愛着障害(アタッチメント障害)大人の特徴|原因や治し方について

精神疾患

愛着障害は、養育者との愛着が何らかの理由で形成されず、子供の情緒や対人関係に問題が生じる状態のことです。主に養育者と子どもの関係において語られる場面が多いのですが、大人になっても苦しみ続ける人が少なくありません。

この障害の原因は、虐待や養育者との離別にあり、特に母親を代表とする養育者と子供との間に愛着がうまく芽生えないことが挙げられます。乳幼児期に養育者ときちんと愛着を築くことができないと、「過度に人を恐れる」または「誰に対してもなれなれしい」といった症状が現れることがあります。

大人の愛着障害には、親密さを避ける傾向や怒りなどの情緒面、さらに対人関係に不安があります。

本記事では「大人の愛着障害の特徴や原因」、「子どもの愛着障害との違い」、そして「効果的な治療法」についても詳しく解説します。読者は大人や子どもの愛着障害への特徴や具体的な対処法について理解できるでしょう。

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愛着(アタッチメント)とは?

愛着とは、主に乳幼児期の子供と母親をはじめとする養育者との間で築かれる、心理的な結びつきのことです。専門用語でアタッチメントともいいます。

子どもはお腹が空いた時、オムツが汚れた時、恐怖や驚きを感じた時などに泣く事で、自分の気持ちや欲求を表現します。通常そういったときは、決まった養育者がくりかえし子どもに駆け寄り、不快にさせる要素を取り除きます。

養育者とは、母親や父親など、身近で世話をして育ててくれる人を意味します。養育者は、頻繁に子どもと抱っこなどで触れ合ったり、声掛けなどでコミュニケーションをとったりします。

子どもは生後3か月ころまでは誰に対しても微笑んだり見つめたりします。こういった日常的なお世話と愛情あふれるスキンシップ、コミュニケーションを受けとる中で、子どもは「この人は自分の要求を敏感に感じ取り、正しく対応してくれる」「この人は自分によく声をかけてくれるし、抱っこしてくれる」などと特定の養育者を認識するようになります。このような認識のもと、生後3か月を過ぎてくると、子どもはいつも自分をお世話してくれる養育者とそうでない人とを認識できるようになってきます。これが「愛情形成の第一歩」です。

子どもは養育者と生活していく中で、養育者との愛着をどんどん深めていきます。この愛着を土台に子どもは成長していくため、養育者と子どもが愛着を形成するということは、子どもの発達に欠かせないことなのです。

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愛着障害とは?

愛着障害とは、乳幼少期に何らかの原因により、特定の養育者との愛着形成がうまくいかず問題を抱えている状態です。乳幼児期の子どもは、自分の欲求や感情をうまく伝えられません。お腹が空いたとき、眠たいとき、オムツが汚れたときなどに泣いて周りに伝えます。そこで、特定の養育者が必ず自分のところに駆けつけて、優しい声掛けと愛情あふれるコミュニケーションをとってくれることで、子どもは安心します。子どもは自分が安心していられる居場所を見つけ、養育者と共に生活していく中で愛着を形成していきます。

愛着の形成は、生後約6カ月〜1歳半くらいが大事な時期とされています。この時期に特定の養育者から引き離されたり、養育者が交替したりすると、愛着形成に問題を抱えやすくなります。

愛着障害の人は対人関係において不安定で依存的、さらに拒絶などの恐怖を感じやすく、しばしば自己肯定感や自己価値感にも問題を抱えています。

子どもの頃に発症した愛着障害が治療されず、症状が改善されないまま成長した場合に「大人の愛着障害」として症状が続くことがあります。治療には長い期間が必要となることが多く、専門家の指導を受けながら取り組むことが重要です。

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なぜ愛着が大切なのか?

愛着の形成は子供の成長においてどのような意味があるのでしょうか。
子どもの成長における愛着の重要性を以下でご説明します。

 ①人への信頼感が芽生える

乳幼児期に養育者との間に愛着が形成された子どもは、自分の欲求を満たしてもらえたという気持ちから、人への信頼感が芽生え、やりとりを通して、人とかかわる楽しさや喜びを体験することができます。普段の生活の中で、特定の養育者に無条件で甘えられる経験を繰り返すことで、人との信頼関係を築けるようになります。これによって、人と関わったり会話をしたりすることに楽しさや喜びを感じられる大人に成長できるのです。

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②心理的な安心感を得られる

自分を理解してくれる人、何かあった時に守ってくれる存在がいることは、子どもにとって非常に重要です。そうした養育者がいることで、子どもは家庭から外の社会に飛び出していくことができます。

養育者は子どもにとって無条件で甘えられ、何でも頼れる存在です。彼らは子どもにとって心の拠り所であり、心理的な安心感を提供します。このような安心感を持つ子どもは、不安や恐怖に直面しても、「自分は1人ではない」「守ってくれる人がいる」と感じ、さまざまな挑戦に立ち向かえる心を持つようになります。

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③ コミュニケーション能力を高める

愛着を形成した相手に対して、自分の要求を伝えることや時には相手の要求を受け入れることを通して、子どもは自分の欲求を表現する楽しさや難しさを知ります。

この過程で、表現力コミュニケーション能力が向上します。

コミュニケーションは相手と向き合って、気持ちを通わせることで成り立ちます。愛着が形成されると、子どもは自分の気持ちや要求を伝えたり、相手からの要求も受け取ったりする能力を身につけます。子どもと養育者の間で、このようなコミュニケーションが取れる関係にあると、どう相手に気持ちを伝えればいいのかを学ぶことができます。

そして、社会で生活していく上で欠かせない、コミュニケーション能力自己表現力を高めることに繋がります。愛着形成がしっかりとできていると、子どもの心の成長を促し、様々な力を身につける土台となります。

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愛着障害の定義

愛着障害は「反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)」と「脱抑制型愛着障害」に診断が分けられます。

・「反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)」
・「脱抑制型愛着障害」

それぞれのタイプは、正反対な特徴があります。反応性アタッチメント障害は人に対して過剰に警戒するタイプであり、脱抑制型愛着障害は人に対して過度に馴れ馴れしいといったタイプと定義されています。

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「反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)」

5歳までに発症し、小児の対人関係のパターンが持続的に異常を示すことが特徴です。反応性アタッチメント障害は、反応性愛着障害とも呼ばれ、人に対して過剰に警戒するタイプであり、人にうまく頼ることができません。

恐れや過度の警戒、同年代の子どもとの対人交流の乏しさ、自分自身や他人への攻撃性、みじめさ、ある例では成長不全などがみられます。

乳幼児期に、養育者が無視や無関心、ネグレクトなどの不適切な養育を行ったことが原因であることが多いです。

反応性アタッチメント障害の特徴は、次のとおりです。

  • 他人を信用できない
  • 恐怖心や警戒心が強い
  • 人の言葉に深く傷つく
  • 自傷行為がみられる
  • 嘘をつきやすい
  • 体調不良を起こしやすい
  • ちょっとしたことで酷く落ち込む
  • 自己肯定感が低い
  • いつも人目を気にしてビクビクしている
  • 感情の起伏が少ない
  • 謝れない

「自分の存在価値」が分からなくなり、他人を信じられず頼れない、自分や他人を攻撃する、自分の評価が低い、感情を出せないといった問題が起こりやすくなります。

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「脱抑制型愛着障害」

5歳までに発症し、周囲の環境が著しく変化しても持続する傾向を示す、異常な社会的機能の特殊なパターンになります。

脱却制型愛着障害は、脱却制性対人交流障害とも呼ばれ、人に対して過度に馴れ馴れしいタイプであり、無差別に人に甘えることができます。

初対面の人にもかまわずべったり抱きつこうとしたり、協調性が欠落していたりと発達障害にも似ているとされています。

特定の養育者との愛着形成がうまくできず、注意を引くために情動的な行動をする場合もあります。

脱却制型愛着障害の特徴は、次のとおりです。

  • 誰にでもかまわず抱きつく、馴れ馴れしい
  • 周りの注意を引くために大声を出す
  • 人によって態度を変えることはない
  • 落ち着きがない
  • 乱暴な言動
  • わがままな言動
  • 強情で意地悪さが見える
  • 嘘をつく

自分が示す愛着の範囲が分からず、知らない人にまで広範囲に愛着を求めます。たとえば自分ではなく兄弟ばかりを期待する養育者の興味や関心を、ひくために上記の行動を取ります。

愛着障害はどちらのタイプであっても、対人関係や情緒面に影響を与えてしまい、「問題のある子」と思れやすいでしょう。大人になっても仕事や家庭の中で、生きづらさを感じて辛い想いをすることになります。

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愛着障害の診断基準

「反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)」

A. 5歳以前に発症することが一般的である。

B. さまざまな人間関係の場面で、しばしば相手に対して矛盾した反応を示すことがありますが、その反応は関係や状況に応じて異なります。

C. 情緒障害は、感情の欠如や他人との関わりを避ける傾向、自身や他者への攻撃的な反応、または過度の不安や緊張などで現れることがあります。

D. 一方、愛着障害を持つ人々は、通常、正常な成人との相互作用や社会的関係のスキルを持ち、適切な反応ができる場合があります。

参考:情緒障害とは?

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「脱抑制型愛着障害」

A. 幅広い愛着が、5歳以前に(幼児期中期に持続していなくてもよい)持続的な特徴として観察されます。診断には、選択的な社会的愛着が不十分であることが必要であり、次の点が明確に示されます

  1. 苦しいときに他人から慰めを求めることは正常であり、
  2. 慰めを求める相手を選ばないことは異常です。

B. 不慣れな人に対する社会的相互作用が適切に調整されないこと。

C. 次のうち1つ以上の項目が存在します。

  1. 幼児期には、どんな人にもしがみつく行動
  2. 小児期の初期または中期には、注目を集めようとする行動や無差別な親しげな振る舞い

D. 上記の特徴が状況によらず明確であることが必要です。診断には、AおよびBの特徴が、その子どもの社会的接触の全範囲にわたっていることが必要です。

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参考:社会的相互作用とは?

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子どもが愛着障害である場合の具体的な傾向

子どもが愛着障害の場合、どういった態度・素振りを見せるのか見ていきましょう。

「反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)」

「反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)」の場合、養育者であっても極端に距離を置こうとする傾向が見られるため、以下のような特徴があります。

  • 養育者に安心や慰めを求めることが少なく、抱きついたり、泣きついたりすることがめったにない。
  • 笑顔が少なく、無表情なことがよく見られる。
  • 他の子どもに興味を示さず、交流を求めない傾向がある。

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「脱抑制型愛着障害」

「脱抑制型愛着障害」の場合、養育者に限らず誰に対しても過剰に依存し、自分に注目してもらおうとして不注意や乱暴な行為に走る傾向があります。

  • 知らない人にもためらいなく接近することがよくある。
  • 誰であれ抱きつき、慰めを求めることがある。
  • 落ち着きがなく、乱暴な行動が見られることがある。

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「どちらにも見られる態度・素振り」

愛着障害は、子どもと養育者との間の信頼や安心の絆が不安定であるため、子どもの行動や態度に特定の特徴が現れることがあります。例えば、愛着障害の子どもは、甘えることが苦手であり、意地っ張りやわがままな態度が見られることがあります。

養育者が安全基地としての役割を果たせず、子どもは不安や混乱を感じることがあります。そのため、養育者との関係が安定せず、子どもの行動や視線に違和感を覚えることもあります。

愛着障害の子どもは養育者との別離や再会の際に、視線をそらしたり、関心を持たない方向を見つめたりすることがあります。また、見知らぬ場面では特定の養育者を頼りにしない様子が見られることもあります。

愛着障害は子どもと養育者の関係に影響を与えるため、理解と支援が重要です。愛着障害を抱える子どもにとって、安定した愛情とサポートを提供することが、彼らが安心して成長するための大切な要素です。

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愛着障害の原因

愛着障害の原因は、子どもと養育者との間の愛着が十分に形成されないことにあります。具体的な原因は以下の通りです。

・養育者との死別や離別によって、愛着対象が失われることがあります。

・養育者からの虐待ネグレクト、無関心など、不適切な養育環境で育つことがあります。

・養育者の交代や、複数の大人が世話を担当し、安定した愛情の供給が難しい状況が生じることがあります。

・兄弟差別や、他の子どもとの比較による優劣の付けられ方など、環境における不公平な扱いも愛着形成を妨げます。

これらの出来事が乳幼児期の子どもにとって愛着形成の過程において重要な時期に起こると、子どもの成長に大きな影響を与えます。愛着が形成されないまま成長した子どもは、他人への信頼や自己肯定感が不足し、後から愛着形成を取り戻すことが難しくなります。

乳幼児期に愛着形成が適切に行われなかった大人は、社会生活においてさまざまな困難を経験することがあります。人間関係のトラブルやコミュニケーションの困難、他者からの理解や受け入れに対する不安などが生じ、生活が複雑になります。

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大人の愛着障害と子どもの愛着障害の違い

医学的な愛着障害の診断基準は子どもが対象とされており、発症は5歳以前とされています。しかし、現実には自分が愛着障害ではないかと悩む大人も少なくありません。

大人と子どもの愛着障害には、いくつかの違いが存在します。この章では、子どもと大人の愛着障害の特徴の相違点について解説します。

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子どもの愛着障害

愛着障害は乳幼児期の愛着形成が上手くいかなかったことが原因であり、医学的には子どもを対象とした障害に位置付けられます。一方、「反応性アタッチメント障害」と「脱抑制型愛着障害」は異なるタイプの愛着障害ですが、共通した特徴があるとされています。

個人差はありますが、子どもの愛着障害の特徴として以下のような特徴が挙げられます。

・食事量が少なく、身体が周囲より小さくなっている

・体調不良を起こしやすい傾向がある

・自分や他人を傷つける行動をとることがある

・大人を試すような行動をする傾向がある

・理由もなく嘘をつくことがある

睡眠障害摂食障害が見られる

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そして、愛着障害の中でも「反応性アタッチメント障害」か「脱却制型愛着障害」どちらなのかを、次の特徴をもとに判断していきます。

 

よく見られる特徴

反応性アタッチメント障害

人に対して過剰な警戒心や恐怖心を持ち、困りごとがあってもうまく頼めない

脱却制型愛着障害

誰にでも馴れ馴れしく、近寄ったり、抱きついたりする

ただし、子どもの愛着障害は他の発達障害とも関連している可能性があるため、明確な判断が難しいとされています。反応性アタッチメント障害の子どもは感情の起伏が乏しく、他の子との交流が制限されることがあります。

これらの特徴は自閉症スペクトラム障害とも共通するため、区別が難しいでしょう。同様に、脱抑制型愛着障害の子どもは情動的な行動や落ち着きのない言動が見られることがありますが、これはADHD(注意欠如・多動症)とも類似しているため、判断が難しいでしょう。

参考:自閉症スペクトラム障害(ASD)の特性とは?

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大人の愛着障害

愛着障害は、子ども時代に発症し、大人になっても持続することがあります。子どもの時に養育者との愛着が形成されないと、大人への成長においても重大な影響を及ぼす可能性があります。実際、大人になっても愛着障害が見られることは珍しくありません。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             

しかし、その原因が愛着障害であることに気づかないこともあります。大人の愛着障害は、対人関係や仕事において苦労することがありますが、本人や周囲の人がその背後にある問題に気づくことはまれです。

愛着障害は子どもだけでなく、大人にも起こり得ます。乳幼児期に養育者との愛着が形成されないまま大人になると、愛着障害の症状が持続することがあります。社会に出る際には、対人関係や仕事で苦労することがありますが、その背景にある心の病気としての愛着障害に気づかない場合が多いです。

愛着障害に関する大人の研究はまだ少なく、医学的には明確な病気としては扱われていません。しかし、心療内科では愛着障害が問題の核心になることがよくあります。

精神科医の岡田尊司先生は愛着障害の第一人者であり、その著書で大人の愛着障害について分かりやすく解説しています。

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① 対人関係がうまくいかない

愛着形成に問題があった場合、大人になってから他人との適切な距離感を保つことが難しく感じます。仕事では、周囲とうまくコミュニケーションが取れず、失敗や上司からの叱責が増える傾向にあります。また、恋人や配偶者ができても家庭生活がうまくいかないことがあり、自分の子どもに愛情を注ぐ方法にも戸惑うことがあります。時には虐待の加害者になってしまうケースもあります。

大人の愛着障害には、対人関係における3つの特徴があります。まず、適切な距離感を保つことが難しく、怒りを上手くコントロールできない傾向があります。また、思考が極端で柔軟性に欠け、物事を白黒で捉えがちです。さらに、過去に捉われがちで、自尊心が低く、選択を信じられず後悔や不安を抱えることがあります。進路や就職などの決断も難しく、人生の満足度が低くなる傾向があります。

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② 情緒面が不安定

大人の愛着障害には、情緒面においていくつかの特徴があります。まず、適切な距離感がわからない傾向があります。これは、人間関係での程よい距離感が把握しづらく、コミュニケーションにおいて不安を感じることが挙げられます。過去のトラウマや傷があるため、他人に心を開くことが難しく、積極的な交流を避ける傾向も見られます。

また、不安定な関係性も特徴の一つです。親しい人との情緒的な関係を築くことが難しく、些細なことで関係が崩れることがあります。さらに、自尊心が低い傾向もあります。自己肯定感が低く、親の期待に応えられないときには自己責任に陥りがちです。このような特徴があるため、建設的なコミュニケーションが難しく、仕事や家庭生活に影響を及ぼすことがあります。

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③ アイデンティティの問題

愛着障害があると、アイデンティティの確立(自分は自分であると自覚すること)が上手くいかないことがあります。アイデンティティの確立には、自己肯定感や自己の役割、そして自分自身の価値観を理解することが不可欠です。

具体的な特徴として、まず、愛着障害がある人は決断力がない傾向があります。大人になると自分自身で考え、選択しなければならない場面が増えますが、愛着障害があると自己の問題を解決するのが難しくなることがあります。

また、自己肯定感が低いことも特徴の一つです。自己肯定感が低い人は、自分に対して否定的になりがちであり、自分の選択に対する満足度も低くなります。

さらに、否定的な感情を抱くこともあります。自分自身を信じることができないため、自己を責めたり落ち込んだりする傾向があります。

アイデンティティの確立は、青年期に重要な段階です。この時期に自己の存在を見出すために、自己肯定感や好奇心、積極性などの土台が築かれます。しかし、愛着障害が続いていると、アイデンティティの確立が妨げられ、人生の選択や決定において苦労することがあります。

参考:アイデンティティとは?

愛着障害が引き起こす疾患

大人の愛着障害は、二次的に他の疾患を引き起こす可能性があります。主に次のような病気です。

  • うつ病
  • 心身症
  • 不安障害
  • 摂食障害
  • 睡眠障害
  • 自律神経失調症
  • 境界性パーソナリティー障害

仕事や家庭などの生活において困難が生じる前に、適切な治療や生活の工夫によって症状を和らげることに努めましょう。大人になってからでも工夫次第では症状をやわらげることができたり、困りごとを克服できることもあります。

参考:自律神経失調症とは?

参考:境界性パーソナリティ障害とは?

参考:不安障害とは?

愛着障害の治療、対処方法

愛着障害は、発達障害などと違って、子どもの育つ環境や養育者の子育て方法に原因がある、後天的なものとされています。

愛着障害は、乳幼児期の子どもと養育者の間に何らかの原因があり、愛着形成できなかった結果生じる後天的な状態です。そのため、愛着障害自体を薬物療法などで治すという方法は、最適とは言えません。

愛着障害によってうつ病心身症などの二次的な疾患を発症した場合は、その疾患の治療を受けることが先決になります。

ここでは、子どもと大人の愛着障害に対する治療法や対処方法について紹介します。

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子どもの愛着障害の治療、対処法

子どもの愛着障害において、まず重要なのは安全基地の形成です。愛着障害の子どもは養育者を安全基地と見なせていないことが多く、子どもとの間で愛着がしっかりと築かれることで、子どもは養育者を安全基地と認識し、子どもが他の人との接し方や適切な距離感を学ぶ足がかりとなります。困難な状況や不安、恐れを感じた際にも守られる場所として理解するようになります。

養育者や家族も支援を必要とする必要があり、養育者や家族を含めた包括的なアプローチが重要です。

虐待が愛着障害の原因の場合は一時的に子どもと養育者を分離し、親へのカウンセリングや心理療法を行うことで、子どもの愛着障害の改善につながる場合があります。

さらに、養育者が悩んでいる場合は、生活保護や行政や民間で提供される育児や家事サービスの利用を検討し、愛着障害を取り巻くすべての要因から解決策を見つけるために、医師やカウンセラーと協力して考えていくことが必要です。

愛着障害の原因を解決し、アプローチすることで、子どもの愛着障害の改善が可能となります。

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大人の愛着障害の治療、対処法

大人の愛着障害の場合、実親との愛着形成よりも、友人や職場の同僚、恋人やパートナーとの良好な関係が重要です。

これらの人々がありのままの自分を受け入れ、支えてくれることで、安心できる居場所を確保できます。この居場所があることで、感情的になりにくく、自己肯定感や自尊心も向上し、愛着障害の症状が改善される可能性があります。

幼少期に不足した愛情深いスキンシップやコミュニケーションを補うために、恋人やパートナー、友人、教師などとの関係が重要です。

対等な人間関係や自己の存在価値を認められる環境で活動することも、愛着障害の克服に役立ちます。また、理想的な親の役割を果たし、後輩を指導することも、アイデンティティの確立や自信を高め、愛着障害の改善につながる可能性があります。

愛着障害の治療において、安心できる場所や安全基地を提供することが重要です。

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