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認知の歪みとは。具体例と治し方、ストレスに対処する方法紹介!

認知の歪み精神疾患

認知の歪み

この記事を読まれている発達障害・知的障害・精神疾患に該当する皆さんは「認知が歪んでいるよ」と指摘されたことはありますでしょうか?

例えば、発達障害の1つであるASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)では、外の世界に関心が薄く、物事を主観的に捉える傾向があるとされています。

そのため、客観的な事実を二の次にして自分の価値観や想像だけで物事を捉えがちであり、事実と自分の思考のズレが生じることが、頻繁に起こります。極端な思い込みは、ASDの人の特徴の1つとされています。

 

自身の思考の癖に気づき、フラットに世界を見れるよう、この記事で学習していただければ幸いです。

参考:デビッド・D・バーンズ 『いやな気分よ、さようなら : 自分で学ぶ「抑うつ」克服法』(2版)星和書店9、2004年4月

認知の歪みとは

私たちは、五感を通して得た情報を「認知」し、世界を理解します。

しかし、その「認知」は必ずしも客観的な事実とは限りません。

例えば、目の前にリンゴがあったとしても

  • リンゴを見たことがない人にとっては「赤い丸いもの」
  • リンゴが嫌いな人にとっては「腐敗臭がする食べ物」

このように、同じ出来事でも、個人の経験や価値観によって「認知」は大きく変わります。

認知の歪みとは、

「認知=物事の捉え方」に「歪み」がある状態を指します。

この歪みは、

  • ネガティブな感情を引き起こし
  • 問題解決を妨げ
  • 人間関係に悪影響を及ぼす

可能性があります。

歪みに気づき、修正することで、ネガティブな感情や行動をコントロールすることができます。

参考情報

 

認知のゆがみの代表的なパターン

リワークで行われる認知行動療法では、認知の歪みに気づき、捉え方のレパートリーを増やすことが目的の1つとなっています。

認知行動療法で有名なデビッド・D・バーンズは、10個の認知の歪みパターンを挙げていますが、以下の3つのグループに分けて紹介していこうと思います。

参考:認知矯正療法

参考:認知行動療法(CBT)

①マイルールによる歪み

  • 白黒志向
  • べき思考

②フィルターによる歪み

  • 心のフィルター
  • マイナス化思考
  • 拡大解釈と過小評価
  • レッテル貼り

③予測と判断の歪み

  • 過度の一般化
  • 結論の飛躍
  • 感情的決めつけ
  • 自己関連付け

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①マイルールによる歪み

「物事を判断するときの基準が極端であることが原因で生じる認知の歪み」の事を意味します。

極端な「マイルール」にで物事を判断してしまい、「全て悪い」「どんなときでも○○するべき」といった認知の偏りが生まれます。

参考:認知的技能訓練

こちらも参考に:合理的配慮とわがままの違い。具体的事例と2024年4月からの義務化について、双方で出来る工夫とは

 

白黒思考

「できた/できなかった」「いい人/悪い人」という極端な捉え方は、完璧主義と白黒思考という2つの認知の歪みが生み出す心の落とし穴です。

完璧主義の傾向が強い人は、少しのミスや失敗ですべてがダメだと考え、自分を責めてしまいます。物事や人についても、白か黒で判断したがり、ちょっとした発言や行動で相手を良い人か悪い人か決めつけてしまいます。

例:

  • 彼は時々失敗するので、能力がない人だと考える
  • 去年これといって良いことがなかったために、「最悪の一年だった」という印象を持っている

 

こうした思考パターンは、自己肯定感を低下させ、満足できることが少なくなります。

完璧主義と白黒思考を克服するには、以下のポイントが重要です。

  • 物事には必ず良い面と悪い面があることを認識する
  • 完璧を求めず、小さな成功体験を積み重ねる
  • 自分の欠点を受け入れ、改善点を見つける
  • 他人の良いところにも目を向ける
  • グレーゾーンも存在することを認める

完璧主義と白黒思考は、誰もが陥りやすい心の罠です。しかし、意識的に克服することで、より柔軟な思考と寛容な心が育まれ、より充実した人生を送ることができるでしょう。

参考:マージョリー・E・ワイスハー著『アーロン・T・ベック 認知療法の成立と展開』創元社、2009年

参考:神原広平、尾形明子「認知機能がネガティブな自動思考・スキーマに与える影響」行動療法研究41(3),215-233、2015年

べき思考

「べき思考」とは、「~すべき」や「~してはならない」といった強い義務感に囚われ、自分自身を追い詰めたり、過去の言動を悔やんだりする思考パターンです。

具体的な例

  • 自分自身への「べき思考」
    • 新入社員は入社したら少なくとも3年は働くべき
    • 母親は子どもに冷凍食品や出来合い食材を食べさせてはいけない
    • みんなに好かれないといけない
  • 他人への「べき思考」
    • 上司だったらもっと配慮すべきだ
    • あの人はもっと努力すべきだ

「べき思考」は、自分自身に対して厳しいだけでなく、他人に対しても厳しいものになりがちです。相手の行動が自分の「べき思考」に沿っていないと、イライラしたり、怒りを感じたり、落ち込んだりしてしまいます。

「べき思考」の弊害

  • 自己肯定感の低下 常に「べき」を達成しようとプレッシャーを感じ、自分自身を責めてしまうことで、自己肯定感が低下してしまいます。
  • ストレスの増加 「べき」を達成できない自分にイライラしたり、他人に憤りを感じたりすることで、ストレスが溜まってしまいます。
  • 人間関係の悪化 自分の「べき思考」を相手に押し付けたり、相手の行動を批判したりすることで、人間関係が悪化してしまう可能性があります。

 

「べき思考」から抜け出すための方法

  • 「べき思考」の正体を知る まず、「べき思考」がどのような思考パターンなのかを知ることが大切です。
  • 「べき」の根拠を検討する 本当に「べき」なのか、その根拠を冷静に検討してみましょう。
  • 「べき」を手放す 必ずしも「べき」である必要はないと意識し、「べき」を手放す練習をしましょう。
  • 「~したい」という気持ちにフォーカスする 「~すべき」ではなく、「~したい」という自分の気持ちに目を向けましょう。
  • 完璧主義をやめる 完璧を求めず、小さな成功体験を積み重ねることが大切です。
  • 自分を責めない 誰でも間違いを犯します。自分を責めるのではなく、そこから学びましょう。
  • 他人の価値観を尊重する 自分とは異なる価値観を持つ人もいることを理解し、尊重しましょう。

「べき思考」は、誰しもが陥りやすい思考パターンです。しかし、意識的に克服することで、より柔軟な思考と寛容な心が育まれ、より充実した人生を送ることができるでしょう。

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マイルールによる歪みの対処方法

自分のルールにとらわれずに行動して、その結果を検証することが重要です。

「~すべき」という自己ルールを守ろうとするのは、多くの場合、その後の出来事をコントロールしようとするためでしょう。

例えば、「みんなに好かれるべきだ」というルールを守ることで、人間関係が円滑に進む可能性が高くなります。

一度、自分の意見を表現し、相手の反応を見てから次の行動を考えると良いでしょう。

実際に行動することで、「どこまでが許容範囲か」という境界線を理解し、柔軟に対応できるようになります。

②フィルターによる歪み

ネガティブな情報にばかり注意が向いてしまうことで、認知の歪みが生じます。

私たちが身の回りに溢れている全ての情報に反応することは不可能です。例えば、空腹時には飲食店から漂う良い匂いに注意が向くように、注意の対象は心の状態によって左右されます。

うつや不安などのネガティブな気持ちのときには、特にネガティブな情報に注意が向きやすくなります。

与えられた情報を歪んで捉えてしまうことが、フィルターによる認知の歪みです。

 

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心のフィルター

ネガティブ思考は、まるで心の曇りのようなものです。悪い結果だけに注目し、良い結果を見逃してしまう心のフィルターが、私たちの思考を曇らせ、様々な問題を引き起こします。

心のフィルターの例

  • テストで90点を取れても「10点も間違ってしまった」と捉えてしまう
  • 周囲の人からの好意的な言葉を素直に受け入れられず、「本当は嫌味を言っているのではないか」と疑ってしまう
  • 過去の失敗ばかりを思い出し、将来への希望を持てない

ネガティブ思考の原因

ネガティブ思考の根底には、過去の辛い経験や、自分を守るための認知の歪みなどが潜んでいることがあります。

ネガティブ思考の弊害

ネガティブ思考は、以下のような様々な弊害をもたらします。

  • 自己肯定感の低下: 自分の良いところを見失い、自己肯定感が低下してしまいます。
  • ストレスの増加: 常に悪い結果を想定してしまうため、ストレスが溜まりやすくなります。
  • うつ病不安障害などのリスク上昇: 長期にわたってネガティブ思考が続くと、うつ病や不安障害などの精神疾患を発症するリスクが高くなります。
  • 人間関係の悪化: 周囲の人に対してネガティブな印象を抱きやすくなり、人間関係が悪化してしまう可能性があります。

こちらも参考に:障害者雇用促進法とは?企業の義務や概要、2023年4月の法改正や雇用のポイント紹介

参考:心理療法

 

心のフィルターを外すための方法

心のフィルターを外し、ポジティブ思考を育むためには、以下の方法が有効です。

  • 良い結果にも意識的に目を向ける: テストで高得点を取れたこと、周囲の人から褒められたことなど、どんな小さな良い結果でも意識的に記録しておきましょう。
  • 認知の歪みに気づく: 自分の思考パターンを客観的に分析し、認知の歪みに気づきましょう。
  • ポジティブな言葉を使う: 常にネガティブな言葉を使うのではなく、「できる」「大丈夫」などのポジティブな言葉を意識的に使うようにしましょう。
  • 感謝の気持ちを持つ: 日々の生活の中で感謝できることを書き出してみましょう。
  • 専門家の助けを求める: ネガティブ思考が深刻な場合は、カウンセラーなどの専門家に相談することをおすすめします。

 

心のフィルターは、誰にでも存在するものです。しかし、意識的に克服することで、より明るく前向きな人生を送ることができるでしょう。

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マイナス化思考

マイナス思考とは、良い結果が出たときも「これはまぐれだ」「運よく成功しただけだ」と喜べない、心のクセです。

具体的な例

  • テストで90点を取っても「どうしてあと10点が取れないのか」と自分を責めたり、「90点なんて誰でもとれる」と思って、良い結果を認められない。
  • 仕事で成果を出しても「たまたまうまくいっただけだ」と喜べず、自信を持てない。
  • 恋愛で好意を寄せられたとしても「相手は私の良いところを見ていないはずだ」と疑ってしまう。

マイナス思考の人は、自分の良いところを見失い、悪いところばかりに目が向きやすくなります。そのため、せっかくの成功体験を活かせずに、自己肯定感が低下してしまうことがあります。

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マイナス思考の原因

マイナス思考の原因は、過去の辛い経験や、認知の歪みなどが潜んでいることがあります。

マイナス思考の弊害

マイナス思考は、以下のような様々な弊害をもたらします。

  • 自己肯定感の低下: 自分の良いところを見失い、自己肯定感が低下してしまいます。
  • ストレスの増加: 常に悪い結果を想定してしまうため、ストレスが溜まりやすくなります。
  • うつ病や不安障害などのリスク上昇: 長期にわたってマイナス思考が続くと、うつ病や不安障害などの精神疾患を発症するリスクが高くなります。
  • 人間関係の悪化: 周囲の人に対してネガティブな印象を抱きやすくなり、人間関係が悪化してしまう可能性があります。

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マイナス思考から抜け出すための方法

マイナス思考から抜け出し、ポジティブ思考を育むためには、以下の方法が有効です。

  • 良い結果にも意識的に目を向ける: テストで高得点を取れたこと、周囲の人から褒められたことなど、どんな小さな良い結果でも意識的に記録しておきましょう。
  • 認知の歪みに気づく: 自分の思考パターンを客観的に分析し、認知の歪みに気づきましょう。
  • ポジティブな言葉を使う: 常にネガティブな言葉を使うのではなく、「できる」「大丈夫」などのポジティブな言葉を意識的に使うようにしましょう。
  • 感謝の気持ちを持つ: 日々の生活の中で感謝できることを書き出してみましょう。
  • 専門家の助けを求める: マイナス思考が深刻な場合は、カウンセラーなどの専門家に相談することをおすすめします。

マイナス思考は、誰にでも存在する心のクセです。しかし、意識的に克服することで、より明るく前向きな人生を送ることができるでしょう。

 

拡大解釈と過小評価

成功を小さく、失敗を大きく評価してしまう思考パターンは、「拡大解釈・過小評価」と呼ばれる認知の歪みです。

具体的な例

  • 成功体験
    • テストで高得点を取れたとしても「たまたまできただけ」「他の人が教えてくれたおかげ」と、自分の努力を認めずに成功を小さく評価してしまう。
    • 仕事で成果を上げても「これは運が良かっただけ」「上司の指示のおかげ」と、自分の能力を過小評価してしまう。
  • 失敗体験
    • 些細なミスをしただけで「自分はダメな人間だ」「もう何もかも終わりだ」と、失敗を必要以上に大きく捉えてしまう。
    • 過去の失敗をいつまでも引きずり、自己肯定感が低下してしまう。

拡大解釈・過小評価の原因

拡大解釈・過小評価の原因は、過去のトラウマや、低い自己肯定感などが潜んでいることがあります。

こちらも参考に:発達障害グレーゾーンとは?特徴や仕事探し、正確な診断、治療の可否

参考:労災

拡大解釈・過小評価の弊害

拡大解釈・過小評価は、以下のような様々な弊害をもたらします。

  • 自己肯定感の低下: 自分の良いところを見失い、自己肯定感が低下してしまいます。
  • ストレスの増加: 常に悪い結果を想定してしまうため、ストレスが溜まりやすくなります。
  • うつ病や不安障害などのリスク上昇: 長期にわたって拡大解釈・過小評価が続くと、うつ病や不安障害などの精神疾患を発症するリスクが高くなります。
  • 人間関係の悪化: 周囲の人に対してネガティブな印象を抱きやすくなり、人間関係が悪化してしまう可能性があります。

拡大解釈・過小評価を克服するための方法

拡大解釈・過小評価を克服し、より客観的な自己評価を身につけるためには、以下の方法が有効です。

  • 成功体験を記録する: テストで高得点を取れたこと、仕事で成果を上げられたことなど、どんな小さな成功体験でも記録しておきましょう。
  • 失敗から学ぶ: 失敗した原因を分析し、次回同じ失敗を繰り返さないようにしましょう。
  • 自分の良いところを見つける: 自分の長所や強みを書き出してみましょう。
  • ポジティブな言葉を使う: 常にネガティブな言葉を使うのではなく、「できる」「大丈夫」などのポジティブな言葉を意識的に使うようにしましょう。
  • 専門家の助けを求める: 拡大解釈・過小評価が深刻な場合は、カウンセラーなどの専門家に相談することをおすすめします。

成功も失敗も、人生の貴重な経験です。拡大解釈・過小評価という認知の歪みに囚われず、自分の経験から学び、より良い自分へと成長していきましょう。

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参考:精神科デイケア

レッテル貼り

「レッテル貼り」とは、自分や他人の行動の一部分だけを見て、否定的なイメージを植え付け、価値を決めつけてしまう考え方です。

この思考は、「一般化のしすぎ」がさらに偏った結果として起こります。

具体的には、仕事でミスをした時に「自分はダメ人間だ」と自信を失ったり、相手から冷たくされた時に「あの人は冷徹な人間だ」と評価したりしてしまうようなものです。

レッテル貼りは、自分自身と他人、双方に悪影響を及ぼします。

自分にレッテルを貼ってしまうと、失敗した時に「ああ、失敗した」と失敗そのものを残念に思うだけでなく、「自分はダメな人間だ」と自分の人格まで否定してしまう可能性があります。

一方、他人にレッテルを貼ってしまうと、その人を否定することに繋がり、人間関係が悪化する可能性があります。

このように、レッテル貼りは思考を狭め、視野を曇らせてしまう危険な考え方です。

自分や周囲の人間関係を守るためにも、レッテル貼りに注意し、多角的な視点を持つことが重要です。

 

③予測と判断の歪み

将来の予測と判断が極端に偏る認知の歪みの一種です。「フィルターによる歪み」と呼ばれ、情報をネガティブに受け取ることで、その後の予測や判断も偏ったものになりがちです。

過度の一般化

「過度の一般化」とは、実際には1~2回しか起きていない出来事を、あたかもいつも起きていることだと解釈してしまう認知の歪みです。

例えば、「新しい業務でミスしてしまった。今後もミスし続けるだろう」と、「い

つも」「絶対」「常に」ミスしてしまうと思い込んでしまうようなケースです。

この思考パターンは、脳が情報を処理する際に、エネルギー効率を優先するという性質から生まれます。

脳は、外部から得た情報を瞬時に判断しようと、全体像を把握しようとします。

そのため、限られた情報から推測で結論付け、あたかもそれが真実であるかのように思い込んでしまうのです。

しかし、過度の一般化は、誤った認識を生み出すだけでなく、ネガティブな思考、行動へと繋がってしまいます。

例えば、上司に書類の誤りを報告する際に、「きっと叱られる」と思い込んでしまうと、報告を躊躇したり、報告自体を避けてしまう可能性があります。

しかし、実際には上司が、叱るどころか、感謝してくれる可能性も十分にあるのです。

過度の一般化に陥っていることに気づいたら、以下の点に意識してみましょう。

具体的な状況を思い出す: 実際に起こった出来事を具体的に思い出してみましょう。

  • 過去に同様の出来事が何度あったのか?
  • すべての状況で同じ結果だったのか?

 

別の可能性を考える: 異なる視点から物事を考えてみましょう。

    • 今回の出来事には、どのような原因があったのか?
    • 今後、同じようなことが起こらないようにするために、どのような対策ができるのか?

 

根拠がない思考は捨てる: 証拠に基づいていない思考は、思い切って捨てましょう。

    • 実際に起こっていないことを、あたかも真実であるかのように思い込んでいないか?
    • 思考がネガティブな方向に偏っていないか?

 

過度の一般化は、誰にでも起こり得る認知の歪みです。

しかし、意識的に注意することで、その影響を減らすことは可能です。

自分自身の思考パターンを客観的に分析し、より健全な思考、行動へと繋げていきましょう。

こちらも参考に:発達障害者の雇用まとめ ~特性、定着率、雇用状況、採用・安定就労のポイント~

参考:障害者職業生活相談員

結論の飛躍

「心の読みすぎ・結論の飛躍」とは、根拠のないストーリーを捏造し、自分の中で不幸を完結させてしまう認知の歪みです。

具体的には、以下の2つのパターンが挙げられます。

先読みの誤り: 自分の将来などについて、根拠のない悪い結末を勝手に想像してしまう思考パターンです。

    • 例えば、「うつ病なんてどうせ治らない」と将来を悲観したり、「この仕事は失敗する」と決めつけてしまったりします。

 

心の読みすぎ: 他人の言動や表情から、根拠のない悪い感情を読み取ってしまう思考パターンです。

    • 例えば、愛想の良い上司が挨拶を返してくれなかった場合、「挨拶を返してくれないのは、何か悪いことをしたからだ」と解釈し、相手を避けてしまうことがあります。

 

いずれの場合も、根拠のない思い込みや決めつけが、ネガティブな思考、行動へと繋がってしまいます。

心の読みすぎ・結論の飛躍に陥っていることに気づいたら、以下の点に意識してみましょう。

根拠を確認する: 自分の考えに根拠があるかどうか、客観的に判断してみましょう。

    • 実際にそのような出来事が起こったことがあるのか?
    • 他の可能性は考えられないか?

 

別の視点から考える: 異なる視点から物事を考えてみましょう。

    • 今回の出来事には、どのような原因があったのか?
    • 今後、同じようなことが起こらないようにするために、どのような対策ができるのか?

 

思い込みを手放す: 根拠がない思考は、思い切って手放しましょう。

    • 実際に起こっていないことを、あたかも真実であるかのように思い込んでいないか?
    • 思考がネガティブな方向に偏っていないか?

 

心の読みすぎ・結論の飛躍は、誰にでも起こり得る認知の歪みです。

しかし、意識的に注意することで、その影響を減らすことは可能です。

自分自身の思考パターンを客観的に分析し、より健全な思考、行動へと繋げていきましょう。

こちらも参考に:精神疾患で障害年金をもらえない人の条件と特徴。就労中でも貰えるか?

参考:特定理由離職者

 

感情的決めつけ

「感情的決めつけ」とは、感情を根拠に物事を判断し、決めつけてしまう認知の歪みです。

具体的には、以下の2つのパターンが挙げられます。

自分の感情を事実と混同する: 自分が何かを感じたからといって、それが必ずしも真実であるとは限りません。

    • 例えば、「Aさんと話しているとむかつく気持ちになったから私のことが嫌いなんだ」と判断してしまうような場合です。
    • 実際には、Aさんが疲れていただけなのか、単に機嫌が悪かっただけなのかもしれません。

 

感情で極端な対応をしてしまう: 感情的になると、冷静な判断ができなくなり、極端な行動を取ってしまうことがあります。

    • 例えば、「自分は○○に向いていない」と感じたら、そのことに挑戦することを諦めてしまうかもしれません。
    • しかし、実際には努力すれば克服できる可能性もあったのです。

 

感情的決めつけは、不安、自信喪失、人間関係の悪化など、様々な問題を引き起こす可能性があります。

感情的決めつけに陥っていることに気づいたら、以下の点に意識してみましょう。

自分の感情を客観的に観察する: 自分がどのような感情を抱いているのか、冷静に観察してみましょう。

    • いつ、どのような状況で、その感情が湧いてくるのか?
    • その感情は、必ずしも真実を反映しているとは限らないことに注意しましょう。

 

別の視点から考える: 異なる視点から物事を考えてみましょう。

    • 今回の出来事には、どのような原因があったのか?
    • 今後、同じようなことが起こらないようにするために、どのような対策ができるのか?

 

感情に流されずに行動する: 感情に流されず、冷静な判断に基づいて行動しましょう。

    • どうしても難しい場合は、信頼できる人に相談してみるのも良いでしょう。

 

感情的決めつけは、誰にでも起こり得る認知の歪みです。

しかし、意識的に注意することで、その影響を減らすことは可能です。

自分自身の思考パターンを客観的に分析し、より健全な思考、行動へと繋げていきましょう。

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自己関連付け

「自己関連付け」とは、自分でコントロールできない出来事を自分の責任だと考えてしまう認知の歪みです。

例えば、同僚がミスをした際に「自分の伝え方が悪かった」と考える、会社でトラブルがあった際に「自分がもっと気を付けていれば」と自分を責めるなどが当てはまります。

自己関連付けは、以下のような特徴があります。

  • 些細な出来事でも自分の責任だと考えてしまう: 子供が転んで怪我をした際にも、「もっと注意していれば」と自分を責めてしまうことがあります。
  • 悪い出来事が起こった原因を自分だけに求めてしまう: トラブルが発生した際、自分の責任ではない部分も含めて、すべて自分の責任だと考えてしまうことがあります。
  • 誰かに謝罪したり、埋め合わせをしようとする: 自分が悪いことをしたと思い込んで、必要以上に謝罪したり、埋め合わせをしようとしたりします。

 

自己関連付けは、以下のような問題を引き起こす可能性があります。

  • 罪悪感や自己嫌悪に陥る: 常に自分の責任だと考えてしまうため、罪悪感や自己嫌悪に陥りやすくなります。
  • うつ状態や不安障害などの精神疾患のリスクが高まる: 自己関連付けは、うつ状態や不安障害などの精神疾患のリスクを高めることがわかっています。
  • 周囲の人間関係が悪化する: 常に自分を責めている人は、周囲の人から理解されにくく、人間関係が悪化してしまうことがあります。

 

自己関連付けに陥っていることに気づいたら、以下の点に意識してみましょう。

  • 本当に自分の責任だったのか考えてみる: 何か悪いことが起こった際、本当に自分の責任だったのか冷静に考えてみましょう。
  • 他の可能性も考える: 悪い出来事が起こった原因は、自分以外にもある可能性があります。他の可能性についても考えてみましょう。
  • 自分自身を責めすぎない: 自分が悪い部分があったとしても、必要以上に自分自身を責めないようにしましょう。
  • 必要に応じて専門家に相談する: 自己関連付けが日常生活に支障をきたしている場合は、専門家に相談することを検討しましょう。

 

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認知の歪みを治す方法

誰しも少なからず認知の歪みを持っています。認知の歪みがあるからといって必ずしも治さなければならないわけではありません。生きづらさを感じたり、常に苦しさを感じたりしている人が、その原因や解決策を見つけやすくするための手段の一つと考えるのが良いでしょう。

では、自分でも治したいと思うほどに認知の歪みがあると感じた場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。

参考:心理学用語集サイコタム監修『教養としての心理学 101』デルタプラス編集部、2020年

参考:福井至・貝谷久宣監修『そのストレスや落ち込み、「思考のクセ」が原因です 図解 認知のゆがみを直せば心がラクになる』扶桑社、2018年

参考:井上和臣『認知療法の世界へようこそ うつ・不安をめぐるドクトルKの冒険』岩波書店、2007年

 

周りに認知のゆがみを持つ人がいたら、どう対応すればいい?

周囲に認知の歪みを抱える人がいる場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。

ストレス・マネジメント研究者の船木彩乃氏は、他者から精神的に傷つくようなことを言われた場合、その人の発言に客観的な証拠があるかどうかを確認するよう提案しています。感情的に反応するのではなく、相手が認知の歪みを抱えているかどうかを見極めることが重要です。

船木氏は、以下の3つのポイントを念頭に置いてコミュニケーションを取ることを勧めています。

 

  1. 「なぜそう思うの?」と質問し、客観的な事実との乖離がないか確認し、誤解が生じているかどうかを共有する。
  2. メールなどで記録として残し、その際は客観的な事実に基づいた内容のみを書く。
  3. 客観的な事実に基づいて話を進め、感情で反応しない。

 

推論や感情から発する言動に対して感情的に反応すると、衝突ばかりで結論や解決には至りません。確認可能な事実を中心に会話を進め、必要に応じて記録を取るなどして対処しましょう。

引用:「すぐに傷つく、キレる…職場の『取扱注意な人』3つの対処法」ダイヤモンドオンライン

 

まとめ

近年、「認知の歪み」は個性や特性として捉えられるようになり、以前ほど耳にする機会も減ってきました。しかし、ご紹介した代表的な指標は、自分自身をより深く理解し、生きづらさを解消するために非常に有効です。

認知の歪みには、今回紹介したもの以外にも様々なパターンが存在します。

自分自身の考え方のクセに気づき、より健全な思考、行動へと繋げていきたい方は、認知行動療法やカウンセリングの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

専門家のサポートを受けることで、認知の歪みに対する理解を深め、より効果的に克服することができます。

こちらも参考に:カウンセラーマッチングサービス「マイメンタルヘルス現在コンシェルジュへの相談を無料で運営中!

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