生活保護を受給できる6つの条件について
障害や病気、怪我などが原因で生活費が足りないことから、生活保護の申請を検討している方は多いのではないでしょうか?。令和5年1月の生活保護受給者数は2,024,421人となり緩やかな減少傾向となっています。
この記事では「生活保護を受給するための条件」や「もらえる金額」「生活保護を受給するデメリット」などについて書いています。
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以下は「生活保護を受給するための条件」になります。受給を考えている場合は、ご自身が条件に当てはまっているのかよく確認しましょう。
生活保護を受給するための条件
・世帯収入が国を定める最低生活費以下であること
・家族や親族など三親等以内の身内から援助を受けられないこと
・持ち家や車、預金などの資産が無いこと
・病気や障害、怪我などで働けずに生活が困窮していること
・公的融資制度や公的扶助制度が受けられないこと
・福祉事務所の調査に協力できる人
上記の全てを満たしていることが生活保護を受給する条件になります。
生活保護を受給しようと考えているのであれば、あらかじめ収入制限や所有が認められるものを確認しておく方が良いでしょう。
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以下で詳しく説明していきます。
世帯収入が国を定める最低生活費以下であること
障害や病気、大きな怪我で働けず、生活保護の利用を考えている方は多いかもしれません。生活保護は、経済的に困窮している人々を支援するための国の救済制度であり、日本に永住している人であれば、条件を満たすことで受給することが可能です。
生活保護を受給するための絶対条件は申込者の世帯収入が居住地の最低生活費よりも低いことです。
生活扶助(第1類)+生活扶助(第2類)+住宅扶助+その他の扶助=最低生活費
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最低生活費=生活保護費とは?
最低生活費とは憲法第25条で保証されている「健康で文化的な最低限度の生活を送るために必要な費用」のことを意味します。住んでいる地区によって物価や時給などに差があるため、自治体ごとに最低生活費は異なります。
令和5年10月から5年ぶりに生活扶助基準額が見直しされていますので生活保護費は上昇傾向にあります。
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生活保護を受給できる基準となる最低生活費の計算方法は以下になります。
生活扶助(第1類)+生活扶助(第2類)+住宅扶助+その他の扶助=最低生活費
実際には「居住地の等級」「生活扶助の金額算出」「住宅扶助の金額算出」と複雑ですので、今回はおおよその額をシュミレーターから算出します。
筆者の家族を基に生活保護費を算出してみました。
内訳の生活扶助基準額となっているのが生活保護費=最低生活費になる部分です。
筆者は20歳から40歳までの大人が2人と小学生が一人、障害加算と児童養育加算がある計算です。
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生活保護の扶助種類
生活保護には8種類の扶助があり、目的に応じて支給してもらうことができます。
内容 | |
生活扶助 | 日常生活に必要な費用 「食費等の個人的費用」と「光熱費などの世帯共通費用」を計算 |
住宅扶助 | アパート等の家賃 定められた範囲内で実費を支給 |
教育扶助 | 義務教育を受けるために必要な費用(学用品、給食費など) 規定の基準額を支給 |
医療扶助 | 医療サービスの費用 費用は直接医療機関へ支払われる(本人負担なし) |
介護扶助 | 介護サービスの費用 費用は直接介護事業者へ支払われる(本人負担なし) |
出産扶助 | 出産にかかわる費用 定められた範囲内で実費を支給 |
生業扶助 | 就労に必要な技能の修得等にかかる費用 定められた範囲内で実費を支給 |
葬祭扶助 | 葬儀のための費用 定められた範囲内で実費を支給 |
生活保護には生活費として受給できる生活扶助の他に、以下のようなものが加算されます。
寒冷地に住んでいる人(11〜3月):冬季加算
介護老人保健施設に入居している人:介護施設入所者加算
障害者(1〜3級)の人:障害者加算
18歳以下の母子家庭に給付:母子加算
妊娠期間中の人:妊産婦加算
18歳以下の子供がいる人:児童養育加算
注意点としては、加算は「申請しないと支給されない」というところです。
目に見えて明らかな障害がある場合は、ケースワーカーから案内を受けることもありますが、基本的には自分で申請しなければ支給されません。
また、急な出費が必要になった際には、別途一時的な扶助を受けることができます。例えば、災害時の家屋修繕費や入院費用などがその例に挙げられます。
生活扶助とその他の扶助を合計した最低生活費よりも世帯収入が少ない人は、生命を維持できなくなる危険性があるため生活保護の対象です。
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生活保護の申請が通らなかったけれど、生活するためのお金が足りないという方は、国から借金を出来る公的融資制度を利用して融資を受けましょう。
生活保護は税金が財源になっているので、本当に援助が必要な人にのみ支給されます。
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家族や親族など三親等以内の身内から援助を受けられないこと
生活保護を受けるための2つ目の条件は「族や親族など三親等以内の身内から援助を受けられないこと」になります。
生活保護法第4条2項によって、生活保護より、身内からの援助が優先されるため、生活保護を申請すると申込者に対して聞き込み調査が行われます。
生活保護の担当者は、聞き取りを基に申請者の戸籍を取り寄せ、3親等以内の直系血族に対して扶養調査を実施します。
3親等以内と認められる直系血族の内訳は以下になります。
1親等 | 父母、子供 |
2親等 | 祖父母、兄弟、姉妹、孫 |
3親等 | おじ、おば、甥、姪、曾祖父母 |
筆者の義理の兄が生活保護を申請した際に電話が掛かってきたことがあります。扶養照会では書面での調査となっていましたが、書面以外でも扶養照会が行われることがあるようです。
こどもが小さかったため、余裕が無く断りましたが、親以外であっても3親等以内の親族は扶養義務者と呼ばれ、金銭の提供もしくは自宅に申請者を居住させるなどの方法で援助をお願いされる場合があります。
しかし、扶養義務者とはいっても身内を養う法的な義務はないため、血縁者も断るケースがほとんどです。3親等までの親族から期日までによい返事が貰えなかった場合は生活保護の対象になります。
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生活保護申請者が扶養照会を断れる場合
扶養照会は原則必ず行われますが、以下のケースでは扶養照会を断ることが可能です。
・DVや虐待を受けていた場合
・親族と長期間音信不通である場合
・金銭的な問題等で対立している場合
DVや虐待を受けていた場合
申請者が過去に親族から虐待を受けていた場合は、「扶養照会をすることで親族に居場所が発覚してしまう」ため、制度の過程で弱者を追い込んでしまわないために扶養照会を行いません。
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親族と長期間音信不通である場合
親族と長期間音信不通な場合は、連絡自体が取れず、扶養照会をしないケースがあります。
「10年程度音信不通であること」が扶養紹介をしない目安となります。
金銭的な問題で親族と対立している場合
申請者が親族から「借金を重ねている」または「遺産相続で揉めた」などがあった場合は扶養照会がきっかけとなりトラブルに巻き込まれる可能性があるため、扶養照会を断る場合がありますが、上記2つの理由と比べて理由として弱くなります。
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持ち家や車、テレビ、預金などの資産が無いこと
生活保護の3つ目の条件は、「持ち家や車、預金などの資産が無いこと」になります。
下記で詳しく見ていきましょう。
所有している土地、持ち家について
持ち家は例外がありますが、車などの資産は売却によって生活費を確保できると判断されるため、原則として所有が認められていません。
持ち家や土地を所有している場合、生活保護を受給する条件として住宅ローンが完済されていることが求められます。
持ち家に住み続けることは、自身の資産を有効に活用していると見なされるためです。
生活保護費が住宅ローンの返済に利用できない理由について厚生労働省の記述が以下のようにあります。
保護費から住宅ローンを返済することは、最低限度の生活を保障する生活保護制度の趣旨からは、原則として認められません。
同じ理由で何らかのローンが残っている人は生活保護の受給ができません。
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預金について
「銀行口座に預金が残っていると生活保護は受給できない」は聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際には、貯金が全くのゼロである必要は無く、申請時に世帯の貯金額の合計が最低生活費を超えていなければ受給できます。
生活保護の申請をすると生活保護の条件を満たしているかどうかの各種調査に最長1ヶ月掛かります。
調査期間の1ヶ月間、何も支給されないため、調査期間を生活するだけの貯金は所有することが認められています。そのため、
最低生活費が15万円の家計が30万円の貯金を持っている場合は生活保護の申請をしても却下になります。
調査期間中の生活費を所有することは認められるため、世帯の貯金額の合計が月当たりの最低生活費を下回った金額になった時に申請すれば却下になりません。
注意点としては、「最低生活費の50%を超える預金がある場合は、初回の生活保護支給金額から超えた分を減額される」ということです。
最低生活費が30万円で貯金が29万円の場合
29万円(貯金)-15万円(最低生活費の50%)=14万円の減額
となる計算です。
テレビやPCについて
テレビやPCの所有については自治体によって判断が分かれます。生活に必要な品物だと主張すればある程度は融通を利かせてもらえますが、パソコンを2台持っている場合、1台は生活に不要だと判断されて売却しなければいけないケースなどがあります。
売却しても価値がないと判断されるものに関しては所有できるケースが多いでしょう。
所有している財産を始めとした世帯全体の生活状況は福祉事務所によって細かく調査を受け、売却などの指導がおこなわれます。
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病気や障害、怪我などで働けずに生活が困窮していること
病気や怪我、障害などで働けず、収入がなくて困っている人は生活保護を受給できます。生活保護には年齢制限がありませんが、受給者の52.0%が65歳以上を占めています。
20代の若者であっても、精神疾患によって働けない状態にあると医師から診断された場合は生活保護の対象になります。
精神疾患などは見た目で症状がわかりづらく、自己申告では働けない状態にあると認めてもらえない可能性がありますので、病院で診断書を発行してもらいましょう。
金銭的な理由で診断書の発行が厳しい場合は自分の書いた日記を見せたり、ケースワーカーに見せたりすれば考慮してもらえますので安心してください。
働けるようになったことを申請せずに受給を続けた場合、支給額の減額や受給停止となる可能性があるため、必ず報告を行いましょう。
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公的融資制度や公的扶助制度が受けられないこと
生活保護は「最後のセーフティネット」とされているため、一度も公的融資制度や公的扶助制度を利用したことが無い人は、先に以下の活用を求められます。
公的融資制度や公的扶助制度各種
・母子父子寡婦福祉資金貸付金
・休業補償等
上記の制度を利用しても生活が困窮している場合は、生活保護の受給が可能となります。
ただし、年金などで十分な生活費を得ている高齢者などは収入があると見なされるため、生活保護を受給できないこともある点に注意しましょう。
生活保護のQ&A
Q. 障害年金と生活保護を同時受給は可能
A. 可能です。ただし、最低生活費から年金収入を差し引いた差額分しか受給することができません。例えば最低生活費が13万円で年金収入が8万円の人が受給できる生活保護費は、差し引いた差額分である5万円になります。
Q. 児童扶養手当と同時に受給することは可能
A. ひとり親家庭は児童扶養手当などの手当金をもらいながら生活保護の受給が可能です。
Q. 保険証がなくなるか緊急時に国民の生活を支援する目的で支給される給付金はら医療費が高額にならないか心配
生活保護受給者の医療費は、医療扶助で国に負担してもらえるため実質無料で受診できます。
ただし、受診できる病院は生活保護指定医療機関でなくてはいけません。
Q. 特別定額給付金や学生支援緊急給付金などは生活保護を受けていても受け取れるか
A. 緊急時に国民の生活を支援する目的で支給される給付金は受給が可能であり、収入としてみなされないため保護費の減額対象になりません。
参考:特別定額給付金について
生活保護のデメリット。贅沢はできない
税金から生活費を受給しているため、贅沢はできません。
定期的にケースワーカーが様子を見にくるので、不必要なものを買うとバレてしまいます。
旅行や趣味に対する出費も御法度です。支援をしてもらうには、それなりの代償があることを覚えておいてください。
その他「ローンやクレジットカードを利用できない」「飲酒や喫煙、ギャンブルが制限される」といったデメリットがあげられます。
収入状況をケースワーカーにきちんと報告しましょう
本当は働けるのに嘘をついて、不正受給をすることは許されません。
生活保護費で散財しているところを、知人がケースワーカーに報告することもあります。
定期訪問は月に1回から年に3〜4回と地域などで異なりますが、抜き打ち訪問もあります。
不正受給がバレるといままでの保護費を全額返金+罰金を科される場合がありますのでご注意ください。
以下のような場合にもケースワーカーに報告が必要です。
・昇給または減給されて給与額が変化した
・退職、転職、起業などによって職業が変わった
・住所が変わる。家を長期間留守にする
・勤務先の社会保険に加入した
申請から受給までの流れ。およそ14日間で生活保護受給の可否は決定する
生活保護は預金が無く、緊急性が高いものですので、受給の意思決定はスピーディーに行われます。
生活保護の受給決定までは、原則として申請から14日間以内です。
審査の結果は基本郵送ですが、住所がない方の場合は電話で連絡があります。
審査の流れ
福祉事務所の調査は申込者の収入、扶養家族の有無など入念に調査するため時間がかかります。特別な事情がある場合は時間が掛かるため、調査に30日ほどかかるケースも存在します。
申請から生活保護開始までの生活費に困っている方は、国の公的制度である臨時特例つなぎ資金貸付制度を利用できるので、最寄りのハローワークに紹介をお願いしましょう。
審査に落ちてしまった人も再申請は可能!却下理由を確認して対策しよう
生活保護の申請に落ちてしまっても再申請は何度でも可能です。落ちた原因を解決せずに再申請すると同じ結果になるので、審査結果と一緒に郵送されている保護申請却下通知書を必ず確認しましょう。
却下理由ごとの対策
却下の理由 | 解決方法 |
就労可能 | 診断書の提出。 求職活動している事を説明する |
居住している証拠がない | 住民票や郵便物の住所など現住所がわかる書類を複数提出。 家庭訪問を何度か受ける |
親族が援助を申し出た | 縁を切っている。DVを受けているなどの理由を説明 |
最低生活費以上の世帯収入がある | 生活保護は受給できないので、国の公的制度の利用を検討しましょう |