特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の詳細と申請方法

制度

特定求職者雇用開発助成金は、雇用主に対して支払われる雇用関係助成金の一つであり、障害者、高齢者、母子家庭の母親など雇用が困難とされる特定の求職者を雇用すると、一定の条件下で1~3年間、短時間外労働者や短時間労働者に対して数十万~200万円程度の助成金が支給されます。

厚生労働省が指定する条件を満たす雇用者は、この助成金を受け取ることができます。中小企業には優遇される助成金もありますので、事業者はぜひ確認し、雇用と人材確保のために活用することをお勧めします。

労働人口の減少や若者の離職率の高さなど、人材の質と量の確保が難しい状況で、事業主にとって有益な支援となります。

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特定求職者雇用開発助成金とは

特定求職者雇用開発助成金は、雇用されることが困難とされる対象者を雇用した場合に、事業主に一定の条件下で支給される制度です。 対象者は以下、8つの区分となります。

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1. 特定就職困難者コース

2. 生涯現役コース

3. 被災者雇用開発コース

4. 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース

5. 三年以内既卒者等採用定着コース

6. 障害者初回雇用コース

7. 定雇用実現コース

8. 生活保護受給者等雇用開発コース

の8つのコースが存在します。 各コースや対象者によって支給金額や期間が異なり、雇用はハローワーク(公共職業安定所)や地方運輸局、有料・無料の職業紹介所を介して行われます。

特定求職者雇用開発助成金の中で、障害者を雇用保険一般被保険者として雇用し、継続して雇用する場合に助成されるのがこの制度です。

中小企業事業主の場合、身体・知的障害者には一人あたり最大120万円(30万円を年4回、計2年間助成)、重度の身体・知的障害者、45歳以上の身体・知的障害者及び精神障害者には一人あたり最大240万円(40万円を年6回、計3年間助成)、

短時間労働者には一人あたり最大80万円(20万円を年4回、計2年間助成)が支給されます。 助成対象期間中に対象労働者を解雇等した場合、以後3年間は支給されず、対象労働者が途中で離職した場合も支給されません。

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特定求職者雇用開発助成金の8つのコース

特定就職困難者コース

特定求職者雇用開発コースでは、特に高年齢者や母子家庭の母などの対象者を対象にしています。

60歳以上65歳未満の高年齢者、母子家庭の母等、障害者、身体・知的障害者、重度障害者、または45歳以上の障害者および精神障害者などが、ハローワーク等を通じて雇用されることを促進します。

対象者ごとに中小企業かどうか、短時間労働者かどうかによって支給期間や支給額が異なります。

助成対象期間は1年から3年まであり、支給対象期は1期(半年)ごとになっています。 このコースを活用することで、事業主は特定の求職者の雇用を通じて助成金を得ることができ、雇用機会を提供する側もサポートを受けながら新たな人材を迎え入れることができます。

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生涯現役コース

 
65歳以上の離職者を雇用する際、ハローワークなどを通じて対象者を採用します。対象者が1年以上継続して雇用され、その雇用が確実である場合、支給期間は1年となり、短時間労働とそれ以外で助成金の額が変わってきます。この生涯現役コースは、通常の高齢者(65歳以上)を対象としており、特定就職困難者コースの高年齢者(60歳以上65歳未満)とは異なります。

被災者雇用開発コース

東日本大震災で被災した方々を雇用する際に支給される助成金があります。対象者は震災時に被災地で働いていた方、震災により離職を余儀なくされた方、離職後に安定した職業に就いていない方などです。平成26年までの”被災地求職者”については、警戒区域に居住していない方が対象外となりました。この支援制度では、雇用者は1年間以上の雇用を見込んでいる必要があり、被災者を10人以上雇用した場合には追加の支給が行われます。

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発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース

発達障害者や難治性疾患患者、難病指定された331の疾患(2018年現在)に罹患し、「障害者手帳を所持していない。」なおかつ65歳未満の方を雇用した場合に支給される助成金があります。雇用条件によって、短時間外労働や短時間労働、中小企業での雇用などに応じて、最大で2年間、支給対象期間4期(1期は半年間)までにわたり、30万円から120万円までの助成金が支給されます。

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三年以内既卒者等採用定着コース

三年以内既卒者等採用定着コースは、幼稚園、小学校以外の学校、専修学校、各種学校、外国の教育施設の卒業者、中退者、公共職業能力開発施設職業能力開発総合大学校職業訓練修了者、中退者など、これまで通常の労働者として同一の事業主に引き続き12カ月以上雇用されていない者を対象としています。既卒者コースと高校中退コースがあり、いずれもこれまで該当者を雇い入れたことがないことが条件となり、採用することで助成金が事業主に支給されます。

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障害者初回雇用コース

障害者初回雇用コースは、該当する障害者を初めて、もしくは最後の対象となる障害者を雇用してから3年以上たっている場合に、障害者を雇用する中小企業を対象とした、中小企業における障害者雇用促進を目的とする助成金です。このコースは身体、知的、精神のいずれかの障害を有する者を対象とし、一人目の対象者を雇用した日から3か月以内に法定雇用率を達成した場合に、助成金が支給されます。雇用主はこの制度を通じて、障害者雇用の促進に貢献すると同時に、法定雇用率を達成することで支援を受けることができます。

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就職氷河期世代安定雇用実現コース

新たな条件の変更により、令和2年2月14日以降の雇入れから「就職氷河期世代安定雇用実現コース」と改称されたコースがあります。

これにおいて、支給要件の対象年齢は35歳以上60歳未満から35歳以上55歳未満に変更されました。また、正社員経験についても新たな条件が追加され、正規雇用労働者としての雇用期間が通算で1年以下であり、過去1年間に正規雇用労働者として雇用されたことがない方々が対象となります。

同様に、過去5年間での通算して正規雇用労働者としての雇用期間が1年未満であり、かつ過去1年間に正規雇用労働者としての雇用がない人も対象となっています。

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生活保護受給者等雇用開発コース

生活保護受給者等雇用開発コースでは、生活保護を受給している方や生活困窮者として支援を受けている方を雇用する事業主に対して支給される助成金があります。このコースの対象者は以下の条件を満たす必要があります。

  1. 生活保護を受給中であるか、または生活困窮者であること
  2. 自治体やハローワーク就労支援を3か月以上継続して受けていること
  3. 雇用が就労支援期間内であること

これらの条件を満たす方々を雇用する事業主は、このコースによって助成金を受け取ることができます。この助成金は、生活保護受給者や生活困窮者に雇用機会を提供する事業主をサポートし、雇用の安定化に寄与します。

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助成金に共通する対象事業主

1 雇用保険適用事業所の事業主であること

雇用保険は、原則として従業員を雇うすべての事業主が加入する必要があります。ただし、従業員が5人未満の個人経営の農林水産業については、加入が任意となっています。

2 支給のための審査に協力すること

  • 支給または不支給の決定に必要な書類を整備・保管していること
  • 支給または不支給の決定に必要な書類の提出を、管轄労働局等から求められた場合に対応すること
  • 管轄労働局等による実地調査を受け入れること など
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中小企業の範囲

特定求職者雇用開発助成金を受けることができる中小企業の範囲は、厚生労働省が定める「各雇用関係助成金に共通の要件等」という資料に詳しく記載されています。この資料に基づくと、中小企業かどうかを判断する基準として、資本金の額、出資の総額、または常用する労働者の数が挙げられます。これらの基準のうち、いずれか一つを満たす企業が中小企業として認定され、助成金の対象となるのです。ただし、障害者初回雇用コースに関しては、上記の一般的な基準とは異なり、業種を問わず常時雇用する労働者数が300人以下の企業であれば、中小企業として扱われます。

業種分類 資本・出資の金額 常時雇用する従業員の数
小売り(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下
【厚生労働省】各雇用関係助成金に共通の要件等

助成金に共通する要件

特定求職者雇用開発助成金を受給するには、雇用者は原則として以下の機関からの紹介を受けて、該当する対象者を雇用する必要があります。また、各コースには詳細な要件が存在するため、雇用主は各コースの条件を確認することが必要です。

  1. 公共職業安定所(ハローワーク)
    • 公共職業安定所からの紹介を受け、求職者を雇用することで特定求職者雇用開発助成金の受給が可能です。
  2. 地方運輸局(船員として雇い入れる場合)
    • 船員としての雇用を行う場合、地方運輸局からの紹介を受けることが求められます。
  3. 有料・無料職業紹介事業者
    • 有料・無料職業紹介事業者、または届出を行った無料職業紹介事業者を通じて雇用する場合、かつ国の認可を得ている事業者であることが条件となります。

これらの機関を通じての求職者の紹介により、特定求職者雇用開発助成金を受給する際の手続きが開始されます。各コースにおいて異なる要件があるため、雇用主は慎重に確認し、条件を遵守するよう努めるべきです。

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申請の流れ

特定求職者雇用開発助成金を申請する場合は、全てのコース共通で以下のような流れとなります。

 

1. 求職者の雇い入れ

ハローワーク、地方運輸局、国の認可を受けた有料・無料の職業紹介事業者などの紹介による雇入れが対象となります

2. 支給申請

労働局またはハローワークにして申請を行います

3. 支給申請書の内容を確認

支給申請書の記載事項と支給要件について申請先で審査が行われます

4. 支給・不支給の決定

申請事業主に通知書が送られます

5. 第一期分(半年分)の助成金支給

第2期以降の支給についても3〜4の手順で申請する必要があります。

 

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「特定就職困難者コース」の例

特定求職者雇用開発助成金の一つである、特定就職困難者コースについての詳細を一例としてご紹介します。

概要

高年齢者や障害者などの就職が難しいグループを、ハローワークなどを通じて紹介された労働者として継続して雇用する事業主に対して、助成金が支給されます。

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受給要件

特定求職者雇用開発助成金を申請する際には、以下の雇用者側からの条件が求められます。

紹介元機関の条件: ハローワーク地方運輸局(船員として雇用する場合)、または適正な運用を確保できる有料・無料職業紹介事業者等からの紹介により雇用することが必要です。

雇用保険の条件: この制度を利用するには、雇用保険の一般被保険者として、65歳以上となる労働者を雇用し、その雇用状態が2年以上継続することが確実であると認められる必要があります。

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まとめ

「特定求職者雇用開発助成金」は複数のコースがあり、これには多様な対象者が含まれています。新卒者だけでなく、産業分野や事業所の規模によっては、人材確保や人件費の捻出が難しいことがあります。

特に、障害者雇用促進法上の法定雇用率を達成するためには、障害者を雇用する際の助成金についての理解が不可欠です。

枠組みを理解する中で、高齢者や母子家庭の母親、生活保護受給者などを対象とした助成金も存在し、これを理解することで企業は柔軟な人材確保の手段を見出すことができます。これは事業の安定や発展に良い影響を与えるでしょう。

また、「特定求職者雇用開発助成金」の中でも、今回は「特定就職困難者コース」に焦点を当てて、その概要や申請方法を紹介しました。

雇用関係の助成金を受給することは、国から「安定的な企業」として認定されることを意味し、企業のイメージ向上にも寄与します。

助成金の賢い活用は、企業にとって採用の機会を通じて大きな利益をもたらすでしょう。

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