合理的配慮とわがままの違い。具体的事例と2024年4月からの義務化について、双方で出来る工夫とは

合理的配慮義務 制度

合理的配慮義務

「合理的配慮」とは、障害のある方が、長期にわたって労働するために不可欠な概念です。

2024年4月1日から障害者差別解消法により、事業者は障害者への合理的配慮の提供が義務付けられました。

これにより、障がい者の社会的障壁の除去が推進され、具体的な取り組みが求められます。

精神・知的発達障害者の生活はどのように変わっていくのでしょうか?

 

障がい者が健常者と同等の環境で働く場合、時には、業務遂行に困難が生じることもあります。

本記事では、精神・知的発達障害者が働きやすい社会を築くための「合理的配慮」に焦点を当て、その重要性や実践方法について解説します。

参考:障害者自立支援法とは?

参考:合理的配慮の具体例(内閣府のリーフレットから)

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はたらくための配慮とわがままの違い9例

合理的配慮は、企業が働くための配慮を提供することを意味します。そのため、「企業が配慮してくれれば仕事ができる」という点に焦点が当てられています。

企業側は、障害者が求める配慮を提供することで、本人の力を最大限に発揮し、生産性を高め、周囲と本人が安心して働ける環境を整えることができます。

求める配慮の内容が、企業側にわがままと見られないようにするために、働くための配慮とわがままの違いを考えることが重要です。

参考:障害者総合支援法とは?

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聴覚過敏で周囲の音が気になって作業に集中できない

合理的配慮

・周囲の音を遮断するため、耳栓の許可をとる

・空いているスペースがあったら移動する

ワガママ

・自分のいるところでは会議などをしないで欲しい

参考:感覚過敏とは?症状や原因、対処法、発達障害との関連性

こちらも参考に:障害者雇用の助成金。種類と内容について解説

 

室温で体調を崩してしまう

合理的配慮

・クーラーの風が苦手であることを伝え、直接冷気が当たらない席への移動を希望

・長袖のカーディガンを着用したり、ひざ掛けを使用することの検討

ワガママ

・真夏日であってもクーラーを止めて、窓を開けて自然の風を入れるようにしたい

・外から帰ってくる人が暑そうにしているのも分かるが、夏は汗をかくのが普通であり、冷え症になるのは避けたいのでクーラーを禁止して欲しい

こちらも参考に:発達障害と障害者手帳 取得できる条件や手帳の種類や申請手順について解説

こちらも参考に:障害者雇用促進法とは?企業の義務や概要、2023年4月の法改正や雇用のポイント紹介

ミスの指摘について

合理的配慮

・指摘を受けると萎縮してしまう。ミスをした際の指摘は、声がけなどの方法に一定のルールを事前に設けてほしい

ワガママ

・人に注意されると萎縮して行動が制限されてしまうので、ミスをしても注意しないで欲しい

 

コミュニケーションについて

合理的配慮

・抽象的な言葉が分かりづらいので、指示の際は具体的な言葉で実例を見せて説明する

ワガママ

・自分のいる前では抽象的な言葉は避けて欲しい

 

業務指示について

合理的配慮

・口頭指示だけだと業務理解に時間がかかるため、具体的な手順書や指示書などの作成をお願いした上で業務に取り組みたい

ワガママ

・口頭指示の理解が難しい場合は、他の業務を担当してもらうか、別の業務に取り組みたい

 

勤務時間について

合理的配慮

・新しい職場での就労開始時には、環境の変化などがストレスを引き起こしやすいため、就労を始める際には、時短勤務から始めたい

ワガママ

・新しい環境に適応すると、緊張感が高まりストレスが溜まりやすくなるため、そのような日はその時点で退社したい

自己発信について

合理的配慮

・自己発信が苦手で不安を感じることがありますので、定期的に面談や相談の場を設けて貰えると助かる

ワガママ

・自己発信が苦手で不安を感じることがありますので、担当者から積極的に声をかけていただけると助かる

 

満員電車の匂いで戻してしまう

合理的配慮

・リモートで対応する

・ラッシュの時間を避けて出勤する

ワガママ

タクシーか自家用車で出勤したい

 

時間に遅れてしまう

合理的配慮

・時間にアラームをセットする

・朝礼の時間に今日のスケジュールを確認

ワガママ

・スケジュールを教えてくれる担当をつけて欲しい

 

合理的配慮を求める際には、障害者が自ら申し出る必要があります。

特に精神障害の場合、障害の有無や困難さが周囲に見えづらいため、障害者の積極的な意思表示が重要です。

参考:自己肯定感とは?

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合理的配慮の提供義務に反しない例

上記の事例で「どこからが合理的配慮で、どこからがワガママなの?」と疑問に思った方もおられるのではないでしょうか?

明確な線引きは決まっていないものの、以下のような場合は合理的配慮の提供義務に反するとは考えられないようですので参考になさってください。

 

  • 飲食店において食事介助を求められた場合、その飲食店は食事介助を事業の一環として行っていないため、介助を断ることができます(本来の業務に付随するものに限られるため)。
  • 抽選販売を行っている限定商品について、抽選申込みの手続きが難しい場合、当該商品をあらかじめ別途確保しておくよう求められたとしても、対応を断ることができます(同等の機会の提供を受けるためのものであるため)。

 

また、合理的配慮は過重な負担とならない範囲で対応されるものです。そのため、以下のような例も合理的配慮の提供義務に反するとは考えられません。

 

  • 小売店で、混雑時に視覚障害のある人が店員に対し、店内を付き添って買い物を補助するよう求められた場合、混雑時のため付き添いはできないが、店員が買い物リストを書き留めて商品を準備することを提案することができます。

こちらも参考に:心が疲れやすくて生きづらいHSP(Highly Sensitive Person)ハイリー・センシティブ・パーソンについて

合理的配慮を求める際の準備

配慮を求める際には、事前に仕事上の困難さや自己対処法、求める配慮事項をまとめることが重要です。

困難を自己対処できる方法を検討した上で、企業側に解決してもらいたい事柄を具体的に書き出しましょう。

配慮内容を企業側と話し合う際には、医師の診断書や意見書が必要となる場合があります。企業側から求められた場合は、主治医に相談して、合理的配慮の根拠を明記した書類を取得しましょう。

就労移行支援事業所を利用している場合は、支援員とともに準備することも可能です。

通所中の様子からアドバイスを受け、求める配慮を明確にしましょう。複数の配慮プランを用意しておくと、企業側との調整がスムーズに行えます。

参考:職業準備性ピラミッドとは?

こちらも参考に:就労移行支援とは?

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合理的かどうかの判断について

障がいのある方が社会のバリアを取り除くために周囲の方に求める配慮を合理的配慮と呼びますが、その配慮が「合理的」か「ワガママ」かはどのように判断すれば良いのでしょうか。

まず、配慮とは、バリアを取り除くことにあります。

必要以上のサポートや過剰な配慮は合理的であるとは判断できません。

また、求められる合理的配慮が事業者にとって過重な負担であると判断されたものについては、その配慮の提供義務は課せられません。

つまり、障がい者本人が自立して活動するために必要な範囲の過剰でない配慮であり、かつ周囲や事業者の負担が大きすぎないものが、合理的配慮として義務化されるということです。

障がいのある方から要求のあった配慮を合理的配慮として実施することが難しい場合、事業者はその旨を、要求をした方に対して説明しなくてはなりません。

その際には、相手の立場を尊重しながら、建設的対話を通じて相互理解を図り、要求を受けた配慮に代わる提案をするなど、実現可能な範囲で障がいのある方にとってのバリアを取り除く努力をする必要があります。

双方の折り合いのつく部分が合理的配慮の着地点と言えるでしょう。

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合理的配慮を提供しないことによる罰則

事業者が合理的配慮の義務を守れなかったとしても、直ちに罰則が科されることはありません。

しかし、同じ民間事業者が繰り返し障がい者に対して権利利益の侵害を行い、自主的な改善が実現されない場合には、対象の民間業者が行う事業の担当大臣が民間事業者に報告を求めることになります。

その報告を怠ったり、報告に虚偽があったりした場合は罰則の対象となります。

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障害者差別法の罰金額について

障害者差別解消法 条文 には以下のように罰金が定められています。

(報告の徴収並びに助言、指導及び勧告)
第十二条 主務大臣は、第八条の規定の施行に関し、特に必要があると認めるときは、対応指針に定める事項について、当該事業者に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。

(秘密保持義務)
第十九条 協議会の事務に従事する者又は協議会の事務に従事していた者は、正当な理由なく、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

上記の規定に対する罰則については以下のように述べられています。

第二十五条 第十九条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第二十六条 第十二条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。

つまり、障害者差別法に反していると考えられる場合「一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」が課される計算となります。

合理的配慮の対象は?

実際に、合理的配慮の対象となる人物や、事業者に課される義務の内容がどのようなものなのか、不明瞭な方も多いのではないでしょうか? そこで、合理的配慮の対象者や事業者の責任について詳しく解説します。

合理的配慮の対象となる障がい者の定義

障害者手帳の所持が、対象者の基準として誤解されることがありますが、実際には手帳の有無は関係ありません。

身体的、知的、精神的な障がいを持ち、その他心身の機能に支障をきたす方々が、障がいや社会のバリアによって日常生活に相当な制限を受ける場合において合理的配慮の対象となります。

また、職業生活に長期間制限があったり、職業生活を営むことが困難な方も対象です。

障害者手帳を取得するには、いくつかの要件を満たす必要がありますが、全ての障がいのある方が手帳を取得しているわけではありません。

手帳の取得が難しい場合、受けられる福祉サービスが制限されるケースもありますが、合理的配慮は対象となります。

こちらも参考に:精神障害者手帳3級取得のメリット | 割引や控除割引や支援を紹介

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障害者差別解消法って?

障害者差別解消法は、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」として2013年6月に制定されました。この法律の目的は、すべての国民が、障がいの有無にかかわらず、お互いに人格と個性を尊重しながら共生する社会を実現することです。

この法律では、以下の2つの点が明確に示されています。

「不当な差別的取扱い」の禁止

これは、市町村などの行政機関や企業・店舗などの事業者が、正当な理由なしに障がいのある人に対して差別的な取り扱いをすることを禁止しています。

「合理的配慮」の提供

つまり、障がいのある人から社会の中の障壁を取り除くための対応の必要性を伝えられた場合、行政機関や事業者は負担が過重でない範囲で対応することが求められます。事業主は、雇用する障がいのある人に対しても同様に配慮する義務があります。

この法律で言う「障がい者」とは、障害者手帳を持っている人に限らず、障がいや社会の中にあるバリアによって日常生活や社会生活に相当な制限を受けている全ての大人と子どもが対象となります。

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こちらも参考に:精神障害者雇用にまつわる誤解 | 就業上の配慮と雇用時のポイント

障害者雇用促進法の合理的配慮について

合理的配慮については、「障害者差別解消法」だけでなく、「障害者雇用促進法」でも定められています。

障害者雇用促進法が企業に求めているのは、障害者の隔離や保護ではなく、障害者が安全に働ける職場環境を整え、健常者と同様に能力を発揮できるよう促す対応であると言えるでしょう。

2020年の改正では、障害者雇用に関する優良な取り組みを行う中小企業への認定制度(もにす認定制度)が創設されました。

認定を受けた企業には、日本政策金融公庫による低利融資や、公共調達等における加点評価などの特典も設けられるなど、中小企業全体に対して障害者雇用の取り組み支援が推進されています。

また、一部の自治体では、独自の条例を制定して合理的配慮を定めています。

 

参考:e-GOV法令検索|障害者の雇用の促進等に関する法律第一章第二条

参考:障害者雇用促進法の改正の概要

参考:e-Govとは?

 

障害者差別解消法で事業者に課せられる義務

「合理的配慮の提供」は、国や地方自治体などの行政機関には義務、企業や店舗などの事業者には努力義務でしたが、2024年4月の障害者差別解消法の改正により、事業主も義務化されました。

障がい者に対する「不当な差別的取り扱いの禁止」と「合理的配慮の提供」が求められています。

不当な差別的取り扱いの禁止は、国・都道府県・市町村などの行政機関や企業・店舗などの事業者に対して、法的に差別を行わないことが求められます。

ただし、事業者が行う合理的配慮の提供には、事業主にとって過重な負担にならない範囲で行うことが求められます。

具体的には、以下の項目を総合的に考慮して判断されます。

①事業活動への影響の程度:措置を講じることにより事業所の生産活動やサービス提供、その他の事業活動に及ぼす影響の程度です。

②実現困難度:事業所の立地状況や施設の所有形態などにより、措置を講じるための機器や人材の確保、設備の整備などが困難である度合いです。

③費用・負担の程度:措置を講じることに伴う費用や負担の程度を指します。

④企業の規模に応じた負担の程度:企業の規模が大きいほど負担が大きくなる可能性があります。

⑤企業の財務状況:企業が措置を実施するための財務状況を指し、財政的な余裕があるかどうかが考慮されます。

⑥公的支援の有無:措置に関する公的支援を利用できるかどうかを指します。公的支援が利用できる場合は、その支援を前提として判断されます。

これらの項目に基づいて、求められた合理的配慮が事業主にとって過重な負担である場合、負担の軽い代替案を提示するなどして、職場と障がいのある従業員の双方の意見を考慮した対話が求められます。

以下の章では東京都の条例について見ていきましょう

東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例(東京都)

2018年10月1日に施行された条例になります。この条例では、障がいを理由とする差別の禁止や相談体制の整備、障がい差別による紛争の防止や解決のための体制の構築が定められています。

障害を理由とする差別に関する相談体制や差別解消のための調整委員会のあっせんなどについても記述されています。

また、事業者が行う合理的配慮に関しても、障害者差別解消法に先駆けて義務化されました。

参考:東京都福祉局|東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例

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こちらも参考に:軽度知的障害とは?診断基準や発達障害との関係。困りごとと対処法。受けられる福祉について

 

合理的配慮を進めるためのステップ

障害のある人がはたらく上で、企業側に合理的配慮を求めたい場合には、どのようなステップを踏んで進めればよいのでしょうか。ここでは、合理的配慮を進めるための4ステップを説明します。

ステップ1:採用時に申し出る

障害者本人やその家族、支援者は、合理的配慮を求めることができます。

採用面接の際には、合理的配慮に関する希望が尋ねられることがありますので、その際には明確に伝えるようにしましょう。また、履歴書の本人希望欄にも、必要な配慮を記載することができます。

さらに、就労移行支援事業所などを利用している場合は、支援員と一緒に配慮事項について相談することもできます。

障害者雇用の場合は申し出が採用の障害になることはありませんので、自身の障害特性に応じた配慮を検討し、どのような支援を求めたいのかを明確にしておきましょう。

ステップ2:企業側と話し合う

希望する配慮事項については、企業側と話し合います。求めた配慮が、人員や資金面など、さまざまな理由から実現が難しい場合もあります。その際には、企業側から可能な範囲での配慮案が提示されることもあります。双方が納得した上で、どのような配慮事項を得られるかを確定することが重要です。

ステップ3:情報共有やフォロー体制を構築してもらう

合理的配慮の運用にあたり、話し合いで決定した配慮の内容について、職場の同僚や上司と共有することが重要です。

また、配属部署に伝える範囲についての意思表示を行い、理解を広げることも大切です。さらに、サポートの担当者を決めてもらうことで、フォロー体制が構築され、問題が生じた際にも相談しやすくなります。

担当が変わった際にもスムーズに引き継ぎができるようにドキュメントとして残しておきましょう

ステップ4:定期的に見直しの機会を作ってもらう

合理的配慮の内容は定期的に見直しや更新が必要です。

最初に求めた配慮事項が現在も適切かどうか、また現在の職場で問題になっていることがないかを確認しましょう。

評価面談の機会を活用して、ヒアリングの機会を設けてもらうことをオススメしています。

障害者自身が、長期間職場に定着できるよう、企業側と相談しながら配慮内容を常に最新の状況に更新していくことが大切です。

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障がい別の合理的配慮の具体例

必要となる合理的配慮は障害や個人によっても異なります。

一概には言えませんが、それぞれの障がいに適した合理的配慮を解説します。

精神障がいへの合理的配慮の例

精神障がいは、環境や生まれつきの障害などが原因となります。そのため、それぞれの状況や特性が異なるため、個々に合わせた総合的な配慮が必要です。

精神障がいの方は、自らの工夫や応用に苦労することがあり、またあいまいな状況に対処するのが難しい場合があります。従って、採用後に業務指示を行う担当者は、以下の点に留意することが重要です。

  1. 作業の流れや手順、目的を明確にし、具体的で簡潔な指示を行う。
  2. 個々の状況に応じて業務量を調整する。
  3. 不安や緊張感を緩和できるような静かな休憩場所を提供する。
  4. 採用後のメンタルサポートを確保し、些細な悩みや問題に対して相談できる環境を整える。

これらの配慮が、精神障がいを持つ人々が職場で十分に機能できるよう支援する上で重要です。

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発達障がいへの合理的配慮の例

発達障がいの一つである自閉症(ASD)には、以下のような特徴があります。

人とのコミュニケーションが苦手、言語による指示を理解しにくい、特定の物に対して強いこだわりを持つことなどが挙げられます。

一方、ADHD(注意欠陥多動性障害)に関しては、ケアレスミスが多く、時間管理が苦手であり、じっと座って作業することが難しいという特徴が目立ちます。

発達障がいを持つ人に対する配慮としては、次のような点が考えられます。

 

  1. 指示を1つずつ丁寧に出す。
  2. 作業手順を図で表した分かりやすいマニュアルを提供する。
  3. 急な予定変更が苦手な人もいるため、スケジュールを早めに伝えるようにする。
  4. 個々の障がい特性に合わせた業務を割り当てる。
  5. 電話に出なくてよい。

知的障がいへの合理的配慮の例

知的障がいを持つ人は、意志疎通が難しいことがあります。面接時には、障がい者の特性を理解し、面接の受け答えを補助してくれる就労支援機関の職員や家族が同席することが有効です。

採用後には、以下のような配慮が考えられます。

  1. 新しいことを一度に覚えるのが難しい人が多いため、業務を段階的に覚えられるように工夫する。
  2. 曖昧な表現を理解するのが難しい人もいるため、具体的な指示を意識する。
  3. 必要に応じて図や作業手順を示しながら指示をする。
  4. 職務内容を単純化するなど、工程を工夫する。

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参考:発達障害の方に向いている仕事(一般雇用・障害者雇用)|活用できる支援機関をご紹介

合理的配慮に必要とされる対話(まとめ)

合理的配慮は、個々の状況に応じて柔軟に判断する必要があります。重要なのは、単純な「できるか」「できないか」の二者択一ではなく、障がい者と事業者が建設的な対話を通じて相互理解を深め、合意の上で適切な対応策を共に検討することです。

一方で、「これまでの経験がない」「特例を認めることはできない」「もし問題が生じたら…」「○○障害の人は…」などの言葉で、一律な対応を取り、建設的な対話を拒否することは、合理的配慮の提供義務に違反する可能性があるため、注意が必要です。

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参考:二次障害とは?

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