状の概要

陰性症状とは?

陰性症状とは、精神疾患、特に統合失調症において、本来あるはずの精神機能や行動が減退または消失してしまう状態を指します。これは、陽性症状が「プラスアルファ」の症状であるのに対し、「マイナス」の症状、つまり、健常な状態からある機能が失われることで現れる症状です。

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具体的な陰性症状と詳細な解説

1. 感情の平坦化

  • 感情表現の乏しさ: 喜怒哀楽などの感情をあまり表現しなくなる。
  • 表情の乏しさ: 表情が少なく、無表情に見える。
  • 共感の欠如: 他人の気持ちに共感することが難しくなる。

2. 意欲の減退

  • 無気力: 何をするにもやる気がなく、だるい状態が続く。
  • 活動量の低下: 日常生活の活動量が減少し、社会参加が困難になる。
  • 目標設定の困難: 将来の目標を設定したり、計画を立てたりすることが難しくなる。

3. 社会的な引きこもり

  • 人との接触を避ける: 人との交流を避け、孤独を好むようになる。
  • 新しい人間関係を築くのが困難: 友人や仲間を作ることが難しく、孤立感が強まる。

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4. 思考の貧困

  • 言語の貧困: 言葉数が少なく、会話が途切れ途切れになる。
  • 抽象的な思考の困難: 抽象的な概念を理解したり、複雑な問題を解決したりすることが難しくなる。

陰性症状の原因とメカニズム

  • 脳の機能低下: 脳の特定の部位、特に前頭葉の機能低下が関与していると考えられています。
  • 神経伝達物質の異常: ドーパミンだけでなく、セロトニンやグルタミン酸などの神経伝達物質のバランスの乱れも関与している可能性があります。
  • 遺伝的要因: 統合失調症の遺伝子との関連性が指摘されています。

陰性症状の影響

  • 日常生活への影響: 自炊、掃除、買い物などの日常生活が困難になる。
  • 社会生活への影響: 職業生活や人間関係に支障をきたし、社会から孤立してしまう。
  • QOLの低下: 生活の質が低下し、幸福感が得られにくい。

陰性症状の治療

  • 薬物療法: 抗精神病薬に加え、抗うつ薬、気分安定薬などが併用されることがある。
  • 心理療法: 認知行動療法、社会スキル訓練などが有効な場合がある。
  • 社会復帰支援: 職業訓練や社会生活への適応訓練など。

まとめ

陰性症状は、陽性症状と比較して目立ちにくく、患者本人だけでなく、周囲の人々も気づきにくいことがあります。しかし、日常生活や社会生活に大きな影響を与え、患者のQOLを低下させる可能性があるため、早期発見と適切な治療が重要です。

その他

注意点

  • 陰性症状は、統合失調症だけでなく、うつ病パーキンソン病など、他の疾患でもみられることがあります。
  • 症状は個人差が大きく、すべての患者が同じ症状を示すわけではありません。
  • 治療には時間がかかり、根気強く続けることが大切です。

もし、ご自身や身近な人が陰性症状のような症状を感じている場合は、精神科医に相談することをおすすめします。

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陰性症状のよくある質問

Q
統合失調症の陰性症状とは?
A

陰性症状には、意欲の低下や感情表現の減少が見られます。周囲からは、独り言を言ったり、実際にはない悪口を言われたと訴えたり、話がまとまらず支離滅裂になること、そして人と関わらず一人で過ごすことが多くなるといったサインとして現れることがあります。

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Q
陰性症状 なぜ?
A

統合失調症における陰性症状の原因は、完全には解明されていません。しかし、一説では、ドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質のバランスが崩れることが陰性症状の一因とされています。脳内の神経伝達物質が過剰になると陽性症状が、低下すると陰性症状が現れると考えられています。

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参考:脳内マジカルバナナ

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