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常用就職支度手当とは?対象者や条件、申請の流れや再就職手当との違いをすべて解説

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常用就職支度手当とは?

「常用就職支度手当」の受給条件や申請方法について、不明な方も少なくないでしょう。 常用就職支度手当は、雇用保険の支援制度で、再就職した人への支援金「就職促進給付」の1つで、就職困難者が新たな職に就く際に支給される手当です。この制度について知っている人は少ないかもしれません。 この手当の受給対象者は、職探しでうまくいかず、経済的に不安定な状況にあることも少なくありません。そんなときにこの手当を受けられる知識を持っていることは有益です。 この記事では、常用就職支度手当の受給条件や申請方法、支給額の計算方法などを詳しく解説します。 また、1ヶ月以内に職についた方も常用就職支度手当の対象となる可能性があります。

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再就職手当との違い

再就職手当と常用就職支度手当の違いは、支給に必要な基本手当(失業保険)の残日数と支給対象者が異なります。 再就職手当は基本手当(失業保険)の残日数が3分の1以上必要ですが、常用就職支度手当は3分の1未満でも支給の対象となります。 また、再就職手当の支給対象者には年齢や障がいの有無などは支給要件に含まれませんが、常用就職支度手当の支給要件には含まれます。  

再就職手当:対象者(条件なし)、支給に必要な基本手当(失業保険)残日数(3分の1以上)

常用就職支援手当:対象者(45歳以上もしくは就職困難者)、支給に必要な基本手当(失業保険)残日数(1日以上)  

注意していただきたいのは、どちらか1つが支給対象となり、両方が支給対象にはなりません。 再就職手当が受け取れない方が、受け取れる手当ともいえます。再就職手当よりも支給額は低くなります。

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特例一時金との違い

特例一時金は基本手当(失業保険)を受給できない人向けの手当であり、季節労働者などの短期雇用者を保護するためのものです。 再就職した際に支給される常用就職支度手当とは性質が異なり、再就職する企業との雇用契約によって受給できる手当てが変わりますので、再就職する際は雇用契約を確認しましょう。  

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常用就職支度手当をもらえるのはどんな人?

常用就職支度手当が支給されるのは、雇用保険の受給資格者、日雇受給資格者、および特例受給資格者(特例一時金の支給を受けた者で、当該特例受給資格にかかわる離職した日の翌日から起算して6ヶ月が経過していないものを含む)かつ、以下のような人です。

・ 45歳以上もしくは障がいのある人、
・特例一時金の受給資格がある人、
・特定の理由で就職が困難な人  

 

これについて、1つずつ詳しく解説します。  

45歳以上もしくは障がいのある人

再就職した45歳以上の全ての方が支給対象というわけではありません。以下の条件のいずれかに該当する必要があります。また、年齢の基準は離職した日ではなく、再就職した日ですのでご留意ください。

(イ) 労働施策総合推進法第 24 条第 3 項又は第 25 条第 1 項の規定による認定を受けた再就職援助 計画に係る援助対象労働者 この場合、事業主が再就職援助計画の認定を受けた場合に当該再就職援助計画の対象となる 援助対象者に交付される「再就職援助計画対象労働者証明書」を支給申請の際に添付させ、こ れにより確認を行う。 (ロ) 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第 17 条第1項に規定する求職活動支援書若しくは 同項の規定の例により、定年又は継続雇用制度がある場合における当該制度の定めるところに より離職することとなっている 60 歳以上 65 歳未満の者の希望に基づき当該者について作成さ れた書面(以下「求職活動支援書等」という。)の対象となる者 厚生労働省職業安定局雇用保険課 就職促進給付 P40 常用就職支度手当の支給対象者より引用

基本的にハローワークでの紹介求人や紹介事業者に通年で雇用された場合が対象となります。 また、就職困難者である身体、知的、精神に障害を持つ方も支給の対象となります。 申請時には、求職登録表や身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい社保険福祉手帳などを提出し、障がいの程度を確認します。

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特例一時金の受給資格がある人

特例一時金は、季節労働などの短期雇用者を支援する手当です。特例一時金の受給資格者である特例受給資格者は、通年で雇用される事業主に雇用されると、通年雇用奨励金の支給対象となります。  

特定の理由で就職が困難な人

以下のような特定の状況に該当する方々です。

  • 駐留軍関係離職者等臨時措置法第 10 条の 2 第 1 項又は第 2 項の認定者
  • 沖縄失業者求職手帳所持者
  • 一般旅客定期航路事業等離職者求職手帳所持者
  • 炭鉱離職者求職手帳所持者
  • 石炭鉱業離職者求職手帳所持者
  • 刑余者
  • アイヌ地区住民
  • その他、就職が困難な方

および社会的事情により就職が著しく阻害されている者も同様に支給の対象となります。詳細については厚生労働省職業安定局雇用保険課のページをご確認ください。

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特例受給資格者とは?

特例一時金を受け取れる資格者のことを意味します。「短期雇用被保険者」でなおかつ「労働の意思と能力はあるのに職業につけない」かつ「算定対象期間(原則は離職前1)に被保険者期間が通算して6ヶ月以上ある」の全てにあてはまる人であれば支給対象に該当し、常用就職支度手当を受給できます。

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常用就職支度手当をもらえる条件

常用就職支度手当を受給するには、基本手当(失業保険)の受給中に、全ての条件を満たす必要があります。

  • ハローワークか就職紹介事業者の紹介で就職した人
  • 基本手当の支給残日数が1/3未満であること
  • 1年以上雇用予定であること
  • 雇用保険に加入できる条件で就職していること
  • 離職前の雇用主からの再雇用でないこと
  • 失業保険の手続き後7日間の待機期間と自己都合退職の場合は給付制限後に就職していること
  • 過去3年以内に再就職手当と常用就職支度手当をもらっていないこと

条件について詳しく掘り下げていきます。

 

ハローワークか就職紹介事業者の紹介で就職した人

前述しましたが、再就職した会社がハローワークか厚生労働省の許可・届出がある就職紹介事業者からの紹介でない場合は、支給資格を得ることができません。 そのため、それら以外の就職や、知人が経営する会社に就職する場合にも受給資格は認められません。 ただし、基本手当(失業保険)の支給残日数が3分の1以上ある場合には、ハローワークや厚生労働省の許可・届出がある就職紹介事業者からの紹介以外でも、再就職手当が支給されます。  

雇用保険に加入できる条件で就職していること

再就職した会社で雇用保険に加入できる条件で就職していないと、受給資格を得ることができません。雇用保険に加入できる労働条件は以下のとおりです。

  • 労働時間が週20時間以上であること
  • 31日以上の雇用見込みがあること

申請する際は、就職した会社の労働条件を確認しましょう。  

離職前の雇用主からの再雇用でないこと

離職前の雇用主から再雇用される場合は、再就職として扱われず、常用就職支度手当の支給対象外となります。これは、離職前の会社と資本関係のある会社も同様に適用されますので、注意が必要です。再雇用は再就職手当や就業手当の対象外となります。  

失業保険の手続き後7日間の待機期間と自己都合退職の場合は給付制限後に就職していること

失業保険の基本手当の手続き後、7日間の待機期間が過ぎてから就職していることが条件です。ただし、自己都合で退職した場合は、待機期間後の3ヶ月の給付制限期間を経てから再就職していることが条件となります。再就職手当は給付制限期間内でも申請可能ですが、申請のタイミングが異なることに留意してください。  

過去3年以内に再就職手当と常用就職支度手当をもらっていないこと

再就職した日から3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受給した人は、支給の対象外となります。  

常用就職支度手当はいくらもらえる?

ここでは常用就職支度手当の計算方法を解説します。受給できる金額は、基本手当(失業保険)の支給残日数によって計算式が異なりますので、自身の基本手当(失業保険)残日数に合った計算式で受給できる金額を計算してみてください。

常用就職支度手当の計算方法

基本手当(失業保険)の支給残日数により支給額の計算式が異なり、計算式は以下のとおりです。基本手当(失業保険)の給付日数は、雇用保険の加入した期間や、失業の理由、失業した時の年齢によって決定されます。  

基本手当(失業保険)の支給残日数が90日以上の計算方法

基本手当(失業保険)の日額× 90 ×40%   基本手当(失業保険)の支給残日数が45日から89日未満の計算方法

基本手当(失業保険)の日額×支給残日数×40%  

基本手当(失業保険)の支給残日数が(1日以上)45日を下回る場合

基本手当(失業保険)の日額×45×40%  

 

基本手当(失業保険)の日額とは、1日あたりの基本手当(失業保険)の支給金額です。この計算式における、基本手当日額の上限がきまっています。 基本手当日額の上限は60歳未満の人で6,290円、60歳以上65歳未満の人で5,085円(毎年8月1日に変わることがあります)ですので、計算される場合はご注意ください。

上限額はこちらのページで就職促進給付で確認できます。  

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参考:生活保護指定医療機関とは?

常用就職支度手当を申請する方法と流れ

ここからは常用就職支度手当を申請する方法と流れを説明します。

申請には提出期限があり、常用就職支度手当の金額は基本手当の支給残日数で決まるため、申請が遅れると受け取れる金額も減ってしまいます。

条件を満たしていた方は早急に申請しましょう。

就職が決まったらハローワークで常用就職支度手当支給申請書をもらう

就職が決まったら、ハローワークで常用就職支度手当支給申請書を取得しましょう。 現在は、ハローワークインターネットサービスの常用就職支度手当支給申請書のページで、入力・印刷が可能です。 ハローワークに行く時間がない方は、ハローワークインターネットサービスにアクセスしてオンラインで取得することがおすすめです。  

再就職先で常用就職支度手当支給申請書に記入してもらう

入社日が決定したら、再就職先に常用就職支度手当支給申請書を提出し、事業主から雇用の証明を受け取ってください。  

ハローワークへ常用就職支度手当支給申請書を提出する

常用就職支度手当支給申請書の記入が完了し、提出できる状態になったら、ハローワークに提出してください。通常、申請者本人が直接ハローワークに申請書を提出しますが、特定の理由で本人が提出できない場合は、代理人による提出(委任状が必要)や郵送による提出も認められています。  

問題がなければ約1か月で指定した口座に手当が振り込まれる

申請書や再就職先の在籍確認の審査に問題がなければ、約1ヶ月後に自身が指定した口座に手当が振り込まれます。
 

 

常用就職支度手当のQ&A

Q
パートやアルバイトでも常用就職支度手当をもらえる?
A

派遣、パート、アルバイトであっても、支給条件を満たせば常用就職支度手当を受給することができます。

常用就職支度手当の支給要件には、雇用形態に関する項目は特に含まれていません。したがって、派遣、パート、アルバイトの方でも、1年以上の雇用の見込みがあれば、常用就職支度手当の支給対象となります。

 
こちらも参考に:特例子会社とは?職種や給与、働くメリットやデメリットについて
参考:医師の意見書とは?
Q
常用就職支度手当の申請に必要な書類は?
A

常用就職支度手当の申請には、以下の書類が必要です。

  • 常用就職支度手当支給申請書
  • 雇用保険受給資格者証
  • 採用証明書
  • 再就職援助計画対象労働者証明書(45歳以上の方)
  • 求職活動支援書(45歳以上の方)
  • 被保険者手帳(日雇受給資格者の方)

常用就職支度手当支給証明書はハローワークで入手できるほか、ハローワークインターネットサービスの常用就職支度手当支給申請書からも入力・印刷が可能です。

雇用保険受給資格者証は、雇用保険受給資格が決定された後にハローワークで配布されます。採用証明書は、雇用保険受給資格者証のしおりに含まれています。

 
 
参考:雇用保険被保険者離職証明書とは?
参考:雇用保険被保険者資格喪失届とは?

 

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