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パーソナリティ障害(人格障害)の特徴、種類、診断、治療について

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「パーソナリティ障害」とは?

まず、パーソナリティとは、その人に比較的固定した、物事の捉え方、思考および行動のパターンを意味します。これは、眼鏡に喩えると理解しやすいかも知れません。

パーソナリティとは、人が生まれたときからかけていて、はずすことのできない眼鏡です。この眼鏡のレンズには、その人その人の歪みがあります。人は常に自分の眼鏡越しに現実を見ているため、自分は現実をありのままに捉え、その中で思考し行動していると思っています。

ところが、傍から見ている人にしてみると、如何にもその人らしい物事の捉え方をしており、その捉え方に沿って思考し行動しているということになります。こうした眼鏡のレンズの歪みが、その人の属している文化から期待される範囲内にある限り、その歪みは「その人らしさ」とか「個性」と呼ばれます。

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この歪みが文化の許容範囲を超えて柔軟性がなく極端な場合、つまり何を見ても同じように受け取り、ワンパターンで極端な思考と行動が繰り返され、さらにその認知、思考、行動が長期間にわたりさまざまな対人関係場面において広範囲にみられるとき、そのパーソナリティは障害されていると考えます。

パーソナリティ障害は自分自身や他者との対人関係において表現されるため、自分自身に対して何かある度に「自分は一人では何もできない」と考えたり、他者に対して「この人もきっと自分のことを嫌いになるに違いない」と思ったりして、その認知に従って行動したりするという具合です。

次に、パーソナリティ障害は、大多数の人とは違う反応や行動をすることで本人が苦しんだり、周囲が困ったりする場合に診断されます。

認知(ものの捉え方や考え方)、感情のコントロール、対人関係といった種々の精神機能の偏りから生じるものです。「性格が悪いこと」を意味するものではありません。

パーソナリティ障害には、他の精神疾患を引き起こす性質があります。それらの精神疾患が前面に出ることが多いことから、パーソナリティ障害は、背後から悪影響を及ぼす黒幕のような障害とも言えます。治療を進めるためには、患者と治療スタッフとが協力して問題を認識し、対策を検討することが重要です。この障害は経過中に大きく変化することや治療によって改善する可能性が高いことが、最近の研究で示されています。

「最後に、「パーソナリティ障害」とは、「人格障害」と同じことを意味しています。「パーソナリティ(機能)障害」と呼ぶことで、誤解を招きにくいため、そのように示しています。

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パーソナリティ障害の特徴

パーソナリティー障害は様々な種類があることで知られていますが、共通点はあるのでしょうか?どのような共通した特徴があるのか下記にあげてみました。

考え方の偏りが大きい

多くの人がこう考えるだろうというような枠から大きく反れており、ものの考え方に偏りがあったり、柔軟性がなく別の考え方を容易に受け入れられません。このようなパーソナリティ障害に苦しむ人は、生きづらさを強く感じ、さらにはうつ病、社交不安障害、依存症などの他の精神障害との合併や併存が見られることがあります。他の精神障害が絡むケースでは、実際に医療機関を受診する機会が増えることが一般的です。

参考:社交不安障害とは?

パターンにこだわる

臨機応変な対応が苦手で、いつでも誰に対しても極端に偏った対応をし続けます。

「自分のことを他者に分かってもらえない」という虚しさやうまくいかないといった感覚を覚えます。他者はその問題行動に振り回されたり責められたりして大変な思いをします。

これらによって、対人関係がスムーズにいかずに多くのトラブルを招いてしまいます。

特定の原因がない

はっきりとした原因は特定されていませんが、思春期から青年期(18歳以上)頃より、パーソナリティ障害の傾向が現れるとされています。個々の問題行動に振り回され、対人関係が難しくなり、多くのトラブルが生じることがあります。

パーソナリティ障害は、遺伝子と環境の相互作用によって発症します。つまり、一部の人は生まれつきパーソナリティ障害になりやすい遺伝的な傾向を持っており、その傾向が環境的な要因によって影響を受けることがあります。遺伝子と環境の寄与はほぼ同じくらいとされています。

生まれ持った要因として、同じ親から生まれていても、兄弟姉妹では性格が異なります。個々の傾向や性格はある程度定まっており、脳の発達障害も影響を与える可能性があります。発達障害が全てパーソナリティ障害につながるわけではありませんが、幼少期の症状が適切に治療されなかった場合、パーソナリティ障害と診断されることがあります。

また、親の関わり方や家庭環境、社会の状況や時代背景も重要な影響を与えます。競争や自由が強調される一方で、道徳や社会のルールが軽視される傾向がある社会背景が、パーソナリティ障害に関与する可能性が考えられます。

急激な変化がきっかけとなり、柔軟に対応できないために表面化することもあります。親しい人との別れや大きな失敗体験が、パーソナリティ障害の発症を促す要因となることがあります。

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パーソナリティ障害の種類

大きく分けて3つの群に分けられます。複数のパーソナリティー障害に掛かることもあります・

A群パーソナリティ障害

風変わりな考え方や行動が特徴的で、一般的には「変わっている」と見られることが多いのが、特定のパーソナリティ障害のタイプです。このタイプは、統合失調症に類似した傾向が見られ、本人が自らの異常に気づかないことがしばしばあり、そのため治療を受けることが少ない特徴があります。

妄想性パーソナリティ障害

この特定のパーソナリティ障害のタイプは、「他人が自分へ悪意を抱いている」といった他者への不信感や猜疑心が非常に強く表れる傾向があります。自分の行動や信念を正当化し、周囲の出来事や他者の行動を自分に対する悪意として解釈しやすい特徴があります。他人に利用される可能性を強く感じ、仲が良くても個人の情報を教えることに抵抗を示すことがあります。些細な言葉や行動に対しても、自分をけなされたり脅されたりする意図があると考えることがあります。例えば、店員の無意識の過失を故意に自分をだます試みだと解釈し、怒りを感じることがあります。友達の冗談が理解されず、自分の個性が否定されたと感じることもよくあります。

シゾイドパーソナリティ障害

シゾイドパーソナリティ障害は、個人の感情や他者との関わりを回避し、孤立を好む傾向が特徴的なパーソナリティ障害の一つです。以下に、シゾイドパーソナリティ障害の主な特徴を示します。

  1. 感情の冷淡さ: 感情を表現することが難しく、他者との感情的なつながりを築くことを避ける傾向があります。冷淡で無表情な態度が目立ちます。
  2. 孤立と社会的な距離: 他者との社会的な接触や親密な関係を避け、一人でいることを好みます。孤独感を感じずに、独自の世界に没頭することがあります。
  3. 情緒の制御の難しさ: 感情を制御することが難しく、冷淡で無関心な態度を示すことがあります。他者の期待や感情に対する反応が乏しいことがあります。
  4. 社会的な鈍感: 社会的な規範や暗黙のルールに敏感ではなく、他者とのコミュニケーションでの不器用さが見られます。他者の感情や期待に理解を示すことが難しい場合があります。
  5. 楽しみや関心の乏しさ: 他者との交流や活動に対する関心が薄いことがあります。特定の趣味や楽しみがないか、乏しい場合があります。
  6. 冷静で論理的な思考: 感情が抑制されがちな一方で、冷静で論理的な思考が目立つことがあります。感情的な揺れ動きが少ないため、客観的な視点を保ちやすいです。

シゾイドパーソナリティ障害は、個人が自らの世界に引きこもりがちであるため、他者との親密な関係やコミュニケーションが難しいとされています。

統合失調型パーソナリティ障害

統合失調型パーソナリティ障害は、一般的な特定の精神病理学的な症状が見られるわけではないものの、一貫して異常な行動や奇妙な信念、異常な感情の体験を含む特殊なパーソナリティ特性が現れる精神障害の一種です。以下に、統合失調型パーソナリティ障害の主な特徴を示します:

  1. 異常な信念や妄想: 現実とかけ離れた奇妙な信念や妄想が見られることがあります。これらの信念は通常、他の人には理解しづらいものであり、患者自身もそれを強く信じることがあります。
  2. 異常な知覚や思考の歪み: 現実に対する異常な知覚や思考の歪みが見られることがあります。例えば、一般的な刺激に異常な反応を示すことがあります。
  3. 社会的な引きこもり: 他者との親密な関係を避け、孤立する傾向があります。社会的な交流が難しくなることがあります。
  4. 感情の制御の難しさ: 感情を適切に制御することが難しく、表情や情緒の変動が乏しいことがあります。
  5. 異常な行動や服装: 他者からは奇妙な行動や服装と見なされることがあります。これらの行動は患者自身には合理的に感じられることもあります。
  6. 変わった言動: 言動が通常と異なり、他者とのコミュニケーションが難しくなることがあります。独自の言葉や語り口が見られることがあります。

統合失調型パーソナリティ障害は、統合失調症とは異なり、特定の幻覚や妄想が支配的ではない点が異なります。

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参考:精神病理学とは?

B群パーソナリティ障害

感情が激しく、不安定なパーソナリティ障害は、一般的に自分自身に対するイメージや気持ちが安定せず、行動が急激で劇的な特徴を持つ障害です。このタイプの障害では、感情の変動が大きいため、周囲の人々がその波に巻き込まれることがよくあります。

反社会性パーソナリティ障害

反社会性パーソナリティ障害は、一般的には他者の権利を尊重せず、社会規範や法律を無視する傾向がみられるパーソナリティ障害の一種です。この障害を持つ人々はしばしば他者を欺き、詐欺や嘘をつくことがあります。また、衝動的で攻撃的な行動、責任を取らない傾向、規則を破ることに対する無頓着さが特徴的です。このような行動が持続的であり、かつ成人期に発現する場合、反社会性パーソナリティ障害として診断されることがあります。

境界性パーソナリティ障害

境界性パーソナリティ障害(BPD)は、感情の安定性や自己のイメージに問題があるパーソナリティ障害の一つで「ボーダー」と呼ばれることもあります。以下に、BPDの主な特徴をいくつか挙げてみましょう。

  1. 感情の不安定性: 突然の感情の変動が見られ、喜怒哀楽が激しく変化します。怒りっぽい一方で、悲しみや空虚感に襲われることがあります。
  2. 不安定な人間関係: 対人関係が安定せず、過度な依存や急激な敵対的態度が見られることがあります。友情や愛情の試練が多いです。
  3. 自己イメージの不安定性: 自分自身に対するイメージが不安定で、自己評価が急激に変わります。自分を見失う感覚があります。
  4. 自己傷害や自殺傾向: ストレスや感情の波に乗り切れず、自傷行為や自殺念慮が現れることがあります。
  5. 空虚感: 空虚感や孤独感が頻繁に生じ、それを埋めるために刺激を求めることがあります。
  6. 急激な行動や衝動的な行為: 金銭の浪費、危険な行動、食欲の乱れなど、衝動的で計画性のない行動がみられることがあります。

BPDは非常に複雑な障害であり、専門的な治療やサポートが必要です。認知行動療法や精神動態療法などが一般的に利用されます。早期の診断と適切な治療が、症状の軽減や患者の生活の質の向上に役立つことがあります。

参考:認知行動療法とは?

参考:精神動態療法とは?

演技性パーソナリティ障害

演技性パーソナリティ障害(Histrionic Personality Disorder)は、感情の表現が過剰で劇的であり、注目を浴びることを求める傾向が強いパーソナリティ障害です。以下に、演技性パーソナリティ障害の主な特徴をいくつか挙げてみましょう

  1. 感情の表現が過剰: 感情や感情の表現が劇的であり、個々の出来事に対しても過度な反応が見られます。感情が表面的で変化が激しいことが特徴的です。
  2. 注目を浴びることへの執着: 自分を注目の的にすることを求め、常に注目を浴びることが重要だと感じます。他者からの評価や承認に強く依存する傾向があります。
  3. 外見への過度な注意: 外見に過度な注意を払い、魅力的であるように見せることに重点を置きます。服装や容姿に対する過度な気遣いが見られます。
  4. 関係の浅さ: 関係が表面的で深みがなく、他者との交流が感情的に深まりにくい傾向があります。親しい関係が続かないことがあります。
  5. 言葉遣いが劇的: 話し方が劇的で華やかであり、話す内容が感傷的であることがあります。また、話の中心が自分になることがよくあります。
  6. 注意を引くための振る舞い: 目立つ行動や感情的な表現を通じて、他者の注目を引こうとします。また、振る舞いや外見にセクシュアルな要素を強調することがあります。

演技性パーソナリティ障害は、個人の生活や仕事、対人関係に支障をきたすことがあり、精神保健専門家による評価と治療が必要です。認知行動療法や心理療法が一般的に用いられます。

自己愛性パーソナリティ障害

自己愛性パーソナリティ障害(Narcissistic Personality Disorder)は、自己愛や自己優越感が極端に強調され、他者との対人関係において問題が生じるパーソナリティ障害の一つです。以下に、自己愛性パーソナリティ障害の主な特徴をいくつか挙げてみましょう:

  1. 自己優越感: 強調された自己優越感があり、自分は特別で優れていると信じています。他者よりも優れた存在であるという自己評価が非常に高いです。
  2. 他者への過度な期待: 自分の期待に他者が応えないと、失望や怒りを感じることがあります。他者に特別な扱いを求め、自分が重要だと感じさせることが重要です。
  3. 他者の感情への無関心: 他者の感情やニーズに対する無関心が見られることがあります。他者が感じていることに理解を示すことが難しく、自分の感情が中心となります。
  4. 過度な期待: 過度な期待や要求があり、特に成功や名声、富、特別な扱いなどが自分に与えられるべきだと考えます。他者に対しても同様の成功や特別な扱いを期待します。
  5. 他者の利用: 他者を利用することがあり、自分のニーズや目的のために他者を操ることがあります。他者との対人関係が利用や依存の側面を帯びることがあります。
  6. 感情の浮き沈み: 自分の評価が揺れ動くことがあり、他者の評価や反応に過度に敏感です。自分に対する評価が低いと、怒りや無関心になることがあります。
  7. 共感の不足: 他者の感情に共感することが難しく、他者の立場や視点を理解することが苦手です。自分の感情やニーズが優先されることが一般的です。

自己愛性パーソナリティ障害は、他者との対人関係において問題を引き起こすことがあり、精神保健専門家による評価と治療が必要です。治療のアプローチには、認知行動療法や対人関係療法が一般的に用いられます。

C群パーソナリティ障害

感情が不安定である特定のタイプのパーソナリティ障害が存在し、この中には分類不能のパーソナリティ障害も含まれます。このカテゴリには、感情の不安定さが特徴で、しばしば他の特定のパーソナリティ障害との境界が曖昧な状態が見られます。特に、このタイプは多くの日本人に当てはまると言われています。

回避性パーソナリティ障害

回避性パーソナリティ障害は、主に社交不安症とも関連付けられる一種のパーソナリティ障害です。この障害の特徴的な要素は、社会的な不安や自己評価の低さが強く現れ、新しい人間関係の構築や社交的な場面を避ける傾向があります。具体的には以下のような特徴が挙げられます。

  1. 過度な自己評価の低さ: 本人は自らの価値を極端に低く評価し、他者と比較して劣っていると感じることが一般的です。
  2. 否定的な自己評価への恐れ: 自分を他者にさらすことや、自分自身の弱点や欠点を他者に知られることを極端に避ける傾向があります。
  3. 新しい人間関係の回避: 新しい人間関係を築くことや社交的な場面を避け、他者との親密なつながりを築こうとしないことがあります。
  4. 極度な不安: 社交的な場面や他者との関わりに対して極度な不安を感じ、それを避けるために行動します。
  5. 仕事や学業上の成果に対する過度な不安: 成果に対する恐れから、新しい仕事や学業上のチャレンジを避けることがあります。
  6. 自己孤立: 避けることで自らを孤立させ、他者とのコミュニケーションが極端に制限されることがあります。

回避性パーソナリティ障害の症状は、一般的な社交不安症とも重なりますが、回避性パーソナリティ障害はより広範な人間関係全般において回避の傾向が見られ、日常生活全体に影響を及ぼします。これにより、仕事や学業、個人生活において支障が生じる可能性があります。なお、診断や治療は専門の医療機関で行われるべきです。

依存性パーソナリティ障害

依存性パーソナリティ障害は、主に他者への極端な依存や過度な承認欲求が特徴的なパーソナリティ障害の一つです。以下は、依存性パーソナリティ障害の主な特徴です。

  1. 他者への強い依存: 本人は他者に強く頼り、一人で行動することが難しいと感じることがあります。他者がいないと不安を感じ、孤独を避けるために常に他者と一緒にいたがります。
  2. 意見や判断の自己否定: 他者の意見や判断を過度に重視し、自分の意見や判断を軽視する傾向があります。他者の期待に応えようとして、自分を犠牲にすることがあります。
  3. 承認欲求の強さ: 自分の存在や行動に対する他者の承認が非常に重要と感じられ、そのためには何でも我慢し、自分を犠牲にすることも厭わないことがあります。
  4. 分離不安: 他者と離れることが非常に難しく、離れることで強い不安や恐怖を感じることがあります。これが影響して、健康的な個別性や自己主張ができないことがあります。
  5. 恐れや不安に基づく過度な配慮: 他者との関係で何か問題が生じることを極端に恐れ、そのために他者の意向に逆らわず、過度な配慮や適応を行うことがあります。
  6. 自分の生活や意思決定の放棄: 他者に完全に頼りすぎ、自分の生活や意思決定を犠牲にすることがあります。これが進行すると、他者がいないと何も決断できなくなることがあります。

依存性パーソナリティ障害の影響により、本人は自己主張や独立性を保ちにくく、他者との関係での依存が非常に強調されます。診断や治療は、専門の医療機関で適切な専門家によって行われるべきです。

強迫性パーソナリティ障害

強迫性パーソナリティ障害(Obsessive-Compulsive Personality Disorder, OCPD)は、主に規則や秩序への過度な執着、完璧主義、仕事や生産性への過度な重視などが特徴的なパーソナリティ障害の一つです。以下は、強迫性パーソナリティ障害の主な特徴です。

  1. 規則や秩序への執着: 強迫性パーソナリティ障害のある人は、物事や生活に対して極端な秩序を求めることがあります。規則や計画に従わないことが許容できず、他者にも同様の要求を押し付けることがあります。
  2. 完璧主義: 自分や他者に対して非常に高い基準を課し、完璧を求める傾向があります。小さな詳細にまでこだわり、自分の仕事やプロジェクトが絶対的な完成度を持つことを求めることがあります。
  3. 仕事や生産性への過度な重視: 仕事や生産性に対する異常な執着があり、労働時間が非常に長くなることがあります。絶え間ない働きへの追求や業績への過度な期待が見られます。
  4. 柔軟性の欠如: 強迫性パーソナリティ障害のある人は、計画や方法を変更することに抵抗し、柔軟性が不足していることがあります。予定外の変更や不確実性への不安が強いです。
  5. 感情の抑制: 感情表現が制限され、冷静で理性的な振る舞いが目立ちます。感情を抑え込むことで、周囲に対して冷たい印象を与えることがあります。
  6. 社交的な関係での難しさ: 他者との関係でコミュニケーションや感情表現が難しく、規則や秩序に沿わない他者との交流が困難と感じることがあります。

強迫性パーソナリティ障害は、強迫症(Obsessive-Compulsive Disorder, OCD)とは異なり、強迫的な思考や行動が具体的な症状として現れるわけではありません。しかし、強迫性パーソナリティ障害のある人も自分の基準にこだわり、他者にも同じ標準を求める傾向があります。診断や治療は、専門の医療機関で適切な専門家によって行われるべきです。

パーソナリティ障害の原因

生まれ持った要因や発達障害からの二次障害や環境の変化など様々な要因があります。

  1. 生まれ持った要因: 同じ親から生まれていても、兄弟姉妹では性格が異なります。好奇心や傷つきやすさなどの傾向は生まれつきのものと考えられています。
  2. 脳の発達障害: 子どもの脳が成長する際に生じる発達障害が関与することがあります。ADHDや学習障害などがパーソナリティ障害と結びつくことがあります。
  3. 環境・育て方: 親の関わりだけでなく、両親の関係や育った環境も影響します。健全な環境での成長がパーソナリティの形成に重要です。
  4. 社会状況・時代背景: 社会の価値観やルールが影響を与えます。現代社会の競争や自由の重視が、パーソナリティ障害の発症に影響する可能性があります。
  5. 急激な変化: 突然の変化や大きな失敗体験に柔軟に対応できないことが、パーソナリティ障害が表面化するきっかけになることがあります。

これらの要因が相互に作用し合い、個々の状況によって異なる結果を生むことが理解されています。

パーソナリティ障害と心の成長過程について

パーソナリティ障害とは、思春期までに形成された、人格の歪みや偏りによって、社会生活や対人関係に支障をきたす状態です。私たちの心がどのように成長するのか、その過程を知ることがパーソナリティ障害を知るポイントになります。

0~1歳頃:身近な人の共感を感じる

子どもの安心感と満たされる感覚を育むためには、親(または親に代わる人)が子どもの気持ちに寄り添うことが大切です。

子どもは、自分の気持ちを言葉でうまく表現できないことがあります。そんなとき、親が子どもの気持ちを察してあげることで、子どもは「自分のことが理解されている」という安心感を得ることができます。

また、子どもの興味や関心を尊重し、それを一緒に楽しむことで、子どもは「自分は愛されている」という満たされる感覚を得ることができます。

1~2歳頃:自分の世界の拡張

外の世界で怖い思いをしたり、小さな失敗をしたとき、子どもは不安や自信喪失を感じやすくなります。そんなとき、親が子どもの気持ちを理解し、受け止めてあげることで、子どもは安心感を深め、再び外の世界に挑戦することができます。

3歳~:色々なことを学ぶ

自分のことは自分でする自主性やみんなと協力する協調性、「しつけ」「がまん」「甘え」などは社会で生きていくために必要な第一歩となります。小さな失敗や挫折を繰り返し経験することで、心はしなやかに強く育ちます。

学童期・思春期:「力のある大人」の存在が成長に不可欠

子どもは、できること・できないこと、しなくてはならないことを経験的に学ぶことで、周りが何でもやってくれる幼い自分から、一人で生きていくための力を身につけていきます。

学童期には、社会や大人の存在に気付き、大人を尊重し、協力していくことを学びます。思春期には、大人も完璧ではないことを知り、自分も失敗や挫折を乗り越えながら、等身大の自分を受け入れていくように成長していきます。

パーソナリティ障害の治療・支援

パーソナリティ障害は、脳の神経伝達物質のバランスが乱れることで引き起こされると考えられています。しかし、パーソナリティ障害そのものを直接治療する薬は、現時点では開発されていません。そのため、パーソナリティ障害の治療には、心理療法が中心となります。心理療法では、患者が自分自身のパーソナリティや行動パターンを理解し、より適応的な思考や行動を身につけていくことを目指します。

パーソナリティ障害の患者の中には、二次的に気分障害や不安症などの症状を併発する場合があります。これらの症状に対しては、抗精神病薬・気分安定薬・抗うつ薬などの薬物療法が用いられることもあります。しかし、これらの薬はパーソナリティ障害そのものを治療するものではなく、部分的な効果しかなく、副作用が目立つため、推奨はされていません。

パーソナリティ障害と引きこもり

パーソナリティ障害と引きこもりは、相互に影響し合う関係にあると考えられています。引きこもりが長期間続くと、パーソナリティ障害の症状が悪化することがあります。例えば、回避性パーソナリティ障害の人は、社会との接点が減ることで、他人とのコミュニケーション能力が低下し、ますます人前に出ることを恐れるようになります。また、境界性パーソナリティ障害の人は、社会とのつながりが切れることで、孤独感や不安感が増し、ますます激しい感情を抱くようになります。

パーソナリティ障害による引きこもりへの悪影響

パーソナリティ障害の特徴である対人関係の障害や、感情のコントロールの困難さなどは、引きこもりを悪化させる要因となります。例えば、回避性パーソナリティ障害の人は、他人からの評価を過度に気にするため、外出や人と会うことをさらに恐れるようになります。また、境界性パーソナリティ障害の人は、感情のコントロールがさらに難しくなり、激しい怒りや不安をきっかけに、引きこもりがさらに深まってしまうことがあります。

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