精神障害・知的障害・発達障害者の中では障害者雇用で働いておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は改正が著しい「障害者雇用促進法」ついて書いていきます。
障害者雇用促進法の概要
障害者雇用促進法は、障害者の職業安定を図ることを目的とした法律です。この法律は、障害のある方が職業生活において自立するための職業リハビリテーションの推進を含み、事業主に対して障害者を雇用する義務を課すとともに、差別の禁止や合理的配慮の提供義務などを定めています。
目的と理念、意義
障害者雇用促進法の理念は、誰もが活躍できる社会の実現を目指すものであり、その根底にはノーマライゼーションという理念があります。
この理念は、全ての国民が障害の有無に関わらず、個人として尊重され、互いを尊重し合いながら共に暮らす社会を目指しています。障害者雇用促進法は、この理念に基づき、障害者が職業生活において経済活動の一員として活躍できる機会を確保することを目的としています。
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参考:滞納処分
障害者雇用促進法の施行により、多くの障害者が様々な職場で活躍するようになっており、今後も更なる雇用機会の拡大に向けた取り組みが進められています。
障害者雇用促進法の対象企業と対象者
障害者雇用促進法では、義務対象となる企業と雇用の算定対象となる障害者が以下のように定められています。
障害者雇用が義務づけられる企業の要件
障害者雇用促進法では、「従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者(発達障害者含む)の割合を法定雇用率以上にする義務がある」と定められています(第43条第1項)。
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民間企業に対しては、法定雇用率によって算出された従業員数が43.5人以上の企業が対象となり、43.5人未満の企業には雇用義務が発生しません。
なお、障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種の場合は、雇用する労働者数の計算時に除外率に相当する労働者数を控除することができます(除外率制度)。
ただし、ノーマライゼーションの観点から制度そのものは既に廃止されており、当面の間は特例措置として残るものの、廃止の方向で段階的に除外率の引き下げ、縮小が行われます。
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雇用算定対象となる障害者
障害者雇用促進法では、障害者を「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)、その他の心身の機能の障害があるため、長期にわたり職業生活に相当の制限を受けるか、職業生活を営むことが著しく困難な者」と定義しています。企業が雇用すべき対象となるのは、
原則として身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳などを所持している人です。
具体的には、以下の障害者が対象となります。
(B)知的障害者:各自治体が発行する療育手帳や知的障害者と判定する判定書を保持している人(重度知的障害者を含む)
(C)精神・発達障害者:精神障害者保健福祉手帳を保持し、症状が安定して就労できる人
一方、精神障害の特性や疾患があっても症状が安定して就労できる「手帳を持たない人」や、その他の心身機能の障害があるが様々な事情で「手帳を持たない人」もいます。
こうした人たちは、障害者雇用促進法で定められている雇用算定対象にはなりませんが、決して「雇用しなくてよい人」ではありません。
障害者雇用促進法の根底にはノーマライゼーションの理念があるため、企業には障害者手帳に関わらず、誰もが働きやすい職場づくりが求められていることを留意しましょう。
障害者雇用率(法定雇用率)に相当する障害者の雇用義務
障害者雇用促進法で定められている企業にとって重要な義務の一つが、障害者雇用率(法定雇用率)です。全ての事業主は、算出された法定雇用率に基づき、一定人数の障害者を雇用することが義務付けられています。
障害者雇用率(法定雇用率)の算出方法
「障害者雇用促進法」には、企業が守らなければならないいくつかのルールがあります。その中で特に重要なのが「障害者雇用率(法定雇用率)」です。全ての会社は、この雇用率に応じた人数の障害者を雇うことが義務付けられています。
2023年4月の時点で、従業員が43.5人以上いる民間企業では、2.3%の障害者を雇うことが義務付けられています。
厚生労働省は、2023年1月にこの雇用率を段階的に2.7%まで引き上げる計画を発表しました。
実雇用率と、雇用すべき障害者数の算出方法
障害者である労働者数+障害者である短時間労働者数×0.5 / 労働者数+短時間労働者数×0.5
(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)×障害者雇用率(2.3%)
企業の障害者雇用達成状況
民間企業 | 公的機関 | 独立行政法人など | |
雇用障害者数 | 23万9332人 (前年比+4.8%) |
5003人 (前年比+2.5%) |
5222人 (前年比+6.2%) |
実雇用率 | 2.21% (前年比+0.07%) |
7.8% (前年比+0.5%) |
2.78% (前年比+0.02%) |
法定雇用率達成割合 | 34.4% (前年比+1.9%) |
障害者雇用促進法では、事業主には次の4つの義務があります。それは、「雇用率を達成すること」、「差別を禁止して配慮すること」、「障害者職業生活相談員を選ぶこと」、そして、「障害者の雇用について報告書を提出すること」です。
1.雇用率制度
事業主は、民間企業や官公庁を問わず、障害者に雇用の機会を提供する責任があります。これにより、官民それぞれの事業分野ごとに法定の雇用率が決められ、それに応じた障害者の雇用義務が課されています。
事業主区分
|
法定雇用率 | |
令和3年3月以降 | 令和6年4月から | |
民間企業 | 2.3% | 2.5% |
国・地方公共団体など | 2.6% | 2.8% |
教育委員会 | 2.5% | 2.7% |
独立行政法人等 | 2.6% | 2.8% |
参考:「厚生労働省」障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について
上記の要件である「従業員数43.5人以上」は、民間企業に課せられた法定雇用率2.3%から導き出されています。これにより、該当する企業は少なくとも1人の障害者を雇用しなければなりません。
ただし、特別な配慮をした子会社を設立し、一定の条件を満たす場合、その子会社で雇用される障害者は親会社で雇用されたとみなされ、実際の雇用率の計算に含めることができます(特例子会社制度)。
また、法定の雇用率を満たしていない従業員100人以上の企業は、足りない障害者の雇用に対して毎月罰金を支払う義務があります。
2.差別禁止と合理的配慮の提供義務
企業は障害者にも平等なチャンスとサポートを提供する必要があります!
具体的には、以下のようなことが求められています。
差別禁止
- 障害を理由に、採用を拒否したり、給料を下げたり、昇進をさせなかったりすることはできません。
- 車いす利用者や人工呼吸器使用者など、障害の有無にかかわらず、誰でも平等に扱わなければなりません。
- 障害者だからといって、食堂や休憩室の利用を拒否することもできません。
合理的配慮
- 障害者が働きやすいように、必要なサポートを提供する必要があります。
- 例えば、以下のような配慮が考えられます。
- 採用試験で点字や音訳の資料を用意する
- 車いす利用者に使いやすい机や作業台を用意する
- 聴覚障害者には、手話通訳や要約筆記を提供する
- わかりやすい文書や絵図を用意する
- 障害者雇用担当者や相談員を配置する
- 通勤ラッシュを避けた勤務時間を設定する
3.障害者職業生活相談員の選任
企業には、障害者からの相談に対応する体制の整備が義務づけられています。
特に、障害者雇用数が5人以上の企業には、相談員を選任することが義務付けられています。
相談員は、障害者の方からの次のような相談を受け、必要なサポートを行います。
- どんな仕事が自分に合っているのか
- 必要なスキルをどうやって身につけるのか
- 職場環境を改善するにはどうすればいいのか
- 職場の仲間とうまくやっていくにはどうすればいいのか
- その他、仕事に関する悩み
障害者職業生活相談員は、資格認定講習を受講・修了した従業員等から選任し、相談者の選任後、ハローワークに選任報告書を届け出す必要があります。
4.障害者雇用に関する届出
障害者雇用状況報告書の提出について
障害者雇用義務対象の企業は、毎年6月1日時点の雇用状況を報告する必要があります。
報告内容
提出期限
- 7月15日
提出方法
提出しない、虚偽の報告をした場合は、罰金が科せられます。
記入方法
その他
- 雇用障害者は、障害状況・レベル・労働時間により、カウント方法が異なります。
ポイント
- 提出期限は厳守しましょう。
- 虚偽の報告は絶対にやめましょう。
- 不明な点は、厚生労働省のホームページまたはハローワークにご相談ください。
障害者雇用推進に向けて、企業と障害者が協力していきましょう!
企業の雇用に関わる4つのポイント
① 障害者雇用率が未達成の事業主は納付金を収める
障害者の雇用促進と安定を図るための制度として「障害者雇用納付金制度」があります。
障害者雇用率(法定雇用率)が未達成の企業などから納付金を徴収し、そのお金を元手として法定雇用率を達成している企業に調整金や報奨金、助成金を支給するという仕組みです。
障害者雇用の納付金とは
②障害者雇用率を達成している事業主には調整金・助成金が支給される
障害者雇用の調整金について
法定雇用率を達成している事業主には、一定の調整金が支給されます。支給額は以下の通り、常用労働者の人数によって異なります。
- 常用労働者100人超の企業:月額27,000円×超過人数分の調整金
- 常用労働者100人以下で、障害者を常用労働者の4%、または6人のうち多い数を超えて雇用している企業:月額21,000円×超過人数分の報奨金
障害者雇用の助成金とは
障害者雇用の推進のために企業は国から様々な助成金を受け取ることができます。以下の3つの分類があり、それぞれに様々なコースがあります。
- トライアル雇用に対する助成金
- 継続雇用に対する助成金
- 継続して雇用する障害のある方への配慮に対する助成金
こちらも参考に:障害者雇用の助成金。種類と内容について解説
こちらも参考に:特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の詳細と申請方法
③在宅就業者特例報奨金が支給される
自宅で働く障害者(在宅就業障害者)に対して、従業員が100名未満の企業が仕事を依頼すると、企業は報奨金を受け取ることができます。
仕事の依頼方法には、企業が直接在宅就業障害者に依頼する場合と、在宅就業支援団体(厚生労働大臣に登録された支援団体)を通じて依頼する場合の2つがあります。
特例報奨金の金額は以下の計算式で算出されます。
④在宅就業者特例調整金が支給される
在宅就業者特例調整金とは、従業員が100名を超える企業が自宅で働く障害者に仕事を依頼すると支給される調整金です。特例報奨金と特例調整金は、法定雇用率を達成していない企業から徴収された納付金をもとに支給されます。
仕事の依頼方法には、企業が直接在宅就業障害者に依頼する場合と、在宅就業支援団体(厚生労働大臣に登録された支援団体)を通じて依頼する場合の2つがあります。
特例調整金の金額は以下の計算式で算出します
また、「在宅」とされていますが、仕事をする場所は自宅だけに限らず、事業所以外の働ける場所も対象となります。
2023年4月以降に施行された6つの改正内容
障害者雇用促進法は、時代の変化に応じて何度も改正されています。
2023年3月の改正では、法定雇用率の段階的な引き上げや「障害者を積極的に雇用する企業」への新たな支援が追加され、これらは2023年4月以降、順次施行される予定です。
ここでは、人事労務担当者が知っておくべき6つの改正内容について解説します。
法定雇用率の引き上げ(2024年4月〜)
雇用率は約5年ごとに見直されており、2024年4月の改正で、民間企業の法定雇用率が現在の2.3%から段階的に2.7%まで引き上げられることになりました。この結果、2026年7月には、障害者雇用の義務が従業員37.5人以上の企業にまで拡大されます。
民間企業に対する法定雇用率
2023年4月 | 2024年4月 | 2026年7月 |
2.3%(従業員43.5人以上) | 2.5%(従業員40.0人以上) | 2.7%(従業員37.5人以上) |
これまで、法定雇用率の引き上げが発表された際の上げ幅は0.1〜0.2ポイントだったことを考えると、国の障害者雇用率に対する姿勢がより積極的になっていることが窺えます。
除外率の引き下げ(2025年4月〜)
除外率は段階的に廃止されることが決定しています。
2025年4月以降、各除外率設定業種の除外率は省令の改正により10ポイント引き下げられます。
また、2023年度時点で除外率が10%以下の業種は、2025年4月以降、除外率制度の対象外となります。引き下げ後の除外率は以下の通りです。
参考:障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化についてより抜粋
精神障害者の算定特例の延長(2023年4月〜)
所定労働時間が20時間以上30時間未満の短時間労働をしている精神障害者(発達障害者)について、これまで特例措置として1人を1カウントとする算定方法が適用されてきましたが、2023年度以降もこの措置が継続されることになりました。
具体的には、雇い入れや精神障害者保健福祉手帳の取得期間にかかわらず、これまで1人を0.5カウントとして算定していた従業員も含め、1人を1カウントとして算定します。
特に短い時間で働く重度の身体・知的障害者、精神障害者の雇用率算入(2024年4月〜)
週に10時間以上20時間未満で働く重度の身体障害者、重度の知的障害者、精神障害者(発達障害者)を雇用した場合、特例として1人を0.5カウントとして実雇用率に含めることができます。
また、週に10時間以上20時間未満で働く障害者を雇用する企業に支給されていた特例給付金は、2024年4月1日をもって廃止されます。
特定短時間労働者の雇用率算定について
障害者従業員に対する職業能力の開発および向上に関する措置(2023年4月〜)
これまでは、企業に「適当な雇用の場の提供」や「適正な雇用管理」が事業主の責務とされていましたが、2023年4月以降、「職業能力の開発・向上に関する措置」も追加されました。これにより、雇用機会の確保や必要な合理的配慮に加え、以下のような取り組みが求められます。
- 障害のある人がその特性や希望に応じて能力を発揮できる仕事を提供すること
- 雇用後も、職域の開発や仕事の選定を通じて多様な業務に取り組む機会や、特性を活かして能力を発揮する機会を提供すること
- 障害者本人の希望や能力に基づいた業務目標の設定、業務実績に基づく人事評価、その結果に基づく待遇を行うこと
- キャリア形成を考慮した継続的な能力開発・向上の機会を提供すること
抜粋:厚生労働省「雇用の質のための事業主の責務の明確化」
障害者雇用調整金・報償金の見直しと納付金・助成金の新設・拡充(2024年4月〜)
常に従業員が101人以上の企業が、法定雇用率を達成できない場合、不足している雇用障害者1人につき、毎月5万円の納付金を支払うことになっています。
この納付金は罰則ではなく、法定雇用率を達成した企業と達成していない企業との経済的な負担の差を調整するために使われます。また、障害者雇用調整金(雇用率を達成した企業に支給されるもの)や報奨金の資金源にもなります。
抜粋:厚生労働省 PDF「具体的な支給調整方法(支給対象人数や支給額」
2024年4月以降、雇用率を達成した企業に支払われる障害者雇用調整金や報奨金の支給額は、超過している雇用数に応じて引き下げられることになります。
この引き下げによって得られた財源は、新たに障害者を雇うための相談支援や、既存の助成金(例: 障害者の介助費用を支援する助成金や職場への適応を支援する助成金など)の拡充に充てられます。
障害者雇用義務を違反した場合の企業側のデメリット
法律に定められている雇用義務を順守しない場合、どのような措置が取られるでしょうか。違反した場合に受ける罰則を大きく分けて3つにまとめてみました。
①納付金が徴収される
この記事でお伝えしている通り、基本的に不足1人につき50,000円の納付金が徴収されます。従業員数や時期によっても金額が変動する仕組みです。
②改善指導が入る
ハローワークから「障害者の雇用に関する計画」の作成・提出が求められていますが、それでも改善が遅れている企業に対しては、労働局や厚生労働省からの指導が入り、企業名の公表が行われることがあります。
③企業名が公表される
雇入れ計画の適正な実施に関する勧告や一連の指導を受けたにもかかわらず改善が見られない企業がある場合、その企業名が公表され、社会的な信頼性を失うことになります。
企業名公表までの流れ
ハローワークは、各企業が提出する「6月1日時点の障害者雇用状況報告書」(ロクイチ報告)をもとに、改善命令や「障害者の雇入れに関する計画」の提出を求めます。
企業名が公表されるまでの大まかな流れは以下の通りです。
1. 事前の告知を行う
基本的に、「期日までに必要な人数を雇わなければ、雇入れ計画書の作成命令が出ます」という内容の事前通知があります。ただし、雇用の期日は1~2ヶ月と短く、採用活動が順調に進まない場合は、次のステップに進むことになります。
2. 雇用計画命令、「障害者の雇入に関する計画書」の提出指導 (2年間の経過観察)
この期間は「雇用の進み具合を見ながら改善を行う時期」となります。この間に、ハローワークが主催する障害者雇用に関する合同面接会への案内があります。
参加は自由で強制ではありませんが、雇用目標を達成するために参加をおすすめします。
3. 特別指導 (社名公表直前の猶予9か月間)
雇入れ計画書に従って改善が進まず、実際の雇用率が最終年の前年6月1日時点の全国平均より低い場合、または雇用不足数が10名以上の場合、特別な指導が行われます。
4. 企業名公表(3月31日まで)
障害者雇用促進法第47条に基づき、雇用状況が改善されない企業の名前が公表されます。
以下のいずれかに該当する場合、1や2の流れに進みやすくなります。
抜粋:障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく企業名公表について~障害者の雇用状況に改善が見られない5社(うち再公表3社)を公表します~
まとめ(人事総務のやること)
理念・意義、社会的責任と法的義務に対する社内理解を深める
障害者雇用促進法の基本には「社会の一員としての連帯」と「共に生きる社会の実現」があります。つまり、障害者も社会の一員としてさまざまな分野に参加し、能力を発揮できるようにするためには、事業主の理解と協力が必要だという考えです。
まずは、人事部や配属先の現場、経営層に対して、研修や勉強会を通じて、雇用の理念や意義、社会的責任と法的義務について説明し、理解を深めてもらいましょう。
現状を正しく把握し、雇用計画を立てる
2026年7月から、法定雇用率が2.7%に引き上げられます。企業はこの2.7%を達成するための採用計画を立てることが必要です。まず、自社で必要な雇用人数を計算し、雇用が不足している場合は何人雇う必要があるかを確認しましょう。また、利用できる助成金を把握し、計画に組み込んでおきましょう。
現在の計画では雇用率を達成できない場合、新たな業務の創出や仕事の見直し、雇用形態や人材要件の変更、雇用する障害者の範囲の拡大、配属先や受け入れ体制、採用方法の再検討が必要です。
採用後の定着状況や問題点を整理する
既に雇用している障害者がどれくらい定着しているかを把握しましょう。自社の雇用定着率や離職率を確認し、定着に問題がある場合、その原因を整理してみましょう。
障害者が定着しない理由は企業によって異なりますが、以下のような例があります。
- 事前に設定した人材要件と実際に採用した障害者の職務能力や意欲に違いがある。
- 採用時に必要な配慮について確認できておらず、配慮が不十分である。
- 社内で障害者雇用に対する理解が不足しており、差別的な発言や行動がある。
- 現場の負担が多く、雇用管理やマネジメントが十分に行われていない。
- 障害者の職務能力と業務内容や成果・目標が合っていない、または適切な業務が与えられていない。
- 健康面で問題があった際のサポート体制が整っていない。
- 障害者を適正に評価する人事評価制度に課題がある。
これらの原因が自社に当てはまらないか、見直してみましょう。
障害者雇用の相談窓口を利用する
多くの方が、障害者雇用に興味を持ちながらも、具体的な行動方法に迷われているのではないでしょうか。そんな皆様のために、様々な公的支援サービスが用意されています。
情報収集と専門家への相談
- 障害者雇用事例リファレンスサービス: すでに障害者雇用に取り組んでいる企業の事例を検索・閲覧できます。具体的な取り組み内容や成果などを参考に、自社の状況に合った施策を検討することができます。
- 各都道府県セミナー: 障害者雇用に関する講演会や研修会が各地で開催されています。専門家による最新情報や事例紹介、質疑応答などを通じて、知識を深め、自社の課題解決に役立てられます。
- ハローワーク「障害者トライアル雇用」: 雇用主と求職者が、実際に雇用関係を築く前に、一定期間お試し雇用を行う制度です。求職者の能力や適性を評価し、円滑な雇用につなげるための貴重な機会となります。
これらのサービスを活用することで、障害者雇用に関する知識を深め、自社に合った施策を検討することができます。また、専門家に相談することで、具体的なアドバイスを受けることも可能です。
障害者雇用へ積極的に取り組んでいきましょう