スルピリド(ドグマチール,ミラドール,アビリット)の効果と副作用

精神薬

スルピリド(ドグマチール)とは?

スルピリドは、統合失調症、うつ病・うつ状態、そして胃・十二指腸潰瘍の治療に使用される薬です。日本では、ドグマチール、アビリット、スルピリドなどの名前で処方されています。

もともと胃薬として開発されたスルピリドですが、抗精神病薬や抗うつ薬としての効果も認められ、現在ではこれらの治療目的で広く使われています。

低用量では抗うつ効果があり、高用量では抗精神病作用が期待されますが、近年では主に抗うつ剤としての使用が中心となり、胃薬や抗精神病薬として使用されることは少なくなっています。

この薬はドパミンの増加を促進し、早期の効果が期待されるため、落ち込みの改善に対症的に使用されます。安全性が高く、胃薬としても利用されていますが、女性においてはプロラクチンの上昇により、生理に影響を及ぼす可能性があります。

参考:ドーパミンとは?

参考:ドパミンD2受容体パーシャルアゴニスト作用とは?

参考:プロラクチンとは?

ドグマチールの効果が期待できる病気

ドグマチールは、胃薬として開発された経緯を持つ薬ですが、中枢神経にも作用する効果が認められたため、抗うつ薬や統合失調症の治療薬としても使用されています。

参考:中枢神経刺激薬とは?

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胃薬としてのドグマチール

ドグマチールは、胃の粘膜を保護する作用、胃の運動を活発にする作用、吐き気を抑える作用があります。

  • 胃の粘膜を保護する作用:粘液血流を増加させ、粘液の分泌を促進する。
  • 胃の運動を活発にする作用:アセチルコリンを増加させて胃の運動を活発化させる。
  • 吐き気を抑える作用:嘔吐中枢を抑制する。

これらの作用により、胃の炎症や潰瘍を予防・改善し、食欲不振を改善する効果が期待できます。

参考:アセチルコリンとは?

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抗うつ薬としてのドグマチール

ドグマチールは、低用量ではドパミンを増加させる作用があります。

ドパミンは、脳内の神経伝達物質の一種で、気分や意欲、運動などに重要な役割を担っています。ドパミンが不足すると、うつ症状が現れることが知られています。

ドグマチールは、低用量でドパミンを増加させることで、うつ症状の改善に効果が期待できます。

参考:神経伝達物質とは?

統合失調症の治療薬としてのドグマチール

ドグマチールは、高用量でドパミンを抑制する作用を持っています。

統合失調症は、脳内でドパミンが過剰に分泌されることが原因とされており、ドグマチールはこのドパミンを高用量で抑えることで、統合失調症の症状改善に効果が期待されます。

参考:統合失調症とは?

ドグマチールの適応が正式に認められている病気

ドグマチールの公式に認められている適応症は以下の通りです。

  1. 胃・十二指腸潰瘍(1973年)
  2. 統合失調症(1979年)
  3. うつ病・うつ状態(1979年)

ドグマチールは元々胃薬として開発されましたが、使用中に気分を明るくする効果があることが発見されました。また、高用量でドパミンを抑制する作用があるため、統合失調症の治療にも有効であることが判明しました。現在では主にうつ病やうつ状態の治療に使用されていますが、新しい薬の登場により、胃薬や統合失調症治療薬としての使用は減少しています。この抗うつ剤は、胃の調子を整えながら食欲を回復させ、徐々に気分を明るくする効果があり、広く利用されています。

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保険適応(日本)

「胃・十二指腸潰瘍」「統合失調症」「うつ病・うつ状態」に対して認められています。

 

禁忌(日本)

・本剤の成分に対して過敏症の既往歴がある患者

・プロラクチン分泌性の下垂体腫瘍(プロラクチノーマ)がある患者

・褐色細胞腫の疑いがある患者

参考:過敏症とは?

参考:下垂体腫瘍とは?

参考:褐色細胞腫とは?

歴史

ドグマチールは、フランスの製薬会社ロシュ社によって開発された薬です。1963年に胃薬として発売され、その後、抗うつ薬や統合失調症の治療薬としても使用されるようになりました。

ドグマチールの開発は1950年代に始まり、ロシュ社は胃炎や胃潰瘍の治療薬を目指して、ドパミン受容体に作用する薬の研究を進めていました。

1963年、ドグマチールは胃薬として市場に登場し、胃粘膜の保護、胃の運動促進、吐き気の抑制といった作用により、胃炎や胃潰瘍の治療に効果が認められました。

1970年代になると、ドグマチールの抗うつ作用や統合失調症の治療効果が明らかになりました。低用量ではドパミンを増加させることでうつ症状を改善し、高用量ではドパミンを抑制することで統合失調症の症状改善に有効であることが示されました。

現在、ドグマチールはうつ病・うつ状態、統合失調症、胃炎・胃潰瘍の治療に広く用いられています。

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参考:神経伝達物質とは?

 

作用メカニズム

ベンザミド系の代表的な抗精神病薬です。D2受容体とD3受容体を遮断しますが、他の受容体にはほとんど影響を与えません。鎮静作用が弱い薬剤です。

参考:ベンザミド系抗精神病薬とは?

統合失調症の治療薬として

脳内のドーパミン受容体をブロックします。幻覚や妄想などの精神病症状は、通常、ドーパミンの過剰な活動が関与していますが、中程度から高用量のスルピリドはドーパミンの機能を制御し、これらの症状を軽減することが可能です。

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うつ病の治療薬として

スルピリドは、ドーパミン分泌に作用する薬です。少量で使用すると、ドーパミン分泌を抑制するシステム(シナプス前ドーパミン自己受容体)のみを抑え、結果的にドーパミンの分泌が増加します。

うつ病では脳内のドーパミン活性が低下しているため、ドーパミン分泌を増やすことでうつ症状の改善が期待できます。そのため、スルピリドを抗うつ薬として使用する際には、少量から始めることが重要です。

抗うつ効果が現れないからといって安易に増量すると、逆にドーパミン分泌が抑制され、うつ症状が悪化する可能性があります。スルピリドを服用する際は、必ず医師の指示に従い、適切な用量を守るようにしましょう。

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胃・十二指腸潰瘍の治療薬として

胃や腸などの末梢組織では、ドーパミンD2受容体が存在しています。スルピリドは、末梢D2受容体を遮断することで、胃酸の分泌を抑制し、胃の運動を活発化させます。

これらの作用により、胃粘膜の血流が改善され、胃潰瘍の予防・改善に効果が期待できます。また、消化管運動が促進されることで、食欲不振の改善にも効果が期待できます。

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ドグマチールの特徴

メリット

  • 気分の改善効果が期待できる
  • 効果が出るまでの時間が短い
  • 吐き気が少なく、食欲が増加する
  • 胃薬として使われていたことから、心理的な抵抗が少ない
  • ジェネリック医薬品が発売されているため、薬価がリーズナブル

参考:ジェネリック医薬品とは?

デメリット

・効果がマイルド

スルピリドは、他の抗うつ薬と比べて、効果がマイルドであると言われており、重症のうつ症状には十分な効果が出ない場合があります。

 

・高プロラクチン血症

スルピリドはプロラクチンの分泌を促進する作用があります。プロラクチンは乳汁分泌や月経周期を調節するホルモンで、高プロラクチン血症が発生すると、乳汁分泌や月経異常といった副作用が起こることがあります。特に女性は、高プロラクチン血症による副作用に注意が必要です。

 

・錐体外路症状

スルピリドは、錐体外路症状(手足の震え、こわばり、歩行障害など)が起こることがあります。錐体外路症状は、抗うつ薬や抗精神病薬に共通する副作用です。

参考:錐体外路症状とは?

参考:アカシジアとは?

ドグマチールの効果

ドグマチールには、用量によって以下のような効果が期待できます。

  • 低用量:抗うつ剤・胃薬
  • 高用量:抗精神病薬

 

ドグマチールの抗うつ剤として、以下のような特徴を持ちます

  • ドパミンを増加させる
  • 早く効果が認められる
  • 効果としてはマイルド
  • 胃の働きを整える

ドグマチールはうつ状態の患者さんのうち、以下のような方に効果が期待できます。

  • 気分反応性がある(良いことがあると体が軽くなる)
  • 過眠症状がある
  • 倦怠感が目立つ
  • 興味がわかない
  • 食欲がわかない

ドーパミンは報酬系の機能に関わり、やりがいや達成感を感じたときに分泌されます。そういったときには、体が軽くなったり、眠気が取れたり、意欲や興味が自然と湧いてくることがあるでしょう。

多くの抗うつ剤は効果が現れるまでに時間がかかりますが、ドグマチールは比較的早く効果が出るのが特徴です。そのため、ドグマチールはマイルドな効果ながら、うつ症状を緩和するために対症療法としてよく使用されます。

また、胃薬としても使用されることから、薬を使うことへの心理的な抵抗が少ない点も大きなメリットです。ただし、胃酸を抑える効果はないため、胃潰瘍や逆流性食道炎など、胃酸が関係する病気には使用されません。

ドグマチールは胃の粘膜を増やし、胃の動きを整える作用が期待できるため、胃もたれや食欲不振がある場合に使用されます。抗精神病薬としての使用は近年では少なくなっていますが、鎮静作用が少ないため、興奮が目立たず落ち着いている方に適しています。

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ドグマチールの副作用

ドグマチールの副作用としては、高プロラクチン血症や錐体外路症状に注意が必要です。他の抗うつ剤とは作用メカニズムが異なり、副作用の特徴も異なります。他の抗うつ剤でよく見られる副作用は、それほど目立ちません。

ドグマチールは抗うつ剤として低用量で使用されることが多いため、高プロラクチン血症が特に問題となることがあります。ドグマチールの承認時と市販後調査で報告された副作用の頻度は、睡眠障害(2.88%)、振戦(1.28%)、眠気(1.22%)、月経異常(1.17%)、アカシジア(0.99%)、乳汁分泌(0.88%)となっています。

このうち、月経異常と乳汁分泌は高プロラクチン血症によるものであり、振戦とアカシジアは錐体外路症状に該当します。

 

    便秘・口渇 ふらつき 眠気 体重増加 嘔吐・下痢 性機能障害 不眠
トリプタノール 三環系 +++ +++ +++ +++ ± ++
トフラニール 三環系 ++ ++ + ++ ± ++ +
アナフラニール 三環系 +++ ++ + ++ + ++ +
アモキサン 三環系 + + + ++ ++ ++
ノリトレン 三環系 ++ + + ++ ++ +
テトラミド 四環系 + + ++ + +
ルジオミール 四環系 ++ ++ ++ ++ ++
ルボックス/デプロメール SSRI + + + +++ + +
パキシル SSRI + + ++ ++ +++ ++
ジェイゾロフト SSRI ± + ++ +++ ++
レクサプロ SSRI + + ++ ++ ++
サインバルタ SNRI ± ± ± ++ ++ ++
イフェクサー SNRI ± ± ± + ++ +
トレドミン SNRI ± ± ± + ++ +
リフレックス NaSSA ++ +++ +++ +
デジレル / レスリン その他 + ++ + + +
ドグマチール その他 ± ± ± + + ±
トリンテリックス その他 ± ± ++ + +

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ドグマチールの剤形と薬価

ドグマチールは、1963年に胃薬として発売された薬です。その後、抗うつ薬や抗精神病薬としての作用も明らかになり、現在ではさまざまな用途に用いられています。

ドグマチールの剤形は、以下のとおりです。

  • 錠剤:50mg、100mg、200mg:ドグマチール錠
  • カプセル:50mg(ジェネリックのみ):ドグマチールカプセル
  • 細粒:10%、50%:ドグマチール細粒
  • 筋注:50mg、100mg:ドグマチール筋注

注射薬は、統合失調症の治療薬として使われていましたが、現在はほとんど使われていません。

薬価は、ジェネリック医薬品であるスルピリド錠の登場で安価になってきています。

剤形 先発品 ジェネリック
錠剤(50mg) 10.1円 6.4円
錠剤(100mg) 11.0円 6.4円
錠剤(200mg) 14.3円 8.0円
カプセル(50mg) 6.4円
細粒(10%) 11.1円/g 6.3円/g
細粒(50%) 25.9円/g 14.0円/g
筋注(50mg) 89.0円
筋注(100mg) 130.0円

自己負担割合(1~3割)をかけた金額が、患者さんの自己負担になります。薬局では、これに追加して、お薬の管理料請求されます。

 

ドグマチール・アビリット・ミラドールのジェネリック(スルピリド錠)

ドグマチールは1973年に発売された薬で、3社がそれぞれ異なる名前で先発品として販売しました。

  • ドグマチール錠(日医工)
  • アビリット錠(興和)
  • ミラドール錠(大塚製薬)

これらの先発品は製造元が異なるだけで、有効成分や効果は同じです。ドグマチールの先発品は、発売後約10年間は成分特許によって独占的に販売されていましたが、特許が切れた現在ではジェネリック医薬品が発売されています。

ジェネリック医薬品は、先発品と同じ有効成分を持ち、効果や安全性が同等であることが証明された薬です。そのため、先発品よりも薬価が安く設定されています。

ドグマチールのジェネリックは、かつてはさまざまな名称で販売されていましたが、現在では成分名に基づいた「スルピリド錠」として統一されています。複数の製薬会社からスルピリド錠が発売されていますが、有効成分は同じでも製造方法や製剤の工夫により、各製品に微妙な違いがあります。

ただし、ジェネリック医薬品は、先発品と同様の効果を示すための試験をクリアしており、血中濃度の変化がほぼ同等になるよう作られています。そのため、先発品とジェネリックの間で大きな薬効の差を感じることは少ないとされていますが、まれに違いを感じる方もいます。その場合は、先発品を継続して使用することも可能です。

 

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ドグマチールの作用機序

ドグマチールは、脳内の神経伝達物質であるドーパミンに作用する薬です。ドーパミンは脳内でさまざまな機能を担っていますが、ドグマチールの作用に関係する主要な働きは以下の4つです。

  • 中脳辺縁系: 陽性症状(幻聴や妄想)の改善
  • 中脳皮質系: 陰性症状(感情鈍麻や意欲減退)の出現
  • 黒質線条体: 錐体外路症状(パーキンソン症状やジストニア)の出現
  • 視床下部下垂体系: 高プロラクチン血症(生理不順や性機能低下)

さらに、ドグマチールは嘔吐中枢にも作用します。嘔吐中枢は脳の奥にあり、嘔吐を引き起こす役割を担っていますが、ドグマチールはこの中枢にあるドーパミン受容体を遮断することで、嘔吐を抑制します。

また、ドグマチールは胃の運動を促進するアセチルコリンの分泌を促す効果もあります。アセチルコリンは、胃の運動を活発にする神経伝達物質であり、ドグマチールはこの分泌を促進することで胃の働きを改善します。

参考:ジストニアとは?

参考:アセチルコリンとは?

ドグマチールの用法と効果のみられ方

ドグマチールは、病気によって用法・用量が異なります。

【うつ病・うつ状態】

  • 維持量:150~300mg ※適宜増減可能
  • 用法:1日2~3回
  • 最高用量:600mg

【胃腸十二指腸潰瘍】

  • 維持量:150mg ※適宜増減可能
  • 用法:1日2~3回

【統合失調症】

  • 維持量:300~600mg ※適宜増減可能
  • 用法:1日2~3回
  • 最高用量:1200mg

上記のようにドグマチールは、病気によって使い方が異なります。

  • 低用量:うつ状態・胃薬
  • 高用量:統合失調症

が適応となっています。

ドグマチールは、1日2~3回で使っていきます。開始用量は50~150mgです。

飲み始めの副作用はそこまで目立たないために、効果と副作用のバランスを見ながら開始用量を決めていきます。

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ドグマチールの半減期

ドグマチールの半減期は8時間で、最高血中濃度に達するまでの時間は2~3時間です。

半減期とは、薬の血中濃度が半分になるまでの時間を指します。半減期が短い薬は、血中濃度の変化が早く、効果の持続時間が短くなります。反対に、半減期が長い薬は、血中濃度の変化が遅く、効果の持続時間が長くなります。

最高血中濃度到達時間は、血中濃度がピークに達するまでの時間を指します。到達時間が短い薬は、すばやく効果を発揮し、到達時間が長い薬は、徐々に効果を発揮します。

 

ドグマチールの服用方法

ドグマチールは、半減期が8時間と短いため、1日2回以上の服用が必要です。1回あたりの服用量は、医師の指示に従ってください。

ドグマチールは、効果が認められるのが早く、効果をみながら増減していきます。

参考:半減期とは?

参考:最高血中到達時間とは?

 

ドグマチールの副作用の対処法

ドグマチールと眠気・不眠

承認時と市販後調査での眠気と不眠の副作用頻度は、以下のとおりです。

副作用 承認時 市販後調査
不眠(睡眠障害) 1.9% 2.83%
眠気(傾眠) 0.8% 1.22%

このように、ドグマチールは眠気も不眠もどちらも認められます。

眠気の原因

ドグマチールで眠気がみられる原因は、以下の2つが考えられます。

  • わずかな抗α1作用や抗ヒスタミン作用による直接的な眠気
  • ドパミンの作用を抑えることで、興奮を高めてしまい、その反動で眠気が強くなってしまう

不眠の原因

ドグマチールで不眠がみられる原因は、以下の2つが考えられます。

  • ドパミンの作用を抑えることで、興奮を高めてしまい、その反動で不眠になってしまう
  • アカシジアを引き起こすことで、落ち着きがなくなり、不眠になってしまう

対処法

眠気や不眠などの副作用が認められた場合は、以下の対処法が考えられます。

眠気

  • 慣れるまで待つ
  • 服用のタイミングを変える(夕食後や就寝前)
  • お薬の量を減らす
  • 他のお薬に変更する

不眠

  • 慣れるまで待つ
  • 睡眠の質の改善を図る(生活習慣やお薬)
  • 服用のタイミングを変える(朝食後)
  • お薬の量を減らす
  • 他のお薬に変更する

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ドグマチールと体重(太る?痩せる?)

ドグマチールは、胃の働きを整えて食欲を増加させる作用があります。そのため、体重増加のリスクがあるお薬です。

ドグマチールの承認時と市販後調査での体重増加の副作用頻度は、0.69%と0.34%となっており、大きな差は認められません。しかし、食欲にまかせて食事をしていると、体重増加してしまう可能性があります。

ドグマチールで体重増加してしまった場合の対処法としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 生活習慣を見直す
  • 運動習慣を取り入れる
  • 食事の際によく噛むようにする
  • お薬の量を減らす
  • 他のお薬に変更する

具体的には、以下のようなことを心がけてみましょう。

  • 食事の量を減らす
  • 間食を控える
  • 野菜や食物繊維を多く摂る
  • たんぱく質をしっかり摂る
  • 適度な運動をする

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ドグマチールと高プロラクチン血症

ドグマチールは、下垂体で必要なドパミンのブロックにより、プロラクチンと呼ばれるホルモンの分泌を増加させてしまいます。

プロラクチンは母乳の分泌を促進するホルモンであり、主に授乳中の女性に分泌されます。そのため、ドグマチールの使用によって授乳中のような状態が生じることがあります。

高プロラクチン血症になると、以下のような副作用が現れます。

  • 急激な母乳の分泌(乳汁分泌)
  • 生理が遅れる(生理不順)
  • 不妊になる(無排卵・無月経)

男性では、次のような副作用がみられる可能性があります。

  • 胸が膨らんでくる(女性化乳房)
  • 性欲が低下する(性機能低下)

プロラクチンの値を調べるための採血検査により、高プロラクチン血症かどうかが判明します。ドグマチールは脳に移行しにくいため、脳の外にある下垂体に作用しやすく、高プロラクチン血症が比較的頻繁に発生します。

高プロラクチン血症が確認された場合は、お薬の減量や他のお薬への変更が検討されることがあります。結果的には、お薬の変更がよく選択されます。

 

参考:プロラクチンとは?

参考:高プロラクチン血症とは?

ドグマチールと錐体外路症状

ドグマチールは、用量が増えると錐体外路症状の副作用が現れやすくなりますが、通常は低用量で使用されることが多いため、問題になることは少ないです。

錐体外路症状とは、運動調節に関わる神経系の異常によって引き起こされる症状です。私たちが無意識にスムーズに体を動かせるのは、錐体外路を通る神経が筋肉の働きを自動的に微調整してくれているおかげです。

錐体外路の働きにはドーパミンが重要な役割を果たしており、ドーパミンが過剰にブロックされると以下のような症状が現れます。

  • アカシジア: 落ち着かず、そわそわする
  • ジストニア: 筋肉の異常な緊張(眼球上転や首のこわばり)
  • パーキンソニズム: 筋肉のこわばりや振戦(震え)

これらの症状は、薬の増量直後に現れることが多いですが、服用を続ける中で徐々に目立ってくることもあります。

ドグマチールで錐体外路症状が現れた場合の対処法は以下の通りです。

  • 慣れるまで様子を見る
  • 抗不安薬、βブロッカー、抗コリン薬を併用する
  • 薬の量を減らす
  • 他の抗精神病薬に変更する

具体的には、

  • アカシジア: 抗不安薬やβブロッカーを併用する
  • ジストニア: 抗コリン薬を併用する
  • パーキンソニズム: 薬の量を減らすか、他の抗精神病薬に変更する

錐体外路症状は重症化すると日常生活に支障をきたす可能性があるため、早めに医師に相談することが重要です。

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ドグマチールの離脱症状と減薬方法

ドグマチールは離脱症状が比較的少ない薬ですが、長期間の使用では離脱症状が現れることがあります。そのため、長期にわたって服用していた場合は、徐々に用量を減らしていく必要があります。

ドグマチールの離脱症状には以下のものがあります。

  • ドーパミン作動性の離脱症状: 幻覚や妄想(過感受性精神病)、アカシジア、ジスキネジア
  • コリン作動性の離脱症状: 精神症状(不安・イライラ)、身体症状(不眠・頭痛)、自律神経症状(吐き気・下痢・発汗)

ドグマチールは通常、低用量で使用されるため、ドーパミン作動性の離脱症状が起こりにくい傾向があります。また、抗コリン作用もほとんどないため、コリン作動性の離脱症状も目立ちません。

しかし、ドグマチールを長期間服用している場合は、慎重に減量を進める必要があります。離脱症状が強く現れる場合は、元の用量に戻して、減量のペースを緩やかに調整することが一般的です。通常は、漸減法を用いて徐々に減量していく方法が推奨されます。

参考:漸減法とは?

参考:隔日法とは?

 

ドグマチールの運転への影響

製薬会社は、心の病気の治療薬について「眠気やふらつきなどの副作用が生じる可能性がある」として、多くの薬で運転や危険作業を禁止しています。

ドグマチールの添付文書にも、「眠気やめまいが現れることがあるため、本剤投与中の患者には自動車の運転や危険を伴う機械の操作をさせないように注意すること」と記載されています。

しかし、運転ができないことが社会復帰の妨げになる場合もあり、自己責任で服用しながら運転している方もいます。

初めて服用したときや他の薬から切り替えたとき、用量を増減させているとき、体調が優れないと感じたときは、無理をせず、運転を控える方が良いでしょう。

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ドグマチールの妊娠・授乳への影響

ドグマチールが妊娠に与える影響について考えてみましょう。ドグマチールの添付文書には、

『妊婦または妊娠の可能性がある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること。』

と記載されています。理想的には妊娠中の薬物摂取は避けるべきですが、病状が不安定になる可能性がある場合は、医師の指導のもとで最小限の投与が続けられることがあります。

ドグマチールに関して奇形のリスクは報告されていませんが、主な影響として以下の点が挙げられます。

  • 妊娠しにくくなる可能性(高プロラクチン血症)
  • 赤ちゃんの一時的な離脱症状や錐体外路症状

高プロラクチン血症が生じると、乳汁分泌、生理不順、不妊などの副作用が現れることがあります。

授乳中の女性にとっては使用しにくい薬とされています。赤ちゃんには一時的な離脱症状や錐体外路症状が報告されていますが、通常これらは後遺症を残すことはなく、産科医に報告すれば適切に対応してもらえるでしょう。

次に、授乳への影響について見てみましょう。ドグマチールの添付文書には、

『授乳中の女性に投与する場合は、授乳を中止させること。』

と記載されていますが、具体的なネガティブな報告はあまり見られません。

母乳は赤ちゃんに良い影響を与えるとされており、ドグマチールの成分が母乳を通して伝わることが確認されています。ただし、乳児の検診で何らかの問題が見つかった場合は、医師と相談することが重要です。

参考:肝薬物代謝酵素とは?

参考:物質依存とは?

海外の妊娠と授乳に関する基準

妊娠中の薬剤服用は、胎児や母体に影響を及ぼす可能性があるため、慎重な判断が必要です。海外では、妊娠と授乳に関する薬剤の安全性を評価する基準がいくつか定められています。

妊娠への影響

  • FDA(アメリカ食品医薬品局)薬剤胎児危険度基準
    • A:ヒト対象試験で、危険性がみいだされない
    • B:ヒトでの危険性の証拠はない
    • C:危険性を否定することができない
    • D:危険性を示す確かな証拠がある
    • ×:妊娠中は禁忌

授乳への影響

  • Hale授乳危険度分類
    • L1:最も安全
    • L2:比較的安全
    • L3:おそらく安全・新薬・情報不足
    • L4:おそらく危険
    • L5:危険

授乳に関しては明確なネガティブな報告がないため、最終的にはご自身の判断となりますが、ドグマチールを服用しながらでも授乳を続けるメリットは大きいと考えられます。

こちらも参考に:うつ病で現れる初期症状・行動・対策や仕事復帰を目指すときのポイント

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