アルプラゾラム(ソラナックス/コンスタン)の効果と副作用

精神薬

アルプラゾラム(ソラナックス)とは?

ベンゾジアゼピン系薬剤は、心を落ち着け、不安や緊張を和らげ、憂うつな気分を改善します。通常、心身症(胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、自律神経失調症)に伴う身体的症状や、不安、緊張、抑うつ睡眠障害の治療に使用されます。
 
アルプラゾラム(商品名:ソラナックス)は、1984年に発売されたベンゾジアゼピン系の抗不安薬で、安定剤とも呼ばれます。不安や緊張を和らげる効果が期待されます。
 
アルプラゾラムは、効果と副作用のバランスが良いのが特徴です。不安に対しては即効性がありながらも、眠気やふらつきといった副作用は比較的少ないです。ただし、筋肉の緊張を和らげる効果や催眠作用はあまり期待できません。
 
アルプラゾラムは、発作的な不安が認められる場合や身体の緊張がそこまで強くない場合に使われることが多い抗不安薬です。 作用時間はやや短いため、効果を持続して期待する場合は1日2~3回服用されます。頓服(必要なときに使うお薬)としても使われます。
 
アルプラゾラムの先発品としては、ソラナックス錠とコンスタン錠の2つが発売されています。
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参考:過敏性腸症候群とは?
参考:ベンゾジアゼピンとは?

ソラナックスの特徴

メリット

  • 即効性が見込める
  • 効果的な抗不安作用
  • ジェネリック品が販売されており、薬価が手頃
 

デメリット

  • 筋の緊張を和らげる効果が薄い
  • 眠気が生じる可能性がある
  • 作用時間がやや短いため、薬を服用する頻度が必要となる
参考:ジェネリック医薬品とは?
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ソラナックスの効果

ソラナックスは、不安や緊張を抑えるために脳の活動を抑制する薬です。このような薬の特徴として、即効性が期待される一方で、依存性には注意が必要です。 ソラナックスの特徴は、作用時間がやや短く、効果が確実であることです。作用時間が短いため、効果を維持するためには1日2~3回の服用が必要です。 効果が強いため、即効性が期待出来ますが、筋弛緩作用は比較的弱いとされるため、身体の緊張が強い人には適していないケースもあります。

参考:筋弛緩作用とは?
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ソラナックスの副作用

ソラナックスは効果と副作用のバランスが良いお薬で、効果のわりには副作用が少ないお薬になりますが、重大な副作用には注意が必要であり、それには以下が含まれます。

依存性(頻度不明)や離脱症状(頻度不明)があり、薬物依存を生じる可能性があるため、投与量と使用期間には注意が必要であり、投与中に急激な減量または中止が行われた場合、痙攣発作、せん妄、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想などの離脱症状が発生することがある。

参考:離脱症状とは?
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また、刺激興奮(頻度不明)や錯乱(頻度不明)、呼吸抑制(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)、肝機能障害(頻度不明)、黄疸(頻度不明)などの副作用も報告されている。 これらの副作用が発現する場合は、適切な処置を行う必要があります。 さらに、精神神経系、肝臓、循環器、消化器、過敏症、骨格筋、その他の領域での副作用が発生する可能性もあり、これらも観察が必要です。

参考:黄疸とは?

ソラナックスの承認時と承認後調査(計8459例)の副作用頻度を集計すると、

  • 傾眠(眠気・起床時うつらうつら)(4.31%)
  • めまい(ふらつき・フワフワ感)(1.38%)

となります。

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参考:アナフィラキシーとは?

ソラナックスの剤形と薬価

ソラナックスの特徴について詳しく見ていきましょう。
ソラナックスには、0.4mgと0.8mgの2つの剤形があり、先発品として販売されています。後発品であるジェネリック医薬品も市場に出回っています。
 
それぞれの薬価は以下の通りになります。
  • 0.4mg錠:5.9/5.9円(ジェネリック:5.7円)
  • 0.8mg錠:9.8/9.7円(ジェネリック:5.9円)
※ソラナックス/コンスタン ※2023年4月現在 ソラナックスは長い間市場に存在しているため、先発品の薬価もジェネリックに近い価格まで下がっています。患者の自己負担割合(1~3割)がこれにかかり、薬局では管理料などが追加されて請求されます。
主成分 アルプラゾラム(Alprazolam)
剤形 白色の割線入りの錠剤、長径9.1mm、短径5.6mm、厚さ3.2mm
シート記載など Solanax 0.4mg、ソラナックス、0.4mg、VIATRIS、ソラナックス0.4mg、UPJOHN72、アルプラゾラム

 

参考:障害児相談支援
参考:薬の隔日法とは?

 

ソラナックスの用法と作用時間

ソラナックスは、心身症(胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、自律神経失調症)に伴う身体症状や、不安、緊張、抑うつ、睡眠障害の治療に用いられる薬です。不安が高まる際に広く使われる抗不安薬です。
参考:睡眠障害とは?
参考:抑うつとは?
ソラナックスの用法は次の通りです
  • 用量:1.2~2.4mg
  • 用法:1日3~4回、食後
  • 最高用量:2.4mg ※高齢者は0.4mgから1日1~2回から開始し、最高用量1.2mgまで調整します。
通常、ソラナックスの初期用量は0.4mgから1.2mgです。作用時間がやや短いため、効果を持続させるためには1日2~3回の服用が必要です。必要に応じて頓服として使用する場合、1回の服用量は最大で0.8mgまで可能で、効果に応じて0.4mgから0.8mgまで調整します。
参考:物質依存とは?
参考:解離性健忘とは?

 

ソラナックスの半減期

薬の効果を理解する際には、次の要素が重要です:

  • 半減期(T1/2):血中濃度が半分になるまでの時間
  • 最高血中濃度到達時間(Tmax):血中濃度がピークになるまでの時間

ソラナックスの場合、以下のような特性があります:

  • 半減期(T1/2):14時間
  • 最高血中濃度到達時間(Tmax):2時間

ソラナックスは作用時間がやや短めで、健康な成人に1回0.4mgを経口投与した場合、血中濃度は投与後約2時間で最高値6.8ng/mLに達し、その後約14時間で半減します。持続的な効果を望む場合は、1日2~3回の服用が必要です。

参考:半減期とは?
参考:最高血中到達時間とは?

ソラナックスとアルコール(お酒)

ソラナックスの添付文書によると、アルコールとの併用には注意が必要です。両者には中枢神経を抑制する作用があり、併用すると脳の機能が過度に低下する恐れがあります。そのため、ソラナックスとアルコールを同時に摂取すると、薬やアルコールの効果が増強されたり、不安定になったりする可能性があります。特に注意すべき点は、両者の依存性が高まることです。ソラナックスとアルコールは類似した作用を持ち、耐性ができやすく、効果が減少すると心身に不調をきたし、精神的な依存が強まりやすくなります。したがって、日常的な飲酒とソラナックスの併用は避けるべきですが、特別な場合や機会飲酒の際には、ソラナックスの使用とアルコールの摂取の間に時間を空けるよう心掛けましょう。
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ソラナックスの安定剤としての役割

抗不安薬の役割は、主に以下の2つの要素によって特徴付けられます。
  1. 作用時間による効果の分類

    • 即効性に重点を置いた効果・・・短時間型から長時間型
    • 持続的な安定感を提供する効果・・・長時間型から超長時間型
患者の不安の程度に応じて、これらの効果を3つの段階に分けて適切に使用します
  • 時々強い不安を感じる場合・・・短い薬を頓服
  • 常に不安を感じ、時々強い不安がある場合・・・長い薬を常用し、必要に応じて短い薬を頓服
  • 常に強い不安を感じる場合・・・短い薬を常用(ただし、この場合は通常、他のお薬を主剤に使用します)
  1. 抗不安薬の4つの作用の観点

    • 抗不安作用
    • 筋弛緩作用

抗不安作用が強い薬は、不安が強い患者に適しており、頓服としても効果の実感が重要です。また、不安が強い場合、筋緊張が強くなることが多いため、その際には筋弛緩作用の強い抗不安薬が使用されます。ソラナックスの特性は以下の通りです。

作用時間:中間型
効果の強さ:抗不安作用は中程度、筋弛緩作用は弱め

このため、ソラナックスは、即効性を求めつつ、緊張がそれほど強くない場合に最適です。シャープな効果が期待でき、頓服として広く使用されています。

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ソラナックス口コミ

以下は、ネット上で報告されている実際の体験談です。アルプラゾラムの使用に関連する副作用や効果について述べられています。   ★ソラナックスは強い不安感を抱いたときの頓服薬としてはよく効くと思います。 ★ ソラナックスを飲んだらめまいが起きました。 ★ソラナックスの副作用で眠気がひどく日中でも眠ってしまいます。夜もしっかり8時間睡眠しているのに
★ソラナックスを1日3回飲むと喉が乾いて仕方ありません。
★人混みや苦手な場面など、不安を感じそうな時に事前に飲んで出かけます。
 
りこ@ADHD*ADD*HSP*」さんが書いているブログにもソラナックスについての感想がありましたので、ご紹介させていただきます!

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他剤比較

作用時間

抗不安薬の役割は、その作用時間によって大きく変わります。以下では、抗不安薬の作用時間に基づいた4つのタイプについて説明し、代表的な薬剤も紹介します。
  1. 短時間型
    • 効果のピークは1時間未満で、作用時間は3~6時間です。
    • 代表的な薬剤には、グランダキシン、リーゼ、デパスがあります。
  2. 中間型
    • 効果のピークは1~3時間で、作用時間は12~20時間です。
    • 代表的な薬剤には、ワイパックス、ソラナックス/コンスタン、レキソタンが含まれます。
  3. 長時間型
    • 効果のピークは1~8時間で、作用時間は20~100時間です。
    • 代表的な薬剤には、セルシン/ホリゾン、セパゾン、リボトリール/ランドセンがあります。
  4. 超長時間型
    • 作用時間は100時間以上です。
    • 代表的な薬剤には、メイラックス、レスタスがあります。

 

短時間型や中間型の薬剤は、主に即効性を重視して使用されることが多く、ソラナックスもその一例です。これらの薬剤は、迅速な効果が期待される場面でよく用いられます。一方で、超長時間型の薬剤は、継続的な安定効果を目的として使用されることが一般的です。日中の不安や緊張を和らげ、夜間の睡眠をサポートするために利用されることが期待されます。また、長時間型の薬剤は、即効性を求めて一時的に使用されることもありますが、長期的な安定性を求めて継続的に服用される場合もあります。
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効果の強さ

抗不安薬には、以下4つの作用が一般的に認められます。個々の作用の強さのバランスについて、他の薬剤とソラナックスで比較をしてみたいと思います。 一般的に使用される抗不安薬一覧は以下の通りです。
抗不安薬 抗不安作用 催眠作用 筋弛緩作用 抗けいれん作用
薬A わずか
薬B わずか
薬C わずか
ソラナックスは以下のような特徴を持ちます。
  • 抗不安作用:中程度
  • 催眠作用:中程度
  • 筋弛緩作用:弱
  • 抗けいれん作用:わずか
ソラナックスは中程度の強さを持ち、筋弛緩作用は弱いですが、効果がシャープに現れる傾向があります。抗不安薬には多くの種類がありますが、一部はあまり使用されていません。
参考:錐体外路症状とは?
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禁忌

以下の患者には、この医薬品を投与しないでください。 1 この医薬品の成分に過敏症の既往歴のある患者 2 急性閉塞隅角緑内障の患者(抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させるおそれがあります。) 3 重症筋無力症の患者(筋弛緩作用により、症状を悪化させるおそれがあります。)
参考:過敏症とは?
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注意

  • 眠気や注意力、集中力、反射運動能力の低下が起こる可能性がありますので、車の運転などの危険を伴う機械操作は避けてください。
  • 飲酒によって薬の効果が強くなることがありますので、服用中は飲酒を控えてください。
  • 授乳中の方は、この薬を使用している間は授乳を避けてください。
  • (中止により)けいれん発作、軽度の意識障害で錯覚や幻覚が伴う、手足の震え [依存性、離脱症状]
  • 意識の混乱や正常な思考ができなくなる、考えがまとまらない、幻覚 [刺激興奮、錯乱]
  • 呼吸が速く浅くなったり、息苦しさを感じる、呼吸が困難 [呼吸抑制]
  • かゆみ、じんま疹、顔のほてりや赤み [アナフィラキシー]
  • 体のだるさ、食欲不振、皮膚や白目の黄色くなる [肝機能障害、黄疸]
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参考:統合失調症とは?
 

特定の背景を有する患者に関する注意

 1合併症・既往歴等のある患者
1-1 心障害のある患者:症状を悪化させるおそれがあります。
1-2 脳に器質的障害のある患者:作用が強く現れるおそれがあります。
1-3 衰弱患者:作用が強く現れます。
1-4 中等度の呼吸障害、または重篤な呼吸障害(呼吸不全)のある患者:症状を悪化させるおそれが有ります。
2 腎機能障害患者:排泄が遅延するおそれがあります。
3 肝機能障害患者:肝臓で代謝されるため、クリアランスが低下するおそれがあります。

  妊婦
1 妊娠中に他のベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム)を投与された患者で、奇形を持つ子どもなどの障害児を出産した例が、対照群と比較して有意に多いとする疫学調査報告があります。また、本剤を動物に大量投与した場合、骨格異常や胎仔の死亡、出生後の仔の発育遅延の増加が報告されています。

2 ベンゾジアゼピン系薬剤が新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神経過敏、振戦、低体温、頻脈などを引き起こすことが報告されています。これらの症状は、離脱症状や新生児仮死として報告される場合もあります。また、ベンゾジアゼピン系薬剤が新生児の黄疸を悪化させることが報告されています。

3 分娩前にベンゾジアゼピン系薬剤を連用した場合、出産後に新生児に離脱症状が現れることが報告されています。    

授乳婦

授乳を避けるよう指導すること。ヒト母乳中への移行が報告されており、他のベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム)では、母乳を介して新生児に嗜眠や体重減少などが発生し、黄疸が悪化する可能性があると報告されています。  

小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。  

高齢者
少量から投与を開始するなど慎重に投与すること。運動失調等の副作用が発現しやすい。
  • 通常、成人は1回1錠(主成分として0.4mg)を1日3回服用します。年齢や症状に応じて適宜増減されますが、増量する場合は、1日の最大量を6錠(2.4mg)とし、徐々に増やして3〜4回に分けて服用します。高齢者は1回1錠(0.4mg)を1日1〜2回から開始し、増量しても1日3錠(1.2mg)を超えないようにします。必ず指示された服用方法に従ってください。

 

  • 飲み忘れた場合は、気づいた時にできるだけ早く服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は、その回は飲まずに次の通常の服用時間に1回分を服用してください。絶対に2回分をまとめて飲んではいけません。

 

  • 誤って多く飲んだ場合は、医師または薬剤師に相談してください。

 

  • 医師の指示なしに、服用を止めないでください。
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参考:睡眠障害とは?

 

ソラナックスの副作用と対処法

ソラナックスをはじめとした抗不安薬の副作用としては、大きく以下の3つを考えていく必要があります。

  • 眠気
  • ふらつき
  • 依存性

ここでは、ソラナックスでよくみられる副作用についての、それぞれの対処法をお伝えしていきます。

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ソラナックスと眠気

ソラナックスの副作用で最もよく見られるのが眠気です。ソラナックスはシャープな効果が期待できる抗不安薬ですが、催眠作用もあります。

個人の体質によっては、眠気が強く出て日常生活に支障をきたすことがあります。夜に眠気が強くなることは、睡眠を安定させる点では好ましい場合もあります。

実際に、ソラナックスは睡眠の問題を解決するためにも用いられることがあります。他の抗不安薬と比べて催眠作用を見てみましょう。不安や緊張がピークに達しているときには眠気があまり気にならないかもしれませんが、その後に強い眠気が現れることがあるため、注意が必要です。

 

ソラナックスによる眠気が強い場合、以下の対処法が考えられます。
  • 慣れるまで様子を見る
  • 服用量を減らす
  • 服用時間を変更する(朝や昼に服用を控えるなど)
  • 他の薬に変更する
ソラナックスはメリットとデメリットのバランスを考慮して使用されるべき薬です。デメリットが顕著な場合は、量を調整することもできますが、その際は医師の指示に従ってください。 眠気の副作用は、時間とともに軽減することがあります。お薬のメリットの方がデメリットより大きければ、一時的に我慢してみるのも選択肢の1つです。
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ソラナックスとふらつき

抗不安薬には筋弛緩作用もあり、緊張が強くて頭痛や肩こりがある方には有益に働くことがあります。しかし、筋肉の緊張を緩めることで、ふらつきや脱力感といった副作用が生じる可能性もあります。ソラナックスは筋弛緩作用が少なく、ふらつきが起こりにくい抗不安薬です。他の抗不安薬と比較しても、筋弛緩作用が少ないため、特に高齢で足腰が弱っている方には注意が必要なふらつきの副作用が少なく、高齢者に処方されやすい薬です。ソラナックスによるふらつきが強い場合は、眠気と同様の対処法が考えられます。
 
  • 慣れるまで様子を見る
  • 減量する
  • 服用時間を変える
  • 他のお薬に変更する
医師の指示に従い、適切な処置を取るよう心がけましょう。
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参考:離職票とは?
 

ソラナックスと依存性

抗不安薬を長期間服用していると、薬をやめる際に離脱症状が生じることがあります。これは身体が薬に慣れてしまい、急に薬を止めることで体のバランスが崩れるためです。 抗不安薬には依存性があり、その特徴は次の3つです
  • 身体依存:薬がなくなると離脱症状が生じること
  • 精神依存:薬に精神的に頼ってしまうこと
  • 耐性:薬の効果が薄れてしまうこと
このような特性のため、次のような問題が生じることがあります
  • お薬の量が増えていく
  • 本来はよくなっているのに、やめられなくなる
抗不安薬では、特に本来はよくなっているのにやめられなくなるケースが多く見られます。このような状況は、常用量依存として認識されます。 依存しやすく離脱症状が生じやすいお薬には、次の特徴があります
  • 作用が強い
  • 作用時間が短い
したがって、ソラナックスは依存性はややあるお薬になります。ソラナックスの使用方法として、以下の2つが重要です
  • 少量かつ短期間で使用する
  • アルコールと同時に服用しない

ソラナックスの離脱症状と減薬方法

ソラナックスを長期間服用すると、身体が薬に慣れていき、身体依存が形成されることがあります。この状態で急に服用を中止すると、離脱症状が現れることがあります。ソラナックスは比較的作用時間が短く、効果がシャープで実感しやすいため、依存性は低い方ですが、離脱症状には注意が必要な抗不安薬です。ただし、すぐに依存性が生じるわけではありません。実際、アルコールの方が依存しやすいですが、ソラナックスも毎日服用を続けると徐々に依存が形成されます。そのため、休薬日を設けたり、用法を守って使用することが大切です。

長期間服用している方が急にソラナックスを中止すると、以前よりも強い不安や不眠、焦りや苛立ち、発汗やふるえなどの症状が現れることがあります。これらの離脱症状を和らげるためには、薬をゆっくりと減量することが必要です。減薬方法としては、漸減法や隔日法が一般的です。これらの方法が難しい場合、作用時間の長い別の薬に少しずつ切り替えてから減薬を行うこともあります。代表的な薬としては、メイラックスやセルシン/ホリゾンがあり、これらは作用時間が長いため、減薬しても体からゆっくり排出されます。計画的な減量が重要です。

ソラナックスの運転への影響

抗不安薬は一般的に、運転や危険な作業を行う際には使用が禁止されています。これは、眠気やふらつきなどの副作用が生じる可能性があるためです。このリスクを考慮して、製薬会社も運転禁止の方針を取らざるを得ませんでした。ソラナックスの添付文書にも、「眠気や注意力、集中力、反射運動能力の低下が起こることがあるため、服用中の患者には自動車の運転など危険を伴う機械の操作をさせないように注意すること」と記載されています。

しかし、薬を服用したらすぐに運転を禁止すべきかどうかは難しい問題です。運転ができないことが社会生活に支障をきたす場合もありますし、不安を抱えたまま運転する方が危険だという意見もあります。運転しながら薬を服用することは自己責任で行うべきですが、現実にはそのようなケースも存在しています。ただし、以下のような場合には無理をせず、運転を控えることが重要です。

 

  • はじめてお薬を使用するとき
  • 他のお薬からの切り替えを行ったとき
  • お薬の量を増減させているとき
  • 体調不良を自覚したとき
これらの状況では、運転は控えていただくことが安全を確保する上で重要です。
 
参考:認知的技能訓練とは?

 

ソラナックスの妊娠・授乳への影響

妊娠中や授乳中は、できるだけ薬の摂取を控えることが望ましいとされています。しかし、薬を中断すると体調が不安定になる場合もあり、最低限の薬を継続する必要があることもあります。ソラナックスの妊娠への影響について考えてみましょう。ソラナックスの添付文書には、『治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること』と記載されています。妊娠中に薬を使用する際には、催奇形性や胎児への影響を慎重に考慮する必要があります。

かつて、ソラナックスを含む抗不安薬は口唇口蓋裂のリスクが高いとされていましたが、現在ではその関連性は低いとされています。ただし、動物実験では大量投与により骨格異常や胎児の死亡、発育遅延が報告されています。また、出産後には離脱症状や赤ちゃんの鎮静が起こる可能性もありますが、産科医と相談することで適切に対処できる場合があります。

次に、ソラナックスの授乳への影響について考えましょう。ソラナックスの添付文書では、『授乳中の女性に投与する場合は、授乳を中止させること』と記載されています。ただし、授乳に関するネガティブな報告は少なく、母乳育児は赤ちゃんにとって有益です。しかし、ソラナックスが母乳を通じて赤ちゃんに影響を与える可能性があるため注意が必要です。

具体的には、赤ちゃんの眠気が増し、哺乳量が減少する場合があります。そのような場合には、人工乳への切り替え、作用時間の短い薬への変更、服用と授乳の間隔を空ける、あるいは服用量を減らすなどの対策が考えられます。

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参考:医師の意見書とは?

ソラナックス錠・コンスタン錠のジェネリック医薬品(アルプラゾラム錠)

ソラナックス/コンスタンは、1984年に初めて発売された薬剤です。薬の開発には多額の資金が必要なため、発売から約10年間は製薬会社が成分特許を保有し、独占的に販売される「先発品」として市場に登場します。その後、特許が失効すると、ジェネリック版のソラナックス/コンスタン(「後発品」)が市場に出回るようになりました。

以前はジェネリック医薬品に独自の名称が付けられていましたが、例えば「カームダン」「メデポリン」「アゾリタン」などがその例です。しかし、近年では一般名が使われることが主流となっており、ソラナックス錠/コンスタン錠のジェネリック版は「アルプラゾラム錠」として販売されています。

ジェネリック医薬品は異なる製薬会社によって製造され、有効成分は同じであるものの、製造方法や製剤にはわずかな違いがあります。ただし、これらの製品は先発品と同じ基準を満たしており、血中濃度の変化がほぼ同等になるように設計されています。アルプラゾラムは即効性が期待される薬剤であり、理論上は効果に大きな差はないはずですが、個人によっては効果に違いを感じることもあります。そのような場合、先発品を選ぶことももちろん可能です。

 

臨床成績

17.1 有効性と安全性に関する試験結果では、心身症(胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、自律神経失調症)に対する全般的な改善度は以下の通りです。ほとんどのケースで投与量は1日1.2mg、一般的な臨床試験の投与期間は4週間、二重盲検比較試験では3〜4週間(ただし、胃・十二指腸潰瘍の場合は8〜12週間)でした。症状別では、不安、緊張、抑うつ、睡眠障害などの改善に優れており、通常は投与開始後1週間以内に効果が現れます。
疾患名 例数 改善度(%)(中等度改善以上)
(心身症)胃・十二指腸潰瘍 151 69.5
(心身症)過敏性腸症候群 79 57.0
(心身症)自律神経失調症 53 71.7
283 66.4
     
なお、二重盲検比較試験の結果、本剤の有用性が認められた。  
 
 

ソラナックスの作用機序

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、脳内の神経伝達物質であるGABAに作用します。GABAは神経細胞の活動を抑制する役割を持つ神経伝達物質であり、この抑制はGABAが特定の受容体であるGABA-A受容体に結合することで引き起こされます。

GABA-A受容体には、Cl-(塩素イオン)の通過を可能にするイオンチャネルがあります。GABAが受容体に結合すると、Cl-チャネルが開き、Cl-イオンが神経細胞内に流入します。

このCl-イオンの流入により、神経細胞内の電位が負になります。通常、神経細胞が興奮するためには、細胞内が電気的に正になる必要がありますが、Cl-イオンの流入によって細胞内が負に保たれることで、神経細胞の興奮が抑制されます。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、GABAの作用を強化し、GABA-A受容体の活性化を促進することで、神経細胞の興奮を抑え、不安や緊張を軽減します。

さらに、ベンゾジアゼピン系抗不安薬は脳の大脳辺縁系に選択的に作用します。大脳辺縁系は記憶や感情の調整に関与しており、ここへの作用により、不安や緊張が和らぎ、心身の安定がもたらされます。

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有効成分に関する理化学的知見

アルプラゾラムの詳細な化学情報は以下の通りです。
  • 一般的名称: アルプラゾラム
  • 一般的名称(欧名): Alprazolam
  • 化学名: 8-Chloro-1-methyl-6-phenyl-4H-[1,2,4]triazolo[4,3-a][1,4]benzodiazepine
  • 分子式: C17H13ClN4
  • 分子量: 308.76
  • 物理化学的性状: 白色の結晶または結晶性の粉末である。クロロホルムに溶けやすく、メタノールまたはエタノール(95%)にやや溶けやすく、無水酢酸にやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。希硝酸に溶ける。
  • KEGG DRUG: D00225
これらの特性は、アルプラゾラムの化学構造と物理的性質を理解する上で役立ちます。
 

参考:幻覚とは?

参考:認知機能とは?

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