障害年金の事後重症請求

Q
障害年金は事後悪化で請求できますか?
A

「事後重症請求と年金請求の消滅時効」

障害年金制度においては、事後重症請求と呼ばれる制度が存在します。これは、初診日から一定期間が経過した後、病状が悪化し、法定の障害等級に該当する状態となった場合に、その事由発生の翌月分から障害年金の支給を請求できる制度です。

また、障害年金に関する権利には消滅時効が定められており、一般的に5年とされています。つまり、障害年金の受給権が発生した日から5年を経過すると、原則としてその権利を行使できなくなります。ただし、必要な書類を揃え、時効の援用がない限り、過去5年分の年金を請求することができます。

 
参考:うつ状態とは?

参考:双極性障害、一型と二型の違いとは?

こちらも参考に:場面緘黙とは?症状や治療方法・仕事選び

こちらも参考に:心理検査の種類と目的。活用方法。発達障害の診断には使えるの?

事後重症請求とは?

障害年金の事後重症請求とは、障害認定日初診日から1年6か月経過した日)には障害等級に該当していなかった症状が、その後悪化し、障害等級に該当するようになった場合に、改めて障害年金を請求する手続きのことです。

精神疾患や発達障害の場合、症状の波があり、一時的に症状が改善したり、逆に悪化したりすることがあります。そのため、障害認定日時点では障害等級に該当していなくても、その後、症状が重くなり、日常生活に支障をきたすようになった場合に、事後重症請求の対象となる可能性があります。

こちらも参考に:障害のあるお子さんがいる家庭のための特別児童扶養手当と障害児福祉手当

こちらも参考に:ニューロダイバーシティとは「標準」を変えていく実践的活動

制度の概要

  • 請求できる期間障害認定日から5年以内
  • 支給開始月:請求月の翌月
  • 遡及支給:請求前の1年分まで遡って支給を受けることができる

精神疾患・発達障害の事後重症請求の事例

  • うつ病: 障害認定日時点では軽度のうつ症状であったが、その後、重度のうつ病となり、仕事も家事もできなくなった。
  • 統合失調症: 障害認定日時点では幻聴などの症状は軽微であったが、その後、幻覚妄想が強まり、社会生活が困難になった。
  • ADHD: 障害認定日時点では注意欠如の症状が主であったが、その後、衝動性や多動性が強まり、対人関係が困難になった。
  • 自閉スペクトラム症: 障害認定日時点ではコミュニケーションの困難さが主であったが、その後、不安感が強まり、外出が困難になった。

こちらも参考に:音や文字に「色」を感じる「共感覚」とは?種類や原因、判定テストについて

こちらも参考に:ギフテッドと発達障害の違い。ギフテッドとは?

請求に必要なもの

  • 障害年金請求書
  • 診断書(認定日時点の診断書現在時点の診断書の両方が必要となります。)
  • その他必要な書類(障害の状態によっては必要となる場合があります。)

こちらも参考に:クローズ就労とは?両方で働いてみて分かったこと。メリットやデメリット

こちらも参考に:働きながら障害年金をもらえる人。障害者雇用枠フルタイムで仕事をしている場合

請求方法

  1. 障害年金請求書及び必要な書類を準備する。
  2. 管轄の年金事務所に申請書を提出する。

審査

年金事務所は、請求書や診断書などを審査し、等級に該当するかを判断します。

審査のポイント

  • 認定日時点と現在時点の診断書の内容を比較し、症状が悪化していることを確認します。
  • 症状悪化の原因について確認します。
  • 日常生活や就労状況について確認します。

こちらも参考に:コミュニケーション障害(社会的コミュニケーション症)とは?症状と種類、診断、原因について解説

こちらも参考に:大人の発達障害。ADHD(注意欠如多動症)男性の特徴。女性との違いについても解説

決定

審査の結果、等級に該当すると判断された場合は、年金決定通知書が送付されます。

年金決定通知書には、以下の内容が記載されています。

  • 支給開始月
  • 支給額
  • 等級
  • その他

不服申立て

年金決定通知書の内容に不服がある場合は、審査請求をすることができます。

審査請求の手順

  1. 審査請求書を年金事務所に提出する。
  2. 年金審査会が審査を行う。
  3. 審査の結果、不服の理由が認められれば、年金決定通知書の内容が変更されます。

こちらも参考に:クローズ就労とは?両方で働いてみて分かったこと。メリットやデメリット

こちらも参考に:働きながら障害年金をもらえる人。障害者雇用枠フルタイムで仕事をしている場合

精神疾患・発達障害における事後重症請求のポイント

  • 症状の変動性: 精神疾患や発達障害は、症状の変動が大きいのが特徴です。そのため、障害認定日時点では軽微な症状しか認められなかったとしても、その後、症状が悪化し、日常生活に支障をきたす可能性があります。
  • 診断書の重要性: 事後重症請求では、障害認定日以降の症状の悪化を証明する診断書が非常に重要です。精神科医や神経内科医など、専門医の診断書を揃える必要があります。
  • 日常生活への影響: 症状の悪化により、日常生活にどのような支障が生じているのかを具体的に説明する必要があります。例えば、仕事ができなくなった、人間関係がうまく築けない、家事ができないなど、具体的な事例を挙げることが重要です。
  • 治療内容: 症状の悪化に対応するためにどのような治療を受けているのか、治療効果はどうかなどを明確にする必要があります。

 

用語解説

  • 障害年金:病気やけがなどにより、日常生活や就労に支障がある方が受給できる年金です。
  • 認定日:障害年金の等級を判定する日です。
  • 等級:障害の程度を表す区分です。1級から3級まであり、1級が最も重症です。
  • 診断書:医師が作成する、病状や障害の状態を証明する文書です。

こちらも参考に:就労継続支援B型(非雇用型)とは?就労継続支援A型との違い。平均工賃や仕事内容もご紹介

こちらも参考に:退職後でも傷病手当金は受給できる? 支給条件ともらえないケース。期間・金額計算、申請方法も解説

その他

  • 事後重症請求は、障害状態が悪化し、生活に支障が出ている場合に、経済的な支援を受ける手段として有効です。
  • 請求手続きは複雑な場合もありますので、必要に応じて、年金事務所社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。
  • 2024年5月現在、障害年金の事後重症請求制度の改正案が国会で審議されています。改正案が可決されれば、制度内容が変更される可能性があります。

こちらも参考に:大人の愛着障害(アタッチメント障害)とは?症状や特徴、原因、治療法について

こちらも参考に:インチュニブ(グアンファシン)の効果や副作用。ADHD(注意欠如・多動性障害)治療薬を解説

最後に

精神疾患や発達障害の症状は、時間経過とともに変化することがあります。もし、症状が悪化し、日常生活に支障が出ていると感じたら、早めに医療機関を受診し、専門医に相談することが大切です。また、障害年金についても、専門家に相談し、適切な手続きを進めることをおすすめします。

参考情報

こちらも参考に:音や文字に「色」を感じる「共感覚」とは?種類や原因、判定テストについて

こちらも参考に:ギフテッドと発達障害の違い。ギフテッドとは?

障害年金の事後重症請求のよくある質問

Q
障害者年金の事後重症による請求とは?
A
「事後重症請求」とは、障害認定日においては法定の障害等級に該当しない状態であったものの、その後、病状が悪化し、法定の障害等級に該当する状態となった場合に、その事由発生の翌月分から障害年金の支給を請求できる制度を指します。
 
こちらも参考に:特例子会社とは?職種や給与、働くメリットやデメリットについて

参考:医師の意見書とは?

こちらも参考に:強度行動障害とは?原因や症状、対応や支援について

 

こちらも参考に:精神障害者手帳3級取得のメリット | 割引や控除割引や支援を紹介

 

Q
障害年金は事後悪化で請求できますか?
A

「事後重症請求と年金請求の消滅時効」

障害年金制度においては、事後重症請求と呼ばれる制度が存在します。これは、初診日から一定期間が経過した後、病状が悪化し、法定の障害等級に該当する状態となった場合に、その事由発生の翌月分から障害年金の支給を請求できる制度です。

また、障害年金に関する権利には消滅時効が定められており、一般的に5年とされています。つまり、障害年金の受給権が発生した日から5年を経過すると、原則としてその権利を行使できなくなります。ただし、必要な書類を揃え、時効の援用がない限り、過去5年分の年金を請求することができます。

 
参考:うつ状態とは?

参考:双極性障害、一型と二型の違いとは?

こちらも参考に:場面緘黙とは?症状や治療方法・仕事選び

こちらも参考に:心理検査の種類と目的。活用方法。発達障害の診断には使えるの?

タイトルとURLをコピーしました