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働きながら障害年金をもらえる人。障害者雇用枠フルタイムで仕事をしている場合

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働きながらでも障害年金は受給できますか?

精神疾患や発達障害で「働いていると障害年金はもらえないのでは?」と不安に思っている方も多いのではないでしょうか。

結論から申し上げると、働きながら障害年金を受給することは可能です。

65歳未満で働きながら障害年金を受給している人は35%になるとされています。(H.26)

障害年金の審査では、必ずしも「働いている=不支給」とは限りません。就労状況は審査の重要なポイントの一つではありますが、その他にも様々な要素が考慮されます。

こちらも参考に:障害年金の更新に落ちる確率(支給停止)。必要な更新の知識と理由

参考:障害認定日とは?

例えば、

  • 就労している継続年数
  • 就労形態
  • 障害の状態
  • 生活状況

などが審査対象となります。

確かに、精神疾患のように「就労」が障害状態の判断基準とされる病気もありますが、就労状況によっては、障害年金を受給できるケースもたくさんあります。

後ほど、就労状況と障害年金の関係について詳しくご紹介しますので、ご安心ください。

まずは、どのような方が働きながら障害年金を受給できるのかをわかりやすくご説明したいと思います。

こちらも参考に:精神障害者雇用にまつわる誤解 | 就業上の配慮と雇用時のポイント

参考:障害年金の訴求請求とは?

障害年金とは

障害年金は、病気やけがによって日常生活や仕事が制限されるようになった場合に受け取ることができる年金です。

しかし、「仕事をしているということは、仕事が制限されていないから障害年金を受給できない」と誤解している方も少なくありません。

結論から申し上げると、就労状況は障害年金の審査における重要な要素の一つではありますが、必ずしも「働いている=不支給」とは限りません。

日常生活や就労状況から総合的に判断し、「病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった」と判断された場合は、就労中でも障害年金を受給できる場合があります。

障害年金の障害認定基準では、2級の障害状態の基本として、「日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度」と定められています。

この基準を具体的に説明すると、「家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの」とされています。

つまり、家事の基本的な動作は可能であっても、それ以上の活動は困難であり、就労による収入を得ることができない程度の障害であれば、2級の障害年金を受給できる可能性があります。

このように、就労状況は障害年金の審査に影響しますが、日常生活や就労状況から総合的に判断されるため、就労中でも障害年金を受給できる場合があります。

もし、ご自身の就労状況と障害年金について疑問がある場合は、日本年金機構や社会保険労務士などに相談することをおすすめします。

障害年金に関する情報は、以下のサイトなどで詳しく確認できます。

日本年金機構:https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001002367.pdf

厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001002367.pdf

障害年金の種類

障害年金には、大きく分けて3種類があります。

  1. 障害基礎年金:国民年金に加入していた方が、病気やけがで障害状態になった場合に受給できる年金です。
  2. 障害厚生年金:厚生年金保険に加入していた方が、病気やけがで障害状態になった場合に受給できる年金です。
  3. 障害共済年金:国家公務員や地方公務員が、病気やけがで障害状態になった場合に受給できる年金です。

障害年金を受給するには、初診日の時点で年金制度に加入している必要があります。

障害年金制度の仕組みは、2階建て構造となっており、1階部分には「障害基礎年金」、2階部分には「障害厚生年金・障害共済年金」があります。

2階部分の障害厚生年金・障害共済年金を申請する場合は、同時に1階部分の障害基礎年金も申請する形となります。

3種類の障害年金のうち、どちらを受給できるのかは、申請する傷病の初診日に加入していた年金によって決まります。

こちらも参考に:失業保険の特定理由離職者(特定受給資格者)とは?給付日数、必要書類、診断書などを解説

参考:「ニューロダイバーシティ」と「ニューロユニバーサリティ」の違いとは?

具体的には、

  • 国民年金に加入していた場合は障害基礎年金
  • 厚生年金保険に加入していた場合は障害厚生年金
  • 国家公務員・地方公務員の共済組合に加入していた場合は障害共済年金

となります。

なお、複数の年金制度に加入していた場合は、加入期間に応じてそれぞれの年金から比例支給されます。

参考情報

参考:助成金とは?

就労と障害年金

精神の障害における障害年金の等級は、診断書に記載されている「日常生活能力の程度」「日常生活能力の判定」に基づいて目安となる等級が決められ、総合的に判断されます。

この際、内部疾患で「働いている」という事実は、障害状態が重くないと誤解される可能性があります。

しかし、厚生労働省が定めた「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」では、「労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類・内容・就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認したうえで日常生活能力を判断する」と規定されており、就労しているという事実だけで障害年金の受給が否定されるわけではありません。

具体的には、以下のような要素が考慮されます。

  • 就労時間
  • 仕事の内容
  • 職場の環境
  • 療養状況
  • 日常生活における支障
  • 周囲からの援助

これらの要素を総合的に判断することで、就労状況が日常生活能力にどの程度影響を与えているのかを適切に評価します。

例えば、短時間のパート勤務であっても、通勤・通院や仕事の準備、職場での人間関係などに大きな負担を感じている場合は、日常生活能力が著しく制限されていると判断される可能性があります。

逆に、長時間勤務であっても、職場や周囲の理解と協力を得ながら、無理なく働けている場合は、日常生活能力への影響が小さいと判断される可能性があります。

このように、精神の障害における障害年金の等級は、就労状況だけでなく、様々な要素を総合的に判断して決められます。

こちらも参考に:過集中とは?メリット・デメリット、特徴や対策・発達障害(ADHD)との関係性

参考:児童発達管理責任者とは?

内部疾患の場合就労が審査に影響する

外部疾患とは肢体障害(手足の障害)や視覚障害・聴覚障害の事を呼び、内部疾患は「精神科の鬱、統合失調、双極性障害」や癌、肝臓、心臓などの臓器の病気が含まれます。

外部系疾患は誰が見ても基準が明確なため、就労をしていても影響は少ないとされています。一方内部疾患は診断書がどんなに重く書かれていても労働できている場合は症状が軽いのではないかと判断される事もあるため、「就労していると判断に影響を与える」といえます。

日常生活と労働がどれだけ支障を与えるか総合的に見られる審査と言えるでしょう。

こちらも参考に:統合失調症とは原因、症状、治療方法を解説

参考:病理的要因とは?

フルタイムの仕事と障害年金

フルタイムで働けているということは、労働に制限を受けていないと考えられ、障害認定に不利になると誤解されがちです。

しかし、厚生労働省が定めた「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」では、就労支援制度を利用している方については、1級または2級の障害年金の可能性を検討することが明記されています。

具体的には、

を利用している方は、フルタイム勤務であっても、障害の状態によっては2級の障害年金が認定される可能性があります。

参考:障害者雇用促進法の内容

こちらも参考に:精神障害者雇用にまつわる誤解 | 就業上の配慮と雇用時のポイント

また、フルタイム勤務であっても、障害年金の要件を満たしている場合もありえます。

総合的に見て生活能力が無いと判断されれば障害年金に該当することはありえるでしょう。

3級の障害年金を受給するには、日常生活や就労において一定程度の制限を受けていることが必要となりますが、sフルタイム勤務であっても、通勤・通院や仕事の準備、職場での人間関係などに大きな負担を感じている場合などは、要件を満たしている可能性があります。

参考:日本年金機構
参考:厚生労働省(精神の障害用の診断書を提出するとき)

働きながら障害年金を受給できるの?

令和5年(2023年)6月23日開催の第5回社会保障審議会年金部会資料「障害年金制度」によると、2019年における障害年金受給者の就労状況は以下の通りです。

  • 身体障害: 48.0%
  • 知的障害: 58.6%
  • 精神障害: 34.8%

つまり、

  • 身体障害の方: 約2人に1人
  • 知的障害の方: 約2人に1人以上
  • 精神障害の方: 約3人に1人

が働きながら障害年金を受給していることが分かります。障害種別によって就労状況に差があることが興味深いですね。

この背景には、障害の種類や程度、個人の努力、社会環境など、様々な要因が考えられます。

参考情報

厚生労働省(年金制度の仕組みと考え方) https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001002367.pdf

 

不支給処分取り消しの判例

知的障害を持ちながら特例子会社で働く方の障害基礎年金2級受給事例

事件番号: 平成27(行ウ)194
事件名: 障害基礎年金不支給処分取消請求事件
裁判年月日: 平成30年12月14日
裁判所名: 東京地方裁判所

概要

本事例は、知的障害がありながら特例子会社で清掃等の労働に従事し、公共交通機関を利用して1人で通勤していた方について、障害基礎年金2級の受給が認められたものです。

事案の概要

  • 請求者: 知的障害があり、特例子会社で清掃等の労働に従事
  • 通勤: 公共交通機関を利用して1人で通勤
  • 障害基礎年金: 2級の受給を請求
  • 処分: 1級該当せず、障害基礎年金の支給不支給処分

争点

  • 日常生活における援助の必要性及びその程度
  • 仕事の種類、内容、就労状況
  • 職場で受けている援助の内容

裁判所の判断

裁判所は、上記の要素を総合的に勘案した結果、請求者の障害の状態は障害等級2級に該当する程度であると判断しました。

判決のポイント

  • 特例子会社での就労状況: 特例子会社での就労状況は、必ずしも障害の程度を反映するものではない
  • 日常生活における援助の必要性: 1人で公共交通機関を利用して通勤できていたとしても、日常生活全般において援助が必要であると判断された
  • 就労状況と障害状態の総合判断: 就労状況だけでなく、日常生活における援助の必要性や職場で受けている援助の内容なども考慮して、障害状態を総合的に判断する必要がある

本判決は、特例子会社で働く知的障害者の方々の障害年金受給に向けた重要な指針となるものです。

参考情報

障害基礎年金:https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001247161.pdf

特例子会社:https://www.mhlw.go.jp/index.html

行政事件 裁判例集

 

働きながら障害年金をもらえる人

障害年金は、病気やけがで障害状態になった方が、生活を維持するために必要な経済的な支援を受けるための制度です。

一般的には、障害年金を受給するには就労していないことが条件と考えられがちですが、実際には働きながら障害年金を受給できる場合も多くあります

今回は、うつ病や発達障害などの精神疾患で、働きながら障害年金を受給している方の具体的な事例をもとに、どのような方が受給できるのかポイントわかりやすく解説します。

こちらも参考に:ADHD(注意欠如・多動症)の薬 | アトモキセチン(ストラテラ)について

参考:成年後見人とは?

 

会社から特別な配慮を受けている人

会社からの配慮によってなんとか働けている方でも、障害年金を受給できる可能性があります。

具体的な配慮例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 体調が悪化した場合の早退・欠勤の許可
  • 通院のための遅刻・早退の許可
  • 休憩時間の延長
  • 勤務時間の短縮
  • 仕事の分担変更
  • テレワークの導入
  • 職場環境の調整

これらの配慮を受けることで、症状を悪化させずに、無理なく働くことが可能になります。

ただし、会社からの配慮を受けているからといって、必ずしも障害年金を受給できるわけではありません。

こちらも参考に:愛着障害(アタッチメント障害)大人の特徴|原因や治し方について

参考:年金証書とは?

病気の影響で日常生活に制限がある人

会社にはなんとか行けていても、帰宅後や休日に病気の影響で日常生活に制限が出ている方も、働きながら障害年金を受給できる可能性があります。

具体的な状況例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 帰宅後すぐに疲れてしまい、家事や食事の準備ができない
  • 休日は何もすることができず、ずっと寝ている
  • 外出するのが億劫で、人との交流を避けてしまう
  • 趣味や娯楽を楽しむことができない
  • 家事や育児に集中することができない

これらの制限によって、日常生活に支障を感じている場合は、障害年金の受給を検討してみることをおすすめします。

障害年金は、病気やけがで障害状態になった方が、生活を維持するために必要な経済的な支援を受けるための制度です。

一般的には、障害年金を受給するには就労していないことが条件と考えられがちですが、実際には働きながら受給できる場合も多くあります。

障害年金を受給できるかどうかは、個々の状況によって異なりますが、上記の状況に該当する方も、受給できる可能性があります。

主な判断基準は以下の通りです。

  • 日常生活における支障
  • 就労状況
  • 症状の程度
  • 治療状況
  • 将来の見通し

これらの要素を総合的に判断した上で、障害等級が決定されます。

こちらも参考に:発達障害グレーゾーンとは?特徴や仕事探し、正確な診断、治療の可否

参考:基礎年金番号とは?

働き始めた人の「更新」のポイント

障害年金を受給開始後に働き始める方もいらっしゃいますが、就労状況によっては、更新時に等級の引き下げや年金の停止につながるケースがあります。近年、就労状況が審査に与える影響は年々増しており、多くの相談が寄せられています。

「就労」といっても、状況は様々です。元気いっぱいでフルタイムで働ける方から、周囲のサポートを受けながら何とか働いている方まで、その差は大きいです。

障害年金の更新手続きは、初回の申請(裁定請求)に比べると必要な書類や手間は少ないですが、決して楽な手続きではありません。以下では、更新手続きを円滑に進めるための重要なポイントをわかりやすく解説します。

1. 医師への相談と情報共有

  • 症状の進展や変化を医師に伝え、診断書に記載してもらう
  • 就労状況や体調の変化を医師に相談し、アドバイスを受ける
  • 診断書だけでは分からない、仕事内容や勤務環境の詳細を医師に伝える

2. 診断書に記載されていない情報の補足

  • 就労時間や休憩時間、勤務体制など
  • 仕事内容や責任範囲、周囲のサポート状況
  • 体調管理や治療状況
  • 就労による症状の変化

3. 具体的な証拠資料の準備

  • 給与明細書
  • 勤務表
  • 社内規定や就業規則
  • 医師からの指導書やリハビリ計画
  • 職場でのサポート体制に関する資料

4. 早めの準備と余裕を持った手続き

  • 更新手続きの期限は厳守
  • 必要な書類や情報は早めに準備
  • 不明点は早めに相談
  • 余裕を持ったスケジュールで手続きを進める

5. 専門家のサポート活用

  • 社会保険労務士
  • 障害年金相談窓口
  • 弁護士

障害年金の更新手続きは、専門知識が必要となる場合があります。 上記のポイントを参考に、必要に応じて専門家のサポートを活用することをおすすめします。

参考情報

 

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