障害のあるお子さんがいる家庭のための特別児童扶養手当と障害児福祉手当

支援

特別児童扶養手当とは?

日本国内に住所がある20歳未満の障害児(精神、発達・知的又は身体障害等)を監護する父母又は養育者に対して支給される手当になっています。障害の程度により1級・2級となっています。

以下で1級と2級に該当する症状を記載しています。

参考:支援について

1級に該当する症状

1.両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの
2.一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの
3.ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの
4.自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの
5.両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
6.両上肢の機能に著しい障害を有するもの
7.両上肢のすべての指を欠くもの
8.両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
9.両下肢の機能に著しい障害を有するもの
10.両下肢を足関節以上で欠くもの
11.体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの
12.1~11のほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が1~11と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
13.精神の障害であって、1~12と同程度以上と認められる程度のもの
14.身体の機能の障害もしくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が1~12と同程度以上と認められる程度のもの

2級に該当する症状

1.両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの
2.一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの
3.ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの
4.自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの
5.両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
6.平衡機能に著しい障害を有するもの
7.咀嚼(そしゃく)の機能を欠くもの
8.音声又は言語機能に著しい障害を有するもの
9.両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの
10.両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの
11.一上肢の機能に著しい障害を有するもの
12.一上肢のすべての指を欠くもの
13.一上肢の全ての指の機能に著しい障害を有するもの
14.両下肢のすべての指を欠くもの
15.一下肢の機能に著しい障害を有するもの
16.一下肢を足関節以上で欠くもの
17.体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの
18.1~17のほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が1~17と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
19.精神の障害であって、1~18と同程度以上と認められる程度のもの
20.身体の機能の障害もしくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が1~18と同程度以上と認められる程度のもの

対象となる障害の基準はありますか?

精神・発達・知的に関しては「19.精神の障害であって、1~18と同程度以上と認められる程度のもの」「20.身体の機能の障害もしくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が1~18と同程度以上と認められる程度のもの」としか記述が無く、この説明だと分かりづらいので厚生労働省が載せている認定要領の「A 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害」「C てんかん」「D 知的障害」「E 発達障害」の記述を参考に解説します。

精神・発達・知的障害の級に関しては以下を参考にしてください

A 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害

障害の程度障害の状態
1級1 統合失調症によるものにあっては、高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の援助が必要なもの
2 気分(感情)障害によるものにあっては、高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
2級1 統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの
2 気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの

※統合失調症として認定を行うものに対しては、発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮する。

※症状のみでの認定はせず、症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮する。

※その他の認定の対象となる精神疾患が併存している時には、併合認定の取扱いは行わず諸症状を総合的に判断して認定する。

※日常生活能力等の判定は社会的な適応性の程度を考慮して判断

人格障害は、原則として認定の対象とならない。

※精神病の病態がICD―10による病態区分のどの区分に属す病態なのかを考慮して判断すること

参考:人格変化について

C てんかん

障害の程度障害の状態
1級十分な治療にかかわらず、てんかん性発作を極めてひんぱんに繰り返すため、常時の援助が必要なもの
2級十分な治療にかかわらず、てんかん性発作をひんぱんに繰り返すため、日常生活が著しい制限を受けるもの

※てんかん発作については、抗てんかん薬の服用や、外科的治療によって抑制される場合にあっては、原則として認定の対象にならない。

※様々なタイプのてんかん発作が出現し、精神神経症状や認知障害を有する場合には、治療及び病状の経過、日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定する。

※てんかんとその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。

参考:てんかんについて

D 知的障害

障害の程度障害の状態
1級知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの
2級知的障害があり、食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの

※1級と2級の程度は「IQ35以下:1級」「IQ50以下:2級」が基準となっています。

※知能指数のみではなく、援助の必要度を考慮して総合的に判断する。

E 発達障害

障害の程度障害の程度
1級発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動が見られるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
2級発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動が見られるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの

※発達障害においては「ASD(自閉症スペクトラム)、ADHD(注意欠陥多動症)、SLD(学習障害)」を対象としている。

※発達障害については、たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害によって日常生活に制限を受けることに着目して判断する。

※その他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。

特別児童扶養手当の支給額(令和5年4月分から)

  1級・・・1人につき月額53,700円
  2級・・・1人につき月額35,760円

特別児童扶養手当の所得制限

扶 養
親族等
の 数
本   人本   人扶養義務者扶養義務者
所 得 額(※1)参考:収入額の目安(※2)所 得 額(※1)参考:収入額の目安(※2)
04,596,0006,420,0006,287,0008,319,000
14,976,0006,862,0006,536,0008,586,000
25,356,0007,284,0006,749,0008,799,000
35,736,0007,707,0006,962,0009,012,000
46,116,0008,129,0007,175,0009,225,000
56,496,0008,546,0007,388,0009,438,000
※1 所得額は、地方税法の都道府県民税についての非課税所得以外の所得等から、医療費控除、障害者控除及び寡婦控除等の額を差し引いた額です。
※2 ここに掲げた収入額は、給与所得者を例として給与所得控除額を加えて表示した額です。

認定後に行う手続き

特別児童扶養手当の「現況届」について

特別児童扶養手当は毎年8月に「現況届」を提出して更新する必要があります。

手当を引き続き受給できるか確認するための届出が現況届になります。

その年の6/1時点での「前年の所得状況」と「児童の養育状況等」を記載して提出します。

「現況届」の提出がない場合、手当が支給されませんので更新忘れの無いようにしてください。

特別児童扶養手当の「有期更新」について

対象児童の障害の状態に応じて、期間を設けて受給資格の認定(有期認定)を受けている方は、定められた期限までに診断書等の再提出をしていただかないと手当を受けることができませんので注意してください。再判定の結果、減額となった場合は診断書作成日の翌月分の手当から減額となり、非該当となった場合、診断書作成日をもって資格喪失となります。

「特別児童扶養手当」は手帳が無い発達障害の児童も申請可能

医師の診断書を持って「子育て支援の窓口」で申請しましょう。

申請いただいたうえで、指定の判定医の診断をうけていただく必要があります。

特別児童扶養手当の認定申請に必要なものは?

特別児童扶養手当認定診断書については、お住まいの市区町村の担当課で受け取るか、以下のファイルをダウンロードし、B4かA3の紙にプリントアウトし、医療機関等に作成を依頼してください。

認定診断書様式第4号(知的障害・精神障害用)[PDFファイル/197KB](PDF:175KB)

申請に必要なもの

  • 請求者名義の預金通帳(ネット銀行は一部不可)
  • 請求者及び児童の戸籍謄本(発行後1カ月以内の原本、外国籍の方は不要)
  • 愛の手帳(3度の方は所定の診断)、身体障害者手帳(内部障害の方は所定の診断)、または所定の特別児童扶養手当認定診断(診断は申請月かその前月にかれたもの)

現在、自治体によって特別児童扶養手当の認定基準はバラバラであり、同じ程度の障害でも受給できたり、できなかったりするケースがあります。こういった不公平を無くすために、画一化された基準が必要だという声も大きいです。

特別児童扶養手当の書類の提出先

各自治体にある「福祉保健センター」の「こども家庭支援課」に提出をお願いします

障害児福祉手当とは?

https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jidou/hukushi.html

障害児本人に支給される給付金であり、日常生活において、重度の障がいゆえの介護などの負担を軽減するために支給する制度です。「身体又は知的・精神に重度の障がいがあり、日常生活において常時の介護を必要とする20歳未満の者」と定められています。前述の特別児童扶養手当より認定基準が厳しく、かなり重度の障害がある児童しか受給できません。

障害児福祉手当支給月額(令和5年4月より適用)

一律 15,220円

障害児福祉手当の要件

・おおむね身体障害者手帳1級、および2級の一部
・おおむね愛の手帳1度、および2度の一部
・上記と同等の疾病・精神の障害(専用の診断書による判定があります。)

※注釈 複数の障害がある場合(上肢4級+下肢6級など)は、個々の障害の程度が上記より軽度な場合でも該当となることがあります。
※注釈 上記の障がい状態であるかを、申請者から提出された診断書等で東京都の医師が審査・判定を行うため、認定されない場合もあります。

以下には、知的障害・精神障害・発達障害の基準を書いていきます。

知的障害の場合

知的障害の場合はIQ20以下であり、年齢階層別の障害の程度が最重度に当たる、重度障害児に該当する場合は障害児福祉手当の対象になります。

段階/年齢重度最重度
5歳以下1 言葉がごく少なく意思の表示は身振りなどで示す
2 ある程度の感情表現はできる(笑ったり、怒ったり等)
3 運動機能の発達の遅れが著しい
4 身の回りの始末はほとんどできない
5 集団遊びはできない
1 言語不能
2 最小限の感情表示(快、不快等)
3 歩行が不可能またはそれに近い
4 食事、衣服の着脱などはまったくできない
6歳〜17歳1 言語による意思表示はある程度可能
2 読み書きの学習は困難である
3 数の理解に乏しい
4 身近なものの認知や区別はできる
5 身辺処理は部分的に可能
6 身近な人と遊ぶことはできるが長続きしない
1 言語は数語のみ
2 数はほとんど理解できない
3 食事、衣服の着脱などひとりではほとんどできない
18歳以上1 日常会話はある程度できる
2 ひらがなはどうにか読み書きできる
3 数量処理は困難
1 会話は困難
2 文字の読み書きはできない
3 数の理解はほとんどできない
4 身辺処理はほとんど不可能
5 作業能力はほとんどない

精神障害の場合

精神の障害においては、精神障害の程度だけではなく、日常生活能力の程度というのも考慮されます。

障害児福祉手当の認定診断書に従い、「日常生活能力の程度」を記載する必要があります。具体的には下記の7項目です。

日常生活能力の程度

  1. 食事(全介助、半介助、自立)
  2. 洗面(全介助、半介助、自立)
  3. 排泄(おむつ必要・不要、全介助、半介助、自立)
  4. 衣服(脱げない、着れない、ボタン不能、自立)
  5. 入浴(全介助、半介助、自立)
  6. 危険物(全くわからない、特定の物・場所はわかる、大体わかる)
  7. 睡眠(夜眠らず騒ぐ、時々不眠、寝ぼける、問題なし)

発達障害の場合

発達障害の場合は知的障害のような厳密な基準は無く、「社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動が見られるもの」という程度の記載しかありません。

発達障害においても、知的障害と同様に、日常生活能力の程度が認定に影響を与えます。

障害児福祉手当所得制限

本人、あるいは扶養している家族の前年の所得が一定の額を超える場合、手当は支給されません。

扶 養
親族等
の 数
本   人本   人扶養義務者扶養義務者
所 得 額(※1)参考:収入額の目安(※2)所 得 額(※1)参考:収入額の目安(※2)
03,604,0005,180,0006,287,0008,319,000
13,984,0005,656,0006,536,0008,586,000
24,364,0006,132,0006,749,0008,799,000
34,744,0006,604,0006,962,0009,012,000
45,124,0007,027,0007,175,0009,225,000
55,504,0007,449,0007,388,0009,438,000
※1 所得額は、地方税法の都道府県民税についての非課税所得以外の所得等から、医療費控除、障害者控除及び寡婦控除等の額を差し引いた額です。
※2 ここに掲げた収入額は、給与所得者を例として給与所得控除額を加えて表示した額です。

上記、限度額に加算されるものとしては

受給資格者の所得

・扶養親族等に70歳以上の者又は老人扶養親族があるときは1人につき100,000円

・特定扶養親族(19才〜22才で扶養に入っているもの)または、19歳未満の控除対象扶養親族(生計を共にする親族で合計所得金額が48万円以下の人)は1人につき250,000円

配偶者・扶養義務者の所得(扶養親族等の数が2人以上の場合)

・扶養親族等に老人扶養親族がいる場合は、1人につき60,000円

障害児福祉手当における所得額のみかた

住民税の課税対象となる所得額がある(給与所得又は公的年金等に係る所得がある場合には、合計金額から10万円を控除した額)から、下記控除額表の控除額を引いた金額で判断します。

控除の種類本人控除金額配偶者・扶養義務者備考
当該雑損控除額相当額相当額
医療費控除額相当額相当額
小規模企業共済等掛金控除額相当額相当額
配偶者特別控除額相当額相当額最高33万円
社会保険料控除額相当額8万円
障害者控除(本人)27万円
障害者控除(扶養親族・扶養配偶者)27万円27万円
特別障害者控除(本人)40万円
特別障害者控除(扶養親族・扶養配偶者)40万円40万円
寡婦控除27万円27万円
ひとり親控除35万円35万円
勤労学生控除27万円27万円

障害児福祉手当の支給月について

毎年2月、5月、8月、11月に、それぞれの前月分までが支給されます。

平成28年1月から、障害児福祉手当の申請には、個人番号(マイナンバー)の記載が必要になります。

平成28年1月1日以降、障害児福祉手当の申請には、「個人番号(マイナンバー)」の記載が必要になりました。マイナンバー番号確認と身元確認の出来る書類の掲示をお願いいたします。

障害児福祉手当の申込手続き

障害児福祉手当の認定は、地方自治体で行います。役所の窓口で以下3点の書類を受け取り提出してください。

  1. 障害児福祉手当認定請求書
  2. 障害児福祉手当認定診断書(医師が作成)
  3. 障害児福祉手当所得状況届

障害児福祉手当認定診断書以外は保護者が作成します。全ての書類が揃ったら以下の書類と一緒に役所の窓口で申請します。

  • 重度障害児の戸籍謄本・抄本
  • 世帯全員の住民票の写し
  • 重度障害児、その配偶者、申請者を扶養する義務があり、かつ、申請者の生計を維持している親族の所得に関する書類(なお、各人のマイナンバーがわかれば、書類の提出は省略されると思います)

認定の結果は文面で通知されます。認定却下の通知が届いた場合、不服申し立ても可能です。

特別児童扶養手当と障害児福祉手当の併給について

特別児童扶養手当と障害児福祉手当は併給が可能です。支給される障がいの程度に違いがあるので、医師に確認のうえ、書類を準備してください。


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