ADD(注意欠陥障害)とは?ADHD(注意欠如多動症)との違い。症状や診断基準、特性について

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ADD(注意欠陥障害)とは?

ADD(注意欠陥障害)は、過去に使用されていた診断名(※)で、現在では「ADHD(注意欠如多動症)」という診断名に変わっています。

ADDは、不注意と衝動性の特性によって家庭や幼稚園、学校などで困りごとが生じている状態であり、具体的な困りごととしては以下のようなものが挙げられます。

  • 忘れ物が多い
  • 集中力が続かない
  • スケジュール管理が苦手
  • 整理整頓が苦手

本記事では、ADD(注意欠陥障害)と現在のADHD(注意欠如多動症)の違いについても解説していきます。

 

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ADD(注意欠陥障害)とADHD(注意欠如多動症)の違いは?

ADD(注意欠陥障害)ADHD(注意欠如多動症)の違いについて説明します。ADDという診断名は以前使用されていたもので、現在ではADHDという診断名に変わっています。ADDADHDの違いの一つに「多動性(Hyperactivity)」があります。多動性とは、じっとしていることが苦手で、すぐに動きたくなる特性のことです。

ADHDには3つのタイプがあります

  • 不注意優勢型
  • 多動性-衝動性優勢型
  • 混合型

ADDはこの中で「不注意優勢型ADHD」に相当します。

ADD特性としては、不注意や衝動性があり、集中力が続かない、片付けが苦手、人の話をさえぎるなどの困りごとが生じることがあります。

1987年に改訂されたDSM-Ⅲ-Rで、多動性の影響力が重視され、ADHDという分類名が生まれました。

このときから、ADHDの診断では、集中できない、落ち着きがない、衝動的に行動してしまうなど、具体的な行動パターンが評価されるようになりました。

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女性に多いADD(注意欠陥障害)

ADDの女性は、まるで情報が洪水のように押し寄せると、それをうまく整理できずにパニックになってしまうことがあります。

そのため、お金の使い方や物の置き場所が分からなくなり、予定通りに物事を進めるのが難しく感じられます。しかし、一度集中すると、驚くほどの能力を発揮することもあります。仕事で高い評価を得ている人も少なくありません。

しかし、社会が女性に求める「完璧な女性」像とは程遠く、自分の能力を十分に発揮できないことに悩んでいる女性もいます。整理整頓が苦手だったり、約束を守れなかったりすることが、人間関係にも影響を与え、孤独感を深めてしまうこともあります。

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ADD(注意欠陥障害)の原因は?

ここでは、現在の診断名であるADHDの原因について紹介します。

現時点ではADHDの発症原因ははっきりしていません。生まれつきの脳の発達の偏りが関係していると考えられており、育て方やしつけによって起こるものでは無いとされています。

脳内の神経伝達の偏り、特にドーパミンという神経伝達物質機能障害が前頭葉や線条体と呼ばれる部位で起こることが、ADHDの原因の一つとされています。

また、遺伝との関係についての研究も進められており、脳の機能的な原因により発達・成熟に偏りが生じ、ADHDの症状が現れると考えられています。

かつてはADHDの症状は成長とともに改善すると考えられていましたが、近年の研究で、成人期まで症状が持続することが多いことが明らかになっています。

ADHDの成人期以降の経過を左右する要因として、以下のような事が挙げられます。

  • ADHD以外の二次障害(気分障害や依存症など)を合併していないこと
  • 良好な知的能力があること
  • 著しい劣等感を持たず、自尊心が大きく低下していないこと
  • メンタルが安定している(感情が不安定でない)こと
  • 成功体験(過去に何かを達成した自信や記憶)があること
  • ADHDに対して周囲の理解があり、サポートおよび協力が望めること

 

ADHDの症状や経過は個々の特性によって異なりますが、適切な支援や理解が重要です。

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不注意優勢型ADHD(注意欠如多動症)(旧ADD)の特徴とは

ここでは、不注意優勢型ADHD(旧ADD)を持つ子どもに見られる特性についてご紹介します。不注意優勢型ADHDには共通する特性として、「不注意」と「衝動性」があります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

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不注意

不注意特性とは注意力が途切れやすく、集中を保つことが苦手なことを指します。具体的な不注意特性としては以下のようなものがあります。

  • 忘れ物が多い
  • よく物をなくす
  • 周りのことに気が散りやすい
  • 見落としが多い
  • 整理整頓が苦手

これらの特徴から、学習の遅れや集団生活への適応の困難さが見られる場合があります。

衝動性

衝動性とは、感情や欲求をコントロールできず、思いついたことをすぐに実行してしまう特性のことです。具体的な衝動性特性としては以下のようなものがあります。

  • 思ったことをそのまま話す
  • 待つことが苦手
  • 質問が終わる前に答え始める
  • すぐにかっとなってしまう
  • 席にじっと座っていることが苦手

また、喜怒哀楽が激しいところがあり、思い通りに事が進まないと癇癪を起こすこともあります。このような感情的な行動から、人間関係においてトラブルが多くなる子どももいます。

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二次障害

以上のような特性は子どもがわざとしているわけではなく、ADHDの特性によるものです。しかし、ADHD特性が周囲から理解されずに、本人が思い悩むことで自己肯定感の低下を招くことがあります。その結果、頭痛や食欲不振、不眠などの体の不調や不登校や引きこもり、うつ病などの精神的な症状が現れることがあり、これを二次障害と呼びます。

二次障害を防ぐためには、子どもの特性を理解し、自己肯定感が下がらないように適切なかかわり方を心がけ、早めに専門機関での相談や受診を行うことが重要です。

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不注意優勢型ADHD(注意欠如多動症)の具体的な困りごと

あなたはもしかしたら、こんな経験はありませんか?

  • ちょっとしたミスを繰り返してしまう
  • 物がいつもどこかに… なくしてしまうことが多い
  • 締め切りに間に合わず、焦ってしまう
  • 部屋やデスクがいつも散らかってしまう
  • 約束の時間を守るのが難しい
  • 予定がダブルブッキングしてしまう
  • 頼まれたことを忘れてしまう

これらは、不注意優勢型のADHD(注意欠如・多動性障害)という脳の働きの違いによって起こる可能性のある、よくある「困りごと」です。

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職場での影響と、心の負担

ADHDの特性は、日常生活だけでなく、仕事にも影響を与えることがあります。

  • 大切な書類をなくしてしまった
  • 会議があることを忘れてしまった
  • 頼まれた仕事を期限内に終えられなかった

このような経験は、あなただけでなく、周囲の人にも心配や迷惑をかけてしまうかもしれません。

これらの経験を繰り返すうちに、「どうして自分だけいつもこうなんだろう」「もっとちゃんとしないといけないのに…」と、自己肯定感が下がってしまったり、孤独を感じてしまう人もいます。

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一緒に解決策を見つけましょう

大切なのは、これらの「困りごと」は、あなたのせいではないということです。ADHDは、脳の働き方の違いであり、あなたの努力不足や怠け心から起こるものではありません。

ADHDの特性があるからといって、何もできないわけではありません。工夫次第で、日常生活や仕事での困難を乗り越えることは可能です。

具体的な工夫の例

    • 忘れないための工夫: スケジュール帳やリマインダーアプリを活用する、大事なものは決まった場所に置くなど
    • 整理整頓の工夫: 収納グッズを活用する、作業スペースをすっきりさせるなど
    • 時間管理の工夫: ポモドーロテクニックを取り入れる、タスクを細かく分けるなど

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不注意優勢型ADHD(注意欠如多動症)はうつ病と間違えやすいことも

不注意優勢型ADHD(注意欠如多動症)の症状は、うつ病などの精神疾患の症状と重なることがあり、見分けが難しいことがあります。

見分ける際のポイントは「症状がいつから現れているのか」です。幼少期から症状があった場合は不注意優勢型ADHDと考えられ、最近症状が出てきた場合はうつ病などのほかの疾患の可能性が高いです。

しかし、不注意優勢型ADHDは、うつ病などの精神疾患と合併しやすいとの報告もあり、どちらにも当てはまるケースもあります。成人になってから「集中力がない」「仕事がはかどらない」ということでADHDを疑って受診される方が増えていますが、初診でうつ病と診断されることが多い印象です。

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ADHDと併発するうつ病の例

ADHD→うつ病併発の場合

  • 小学校の時から、忘れ物や多動、かんしゃくが目立つ。
  • 大人になってADHDの症状(多動など)は少し良くなるが、仕事のストレスでうつ病になる。
  • ADHD+うつ病」の状態となり、注意力や遂行機能が悪化し、仕事がうまくいかなくなる。
  • 心療内科を受診し、うつ病の治療を優先(うつ病の症状があるとADHDは診断しにくい)。
  • うつ病が良くなってもADHDの症状も診断基準を満たす。

ADHDがなさそう→うつ病併発の場合

  • 小中学校で、忘れ物や多動、かんしゃくは目立たなかった。
  • 大人になり仕事のストレスでうつ病となり、不眠や気分の沈み、集中力低下が現れる。
  • 実はADHDだったのではないかと思い、心療内科を受診。
  • うつ病の治療を優先(うつ病の症状があるとADHDは診断しにくい)。
  • うつ病が良くなると、ADHDの症状は診断基準を満たさなくなる。

治療について

成人および子どものADHDの治療は、薬物療法と生活指導が中心になります。

服薬量の調整および、副作用のチェックを慎重に行うため、しばらくの間、毎週受診が必要です。添付文書上、自動車運転は不可となっているため、その点も理解した上で治療を開始することが重要です。

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子どもに不注意・衝動性が見られる場合は?

子どもに不注意や衝動性が見られる場合、どのように対応したらよいでしょうか。この章では、ADHDの特性を持つ子どもと関わっていくための方法と専門医の診断を受ける流れを紹介します。

環境調整

環境調整とは、家庭や学校などの環境を子どもの学習や生活がしやすいように整えることです。例えば、集中が途切れやすい子どもには、家庭では「外が見えないようにカーテンをする」、学校では「一番前の席にして他の生徒の動きが視界に入らないようにする」などして、視覚的な刺激を減らし集中を保てるようにします。また、忘れ物が多い子どもには紛失防止タグ(スマートタグ)を使ったり、スケジュール管理が苦手な子どもにはスマートフォンのTo Doアプリを活用するなどが効果的です。

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不注意への対処法

不注意による困りごとへの具体的な対処法としては以下のようなものがあります

  • 必要なものは親や先生が一緒に確認する
  • 席の位置など気になる刺激が少ない環境にする
  • 指示を細かく分類して、一つの行動が短時間で終わるようにする
  • 全体への指示の後に個別に指示を伝える
  • 紙メモやスマートフォンのTo Doアプリを活用する
  • メモなど持ち物を入れる場所を固定化する(ランドセルの特定のポケットなど)

衝動性への対処法

次に、衝動性による困りごとへの対処法としては以下のようなものがあります

  • やるべきことを思い出し気付けるような言葉かけをする
  • ルールを設定した上で、ある程度自由な行動を許す
  • ルールを伝えるときにはイラストなど視覚的に分かりやすくする
  • 水を飲む、一人になるなど自分なりのクールダウンの方法を見つける
  • 休み時間は十分に体を動かすように促す

ペアレント・トレーニング

ペアレント・トレーニングは、保護者向けに作成された子育て支援プログラムで、子どもに対する上手な叱り方や褒め方、具体的な困りごとへの解決方法などを学ぶことができます。ペアレント・トレーニングでは、親の養育スキルの向上やストレスの軽減、子どもの適応的な行動の獲得、問題行動の改善に効果が認められており、最近では厚生労働省でも推進が行われています。

これらの対処法を試みることで、子どもが困りごとを減らし、本人も周囲も安心した生活を送れるようになるでしょう。

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SST(ソーシャルスキルトレーニング)

SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは、社会生活に必要なスキルを習得するためのトレーニングです。SSTでは、対人関係や自己コントロール方法を学ぶために、ロールプレイなどの手段を用いて実践的に学んでいきます。例えば、園や学校で困った場面をもとに解決方法を見つけ、次に同じ場面に直面したときに適切に振る舞えるように練習します。

このトレーニングは、対人関係や感情コントロールに困難がある子どもに有効とされており、医療機関、児童発達支援事業所放課後等デイサービス、学校などさまざまな場所で提供されています。詳しい内容については、各実施場所にお問い合わせください。

薬物療法

ADHD(注意欠如多動症)の治療では、薬物療法が取り入れられることがあります。現在の日本で認可されている薬には、アトモキセチンメチルフェニデートグアンファシンなどがあります。どちらも医師から処方される薬なので、検討している方は医師に相談することが重要です。

薬物療法の役割は「スムーズに日常生活や社会生活を送る補助をすること」であるため、まずは先に環境調整などが行われることが多いとされています。ただし、子どもの年齢によっては使用できない場合があることや、副作用も報告されているため、処方前や処方後に気になることがある場合は、医師と十分なコミュニケーションを取って判断することが大事です。

不注意優勢型ADHDの治療薬にはいくつかの種類があるため、かかりつけの医師と相談しながら最適な治療法を選ぶことが大切です。

 不注意優勢型ADHD(注意欠如多動症)(旧ADD)の診断

子どもに不注意や衝動性が見られ、環境調整や関わり方の工夫を行っても困難が続く場合、またはADHDの可能性を感じた際は、専門医の受診が重要です。不注意や衝動性の原因を専門家以外が見分けることは難しく、原因に応じた適切な対応が求められるため、医師の診断を受けることが大切です。

専門医の受診

ADHDの診断は、専門の知識と経験を持つ医師が行います。

小児科や精神科など、ADHDの診断を行っている医療機関を探しましょう。

お近くの保健センター児童発達支援事業所などに相談すると、適切な医療機関を紹介してもらえます。

ADHDの診断にはDSM-5の診断基準がよく使われます。DSM(Disagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)は米国精神医学会が作成する精神疾患・精神障害の分類マニュアルで、2013年に公開された第5版(DSM-5)からは、ADHDが「どの年齢でもなり得る障害」として認識されています。

診断の流れ

診断を受ける際は、精神科や神経科、心療内科などを受診します。心理検査や問診を行い、他の発達障害との区別や併存を確認するため、何度か通院することになります。問診では、成育歴や現在の家庭や学校での様子について詳しく聞かれるため、以下のような記録を用意しておくと良いでしょう。

  • 母子手帳
  • 保育園や幼稚園の連絡帳
  • 通知表
  • 担任の先生の記録
  • 子どもの書いたノート

医療機関によって持ち物が異なる場合があるため、予約の際に確認して準備をしましょう。

 

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診断後の対応

診断を受けることで、自分の障害を理解し、これまで悩んできた症状の対策ができるようになります。周りの人たちの対応も変わるかもしれません。一方で、確定診断されることで本人が落ち込んだり、うつ状態になる可能性もあります。心情を整理した上で受診することをおすすめします。

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発達障害のある子どものための支援機関

子どもに不注意や衝動性があり、日常生活や園・学校などで困りごとがある発達障害のある子どもの相談や、サポートが受けられる支援機関を紹介していきます。

参考:自己理解とは

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子育て支援センター

子育て支援センターは原則的に乳幼児の子どもと、その保護者同士の交流や、子育てに関する相談などができる機関です。

  • 対象: 乳幼児とその保護者
  • サービス内容:
    • 保護者同士の交流
    • 子育てに関する相談(寝かしつけ、食事、しつけなど)
    • 発達に関する相談
  • 特徴:
    • 地域に根ざした、身近な相談窓口
    • 保育士や看護師など、育児の専門家が相談に乗ってくれる
    • 発達障害の診断は行わないが、専門機関への紹介をしてくれる

 

発達障害者支援センター

  • 対象: 子どもから成人まで、発達障害のある本人とその家族
  • サービス内容:
    • 相談支援(幼稚園や学校での困りごとなど)
    • 他の支援機関や医療機関の紹介
    • 発達支援(発達検査、支援計画の作成など)
  • 特徴:
    • 発達障害に特化した相談窓口
    • 多様な支援サービスを提供

参考:相談支援事業所とは?

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児童発達支援センター

  • 対象: 療育の必要があると認められた子ども
  • サービス内容:
    • 日常生活や集団生活への適応のための訓練
  • 特徴:
    • 専門的なスタッフが個別または少人数で指導
    • 福祉型と医療型があり、ADHDなどの場合は主に福祉型を利用

児童発達支援事業所

その他、相談できる場所

  • 保健所・保健センター: 健康に関する相談だけでなく、子育ての悩みや発達に関する相談も受け付けている。
  • 児童相談所: 子どもに関する様々な相談に対応。虐待の疑いがある場合だけでなく、子育ての悩みや発達障害に関する相談も可能。
  • 児童家庭支援センター: 子育てに関する相談、子どもの問題行動に関する相談などに対応。

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どの機関に相談すれば良いか迷った場合は、お住まいの市区町村の障害福祉窓口や、お子さんが通っている学校のスクールカウンセラーソーシャルワーカーに相談してみましょう。

直接出向いて相談できるだけでなく、電話などで相談を受け付けている場合もあります。各機関のウェブサイトを確認し、相談しやすい場所に問い合わせてみると良いでしょう。

また、自治体には子育てに関する相談窓口が設置されていることがあります。詳細は自治体のウェブサイトに掲載されているので、ぜひチェックしてみてください。

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不注意優勢型ADHD(注意欠如多動症)(旧ADD)のある方が仕事を続けるうえで大切なこと

不注意優勢型ADHD(注意欠如多動症)の症状がある方が、仕事を続けるうえで大事なポイントについて解説します。

まわりからの配慮を得る

不注意優勢型ADHD(注意欠如多動症)のことを職場の方に話す際、「どう思われるだろう」と不安に感じる方も多いでしょう。しかし、症状が重くなったり精神的に辛くなったりすることを避けるためには、理解してくれる人に相談することが大切です。

また、先輩や上司、社内カウンセラー、産業医への相談も検討すると良いでしょう。

合理的配慮は2016年度から障害関連の法令に盛り込まれました。この制度は以下の3つを柱としています。

 

  1. 障害特性は一人ひとり異なるため、雇用主に個々の事情にあった配慮を要求できること。
  2. 雇用主は経済的・人員的に合理性があれば配慮をしなければならないこと。
  3. 障害のある人と雇用主が対話を続けてより良い環境を整えていくこと。

 

障害者雇用だけでなく、一般雇用の場でも合理的配慮を求める権利があります。

障害者手帳の有無は合理的配慮に関係ありません。

例えば学習障害書字障害がある人がテストで制限時間の延長を求める場合、公平性を保つために他の人よりも著しく困難があることを証明できれば合理的配慮の対象となります。

証明には医師の診断書やそれまで受けてきた配慮の記録を用意しましょう。

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職場でのサポートが得られると、例えば「デスクを集中しやすい場所に移動したい」や「業務の優先順位について意見を聞きたい」といった配慮をお願いしやすくなります。また、身近に事情を知っている人がいることで、精神的な安心感にも繋がるでしょう。まずは話しやすい方や理解をしてくれそうな方に相談してみましょう。

ただし、合理的配慮は仕事のハードルを下げたり、苦手な仕事を免除したりすることを目的とするものではありません。あくまで給与に見合った成果を出すための支援であり、給与とパフォーマンスのバランスを崩しても許されるものではないことを理解しておく必要があります。

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こまめにメモをとる

仕事の内容を忘れないためには、こまめなメモが大切です。

たとえ簡単なことでも、メモに残す習慣をつけましょう。

例えば、「13時から会議」のように、一見簡単そうなことでも、メモに残しておくことで、うっかり忘れることを防ぐことができます。

脳内メモを信用せず、上司から受けた口頭の指示や思い出した用事、友達との予定などもすぐにメモやスマートフォンのスケジューラーに記録する習慣をつけましょう。これにより、脳内に留めておく負担を軽減し、忘れる可能性を低くできます。例えば、メモをすぐに取ったりスマートフォンに入力し、それをデスクなどのよく目にする場所に置いておけば、別の仕事を頼まれたとしてもうっかり忘れることが少なくなります。

やることリストを作る

物事を順序立てて行うことが苦手な場合、やることリスト(ToDoリスト)を活用するのがおすすめです。ToDoリストは、業務や日常生活でやるべきことをリスト化し、行動に集中するための手助けとなります。

ToDoリストの作成方法は以下の通りです。

  1. やるべきことをすべて書き出す: まず、すべてのタスクをリストアップします。
  2. 優先順位や必要な時間を記入する: 各タスクに優先順位をつけ、必要な時間を記入します。優先順位付けが難しい場合は、上司や先輩に相談するのも一つの方法です。

また、リストの管理方法には個人差があります。紙に書いて常に見える位置に置く方法や、アプリやエクセルなどのツールを使用する方法など、自分に合った管理方法を選びましょう。紙の場合、付箋を使ってタスクを見えるところに貼り、終わったら剥がすことで進捗状況を把握しやすくなります。アプリを使う場合は、アラーム機能を活用すると効率的です。

タスクが完了したら、項目を線で消したり「済み」とマークを付けることで達成感を得ることができ、モチベーションの向上にもつながります。このようにToDoリストを基本にしながら、自分に合った方法でアレンジしていくことが大切です。

ToDoリストはタスク管理の基本であり、これを上手に活用することで目標達成や課題解決がスムーズになります。自分に合った方法を試してみてください。

ADD(注意欠陥障害)のまとめ

ADD(注意欠陥障害)は、過去に使用されていた診断名で、現在はADHD(注意欠如多動症)の不注意優勢型として知られています。

この障害は、集中力が続かない、忘れ物や失くし物が多い、不注意や衝動性が強いといった症状を特徴とし、日常生活や職場、家庭、学校などでさまざまな困りごとを引き起こすことがあります。

診断名にとらわれることなく、個々の困りごとや特性に合わせた適切な対応が重要です。家庭だけで問題を抱え込まず、専門機関や支援機関の力を借りることが、困りごとを減らし、適切なサポートを受けるために効果的です。まずは専門家に相談し、適切な支援や環境調整を行うことで、日常生活の質を向上させることができます。

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