てんかんについて | てんかんとは

発達障害知的障害

てんかんとは、どんな病気?

脳の神経細(ニューロン)が激しい電気的な興奮により、引き起こされる脳の病気でてんかん発作を特徴とする慢性疾患であり、その発病には年齢や性別、人種の差がなく、世界保健機関(WHO)では脳の慢性疾患で様々な臨床症状や検査での異常が伴う病気と定義されています。

てんかん発作は、患者ごとに特徴的な発作パターンと脳波異常を示す神経疾患であり、国内では約100万人の患者がいます。生涯有病率は、一度の発作経験者が約10%、再発者が約4%と報告されており、その一部がてんかんと診断されます。

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てんかん発作は、大脳の電気的な興奮が発生する場所によって様々ですが、発作の症状は患者さんごとにほぼ一定で、同じ発作が繰り返し起こるのが特徴となっています。

てんかん発作時には、脳神経細胞の過剰な同期性活動により、局所的な高頻度放電が生じます。この電気生理学的な異常は、脳波検査において棘波や鋭波といった特徴的な波形として捉えられ、てんかんの診断に有用な情報となります。

てんかん特発性てんかん症候性てんかんに分けられ、乳幼児から高齢者まで発症する可能性があります。

本疾患の生涯有病率は、人口100人あたり0.5~1%と報告されており、小児期に発症頻度が高く、特に3歳以下でピークを迎えます。成人期には発症率が低下する傾向が見られますが、高齢者においては脳血管障害などの合併症を伴う症例が増加し、再び発症率が上昇する傾向があります。

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小児てんかんの患者さんの中には、思春期までに自然寛解に至るケースもみられますが、大部分は抗てんかん薬による薬物療法を長期にわたって必要とします。適切な治療のもと、多くの患者が学業や社会生活を営むことが可能です。

また薬で発作が抑制されない場合でも、外科手術で発作が完治することや症状が軽くなることが報告されています。

てんかんは、出生時の低酸素脳症、脳の先天性形成異常、頭部外傷、脳卒中、脳腫瘍、アルツハイマー病、脳炎など病変(原因)が明らかな「症候性てんかん」と、病変を認めず、むしろてんかんになりやすい体質をもつことにより発症する「特発性てんかん」に区分することができます。

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てんかんの特徴

てんかんは性別や人種に関係なく発症し、100人に1人がかかる可能性がある普遍的な脳の疾患であり、長い歴史の中でその存在が知られてきました。以前は原因や治療法が不明瞭で、てんかん発作は全身のけいれんを伴い、人々に恐怖をもたらし、誤解や偏見の対象となっていました。

しかし、19世紀後半にてんかんの原因が解明され、20世紀以降に治療法が確立したにもかかわらず、未だにてんかんに対する誤解や偏見が残っています。

てんかんに関する診断や治療は進歩しており、患者や家族だけでなく、周囲の人々、支援者、医療スタッフも正確な知識を身につけることが、この問題に対処するために重要であると考えられます。

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てんかんの原因はなに?

てんかんの診断は、患者の発作の特徴や病歴、脳波検査、画像診断(MRIなど)などを総合的に考慮して行われます。

特発性てんかんは検査しても異常が見つからないため、症状や病歴が診断の中心となります。

一方で、症候性てんかんは脳に何らかの障害が起きたことによるものなので、脳波や画像診断がより重要です。

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治療はてんかんの原因や症状により異なりますが、抗てんかん薬の処方が一般的です。特発性てんかんの場合、適切な薬物療法が通常効果的であり、定期的なフォローアップが必要です。

一方で、症候性てんかんは基本的にはその原因に対する治療が主体であり、薬物療法だけでなく手術治療が検討されることもあります。

てんかんに対する理解と正しい知識が、患者やその周囲の人々にとって重要です。誤解や偏見を減らし、適切な治療とサポートを受けることで、多くのてんかん患者が社会生活を豊かに送ることができます。

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(1)てんかんは脳の機能の乱れ

人間の体は、神経系と呼ばれる複雑なネットワークによって制御されています。神経系は、神経細胞と呼ばれる個々の単位が互いに接続することで形成されており、電気信号を介して情報を伝達します。

脳は神経系の司令塔であり、感覚器官から得られた視覚、聴覚、触覚、味覚などの情報を統合し、外界を認識します。また、運動指令を生成し、筋肉を収縮させることで身体を動かすことができます。

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さらに、自律神経系を介して心臓や呼吸といった生命維持機能を制御し、大脳皮質においては高次の脳機能である思考、感情、記憶などを担っています。

脳内の神経細胞は、電気信号を介して互いに情報伝達を行い、高度な脳機能を支えています。しかし、特定の部位で神経細胞が過剰に同期して興奮すると、局所的な高頻度放電が生じ、その結果、脳機能の異常を引き起こします。この状態では、感覚入力の処理や運動出力の生成が障害され、意識障害、痙攣、感覚異常など、様々な神経症状が現れることがあります。

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(2) 発作の起こる部位と症状の関係

大脳は、大脳縦裂と呼ばれる深い溝によってほぼ左右対称の二つの半球に分かれています。この左右の大脳半球は、それぞれ反対側の身体の感覚と運動を支配しています。すなわち、左半球は右半身、右半球は左半身を制御しているのです。

大脳は、部位ごとに高度に特化した機能を担っており、各部位には特定の種類の神経細胞が集積しています。これらの神経細胞は、電気信号を介して互いに情報をやり取りすることで、複雑な脳機能を実現しています。

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てんかん発作は、脳の特定の部位における神経細胞の過剰な同期活動によって生じます。発作の種類や症状は、異常活動が発生する部位によって大きく異なり、例えば側頭葉てんかんでは記憶障害や幻覚、運動野てんかんでは痙攣などがみられます。

てんかん患者さんは、発作の起こる部位が特定されているため、発作ごとに同じ症状が繰り返されます。例えば、運動機能を司る大脳皮質の運動野において、神経細胞の過剰な同期活動が生じると、局所的な高頻度放電が起こり、その結果、身体の一部の筋肉が不随意に収縮する、いわゆる痙攣発作が生じます。てんかん発作の症状は、異常活動が発生する脳部位によって多様であり、個々の患者さんにおいては、発作の種類、頻度、持続時間などが異なって現れます。

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(3) 発作の起こる仕組み

脳の神経は興奮と抑制がバランスよく働く仕組みになっています。興奮が強くなりすぎると、抑制系の神経が働いて興奮を抑えるようなバランスを取ります。

しかし、発作が起こる時には、興奮系の神経が強く働いたり、抑制系の神経の力が弱まることで、脳内に激しい電気的乱れ(過剰興奮)が起こります。この乱れにより、神経細胞が異常な発火を起こし、発作の症状が出現します。

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(4) 大脳の各部位の働き

ヒトの中枢神経系は、大脳、小脳、脳幹、間脳など多岐にわたる構造から成り立っています。この中で、高度な認知機能や情動、運動を司る中枢は、大脳です。大脳は、前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉という4つの主要な葉に大別され、それぞれの葉が特異的な機能を担っています。

前頭葉は、思考、計画、判断、言語、運動の制御など、いわゆる高次脳機能の中枢であり、人格形成にも深く関わっています。頭頂葉は、体性感覚(触覚、痛覚など)の統合、空間認知、注意機能などを司ります。後頭葉は、視覚情報の処理の中枢であり、視覚的な認識や空間的な位置関係の把握を担います。側頭葉は、聴覚、言語理解、記憶、感情などに関わっています。

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前頭葉:

手足など、体の各部を動かす指令を出す役割を果たす一方で、思考、推理、理性、学習、選択などの高度な情報処理を司ります。脳は身体機能の制御だけでなく、複雑な認知機能や意識の形成にも関与しています。

頭頂葉:

また、皮膚や耳などから入る感覚情報を分析し、外部環境の変化に対応して体を守る役割も担います。同時に、周囲の空間を認識し、物体の位置や方向を理解することが可能です。

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後頭葉:

目から入る情報を通じて人の顔や物の形などを認識し、視覚情報を処理しています。

側頭葉:

耳から入る音や言葉の情報や情動に関与し、情報を処理します。特に、側頭葉の内側に位置する海馬(かいば)は、記憶に関わる領域であり、てんかん発作が起こり始めることが多い部位です。

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てんかんのサイン・症状

てんかん発作」の症状は、脳の異常な電気発射がどの範囲で起こるかにより多岐にわたります。

脳の一部で発生する場合(焦点発作/部分発作)では、患者さんは光がチカチカ見えたり、手がピクピク動いたりするなど、自身が感じる様々な症状が現れます(これを前兆症状ともいいます)。

電気発射が広がると、患者さんは発作の間は意識を失い、周囲の状況が理解できない状態となります。外部から観察されると、一点を凝視し、動作が止まり、応答がない様子が見られますが、症状が目立たず周囲の人に気づかれないこともあります。電気発射が脳全体に広がると、全身のけいれん発作(強直間代発作)が起きます。

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脳全体が一気に興奮する発作(全般発作)では、前兆症状がなく、体の一部あるいは全体が一瞬ピクンと動くミオクロニー発作や、急激な強直間代発作、力が抜けて倒れる脱力発作、ボーっとする欠神発作などの症状が発生します。

また、全てのてんかん患者に該当するわけではありませんが、てんかん発作以外にも自閉スペクトラム症、注意欠陥多動症などの神経発達症知的障害、身体障害、高次脳機能障害、精神症状が併存することもあります。

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てんかん発作の種類

てんかん」と「てんかん発作」は異なり、医学的には両者を使い分けします。

てんかんてんかん発作の症状を示す疾患を指し、「てんかん発作症候群(しょうこうぐん)」とも呼ばれます。

てんかん発作:てんかん患者さんに起こる発作症状のこと

 

てんかん発作の分類

てんかん発作は、過剰な電気的興奮が特定の部位で発生する場合と、広がり方によって「部分発作(焦点発作)」および「全般発作」に分類されます。これに加えて、意識の有無、発作症状、発作型、対称性などに基づいて、細かな分類が行われます。

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(1) 部分発作

脳の一部での過剰な電気的興奮によって引き起こされる発作は、「単純部分発作」と「複雑部分発作」に分類され、意識の有無によって区別されます。これらの部分発作には、限定された部位から始まりつつ大脳全体に波及するものや、部分発作の後に全般発作が続くものがあり、「二次性全般化発作」として知られています。

単純部分発作

意識障害がなく、患者さんが発作の始まりから終わりまで自覚している場合の症状には以下があります。

  • 運動機能の障害

    • 四肢や顔面の強直、間代性けいれん、体幹の偏位、回転運動などの運動症状が出現する。

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  • 視覚や聴覚の異常

    視覚症状:

    • 光視症: 光がちらつく、閃光が見えるなど。
    • 幻視: 実際には存在しないものが視える。
    • 複視: 一つの物が二つに見えたり、物が二重に見える。

    聴覚症状:

    • 聴覚過敏: 通常の音量の音を大きく感じたり、不快に感じる。
    • 聴力低下: 音が聞き取りにくい。
    • 耳鳴り: 外部からの刺激がないのに音が聞こえる。
    • 音響幻覚: 実際には存在しない音が聞こえる。
    •  

    これらの症状は、神経系の異常、特に中枢神経系や感覚器官の機能障害が原因で起こることがあります。

 

  • 自律神経の異常

    • 頭痛や吐き気を催すなど。

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複雑部分発作

意識障害があり、徐々に遠のいていき、周囲の状況が理解できないような意識障害や記憶障害が観察される場合の症状は以下の通りです。

  • 意識減損発作

    • 突然の動作停止、失神、または意識の混濁を伴い、茫然自失の状態となる。
  • 自動症

    • 辺りをフラフラと歩き回ったり、手をたたく、口をモグモグさせるなどの無意味な動作を繰り返すなど。倒れることは少ないです。

二次性全般化発作

焦点発作(単純部分発作または複雑部分発作)から二次性全般化発作へと遷移し、最終的には強直間代発作に至るケースがしばしば見られます。発作発現前には、オーラと呼ばれる前兆症状が出現することがあります。臨床症状のみでは強直間代発作との鑑別が困難な場合があるため、脳波検査による客観的な評価が診断に不可欠です。

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(2) 全般発作

大脳両半球の広範な神経細胞が過剰同期活動を起こし、意識喪失を伴う全般性強直間代発作を発症することが多いです。

強直間代発作

突然発症して、強直発作と間代発作を引き起こします。発作後は、30分から1時間程度の眠り(終末睡眠)に移行することもあり、その後は通常の状態に戻ります。発作直後は意識がもうろうとするため、物にぶつかったり、熱いものに触れてやけどをするなど、発作そのものよりももうろう状態での事故に注意が必要です。

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強直(きょうちょく)発作

突然、意識を喪失し、口を堅く食いしばり、呼吸が停止し、手足を伸ばしたまま全身が硬直し、数秒から数十秒間続きます。そのまま強直した状態で激しく倒れ、けがをする可能性もあります。

 

間代(かんたい)発作

膝などを曲げ、手足を一定のリズムでガクガクとけいれんする症状が現れます。通常は数十秒で収まりますが、時折1分以上継続することもあります。

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欠神(けっしん)発作

数十秒間にわたり意識を失う発作で、けいれんや倒れることはありません。通常、話をしていたり何かをしている最中に急に意識が途切れ、動作が停止します。この状態で周囲の人がてんかん発作であることに気付かないことがよくあります。発作が起きると注意力が散漫になり、集中できないと感じられることがあります。学童期や就学前に現れ、女児に多い発作です。

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症状

  • 突然意識が消失し、ぼんやりした目つきになる
  • 眼球が上転する
  • まぶたがピクピクと動く(約1秒に3回程度の頻度)
  • 動作の停止
  • 呼びかけに反応しない

脱力発作

全身の筋肉の緊張が低下・消失し、まるで崩れるように倒れる発作です。発作は短く、持続時間は数秒以内であり、そのため気付かれにくいこともあります。

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ミオクロニー発作

全身または手足などの特定の部位の筋肉が一瞬ピクッと収縮する短時間の発作です。瞬間的な症状のため、患者が自覚することが少ないことがありますが、時折連続して数回起こることもあり、その際に転倒や物を投げ飛ばすほどの強い症状となることもあります。光によって誘発されることがあり、寝起きや寝入りによく発生する傾向があります。

(3) てんかん重積状態

発作が一定の長さ以上続くか、短い発作が繰り返し起こり、その間意識がない状態である場合、生命に危険が及ぶ可能性があります。かつては、「30分間以上続いた場合」とされていましたが、最近では5~10分間以上発作が続く場合は、てんかん重積状態と見なし、適切な治療を早急に開始するようになっています。

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てんかんの分類

てんかんは主に「部分てんかん」と「全般てんかん」に大別され、さらに発作の原因に応じて「特発性」および「症候性」に区分されます。ただし、明確な分類が難しい場合もあります。てんかんの正確な診断は、治療と将来の病態予測において極めて重要であり、注意が必要です。

  特発性
(病変が認められない場合)
症候性
(脳内に病変が認められる場合)
部分てんかん
(焦点性てんかん)
てんかんの特徴として、他の病気が発病の原因となることや、発作が始まる前に前兆が観察されることが挙げられます。
特発性部分てんかん
(焦点性てんかん)
脳波が焦点性の異常(特定部位に限った異常な波)を示し、主に小児てんかんで見られることがあります。症状の経過は良好とされ、具体的な病型としては、中心・側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん(ローランドてんかん)や良性後頭葉てんかんなどが挙げられます。
症候性部分てんかん
(症候性焦点性てんかん)
脳波は焦点性や局在性の異常を示し、その中でも高齢者に多く見られるてんかんにはいくつかの病型があります。
側頭葉てんかん
前頭葉てんかん
頭頂葉てんかん
後頭葉てんかん
コシェフニコフ症候群 など
全般てんかん
大脳内の幅広い領域において過剰な興奮が発生し、その特徴は発症に年齢の関連性があります。
特発性全般てんかん
主に25歳未満の小児期から青年期にかけて発病しやすく、他の神経症状がなく、頻繁に意識を喪失する特性が見られます。脳の左右で同時に同様の脳波異常がみられるなど、手足の麻痺や脳の障害などの異常は認められません。

● 良性新生児家族性けいれん
● 良性新生児けいれん
● 乳児良性ミオクロニーてんかん
● 小児欠神てんかん(ピクノレプシー)
● 若年性欠神てんかん
● 若年ミオクロニーてんかん(JME)
● 覚醒時大発作てんかん 等


症候性全般てんかん
主に25歳未満の小児期から青年期にかけて発病しやすく、他の神経症状がなく、頻繁に意識を喪失する特性が見られます。脳の左右で同時に同様の脳波異常がみられるなど、手足の麻痺や脳の障害などの異常は認められません。

● 良性新生児家族性けいれん
● 良性新生児けいれん
● 乳児良性ミオクロニーてんかん
● 小児欠神てんかん(ピクノレプシー)
● 若年性欠神てんかん
● 若年ミオクロニーてんかん(JME)
● 覚醒時大発作てんかん 等


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てんかん分類は難しいことがある

新生児発作など、特定の分類にはっきりと当てはまらない場合、症例によっては「分類不能」として取り扱うこともあります。上記に挙げた発作や症状の分類は代表的なものであり、すべての症例に当てはまるわけではありません。

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てんかんのサイン・症状

「てんかん発作」の症状は、脳の異常な電気発射が発生する範囲により多岐にわたります。

例えば、脳の特定の部分で起こる場合(焦点発作/部分発作)では、患者さんが感じる前兆症状として、光がチカチカ見えたり、手がピクピク動いたり、胃のあたりから胸やけのような感覚がこみ上げてくることがあります。

脳全体に電気発射が広がると、全身のけいれん発作(強直間代発作)になり、発作中に意識を失って、周囲の状況がわからなくなります。

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一点を凝視して動作が止まり、応答がない様子が見られることもありますが、症状が目立たず周囲の人に気づかれないこともあります。

脳全体が一気に興奮する発作(全般発作)では、前兆症状がなく、突然に体の一部または全体が一瞬ピクンと動くミオクロニー発作や、突然の強直間代発作、力が抜けて倒れる脱力発作、ボーっとする欠神発作などの症状が生じます。

また、てんかんを持つ人々には、てんかん発作以外にも自閉スペクトラム症注意欠陥多動症などの神経発達症知的障害、身体障害、高次脳機能障害、精神症状が併存することもあります。

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てんかんの治療・支援

てんかんは、一度診断されると、長期にわたる抗てんかん薬治療が必要となることが一般的です。そのため、初期診断においては、てんかんの確定診断だけでなく、鑑別診断として他の疾患との鑑別を慎重に行い、長期的な治療方針を決定することが重要です。

てんかんの診断には何よりも発作症状に関する問診を詳しく行うことが何よりも重要であり、「発作症状がてんかん発作として矛盾しないのか(てんかん以外の病気による、てんかん発作と似た発作症状の可能性はないのか)」「焦点発作(部分発作)なのか全般発作なのか」といった部分を見極めて診断していきます。

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発作の診断においては、目撃者の証言は極めて重要であり、特にスマートフォンによる動画撮影が容易になった現代では、発作時の様子を記録した動画は、医師による客観的な評価を可能にし、診断の精度向上に大きく貢献します。

また、問診以外にも脳波とMRI検査を行って、てんかんの診断と原因を確認することがあります。

てんかん発作で意識が消失したり、身体のコントロールがつかなくなることは、患者さんにとって社会生活上で最も大きな障害となる症状であり、事故にあう危険はもちろん、就労や就学、あるいは自動車運転などに際して大きなハンディキャップとなります。

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てんかんの治療は、「てんかん発作の抑制」、特に生活に支障を与える発作の回数をいかに減らせるかが重要な目標になります。

具体的な治療方法は、抗てんかん薬の内服治療になります。薬は毎日飲み続け、自己判断で中断しないようにしましょう。また、十分な睡眠も重要です。

発作症状や年齢や性別、併存疾患やアレルギー体質、内服中の他の薬との相互作用などを総合的に検討して、内服する抗てんかん薬が決定されます。

一部の患者さんでは、外科治療で完治することもあります。早期に適切な診断を受けることが大切です。

てんかんの人は、発作が起こっていない間は普通の生活を送ることができますが、発作の特性や周囲の理解が不足していると、社会生活に支障をきたすことがあります。

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てんかんの人は、小児では発達や就学、成人では就労や自動車運転、女性では妊娠や出産など、さまざまな問題に直面することがあります。

周囲の人が理解と支援をすることで、てんかんの人の社会参加を促進することができます。

てんかんに関する情報は、てんかん全国支援センター日本てんかん協会のウェブサイトなどで確認できます。

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けいれん発作との違い

「けいれん」とは、脳の異常な電気活動によって生じる、不随意な筋肉収縮を伴う神経症状であり、発作性に繰り返されるのが特徴です。この症状はてんかんに特徴的ですが、高熱、感染症、電解質異常、薬物、脳腫瘍、外傷、低酸素脳症などの様々な要因によっても引き起こされることがあります。これらの原発性けいれんと症候性けいれんでは、その病因が異なるため、治療法も異なってきます。

例えば、熱性けいれんはけいれんを引き起こしますが、てんかんにも発熱がきっかけとなって発生する発作があり、症状が似ているため判断がつきにくい場合もあります。このため、発作の原因を正確に特定し、適切な治療法を選択することが重要です。


代表的なけいれんの種類は以下の通りです。

  1. 熱性けいれん: 小児が高熱を出した時に引き起こるけいれんです。
  2. 眼瞼けいれん、単純性筋けいれん: まばたきを繰り返したり、まぶたがピクピク動く症状が見られます。
  3. 片側顔面けいれん: 目のまわり、口もと、頬がピクピク動く特徴があります。
  4. チック: 顔のさまざまな筋肉がときどきピクッと動く症状が現れます。
  5. 羽ばたき振戦: 手足をパタパタと羽ばたきさせるように動く症状が見られます。

 

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てんかん発作を誘発する要因と対処法

てんかん発作は特定のきっかけなく起こることが一般的ですが、一部の患者さんでは特定の状況で発作が起こりやすいことがあります。発作がどの程度、どのような状況で起こりやすいかは、個々の患者さんによって異なります。

対処法を検討するためには、これまでにどのような状況で発作が起こりやすかったかを振り返ることが必要です。発作の記録をつけておくことで、どのような状況が発作の誘因となりやすいかを把握するのに役立ちます。

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てんかん発作のきっかけとなる要因

てんかん発作の引き金となる要因は様々です。

  • 体温の上昇
  • 過呼吸
  • 月経
  • 睡眠不足
  • 睡眠リズムの乱れ
  • 肉体的な疲労
  • 精神的な疲労
  • ストレス
  • お薬の飲み忘れ
  • 計算やパズル
  • 読書
  • ビデオゲーム
  • 光の点滅やしま模様
  • 急な音
  • 気圧などの気象条件

これらの要因が個々の患者さんによって異なり、発作の誘因となる可能性があります。発作の記録をつけ、発作が起こりやすい状況や要因を特定することで、それに対する適切な対策や予防策を考えるのが重要です。

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てんかん発作のきっかけとなる要因の対処法

てんかんのきっかけとなる要因と対処法をご紹介します。

(1) 体温の上昇

高温環境では体温が上昇し、これが発作を引き起こす可能性があります。直射日光を避け、冷却剤を使用して体温を下げるなどの工夫をすることで、発作の発生を抑制することができます。

(2) 睡眠不足や疲労、ストレス

生活リズムを整えることが重要です。十分な睡眠を確保するために、携帯電話やスマートフォンを寝室に持ち込まないなどの対策を講じ、良好な睡眠環境を整えましょう。また、ストレスの緩和方法を見つけ、ストレスを減少させながら心地よい生活を送ることが重要です。これにより、発作のきっかけとなる要因を減少させることが期待されます。

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(3)お薬の飲み忘れ

処方されたお薬は定められた通りに服用してください。お薬を誤って飲み忘れた場合、医師や薬剤師に相談し、正しい対応方法を確認することが重要です。

(4)月経

月経に合わせて発作が起こる場合は、医師に相談してください。月経周期に応じて、お薬の変更や治療の追加が必要な場合があります。医師との連携を大切にし、適切な対策を検討しましょう。

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(5)光の点滅など

光が発作のきっかけとなる場合は、サングラスを着用するなどして光を避ける工夫をしましょう。木漏れ日やブラインドなどのしま模様も発作の誘因になることがありますので、目をそらすことも予防の一環として考えてみてください。適切な環境調整が発作のリスクを低減させるかもしれません。

(6)計算やパズル、読書など

特定の刺激や行為が続いた後に発作が起こることがあります。長時間の計算やパズル、読書は避け、適宜休憩をとることが重要です。発作のトリガーを避けつつ、日常生活を適切に調整してください。

 

「発作記録」は、紙媒体、デジタル機器など、様々な方法を用いて行うことができます。例えば、手帳への手書き記録、スマートフォンのカレンダーアプリやメモアプリの活用などが挙げられます。

発作記録は、発作の誘因となる状況の特定や、治療効果の評価に不可欠です。医師は、患者さんからの詳細な発作記録に基づいて、より正確な診断と治療計画を立てることができます。

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発作を記録する際のポイント

これらのポイントを参考にし、自身が気づいたことや周囲の人が観察したことも記録に加え、診察時に有益な情報となるよう心がけてください。

発作の始まり ・いつ、何をしていた時に起こったか
・疲れや睡眠不足の有無
・薬の飲み忘れの有無
・チカチカする光やしま模様などを見たか
発作中 ・手足がけいれんの有無。力が入って硬くなっていたか
・顔や目はどちらを向いていたか
・顔や口のひきつりの有無
・唇の色
・発作中、声はでたか
・口をもぐもぐさせるような動きの有無
・声をかけたときの反応の有無
・嘔吐や尿失禁、舌を噛む行為はあったか
・どのくらいの時間発作が続いたか
発作後 ・手足は動かせるか
・言葉の理解はできるか
・喋れるか
・意識はすぐもどったか
・発作中の記憶
・発作後に歩き回るなどの動きはあったか
・発作後に眠ったか
発作への対応 ・病院へ行きましたか?
・頓服を飲みましたか?
最近の状況 ・体調の変化はあったか
・予防接種などを受けたか
・お薬の種類や量に変化はあったか

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主な合併症

てんかん患者さんによくある合併症は、原因別に3つに分けられます。

① 脳障害

脳卒中や脳内出血など、脳に障害のある部位によって、運動、知的、および言語の機能に障害が生じることがあります。特に、症候性全般てんかんでは知的障害が見られることが一般的です。一方で、特発性てんかんの場合、通常は知的障害が認められません。

② 精神症状

発作が起こる前に急に怒りっぽくなるなど、精神症状が発生することがあります。特に、複雑部分発作の際には精神症状がより顕著に現れ、発作後には不安感や興奮状態などが観察されることもあります。

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てんかんに関連した精神症状

意識障害 てんかんの患者さんは心理的な負担や社会生活上の問題に直面し、これらが原因で不安、絶望、消極性、孤立感、逡巡、敏感さ、防衛反応、不幸せ感などが生じ、それによりうつ病などの精神的な問題が引き起こされる可能性があります。このような状況では、周囲のサポートが重要です。
感情障害 不機嫌で怒りっぽくなる
性格変化 まわりくどくなり(迂遠、冗漫)、しつこく、粘着質になる
精神病様状態 幻覚がみえたり、妄想的になる
行動異常 無意味な動作を繰り返す(自動症)し、異常な行動をとる。暴力的、犯罪など

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③ 精神的不安(二次的な症状)

てんかんの患者さんは心理的な負担や社会生活上の問題に直面し、これらが原因で不安、絶望、消極性、孤立感、逡巡、敏感さ、防衛反応、不幸せ感などが生じ、それによりうつ病などの精神的な問題が引き起こされる可能性があります。このような状況では、周囲のサポートが重要です。

てんかん患者の性格的特徴

てんかん患者さんには、直接的には発作とは関連しないが、性格的特徴として粘着性が高く、物にこだわりやすい、回りくどい話し方をするなどが多く見られます。これらの特徴は、発作の繰り返しによる脳への影響が考えられますが、近年では早い段階から治療を開始することが一般的になり、このような性格への影響はほとんど見られなくなりました。

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