双極性障害の方への接し方
双極性障害は、気分が高揚したり、逆に落ち込んだりするなど、極端な気分の波を繰り返す脳の病気です。ご家族や身近な方にとっては、激しい興奮状態だけでなく、うつ状態での無気力や身体の不調など、様々な困難な状況に直面することが多く、大変な思いをされていることと思います。
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双極性障害の期間の3~5割は、うつ状態が占めるとされています。その間は本人にとっては長くて辛いものですが、一転して躁状態になると、本人はエネルギーに満ちて調子がいいと感じます。
家族にとっては、患者さんの激しい興奮状態は非常に辛いものです。そのため、「うつ状態の方がまだマシなのではないか」と、ついつい思ってしまうこともあるかもしれません。
医師によっては、「少し気分が落ち込んでいる状態の方が、社会生活を送る上では安定している」と話す方もいるでしょう。このように、患者さんご本人と家族の間で、病気に対する認識に違いが生じることがあります。このような状況は、治療を進める上でも大きな課題となります。そこで、双極性障害の方との接し方について、以下にご紹介します。
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患者さんとご家族の認識の違い
家族にとっては、患者さんの激しい興奮状態は非常に辛いものです。そのため、「うつ状態の方がまだマシなのではないか」と、ついつい思ってしまうこともあるかもしれません。一方、患者さん自身は、うつ状態の辛さを感じながらも、躁状態の時の高揚感を忘れられず、その状態を軽視してしまうことがあります。
このような、家族と患者さんとの間での認識のずれは、家庭内に大きなストレスを生み出し、病気を悪化させてしまう可能性があります。そうならないためにも、あらかじめよく話し合い、お互いの気持ちを理解し合うことが大切です。
また、双極性I型とII型では病状が異なるため、治療法も異なります。医師には、患者さんの状態に合わせた適切な治療をしてもらうことが重要です。
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大切な家族を守るために
双極Ⅱ型障害に関する正しい理解は、患者と接する際に最も重要です。この障害がどのような状態をもたらすのか、その症状が具体的にどのようなものかを理解することが大切です。
周囲の人々は患者の急激な変化に戸惑うこともありますが、これらの変化が双極性障害の症状であることを認識していれば、冷静に対応することができます。また、患者の意思では状態をコントロールすることが難しいことを理解していることで、感情的にならずに適切な対応ができるでしょう。このような正しい理解が、双極性障害の方々への適切な接し方を考える上で重要です。
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再発の兆しに気づく
本人と家族で躁状態の初期症状や再発の引き金となりやすいストレスについて振り返り話し合うことが重要です。再発の際には個人によって症状が異なるため、これまでの経験を踏まえて注意深く検討しましょう。
患者自身が病気であると認識していない場合もあり、家族が異変に気付いたり再発の兆候を見つけたりした場合は、すぐに主治医と相談することが必要です。それぞれの状況に適した対応を取るため、関係者間でのコミュニケーションが重要です。
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自殺のサインはないか
双極性障害の方は、自死に至るケースが少なくありません。自殺は病気の症状によるものであり、希死念慮が強くなることもあります。そのため、自殺の前兆を見逃さないように心がけ、関係者が適切なサポートを行うことが重要です。
双極性障害の患者で自殺に至るケースがあるため、自殺のサインを見逃さないように注意が必要です。特にうつ状態において希死念慮が強くなる傾向があるため、異変に気付いた場合は速やかに主治医に相談しましょう。自殺は本人の意志とは異なる病気の影響で生じることもあります。
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自殺のサイン
これらは双極性障害の方が自殺を考えている可能性があるサインです。
・「死にたい」「消えてしまいたい」「遠くへ行きたい」と口にする
・自殺の準備を始める、遺書を書く
・周囲の人に別れや感謝の気持ちを伝え、大切なものを手渡す
・身の回りの物を整理する
・無謀な行動をとる
・過度の飲酒
これらの兆候が見られる場合は、すぐに専門家や主治医に相談して予防策を立てることが重要です。
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自殺の危険を高める因子
以下の要因は、双極性障害の方が自殺を考える可能性を高めるものです。
・過去に自殺未遂を起こしたことがある
・身近な人を自殺で亡くした経験がある
・最近に近親者が亡くなった
・最近に有名人や知人が自殺した
・経済的に大きな損失を被った
・本人をサポートしてくれる家族や友人がいない
これらの要因が当てはまる場合は、特に注意が必要です。周囲の方々は、これらの要因が見られる場合には一層注意深く接するよう心掛けましょう。
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双極性障害と上手に付き合っていくために
双極性障害と上手に付き合っていくためにはどのような生活を送れば良いのでしょうか?以下の項目で生活の注意点を書いていますので参考にしてください。
まずは生活のリズムを整える
双極性障害の方には、生活リズムを整えるための協力が大切です。特に、徹夜や睡眠不足は躁状態につながることがあります。そのため、睡眠時間をしっかり確保するように心がけることが重要です。また、適度な運動や健康的な食事も積極的に取り入れることが推奨されています。周囲のサポートも欠かせません。
また、生活リズムの乱れは双極性障害の症状を悪化させることがあります。そのため、定期的な睡眠時間や服薬などを確認することが重要です。特に、患者自身が躁状態にいるときは自己認識が難しい場合がありますので、周囲が適切なサポートを行うことが必要です。
生活リズムを保つためには、規則正しい生活を送ることが重要です。徹夜は躁転のリスクを高めることがあるため、避けるようにしましょう。また、海外旅行などの場合は時差に注意する必要があります。同居する家族や職場・学校の人々の協力も大切です。
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治療を継続する
双極性障害の治療には継続性が欠かせません。症状の改善がみられたとしても、自己判断で薬の服用をやめてしまうと再発するリスクが高まります。このため、家族や身近な人がサポートし、継続的な治療を行う必要があります。治療の継続や薬の服用については、常に主治医と相談することが重要です。
また、双極性障害の治療を途中でやめてしまうケースが多く見られます。これは、精神疾患に対する社会的な偏見や、自身が罹患していることを認めたがらないことによるものです。治療の継続には、まず自身が病気であることを受け入れることが重要です。周囲の人々も、双極性障害であることを偏見なく受け入れ、自然な姿勢で接することが大切です。
さらに、症状が落ち着いた際に治療をやめてしまうこともありますが、双極性障害は再発を繰り返す病気であるため、治療の継続が欠かせません。家族や周囲の人々は、双極性障害の方が治療を続けるようサポートすることが重要です。必要に応じて、厳しい忠告も行うことが必要かもしれません。
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ストレスとの付き合い方を考える
双極性障害(躁うつ病)は、環境要因や遺伝的要因によって引き起こされることがあります。特定の遺伝子が直接的な原因とされるわけではありませんが、ストレスへの感受性や体質の影響も考えられます。したがって、家族や親族に双極性障害の方がいる場合は、慎重な診断と治療が必要です。
双極性障害は、気分の上昇と低下の波が繰り返される病気であり、人間関係から生じるストレスが調子を崩すきっかけとなることもあります。そのため、家族や身近な人に気軽に相談できるような環境を整えることが重要です。
双極性障害は、自然に治ってしまうこともある病気ですが、多くの場合は時間がかかり、放っておくと何度も症状が繰り返されてしまうことがあります。しかし、適切な治療を受ければ、気分の波に乗りこなし、安定した生活を送ることができるようになるかもしれません。
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状態別の接し方
上記でも述べた通り双極性障害は躁状態と鬱状態で人が変わったかのように体調や気分も変化します。状態別の接し方を以下に纏めます。
躁状態のときの接し方
肯定や否定をしない
双極性障害の方に対して、肯定的なアプローチを心がける一方で、彼らが気にかけられていることを感じるようなメッセージを伝えることが大切です。具体的な行動を示して、その行動に対する懸念を共有することで、彼ら自身が落ち着いた状態で症状を振り返るきっかけを提供することも可能です。
特に双極Ⅰ型の激しい躁状態では、家族や周囲の人が初めてその状態に接したときは驚きや戸惑いを感じることがよくあります。そうしたときは、本人の言動は病気によるものであり、本来の彼らの性格とは異なることを念頭に置いてください。感情的にならずに、受診を促すことが重要です。
また、躁状態では通常は考えられないような浪費行動がみられることもあります。このような場合は、早めに消費生活センターなどに相談して契約の無効化を検討することも重要です。
双極性障害の方が自身の病気に気づかない場合、身体面の問題を強調して病院受診を促すことが効果的です。信頼関係がある目上の人からのアドバイスや指示を受け入れることもありますが、患者を欺いて病院に連れていくことは避けるべきです。その代わりに、病気の治療のために入院することの重要性を伝えておくことが有効です。暴力行為などの症状の悪化が見られる場合には、警察に相談することも視野に入れましょう。
我慢しない
双極性障害の症状を理解していても、躁状態の言動が激しくなると、周囲の負担が増すこともよくあります。最初は病気の症状として理解し、献身的に関わっていても、我慢を続けると心の余裕がなくなり、怒りが湧いてくることもあります。
双極性障害の症状によって、周囲の人々にとっても非常に困難な時があるかもしれません。そのような場合には、一時的に距離を置くことも大切です。特に暴力や暴言がひどくなり、身の安全が脅かされるような状況であれば、入院などの選択肢も検討する必要があるかもしれません。
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あらかじめ対応を決めておく
双極性障害の躁状態では、本人に症状の自覚がないことがよくあります。そのため、症状が安定しているときに、うつ状態と躁状態それぞれの特徴を本人と一緒に確認しておくことが重要です。具体的な数値やサインを挙げると、症状の把握がしやすくなるでしょう。例えば、「3日間睡眠が3時間以下が続くと、躁状態の可能性がある」といった具体的な指標を挙げることが役立ちます。
また、そのようなサインが見られた場合の対処法や、周囲の接し方についても事前に決めておくことが重要です。本人と周囲の安全を守るためにも、主治医に相談しながら計画を立てることをお勧めします。
うつ状態のときの接し方
傾聴する
ご本人が話す内容に対しては、丁寧に耳を傾け、共感を示すことが重要です。
双極性障害のうつ状態では、思考がネガティブになり、自己責任感を強く感じることがよくあります。周囲としては、「そんなことで悩む必要はない」と励ましの言葉を伝えたくなるかもしれません。しかし、うつ状態のときにこのようなアプローチをすると、「否定された」と感じたり、「自分のつらさを理解されない」と感じたりして、一層孤立感を感じることがあります。
まず、つらい気持ちを吐露してくれた場合には、途中で話を遮らずに「話してくれてありがとう」と感謝の意を伝えるようにしましょう。また、なかなか話してくれない場合には、「いつでも話を聴くよ」と声をかけるなどして、ご本人が安心して気持ちを打ち明けられるようなサポートを提供することが重要です。
本人のペースを大事にする
双極性障害の方が治療に集中できるよう、周囲の支援が不可欠です。症状が改善しているように見えても、無理をすると逆効果になる可能性があります。うつ状態の場合は、頑張りたくても頑張れないことに苦しむことがあります。そのため、ご本人のペースを尊重しながら、根気よく見守る姿勢が大切です。
双極性障害の治療において、診療に同行したり、ご本人の了解を得て主治医からのアドバイスを受けることも有効です。
ただし、周囲の人が治療の進捗状況を確認する必要がある場合もあります。その際は「今、○○について話をしても大丈夫?」など事前に声をかけたうえで、ご本人に負担がかからないように一緒に確認することが重要です。
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決断を迫らない
うつ状態では、物事を否定的に考えたり、悪く捉えがちになることがあります。特に双極性障害の場合、躁状態で引き起こしたトラブルが大きければ大きいほど、落ち込みも深刻化する傾向があります。
ご本人の気持ちを尊重することは大切ですが、重要な決断については、症状が安定してから行うよう伝えることが肝要です。また、うつ状態のときは判断力が低下しているため、周囲から決定を迫ったり、催促することは避けるよう心掛けましょう。
ただし、時には決断が不可避になる状況も生じるかもしれません。そのような場合は、「一緒に考えていきましょう」といった声掛けをして、ご本人に寄り添いながら接することが大切です。
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双極性障害の人への接し方で悩むときは
ここまでさまざまなケースを紹介してアドバイスを書いてきましたが、ご家族だけでは対応に悩んでしまうケースもあるでしょう。そういった時にアドバイスを求める先を以下に記載します。
通院先の病院
ご本人が通院している病院に相談できる場合は、ご本人に同意を得た上で、受診に同席することをお勧めします。もし、ご本人が受診を拒否しており、同席の許可が得られない場合には、まずは電話などで状況を伝えた上で、主治医の判断を仰ぐようにしましょう。
病院や主治医の治療方針によって、実行できる対応は異なるため、症状が悪化した場合の取り組み方などについて、事前に一度確認しておくことが望ましいでしょう。
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保健センター
保健センターは、地域住民の健康づくりや疾病予防を支援するための施設や機関であり、一般的に地方自治体によって設置されています。健康相談や予防接種、検診・検査、生活習慣の改善に関する指導など、さまざまな健康支援サービスを提供しています。また、保健センターは地域全体の健康づくりに貢献し、地域住民の健康意識の向上や健康増進活動の推進を行っています。保健センターが提供する具体的なサービスやプログラムは、地域によって異なる場合があります。
一方、精神保健福祉センターは、心の悩みについて相談ができる機関で、全国の都道府県に設置されています。
精神衛生の専門職員が電話や対面での相談を受け付けており、他の相談機関や医療機関との連携により、悩みに合った専門機関の紹介も行っています。精神保健福祉センターは、心の健康を支援するために貢献しており、心の健康に関する様々な支援サービスを提供しています。
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精神保健福祉センター
各都道府県ごとに設置されている精神保健福祉センターは、地域住民の精神的な健康向上や精神障害者の自立・社会参加の促進を目指しています。この施設には、医師や精神保健福祉士、臨床心理士などの専門職員が在籍し、双極性障害を含む精神障害に関する専門的なアドバイスを提供しています。
精神保健福祉センターは、精神的な問題や心の悩みを抱える人々が専門家とのカウンセリングや相談を通じて適切な支援やアドバイスを受けることができる施設です。また、精神保健福祉センターでは、地域社会における精神的健康に関する理解を広めるための啓発活動や教育活動も行っています。さらに、他の精神医療機関や関連施設とも連携し、利用者のニーズに応じた総合的な支援を提供しています。
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家族会・当事者会
家族会は精神障害の方の家族がお互いに悩みを共有し、支え合うための会です。病院主催のものや地域の支援機関が実施しているもの、地域を超えて有志が結成したものなど、様々な形態が存在します。家族会に参加したい場合は、精神保健福祉センターなどで連絡先や入会方法、活動内容などを確認することができます。
さらに、精神障害者の家族が結成した全国組織である「公益社団法人 全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)」の公式サイトでは、各都道府県にある家族会に関する情報がまとめられているため、参考にすることができます。
一方、自助団体や当事者会は、病気の方が集まって自身の悩みや困りごとを共有し、相互に共感し合ったり相談したり、アドバイスを得たりする場です。双極性障害にも様々な当事者会が存在しています。
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双極性障害のよくある質問
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Q双極性障害はどんな人になりやすい?
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A
双極性障害にかかりやすい傾向が見られるのは、肥満型の体格の人や循環性の性格を持つ人が多いです。循環性の性格を持つ人は、社交的であり、善良で親切、人情味があり、ユーモアがあり、活発で性急、また静かで穏やか、気重や柔和などの特徴があります。身体の疾患、転職、昇進、退職、引越し、異性関係、家族の病気や死亡、妊娠、出産などが要因として関与することがあります。
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Q双極性障害の人は何歳で死ぬのでしょうか?
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A
双極性障害の患者の平均寿命は、一般の人よりも短いと言われており、その差は8〜10歳ほどあります。
厚生労働省の2022年の統計によると、日本人の平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳です。 このため、双極性障害の患者の平均寿命は、男性が71〜73歳、女性が77〜79歳程度であると推定されています。
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