反抗挑戦性障害(Oppositional Defiant Disorder: ODD)は、主に近親者や身近な関係者に対して、著しい易怒性、頻繁な口論、挑発的行動、執着的態度などを示すことを特徴とする行動障害です。
この障害は、家庭内、教育現場、友人関係など複数の場面や対人関係において生じる頻度が高い場合、重症度が増すと診断されます。また、注意欠如・多動症(ADHD)の二次障害として発現することも多く見られます。
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反抗挑戦性障害は、特に両親や学校の先生などの目上の人々に対して挑戦的で反抗的な態度を過剰に示すします。この障害が長期間にわたり続くと、トラブルが両親や教師だけでなく、同世代の友人や恋愛パートナーとも頻繁に発展することが知られています。
反抗挑戦性障害に悩んでいる子どもがいる場合、その怒りっぷりや反抗的な行動が学校の先生や親に困りをかけているかもしれません。
家庭や学校生活に支障が出ている場合は、反抗挑戦性障害の可能性があります。反抗期との違いや、特徴、原因、そして治療・対処法について解説します。
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反抗挑戦性障害(反抗挑発症)とは?
反抗挑戦性障害(反抗挑発症)は、9~10歳未満の子どもによく見られ、家族や学校の先生、友達など、他人や権威に対して反抗的な態度を取り、しばしば怒りや攻撃性があることを示す診断名です。
症状は周囲の人々との関係に影響を与え、学校や家庭での問題行動が増えることがあります。
過度に怒りっぽく、口論や挑発的な行動、意地悪で執念深い行動が特徴的な疾患です。
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反抗挑戦性障害の主な症状
反抗挑戦性障害は、以下の3つのパターンに大きく分類されます。
1. 過剰に怒りっぽい
周囲の刺激に過剰に敏感になり、すぐにイライラし、かんしゃくを起こすことがよくあります。
2. 周囲に挑発的な行動をする、口論が好き
大人が定めたルールや権威のある人物に積極的に反抗し、口論を挑発的にふっかけることがあります。また、他人のせいにして自らの行動を正当化することも。
3. 意地悪で執念深い
相手を傷つけようとする悪意のある行動が見られます。
反抗挑戦性障害は、これらの症状が特に家庭で現れることが一般的ですが、重度の場合には学校など他の状況でも症状が見られることがあります。
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反抗挑戦性障害(反抗挑発症)と反抗期の違い
反抗挑戦性障害(反抗挑発症)は医学的な診断名であり、対照的に反抗期は医学的な診断名ではないものです。
反抗期は、子どもが周囲の大人などに対して否定や拒否の態度や行動が多くあらわれる時期を指し、子どもの健康な育成において必要な過程とされています。
個人差はあるものの、思春期には保護者に対して反発的な態度を示したり、苛立ちを見せたりすることが一般的です。このため、通常の反抗期と反抗挑戦性障害(反抗挑発症)の区別が難しい場合があります。
識別には、反抗的行動の持続期間や発生頻度を考慮することが重要です。
例えば、第1次反抗期と称されることのある5歳未満(おおむね1歳半から4歳ごろ)の児童の場合、周囲に対する易怒性、攻撃的な言動、頻発するかんしゃくなどの行動がほぼ毎日、少なくとも半年以上持続することが識別基準とされます。
5歳以上の年齢層においては、こうした症状が週1回以上の頻度で少なくとも半年間継続することが診断の指標とされています。
ただし、反抗挑戦性障害(反抗挑発症)を適切に識別するためには、これらの条件に加え、発達水準、性別、文化的背景などの多様な要因を総合的に考慮する必要があります。これらの基準をもとに、行動頻度や症状の深刻度が一般的な反抗期を超えていると判断される場合に反抗挑戦性障害(反抗挑発症)と診断されることがあります。診断が難しい場合には、専門家への相談が推奨されます。
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生物学的要因 | ADHD(注意欠如多動性障害)との関係
反抗挑戦性障害(ODD)の発症は、遺伝的素因や神経生物学的要因といった生物学的要因と、家庭環境や育児経験といった環境要因が複雑に絡み合って生じると考えられています。特に、脳の神経伝達物質のバランスや、特定の脳領域の機能異常がODDの発症に関与している可能性が指摘されています。
興味深いことに、ODDを抱える子どもたちの多くは、注意欠如多動性障害(ADHD)を併発しています。ADHDとODDは、ともに神経発達障害に分類され、衝動性や注意欠如といった共通の症状を呈する場合があります。このことから、両者の間には密接な関連性があると考えられており、神経生物学的基盤を共有している可能性も示唆されています。
複数の疫学調査によれば、ADHDの発症率の30%〜40%が反抗挑戦性障害との関連が報告されています。ADHDには不注意、多動、衝動性の特徴があり、これが勉強や人間関係での困難を引き起こすことがあります。最終的には、反社会的な行動に発展し、行為障害や反社会性パーソナリティ障害へと進むこともあります。
ADHDの子どもが反抗挑戦性障害を経て行為障害や反社会性パーソナリティ障害に至る過程は、DBD(破壊的行動障害)マーチと呼ばれています。また、ADHD以外にも、軽度の知的障害や学習障害を抱える子どもがODDの症状を示すことは珍しくありません。
発達障害でなくても、周囲の変化に敏感な気質を持つ子どもは、ODDを含む心理的・行動的な問題が発生しやすいことがあります。ただし、発達障害や気質がODDを確実に引き起こすものではありません。遺伝はあくまでスイッチであり、そのスイッチを押す指(環境的要因)が絡まない限り、ODDが発症することはありません。また、スイッチが押されても、それが反抗挑戦性障害とは限らない場合もあります。
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反抗挑戦性障害(反抗挑発症)の診断
医療機関では、2023年に発行されたアメリカ精神医学会の『DSM-5-TR』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版改訂版)および『ICD-10』の基準を参照して診断が行われます。
DSM-5-TRにおける反抗挑戦性障害(反抗挑発症)の診断基準は以下の通りです。
症状が半年以上続くこと。
・口論や挑発的な行動
・執念深さなどの特徴的な行動がみられること
・頻繁な癇癪
・いらいら
・怒り
・目上の人との口論
・反抗的な態度
・周囲を苛立たせる
・失敗を人のせいにする
・意地悪で執念深い様子
などが具体的な行動として挙げられます。
これらの症状が4つ以上見られ、かつ5歳未満の場合はほとんど毎日、5歳以上では1週間に1回の頻度で、ともに半年以上にわたって続くことが必要です。
小児期から診断されますが、発達段階や環境などを慎重に考慮した上で判断が行われます。診断の際には、これらの特徴的な行動が精神病性障害や物質が原因となる障害、抑うつ障害や双極性障害などの症状によらないことが確認されます。
一方、世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)においては、反抗挑戦性障害(反抗挑発症)は素行症に分類され、主に9〜10歳未満の児童に発症する素行症の軽度な範疇として位置づけられています。
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診断基準:DSM-5
反抗挑戦性障害のDSM-5における診断基準は以下のようになっています。
怒りっぽく/易怒的な気分
- しばしばかんしゃくを起こす。
- しばしば神経過敏またはいらいらさせられやすい。
- しばしば怒り、腹を立てる。
口論好き/挑発的な行動
- しばしば権威ある人物や、または子どもや青年の場合では大人と、口論する。
- しばしば権威ある人の要求、または規則に従うことに積極的に反抗または拒否する。
- しばしば故意に人をいらだたせる。
- しばしば自分の失敗、また不作法を他人のせいにする。
執念深さ
- 過去6ヵ月間に少なくとも2回、意地悪で執念深かったことがある。
注:正常範囲の行動を症状とみなされる行動と区別するためには、これらの行動の持続性と頻度が用いられるべきである。5歳未満の子どもについては、他に特に記載がない場合は、ほとんど毎日、少なくとも6ヵ月間にわたって起こっている必要がある
5歳以上の子どもでは、他に特に記載がない場合、その行動は1週間に1回、少なくとも6ヵ月間にわたって起こっていなければならない
こうした頻度基準は、症状を定義する際の最小限の指標を提供するものであるが、同時に当該個人の発達水準、性別、文化的背景などを勘案し、行動が頻度および強度において許容範囲を超えているかどうかも評価する必要がある。
現在の重症度を特定せよ
・中等度:いくつかの症状が少なくとも2つの状況で見られる。
・重度:いくつかの症状が3つ以上の状況で見られる。
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疾患の具体例
7歳の女児。学校では問題が無いのに、家に帰ってくると家族に対して絶えずイライラし、日常的にかんしゃくを起こす様子から、精神科の診察が必要とされ、精神科に連れてこられました。
診察時には医師に対し大人しく従順な態度を示すものの、母親の報告によれば、家庭内では不満を抱く出来事があると罵詈雑言を伴う激しい泣き叫び、物を投げ、椅子やテーブルに対して蹴るなどの行為が見られるとのことです。
小学校入学後、環境の変化に起因する疲労が影響しているのか、かんしゃくの頻度と強度がさらに増加しています。
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特 徴
大人に対する反抗や挑発は、ある程度の範囲では通常の子どもにも見られる行動です。しかし、特定の基準を超える場合には反抗挑発症と診断される可能性があります。
例えば、就学前の子どもが週に一度ほどかんしゃくを起こすことは一般的な範囲内ですが、毎日のようにかんしゃくを起こし、物を壊すなどの行動が見られ、他の症状も伴う場合は、反抗挑発症と診断される可能性があります。
反抗挑発症の子どもは、自分が反抗的で挑発的であると自覚していません。
むしろ、周囲の理不尽な要求や状況が原因で怒りや挑発的な態度になると感じています。
その結果、仲間から拒絶されたり、周囲のサポートを得られなかったりして、学業に支障をきたすことがあります。
なお、似た症状を示す素行症も存在しますが、これには他者への攻撃性や所有物の破壊、盗みや詐欺などが含まれます。対照的に、反抗挑発症においては怒りや易怒的な気分が特徴ではありません。
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有病率
反抗挑戦性障害の有病率は概ね3%と推定されており、通常、家庭環境において顕著に症状が現れる傾向がありますが、重度の症例では学校など多様な場面で典型的な症状が確認されることがあります。一般的に、青年期以前では男子における発症率が女子よりも高い傾向が認められますが、成人期以降は性差がほとんど見られないとされています。
反抗挑戦性障害(反抗挑発症)の主な原因
気質の要因
情動をコントロールすることが難しい気質(例:高い情動的反応性、欲求不満耐性の低さ)が、反抗挑発症の予知に関連しているとされています。
環境の要因
養育者が頻繁に変わったり、支配的な親によるネグレクトがあったりするような養育環境が、反抗挑発症のある子どもでよく見られます。親が子どもの努力や人格を否定する態度や、兄弟姉妹との間に差別をつける行為、またDVを子どもが目撃するなどの行為は、心理的虐待となり、子どもの心を傷つけます。親が善意で本人の勉強や趣味、努力に対してアドバイスや意見を述べた場合でも、本人は自分を否定されて傷つく可能性があります。
遺伝と生理学的な要因
関しては、多くの神経生物学的なマーカーが反抗挑発症と関連していることが知られています。たとえば、心拍数や皮膚電気伝導度の低さ、コルチゾールの基礎活動レベルの低下、脳の前頭前野や扁桃核の異常などが挙げられます。ただし、反抗挑発症に特有のマーカーがあるかどうかは不明です。
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反抗挑戦性障害(反抗挑発症)を発症しやすい人
反抗挑戦性障害(ODD)の初期症状は主に就学前に現れ、青年期早期以降に発症することは比較的少ないとされています。
男女比に関して、思春期以前では男女比が1.4:1となっており、男児の発症率が約1.4倍高いとされています。しかし、思春期以降になると性別による発症率の差があまり見られなくなります。
反抗挑戦性障害(反抗挑発症)の治し方・対応方法・接し方
反抗挑戦性障害には、早期の介入が不可欠です。年齢が進むにつれて、反抗的な行動パターンが定着してしまう可能性が高まります。この障害に対する治療や対処法には、以下のアプローチがあります。
反抗挑戦性障害(反抗挑発症)の治し方
反抗挑戦性障害(ODD)の治療の目的は以下の通りです。
2. 患者が社会生活で起こるトラブルを減少させること
3. 家族のストレスを軽減すること
4. 行為障害の進行を予防すること
これらの目標を達成するために、様々な治療アプローチが採用されます。
心理的アプローチ
子どもが社会的なスキルを磨くソーシャルスキルトレーニング(SST)や、親の態度に焦点を当てる認知行動療法が含まれます。
また、反抗挑戦性障害(反抗挑発症)のある本人ではなく、その保護者が子どもとの関わり方を訓練する、ペアレント・トレーニングという訓練もあります。子どもの反抗的な行動の動機・行動のパターンを理解し分析することによって、問題行動に対して上手く対応できるように指導していきます。
反抗挑戦性障害(ODD)に対する認知行動療法においては、社会的スキル訓練が重要な介入の一つとして位置づけられています。この訓練では、ロールプレイングやモデリングなどの手法を用いて、以下のような具体的なスキル習得を図ります。
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- 効果的なコミュニケーションスキル: 相手の気持ちを理解し、自分の意見を適切に伝えるためのスキルを養います。具体的には、非暴力的コミュニケーション、傾聴、アサーティブネス(積極的自己主張)などのスキルが訓練されます。
- 感情のコントロール: 怒りやフラストレーションなどの負の感情を適切にコントロールするためのスキルを習得します。深呼吸法やリラクゼーション法、コーピング戦略(対処法)などが指導されます。
- 対人関係スキル: 大人や同年代との円滑な関係構築に必要なスキルを習得します。具体的には、目上の人への敬意の表現、友達との協調性、トラブル解決能力などが訓練されます。
これらの訓練は、グループセッションや個別セッションで行われ、治療者やピア(仲間)からのフィードバックを受けながら、段階的に進められます。
また、認知技能訓練においては、否定的な認知や思考の偏りを修正し、問題を回避できる意見表出方法を習得するための訓練を行います。課題解決能力の向上を目標とし、自己主導で適切な問題解決を図るスキルの習得を目指しましょう。
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医学的アプローチ
反抗挑戦性障害の治療において、怒りっぽさや背景にある発達障害の症状が複雑で、心理療法単体では改善が難しい場合があります。これに対処するため、心理療法と同時に医師による薬物療法が採用されることがあります。特に問題行動や症状が著しいケースでは、心理療法と薬物療法を組み合わせることで治療効果が著しく向上することがあります。反抗挑戦性障害の子どもに用いられる薬物には、以下の種類があります。
・(定型・非定型)抗精神病薬:多動、衝動性、反抗挑戦性障害、興奮、攻撃性の緩和
・気分安定剤(炭酸リチウム):うつ、イライラ、怒りっぽさ、攻撃性の緩和
・抗てんかん薬(バルプロ酸など):怒りっぽさやイライラ、かんしゃくに有効
これらの薬物療法の目的は、発達障害の症状や衝動性、怒りっぽさを和らげ、患者が少しでも心地よく感じるようにすることです。ただし、子どもへの薬の投与に際しては、服薬量や種類、副作用の心配事などについては、医療機関や医師と十分な相談が重要です。
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福祉的アプローチ
反抗挑戦性障害の原因となる発達障害や家庭環境・生活問題に対処するため、スクールソーシャルワーカーが学校や専門機関と連携し、支援にあたることもあります。このほか、市区町村や児童相談所、発達障害者支援センターにも相談できます。専門機関では、子どもの障害や家庭環境に関する相談支援を提供し、必要な治療や訓練を受けるための障害福祉サービスの申請や、家庭の経済的負担などの軽減策も検討できます。こうした連携や相談を通じて、子どもと家族が適切な支援を受けられるようサポートが行われます。
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反抗挑戦性障害(反抗挑発症)がある子どもへの対応方法・接し方
過剰に興奮してしまう場合や思った通りにならずにすねてしまう場合、また自分のペースで行動したがる場合など、具体的な状況ごとに適切な対応法を以下に解説します。
過剰に興奮してしまう場合
素直に従わず、無視したり、返事はするものの最終的には行動しない傾向が見られる場合や、指示を繰り返すと興奮して暴言を返すなど、売り言葉に買い言葉になりやすい状況に対処する方法について、以下に詳しく説明します。
このような子どもに対しては、事前に約束する手法が有効です。即座に「~しなさい」と命令するのではなく、事前に約束したことを思い出すよう促します。これによって、子どもは指示をする大人との直接的な対峙ではなく、自分が約束を守るかどうかといった「自分との対峙」に焦点を当てるようになります。
具体的なポイントとして、子どもが約束を思い出せない場合、「何を約束したっけ?」と内容を尋ねるのではなく、まず約束の事実を伝え、次に「お風呂と遊ぶ、どっちかな?」などの二択の質問をします。ことばだけでは伝わりにくい場合には、絵カードなどを使用することもおすすめです。
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思った通りにならずすねてしまう場合
衝動性が高く、思いついたことをすぐに行動に移しても思い通りにならないと、ちょっとした拍子にすねたり、いじけたり、反抗的な態度をとることがあります。すねる原因として、多くの失敗体験によって自信を喪失し、「どうせやっても失敗する」というネガティブな思考が根付いていることが挙げられます。そのため、成功体験を積むことが重要です。
おすすめなのは、運動や料理など子どもにとって身近な活動を通じて、成功を実感させることです。たとえば、縄跳びでは跳ぶ回数や跳び方でランクをつけ、段階的に上達していることを子どもに実感してもらいます。
ここで重要なのは、
・どこまで到達できたかを分かりやすく示すために段階的な目標を設定すること
・子どものモチベーションを維持するために結果だけでなく過程も評価すること です。
また、子どもは「本当に自分にできるのか」と不安を感じています。そのため、「本当に上手くなってきたね、この調子で更に上達できるよ」といった言葉で子どもに自信を与えることが大切です。
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自分のペースで行動したがる場合
自分のペースで行動したがる場合、集団での活動や他の子どもたちとの共同作業が苦手で、集団に誘うとパニックを引き起こすことがあります。また、周りの子どもたちと興味やペースが合わなくなり、怒り出してしまうこともあります。
このような場合は、本人の興味やペースなどを考慮し、周囲との距離感を調整することが主な対応方法となります。子どもが嫌がっている様子や表情を見せた場合は、無理に強制せず、子どものペースを尊重することが重要です。
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