発達障害と障害者手帳 取得できる条件や手帳の種類や申請手順について解説

発達障害知的障害

発達障害のある方の障害者手帳について

発達障害の傾向や診断がある子どもを抱える保護者の中には、障害者手帳の取得を検討している方もいらっしゃるでしょう。

「取得した方が良いのか?」「手帳をもらえないケースはあるのか?」「そもそも障害者手帳のことがよくわからない」といった疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。

障害者手帳を取得すると、障害の種別および程度に応じた多様な福祉サービスを受給することが可能です。

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しかし、「障害者手帳の申請が通らないのではないか」「具体的な申請手順が分からない」といった不安を感じる場合もあるかもしれません。

本稿では、発達障害と診断された方が取得可能な障害者手帳の種類、申請手続き、および取得によるメリットについて詳細に解説します。さらに、障害者手帳を取得できない場合でも利用可能な支援・サービスについても言及し、発達障害のある方がより豊かな生活を送るための情報を提供します。

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発達障害のある方が取得できる手帳の種類

障害者手帳とは、身体機能の障害、知的障害、または精神障害を有し、日常生活または社会生活において一定以上の制限を受ける個人が、その障害の種類と程度を証明するために交付される公的書類です。

発達障害に限定された「専用」の手帳は存在しません。

発達障害精神障害者保健福祉手帳の適用範囲に含まれており、知的障害が併存する場合には療育手帳も対象となります。発達障害知的障害の両方が認められる場合には、両方の手帳を申請することが可能です。

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手帳の申請には医師による診断が必要であり、障害の程度や取得の可否を判定するために、住所地の障害福祉窓口に申請書や本人確認書類と共に診断書を提出します。

障害者手帳を申請してもらえないのではないか」と心配な方は、まずかかりつけの医師に相談してみると良いでしょう。

障害者手帳それぞれ異なる法律に基づいていますが、障害者手帳はどの手帳を持っていても「障害者総合支援法」の対象になります。

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発達障害のある方が取得できる手帳の種類

精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳は、特定の精神疾患に起因し、長期間にわたり日常生活や社会的参加において持続的な制約が生じている個人を対象としています。対象となる精神障害には、以下の疾患が含まれます。

統合失調症

うつ病躁うつ病などの気分障害

てんかん

・薬物依存症

高次脳機能障害

発達障害自閉症(ASD)学習障害(LD)注意欠陥多動性障害(ADHD)など)

・その他の精神疾患(ストレス関連障害など)

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精神障害者保健福祉手帳は、精神障害の重症度と機能障害の程度を総合的に評価し、1級から3級までの3段階で等級が認定される制度です。

等級認定の基準は、精神疾患の診断、精神症状の頻度・強度、認知機能・情動・意欲の障害、社会適応能力の低下など多角的な因子を考慮し、日常生活における自立度を総合的に判断します。手帳交付の申請には、一般的に、精神障害の診断を受けてからの経過期間として、初診日から6か月以上の経過が求められます。

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精神福祉保険手帳の等級

1級 精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級 精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3級 精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの
【判定基準】精神障害者保健福祉手帳の障害等級判定基準


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療育手帳

療育手帳は各自治体によって判定基準が決まっている

この手帳児童相談所または知的障害者更生相談所において、発達障害が認められた場合に交付されます。精神障害者福祉手帳とは異なり、各自治体ごとに異なる判定基準が存在します。基本的に「重度(A)」とそれ以外の中軽度「B」の2つの等級に分けられます。

療育手帳は各自治体で異なる名称で呼ばれることもあり、例としては東京都が「愛の手帳」、埼玉県が「みどりの手帳」と呼ばれています。その他、一部の自治体では独自の名称が付けられており、例としては青森県や名古屋市が「愛護手帳」、東京都や横浜市が「愛の手帳」、さいたま市が「みどりの手帳」と呼んでいます。詳細な情報は関連ページを参照してください。

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障害の程度および判定基準は以下の通りです。

重度(A)の基準

  1. 知能指数が概ね35以下で、次の条件のいずれかに当てはまる者
    • 食事、着脱衣、排便、洗面などの日常生活において介助が必要
    • 異食や興奮などの問題行動が見られる
  2. 知能指数が概ね50以下で、盲、ろう、肢体不自由などを有する者

それ以外(B)の基準

  • 重度の基準に当てはまらないもの

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発達障害のある方でも障害者手帳は取得できる?

前の項目でもお伝えした通り、発達障害がある方は障害者手帳を申請することができますが、基準を満たさなかった場合に手帳が取れないことがあります。

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発達障害のある方で障害者手帳が申請できない場合

では、どんな場合だと、発達障害の方は障害者手帳が申請できないのでしょうか?以下で見ていきます。

「長期にわたり精神疾患があり、生活に制限がある方」精神保健福祉手帳の対象となるという記載が見られます。

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ここでの「長期」とは、症状の診断を受けた日(初診日)から6ヶ月以上が経過していることを指します。上記の基準を満たしていない場合は、(例えば「初診日から4ヶ月しか経っていない」などの理由)で申請が認められません。

障害者手帳の取得の可否を判断するのは各自治体なので、等級の判定時と同様に診断書の内容が大きな影響を与えると考えられます。したがって、障害者手帳の申請を考えている場合は、ますます手帳が取得できるかどうかを確認するためにかかりつけの医師の判断が重要となってきます。

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発達障害の傾向があるグレーゾーンの方の申請は難しい

発達障害の検査を受けて「グレーゾーン」と診断されてしまった場合は、残念ながら障害者手帳を取得することはできません。

福祉の恩恵、全てを受けることは難しくなりますが、以下のサービスは利用できますので検討してみましょう。

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障害者手帳がもらえない場合でも利用できる支援やサービスは?

障害者手帳が取得できない場合でも利用できる支援サービスの一例として、ハローワーク」や「地域障害者職業センター」、そして「就労移行支援事業所」などが挙げられます。これらの機関では、障害者手帳を持っている方だけでなく、手帳を持っていない方にも幅広いサポートが提供されています。

特に、これらの機関は就職が決まった後も支援を行っており、長期的な雇用の安定や職場適応の向上をサポートするために「就労定着支援」にも積極的に対応しています。

ただし、障害者雇用を考える際は障害者手帳の取得が必須となりますので、就業は一般枠のみで可能となります。

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子ども向けの支援やサービス

発達障害の特性が見られるお子さんが利用できる支援やサービスを紹介します。

保健センター

保健センターは市町村に設置されている機関で、住民の頻繁な利用がある保健サービスを提供しています。例えば、母子手帳の発行、乳幼児健診、予防接種、健康診断など、地域住民が直接受けることができる健康づくりに関するサービスが提供されています。

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子ども家庭支援センター

こども家庭支援センターは、子どもと家庭に関する包括的な相談窓口となっています。18歳未満の子どもや子育て中の家庭のあらゆる相談に対応するだけでなく、ショートステイや一時預かりなど在宅サービスの提供、ケース援助、サークル支援、ボランティア育成なども行っています。地域の子育てに関する情報も提供され、包括的なサポートが行われています。

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児童相談所

児童相談所とは、「児童福祉法」に基づき設置された行政機関であり、児童心理司児童福祉司などの専門スタッフが配置されています。18歳未満の子どもに関する家族からの相談に無料で対応し、共に問題解決を目指していく専門の相談機関です。また、虐待された子供の保護なども行っています。

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発達障害者支援センター

発達障害者支援センターは、発達障害のある方を総合的にサポートするための機関です。

発達障害のある本人とその家族が地域社会において円滑な生活を送れるよう、医療機関、教育機関、福祉機関など、関係機関との連携の下、包括的な支援を提供しています。

また、発達障害者支援センターでは、就労支援や日常生活のサポート、地域社会との連携を通じて、個々のニーズに合ったトータルなサービスを提供しています。これにより、発達障害のある方が豊かで充実した生活を築くお手伝いをしています。

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児童発達支援事業所

児童発達支援事業所は、障害のある子どもやその家族に対する支援を提供する通所施設です。対象者は、身体や精神に障害のある児童や、発達障害知的障害のある児童ですが、障害者手帳の有無は問われません。児童相談所保健センター、医師の診断に基づき、療育の必要性が認められた児童に対して、療育サービスが提供されます。療育サービスを利用するためには、「通所受給者証」の交付を受ける必要があります。

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放課後等デイサービス

小学生・中学生・高校生(6歳~18歳)の障害がある子どもが利用できる児童福祉法に基づく福祉サービスの一環が通所支援サービスです。学校が終わった後や夏休みなどの長期休暇を活用して、生活能力向上のプログラムを提供し、自立をサポートしています。このサービスは児童発達支援事業所と同じく、「通所受給者証」を取得している方が利用できます。

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障害者手帳を取得する利点はある?

障害者手帳を取得することには、以下のメリットがあります。

① それぞれの等級に応じて、税金軽減の恩恵を受けられます。

② 公共料金の割引サービスを享受できます。

③ 障害者求人への応募が可能です。

これらのメリットについて、具体的な内容を一つずつご紹介いたします。

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① それぞれの等級に応じて、税金軽減の恩恵を受けられます

所得税や相続税、住民税などの税金が軽減されるのも、障害者手帳のメリットの一環です。

例えば、所得税の場合、精神障害者保健福祉手帳(2級・3級)を所持していると、障害者控除として27万円が所得金額から差し引かれます。同様に、精神障害者保健福祉手帳(1級)の場合、控除額は40万円となります。

住民税についても、自治体ごとに設定された控除額が適用されます。

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② 公共料金の割引サービスを享受できます

税金以外にも、金銭的な負担を軽減するための制度が整備されています。全国的に展開されている例としては、NHK受信料の減免制度が挙げられます。また、地域や事業者によって提供されているサービスの例としては、以下があります。

  • 電車やバス、飛行機の運賃割引
  • 携帯料金の割引
  • 上下水道料金の割引
  • 公共施設の入場料割引
  • 公営住宅への優先入居 など

ただし、これらのサービスの提供状況や適用対象の障害者手帳の等級は地域によって異なります。

障害者に一律で月3000円を交付している自治体もありますのでチェックしてみましょう。

詳細な情報が必要な場合は、各自治体の公式サイトを参照するか、直接問い合わせてみることをおすすめします。

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障害者手帳を取得するにあたって気がかりな点とは?

前述しましたが、精神障害者保健福祉手帳を取得すると障害者求人への応募が可能になります。

障害者求人は、障害があることを前提とした求人であり、事業主は配慮が必要なことを事前に想定しています。

そのため、通常の求人ルートで入社した場合と比較して、障害に対する理解が得やすいとされています。また、面接時に自身の特性や症状を伝えることで、入社後も整った職場環境で働ける可能性が高まります。ただし、医師から発達障害が診断されていても、障害者手帳を持っていない場合は障害者求人への応募はできません。

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発達障害の障害者手帳の申請方法は?

発達障害障害者手帳の申請手順についてご紹介します。

必要な書類や、取得の際に抑えておきたいポイントも併せて解説します。

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申請に必要な書類

・申請書

・医師の診断書

・顔写真

・本人確認書類

・マイナンバーがわかるもの

の以上5点になります。どんなものなのか以下で説明していきます。

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申請書

精神障害者保健福祉手帳の申請書は、各都道府県の市区町村の障害福祉窓口もしくは、オンラインからダウンロードが可能です。窓口を訪れ、手帳の取得を検討している旨を伝え、必要な用紙を取得しましょう。

 

医師の診断書

精神障害者保健福祉手帳の申請時に必要な診断書は、「初診日から6ヶ月以上経過したもの」でなければなりません。

さらに、自治体によっては「作成後〇ヶ月以内の書類」が求められる場合もありますので、なるべく早く診断書を提出するよう心がけましょう。診断書の作成には通常約2週間ほどかかります。

なお、クリニックによって異なりますが、診断書の料金は一般的に約5,000円~10,000円程度です。

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顔写真

精神障害者保健福祉手帳の取得に際しては、本人の顔写真が必要です。一般的には縦4㎝×横3㎝のサイズが要求されます。自治体によっては「撮影してから1年以内の写真」が必要な場合もあるため、手続きを始める前に使用できる写真を事前に確認しておくようにしましょう。

 

本人確認書類

運転免許証やパスポートなど本人写真付きの身元が確認できる書類が必要です。

 

マイナンバー(個人番号)がわかるもの

精神障害者保健福祉手帳を希望する本人のマイナンバーがわかる書類を用意しましょう。

マイナンバーカードを持っていない場合は、マイナンバーが記載された住民票の写しなどを提出します。

 

申請の手順

精神障害者保健福祉手帳の申請から取得するまでの流れを以下に記載していきます。

障害福祉窓口で申請書を入手するか、かかりつけの医師に診断書の作成を依頼する

② 必要書類を窓口に提出する

③ 審査が行われる

④ 審査結果と等級が通知される

手帳を受け取るために申請した窓口に行く

審査は書類を提出してから、通常であれば1ヶ月~4ヶ月ほどの期間がかかります。ただし、医師への照会や提出書類の不備がある場合は、それ以上の時間がかかる可能性があります。手続きがスムーズに進むよう、注意深く書類を整えましょう。

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手帳の取得は即座に行えるわけではないため、特に障害者求人への応募を検討している場合は、余裕をもって計画することが重要です。通知書は審査結果が確定次第、自宅へ郵送されます。

手帳の受け取りに関しては、提出した窓口で直接手続きすることが一般的ですが、市区町村によっては手帳を自宅へ送付してくれる場合もあります。手帳の取得方法については、申請時に窓口で確認しておくか、事前に情報を入手しておくことをおすすめします。

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取得後は更新を忘れずに

精神障害者保健福祉手帳は有効期限が2年間となっており、期限が切れないように注意が必要です。手帳の有効期限が切れる前には、更新手続きを行うことが基本です。更新に際しては、有効期限の3ヶ月前から申請が可能で、以下が更新時に必要な持ち物となります。

・手元にある精神障害者保健福祉手帳の写し

・申請書

・医師の診断書

・印鑑

・本人の写真

手帳の更新には新たに医師の診断書が必要となり、提出書類をもとに再度審査が行われます。審査には一定の時間がかかるため、手元にある手帳の期限が切れる前に余裕をもって更新することが推奨されています。疑問点や不明点がある場合は、各自治体の問い合わせ窓口に確認することをお勧めします。

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