傷病手当とは?書類用意と申請方法。支給までの手順を解説

仕事系

病気やケガで仕事を休まざるを得ない状況になった時、経済的な不安を抱く方も多いのではないでしょうか。

そんな時、頼りになるのが「傷病手当」です。傷病手当は、病気やケガのために働けない期間、生活を支えるための手当として支給されます。

申請方法から支給までの流れを分かりやすく解説しますので、ご自身の状況に当てはめて、安心して休養に専念できるよう、ぜひご一読ください。

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傷病手当金とは ?

病気やケガで仕事を休むと、収入が途絶え、生活に不安を感じてしまう方も多いでしょう。

傷病手当は、そんな時に、病気やケガのために働けない期間の生活をサポートしてくれる制度です。

病気やケガで仕事を休むと、収入が途絶えてしまい、生活に不安を感じてしまう方も多いでしょう。傷病手当は、そんな時に、病気やケガのために働けない期間の生活をサポートしてくれる制度です。

これにより、安心して治療に専念でき、心身ともに回復を早めることができます。一般的に、傷病手当の金額は、休んでいた期間の給料の約3分の2が支給され、3日間連続して休んだ後から受給できます。

制度の詳細については、お近くの社会保険事務所または加入している健康保険組合へお問い合わせください。

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傷病手当の申請方法

傷病手当を受けるためには、以下の手順を踏む必要があります。

  1. 診断書の取得: まずは、かかりつけ医など、医療機関を受診して、病気やケガの診断を受けてください。その際、医師に『傷病手当の申請をするので、診断書を書いてほしい』と伝えましょう。診断書には、どのような病気やケガで、いつからどれくらいの期間働けないかなどが記載されます。
  2. 申請書の提出: 傷病手当の申請書は、お勤めの会社の健康保険組合か、お住まいの地域の社会保険事務所で手に入ります。この申請書に必要事項を記入し、医師からもらった診断書と一緒に提出しましょう。手続きは、窓口での提出だけでなく、インターネット上で行える場合もありますので、ご所属の会社や健康保険組合にご確認ください。
  3. 書類の審査: 提出いただいた申請書と診断書は、これから健康保険組合社会保険事務所で内容の確認が行われます。審査には、通常、数週間から数か月かかることがあります。審査結果については、後日、改めてご連絡いたしますので、しばらくお待ちください。

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【心療内科での傷病手当金申請時の注意点】

通院中の傷病手当金申請についての一般的な注意事項を紹介します。

  • 医師の診断書が必須: 傷病手当金を受け取るためには、必ず医師の診断書が必要です。
  • 定期的な通院が重要: 傷病手当金意見書をスムーズに取得するためには、医師の指示に従い、定期的に通院することが求められます。
  • 初診日以前の遡及は不可: 傷病手当金の申請は、初診日以降からのみ可能です。
  • 未来の日付の記入は禁止: 診断書には、実際の診断日や治療期間を正確に記入する必要があります。
  • 月1~2回の診察が目安: 外来を受診せずに、長期に渡って治療を受けていない場合、保険組合から労働不能であることの証明が難しいと判断される可能性があります。
  • 意見書発行手数料: 診断書(意見書)の発行には、通常、保険診療で約300円の手数料がかかります。
  • 早めに受診がおすすめ: 傷病手当金が必要な場合は、症状が出始めたら早めに医療機関を受診し、医師に相談しましょう。クリニックでは、初診日以降の診断書しか発行できないため、早期の受診が大切です。

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言葉の定義

傷病手当金は、労災以外の休業で仕事ができず、企業から給与の支払いがないときに、健康保険から生活保障として支給されます。この手当金は、労働者が病気やケガにより労働ができない期間中に、所得の一部を給付し、生計を維持するための重要なサポートとなります。

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【支給条件】

仕事ができず、休業している期間が4日以上続く場合、最初の連続3日間は待機期間となり、この3日間は傷病手当金が支給されません。3日間の待機期間後、給与の支給がない場合は4日目から傷病手当金が支給されます。待機期間の設定は、労働者が短期の休業や軽微な病気である場合には手当金が発生しない期間とされています。

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【支給額・支給期間】

傷病手当金の計算方法と支給期間について、よりわかりやすく解説します。

傷病手当金の1日あたりの金額は、おおむね以下の計算式で算出されます。

  • (過去1年間の平均月収 ÷ 30日)× 2/3

つまり、病気やケガをする前の1年間の平均的な月収を、1ヶ月を30日として日割り計算し、その金額の3分の2が、1日あたりに受け取れる傷病手当金の金額となります。

支給期間については、原則として、病気やケガで仕事を休んだ期間(労働不能期間)が最長で1年6ヶ月までとなります。ただし、途中で仕事に復帰したり、他の収入を得たりした場合は、支給期間が短くなることがあります。

この制度の目的は、病気やケガで働けなくなった労働者が、収入が途絶えて生活に困らないよう、一定の金額を支給することで、安心して治療に専念できるようにすることです。

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リスク

手続きの時効は2年間となっています。手続きを忘れると、受給ができなくなる可能性がありますので、期限内に適切な手続きを行うことが重要です。

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対象企業

社会保険に加入しているすべての企業が対象です。従いまして、これに該当する企業は労働者に対して傷病手当の制度を提供することが求められます。

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対象者

社会保険に加入している従業員が対象となります。従業員が労災以外の病気やケガで休む際に、この制度が活用されます。

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実施期間

従業員が労災以外の病気やケガで休む都度、傷病手当を受けることができます。期間は具体的な労務不能期間に準拠します。

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メリット

病気やケガで働けず、収入に不安がある従業員の生活保障になります。この制度を利用することで、労働者が安心して必要な休養をとることができ、経済的な不安を軽減できます。

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やること

1 従業員から、病気やケガで休む連絡を受ける

① 傷病名とそれが労災かどうか

② 休む予定の期間は何日か

③ 有給休暇の利用希望がある場合はそれを確認(有給休暇が取得できない場合は欠勤扱いになります)

④ 休暇中に連絡が取れる連絡先の確認と、引き継ぎの確認

 

※一部の企業では、病気やケガで休むための申請書を提出するルールがある場合もあります。確認事項は企業によって異なるため、所属する企業の方針に従って対応してください。

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2 申請書を用意し、従業員に渡す

本人が傷病手当金を申請したいという希望がある場合は、「健康保険傷病手当金支給申請書」を提供し、本人に1枚目を記入してもらいます。同時に、医師の証明が必要であり、病院で発生する費用は従業員が負担することを伝えます。待機期間の最初の3日間に、有給休暇を利用するかどうかを確認し、必要に応じて有給休暇取得の手続きを行います。これにより、スムーズな手続きと円滑な休業サポートが提供されることでしょう。

「健康保険傷病手当金支給申請書」:ダウンロード|協会けんぽホームページ

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3 申請書を作成する

従業員から「健康保険傷病手当金支給申請書」を受け取り、以下の手順で作成します。

  • 1枚目は従業員が記入
  • 2〜3枚目は企業が記入

傷病手当金支給申請書には、従業員の健康保険証の記号と番号が必要です。従業員が直接記載できない場合は、健康保険証のコピーをもらい、企業が記入してください。添付書類として給与明細書などが必要なため、従業員が用意しにくい場合は、会社がサポートすることが重要です。

4枚目は従業員が病院に持参し、医師(療養担当者)に記載してもらいます。この際、かかる費用は従業員が支払います。傷病手当金は医師(療養担当者)が証明した労務不能期間に基づいて申請されるため、給与締日毎に申請する場合は、希望の期間を医師に伝え、それに基づいて記載を依頼しましょう。

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4 協会けんぽに申請する


健康保険傷病手当金支給申請書」の1~4枚目の記載が完了したら、以下の手順で申請を行います。

  • 申請先:協会けんぽ
  • 申請方法:郵送(企業控が必要な場合は、コピー1部と切手を貼った返信用封筒を同封)

 

【申請タイミング】

  • 復帰見込みが1か月以内なら、復帰後に申請します。
  • 1か月以上かかる場合は、給与締め日ごとまたは2~3か月をまとめて申請します。傷病手当金の最大支給期間は3か月まとめての申請が可能です。

ただし、傷病手当金支給申請書の勤務状況(3ページ目)内に収める必要があるため、医師に証明してもらう期間が長期にわたる場合は、申請書類を分割して手続きを行うようにしましょう。

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5 支給開始

申請から支給決定までには、通常1〜2か月ほどの時間がかかります。支給が決定された場合、従業員本人の自宅に通知書が送付され、支給決定から1週間以内には、従業員の銀行口座に傷病手当金が振り込まれます。ただし、年末年始や混雑時期などは処理に遅れが生じる可能性もありますので、その点を考慮してください。

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「傷病手当金 申請方法」のよくある質問

Q
インフルエンザで5日間休んだ場合、傷病手当金は申請できますか?
A

できます。待機期間の3日間を過ぎても仕事ができず、医師が労務不要と認めた期間が続く場合、その期間に対する傷病手当金の申請が可能です。

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Q
病気が長引くので、退職しました。傷病手当金は支給されますか?
A

退職後は、原則として傷病手当金の支給が停止されます。ただし、以下の条件を満たしている場合には、退職後も支給が継続されます。

① 1年以上健康保険に加入している ② 傷病手当金を退職日にも受給している

ただし、退職日に挨拶や引継ぎなどで出勤した場合、支給が停止される可能性があるため、注意が必要です。

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Q
医師が労務不能とした期間中、1時間だけ軽微な業務を行うために出勤しました。1日8時間が所定労働時間ですが、1時間働いただけなので、7時間分は支給されますか?
A

支給されません。出勤した日は労務不能とみなされず、そのため傷病手当金は支給されません。たとえ本来の業務ではなくても、他の業務が可能であると判断される場合、その日は労務不能とはみなされず、支給対象外となります。

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