発達障害グレーゾーンとは?特徴や仕事探し、正確な診断、治療の可否

グレーゾーン 発達障害知的障害

グレーゾーン

発達障害は、しばしばスペクトラムと表現されることがあります。

特性はグラデーションであり、誰でもグラデーションゾーンのどこかには属する形となっています。

はっきりした特徴が見える方から、うっすらとした特徴しか見えない方まで様々に分布しています。

また、「病院でASD(自閉スペクトラム症障害)グレーゾーンと言われました。グレーゾーンだと支援には繋がれませんか?」や「ADHD(注意欠如多動症)傾向がある、と言われた私は結局のところ発達障害なのでしょうか?」など、診断名曖昧にされた方が多いことも混乱する特徴と言えるでしょう。

 

医師が曖昧な表現を使う背景には、大きく分けて2種類あると考えられます。

  • 診断が下せなかった、あるいは診断を下すのに十分な根拠がなかった
  • 診断名をあいまいに告げることで告知のショックを和らげたかった

 

本記事は「大人の発達障害グレーゾーン」で悩んでいる方に向けて発信しています。

大人の発達障害の種類や「グレーゾーン」の意味、就労についてグレーゾーンの人が相談できる場所などを詳しく説明します。医師から確定診断が下らず、「傾向がある」と言われた場合の対処法についてもご紹介しますので、ぜひご覧ください。

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参考:希死念慮とは?

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  1. 発達障害のグレーゾーンとは
  2. 大人になってから発達障害と診断されることはある?発達障害の種類
    1. ASD(自閉スペクトラム症)
      1. 主な特性
      2. 発症と診断
      3. グレーゾーンの方々が抱える困りごと
    2. ADHD(注意欠如多動症)
      1. 主な特性
      2. タイプ
      3. 発症と診断
      4. グレーゾーンの方々が抱える困りごと
    3.  LD(学習障害)
      1. LDの特徴
      2. 診断
      3. グレーゾーン
      4. 大人のLD
  3. 「症状が軽い=グレーゾーン」ではない
    1. 二次障害への対応
    2. ADHDの薬が処方された場合
    3. グレーゾーンであっても、症状は様々
  4. 診断がつかない理由
    1. 体調による症状のブレ
    2. 幼少期の情報不足
    3. 医師の主観による診断
  5. 発達障害の診断が降りなかった場合にできること
    1. 自分の症状や困りごとについて、正確な情報を伝える
      1. 1. 気になった症状をメモ
      2. 2. 親や養育者に付き添ってもらう
      3. 3. 幼少期の様子が分かる資料を持参
      4. 4. 困っていることを詳細に伝える
    2. セカンド・オピニオンを求める
    3. 二次障害の有無を確認する
    4. 発達障害の特性への工夫を参考にする
  6. 発達障害グレーゾーンの場合障害者手帳は取得できる?
  7. グレーゾーンの人でも相談できる機関
    1. 発達障害者支援センター
    2. 障害者就業・生活支援センター
    3. ハローワーク
    4. 就労移行支援事業所
  8. グレーゾーンの人が仕事でできる工夫
    1. 発達障害のある人が実践している工夫を取り入れる
    2. 周囲の理解者を増やしていく
  9. まとめ:グレーゾーンは制度を利用するかしないか 本人に委ねられた状態とも
  10. グレーゾーンに関するQ&A

発達障害のグレーゾーンとは

発達障害グレーゾーンとは、発達障害の症状や特性が認められるものの、診断基準を完全には満たしていないため、正式な確定診断に至らない状態を指します。この状態には公式な診断名は存在せず、発達特性や症状の程度には個人差が大きく、幅広いスペクトラムを呈する傾向があります。

グレーゾーンは、ASD(自閉症スペクトラム症)ADHD(注意欠如多動症)LD(学習障害)という3つの障害の診断基準をいくつか満たしているものの、すべて満たしていないだけであって、症状や特性が軽いとは限りません

発達障害の診断には絶対的な数値が存在しているわけではない上、特性の出方は「スペクトラム=連続体」と言われるように、個々の症状の現れ方には個人差があり、その程度は多様です。また、症状は環境や年齢などの要因によって変動しやすいため、医師は確定的な診断を避け、「グレーゾーン」や「発達傾向が見られる」といった表現を用いる場合があります。

発達障害グレーゾーンを理解するためには、まず発達障害について知っておくことが重要です。発達障害は、脳の発達に偏りがあることが原因と考えられており、幼児期から症状が現れる場合が多いです。主な症状としては、コミュニケーションや社会性の困難、こだわりや反復行動、注意力の欠如、多動性、学習困難などがあります。

発達障害グレーゾーンの方々は、発達障害の特性によって様々な困難を抱えています。しかし、適切な支援を受けることで、社会生活を送ったり、仕事に就いたりすることが可能です。

参考情報

大人になってから発達障害と診断されることはある?発達障害の種類

発達障害は、子どもだけでなく、大人になってから診断される場合も少なくありません。これは、昭和〜平成初期生まれの多くの大人たちがそうであるように、発達障害に関する理解が深まり、診断基準が整備された ことによるものです。

発達障害は、先天的な脳機能の偏りが影響しているため、大人になってから突如特性が表れるものではなく、幼いころから症状が見られる場合が多いです。しかし、幼少期に周囲がフォローしてくれる環境が整い、日常生活に大きな影響がなく困りごとが少ない場合や、発達障害の概念自体が比較的最近知られるようになったため、周囲や自分自身でも発達障害に気づかないまま大人になることがあります。

このような状況において、進学や就労といった環境の変化により、対人関係や社会的な関わりが複雑化する中で、それまで顕在化していなかった症状や困難が浮き彫りとなり、成人期に入ってから悩みが生じるケースがあります。その後、医療機関を受診することにより、発達障害と診断される場合も少なくありません。

発達障害は、生まれつきの脳機能の発達の偏りと環境とのミスマッチから、社会生活において困りごとが起こる障害です。主に以下の3種類があります。

ASD(自閉症スペクトラム症):コミュニケーションや社会性の困難、こだわりや反復行動が特徴

ADHD(注意欠如・多動症):不注意、多動性、衝動性が特徴

LD(学習障害):読む、書く、計算するなどの学習に困難がある

 

これらの種類は互いに重複したり、知的障害(知的発達症)が関わる場合もあり、特性の表れ方や程度には個人差があります。

次章では、「ASD(自閉症スペクトラム症)」「ADHD(注意欠如多動症)」「LD(学習障害)」という3つの発達障害の種類について、詳しく解説していきます。  

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ASD(自閉スペクトラム症)

ASD(自閉スペクトラム症)は、社会的なコミュニケーションの困難さや、独特のこだわりといった特性が目立つ発達障害の1つです。以前は「自閉症」や「AS(アスペルガー症候群)」と呼ばれていました。

参考:自閉症スペクトラム障害(ASD)の特性

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主な特性

  • 対人関係やコミュニケーションの困難:相手の言葉や表情から考えていることを読み取ることや、自分の考えをうまく伝えることが苦手
  • 特定のことに強い興味・関心:特定のことに強い興味・関心を持ち、こだわりが強い行動が見られる
  • 感覚過敏感覚鈍麻:音、光、触覚などに対する感覚の感受性が人より過敏または鈍感である

発症と診断

ASDの多くは、幼少期から認められる脳の働き方の違いによって起こるとされています。

幼少期からASD(自閉スペクトラム症)特性が観察されるケースがある一方で、成人期において日常生活や職場で要求される適応能力や行動規範が高度化することで、初めて困難さが顕在化するケースも見受けられます。

また、症状の発現には個人差が大きいため、就学期以降や成人期に至り、社会的適応において困難を感じるようになった結果、医療機関で診断を受ける場合もあります。

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グレーゾーンの方々が抱える困りごと

  • 不明確な指示に対しては、タスクの分解や優先順位付けが困難となり、作業効率が低下する。
  • 外発的な動機付けが不十分な状況下では、内発的な動機づけが求められるタスクへの意欲が減退し、遂行が困難となる。
  • コミュニケーションにおける非言語的な要素や文脈の理解が不十分であるため、意図の解読が困難となり、相互理解の阻害要因となる。
  • 柔軟な思考と行動が求められる状況において、計画性や順応性が不足しているため、ストレスを感じやすく、タスク遂行に支障をきたす。

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ADHD(注意欠如多動症)

ADHD(注意欠如多動症)は、不注意、多動性、衝動性という3つの特性により、日常生活に困難をきたしやすい傾向があります。

参考:ADHD(注意欠如・多動症)

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主な特性

  • 不注意:ケアレスミスや忘れ物の頻度が高い、指示を聞き逃す、集中力が続かない
  • 多動性:落ち着きがなく、じっとしていることが苦手
  • 衝動性:思いついたことをすぐに言ったり行動したりする、順番待ちができない

タイプ

ADHDは、特性のあらわれ方によって以下の3つのタイプに大別されます。

  • 不注意優勢型:不注意の特性が強い
  • 多動・衝動優勢型:多動性や衝動性の特性が強い
  • 混合型:不注意と多動・衝動性の両方の特性を持つ

 

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発症と診断

これらの症状は12歳以前に発現するとされています。多くの特性は幼児期に見られる一般的な行動特性と類似しているため、幼児期においてADHDと診断することは困難であり、主に就学期以降に診断されるケースが多いとされています。また、個人差はあるものの、加齢に伴い多動性が減少するなど、特性の表出の仕方が発達とともに変化することも認められています。

グレーゾーンの方々が抱える困りごと

  • 不注意優勢型:ミスが多い、遅刻が目立つ、約束を忘れる
  • 多動・衝動優勢型:仕事中も体を動かしたり、思ったことをストレートに言いすぎて周囲とトラブルになったりすることもある

 

 LD(学習障害)

LD(学習障害)は、読み書き能力や計算力などの算数機能に関する特異的な発達障害の1つです。SLD(限局性学習症)とも呼ばれます。

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LDの特徴

  • 知的障害とは異なり、全体的な理解力などに遅れはないものの、「読み・書き・算数(計算)」といった特定の課題の学習に困難が見られます。
  • 単に「国語の成績が悪い」や「数学が苦手」といった学力面での課題だけではなく、聴覚的・視覚的短期記憶や、聴取・視覚情報の処理能力など、特定の認知機能における凹凸が、結果的に「読み・書き・算数(計算)」に対する困難さとして表出していると考えられています。
  • LDには、読字、書字表出、算数のそれぞれに困難が表れるタイプがあり、単独で、または複数組み合わせて現れることがあります。
  • LDとともに、ADHDASDを伴う場合もあり、総合的な特性を考慮した配慮や学習支援が必要となります。

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診断

LDの診断は、医師による問診や検査によって行われます。診断基準は以下の通りです

  • 知的障害(知的発達症)が認められないこと
  • 経済的・環境的要因によるものではないこと
  • 神経学的疾患や視覚・聴覚障害に起因しないこと
  • 学習面に限定して困難が認められること
 

多くの場合、診断は学校教育が開始される就学期に行われますが、就学前の段階で言語発達の遅れ、数概念の理解や数えることの困難、書字に必要な微細運動能力の未発達などが見られることにより、発達上の兆候が早期に認識されることもあります。

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グレーゾーン

LDグレーゾーンとは、LD特性の一部は見られるものの、診断基準をすべて満たしていない状態を指します。グレーゾーンの方々は、以下のような困りごとを抱えやすい傾向があります。

  • 読字:文章を読むのが遅い、内容を理解するのが難しい、誤字脱字が多い
  • 書字表出:字を書くのが遅い、書き順が間違っている、漢字が苦手
  • 算数:計算が遅い、数字の並び順が理解できない、問題文を理解するのが難しい

大人のLD

大人の場合は、スマホやパソコンなどのツールによって日常生活や業務での不便を補えるため、子どもと比べて症状が表面化しにくいと言われています。しかし、ツールですべての業務を補うことはできないため、周囲から「仕事が遅い・できない人」と思われることで自信を失くす恐れもあります。

参考 発達障害情報・支援センター:https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shougai_shisaku/hattatsushougai.html

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「症状が軽い=グレーゾーン」ではない

発達障害グレーゾーン/傾向があるという診断結果は、必ずしも当事者の生きづらさの「軽さ」を意味するものではありません。発達障害の特性が軽度であったり、場面によって顕著に表れたりするため、周囲からの理解が得られにくく、かえって苦しんでいるケースも少なくありません。

二次障害への対応

まず、発達障害の傾向に加えて、他の精神障害の診断がついている方は、そちらの二次障害の治療を優先しましょう。

発達障害が原因で二次障害を起こすケースや、発達障害が長年診断されずに、うつ病不安障害などの診断を受けていた「重ね着症候群」である場合もあります。

二次障害とは、発達障害特性が原因で起こるうつ病不安障害摂食障害、アルコール依存症などの精神疾患です。一定期間の治療を受けても効果が見られない場合は、発達障害に詳しい医師や心理士、発達障害専門の就労支援施設などに相談することをおすすめします。

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ADHDの薬が処方された場合

発達障害の傾向がある」と言われて同時に薬(ストラテラコンサータ)を勧められたり処方された場合については、ADHDの単独診断か、もしくは、ADHDを併発しているという診断が下ったと考えて問題ないでしょう。 ADHDの症状が確認されないと、保険でお薬を出すことはないからです。

グレーゾーンであっても、症状は様々

発達障害の診断基準をすべて満たさないからといって、「グレーゾーンの人は症状が軽い」とは限りませんグレーゾーンの方の中には、診断基準を満たしている人と同じもしくはそれ以上に特性が強く出る人もいます。

グレーゾーンの方の特性の出方は、常に一定というわけではなく、調子の良いときと悪いときでも異なります以下のようなさまざまな状態の人がいます

  • 日常生活に支障をきたすほどの強い症状がある人
  • 特定の場面で強い症状が現れる人
  • 症状が比較的軽微で、日常生活に大きな支障をきたしていない人
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診断がつかない理由

発達障害の診断には、腫瘍マーカーやγ-GTPのような絶対的な数値基準が存在しているわけではありません。

診断は、日常生活や社会生活上の困難・生きづらさがある点を確認することで行われます。

例えば、現在診断基準とされるDSM-5でも、ご本人や周囲の理解を数値化・リスト化しているだけとも言えますので、診断は医師に委ねられています。

精神科や心療内科の医師にも得意・不得意があるので、発達障害にあまり知識のない医師は「グレーゾーン」や「傾向がある」という表現をすることで断定を避けているようです。

診断が出ない大きな理由を以下に記述しましたので参考になさってください。

体調による症状のブレ

発達障害のグレーゾーンにいる人々は、日々の体調の変化によって症状が影響を受ける傾向があります。例えば、診断を受けた日が偶然にも体調が良く、目立った症状が見られない場合、医師は発達障害の診断を下すことが難しくなることがあります。グレーゾーンの人々は診断基準の境界線に位置しているため、わずかな体調の変化でも症状が変動することがあります。

幼少期の情報不足

発達障害の診断基準には、幼少期からその症状が存在していたかも重要な指標になります。 そのため、今は発達障害の診断基準を満たしているが、幼少期にそういった症状が無かった場合には発達障害の診断に至らないことがあります。 子供の頃の成績表や連絡帳など、幼少期の様子がわかる資料の持参をお願いされるのはこのためです。

医師の主観による診断

精神科や心療内科の診断は、診断基準こそあるものの、その診断基準を満たしているかどうかを判断するのは医師の主観に委ねられます。 WAISの凸凹の差や日常の困りごと、両親や兄弟の様子など医師によりその診断基準は異なっています。知能検査(WAIS‐Ⅳ、WISC‐Ⅳ)の数値を参考にする医師もおられるでしょう。 そのため、ある医師は発達障害と診断しても、別の医師は発達障害ではないと診断することが頻繁にあります。

参考:ウェクスラー成人知能検査(WAIS)

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発達障害の診断が降りなかった場合にできること

自分の症状や困りごとについて、正確な情報を伝える

正確な発達障害グレーゾーンの診断を受けるためには、事前に十分な情報を準備しておくことが重要です。 以下は、診察前に準備しておくことをおすすめする項目です。

1. 気になった症状をメモ

診察中に医師に症状を伝え忘れてしまうことを防ぐために、事前に気になる症状をメモしておきましょう。いつどのような状況で症状が出たのか、具体的な内容を記録しておくと効果的です。

2. 親や養育者に付き添ってもらう

幼少期から現在までの様子を客観的に伝えるために、親や養育者などの家族に付き添ってもらいましょう。本人だけでは思い出せない幼少期の様子や、日常生活での困り事などを証言してもらうことで、より正確な診断に繋げることができます。

3. 幼少期の様子が分かる資料を持参

学校の通知表や母子手帳などの幼少期の様子が分かる資料を持参しましょう。これらの資料は、医師が症状の経過を把握する手がかりとなり、より詳細な質問をすることができます。

4. 困っていることを詳細に伝える

日常生活でどのようなことに困っているのか、具体的に伝えられるように準備しておきましょう。単に「困っている」と伝えるだけでなく、具体的な状況や感情を伝えることで、医師は症状の程度や日常生活への影響をより深く理解することができます。

これらの準備をすることで、医師に正確な情報を伝えることができ、より的確な診断を受けることができます。

こちらも参考に:ADHD(注意欠如・多動症)の薬 | アトモキセチン(ストラテラ)について

参考:うつ状態とは?

セカンド・オピニオンを求める

発達障害グレーゾーンの診断は、医師の主観的な判断に大きく左右されるため、複数の医療機関で診断を受けることが推奨されます。 異なる医師による多角的な視点を得ることで、より客観的で正確な診断に繋げることができます。

複数の医療機関で診断を受ける際には、最初に受診した医療機関から同意を得て紹介状や検査結果を受け取り、これらを携えて別の医療機関を受診しましょう。 紹介状や検査結果は、医師が診断を行う際に役立つ貴重な情報となります。

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二次障害の有無を確認する

発達障害グレーゾーンの方の中には、発達障害の特性が原因で二次障害と呼ばれる精神疾患を発症しているケースがあります。 二次障害とは、発達障害の特性が原因で周囲とのコミュニケーションがうまく取れなかったり、叱責を受けたりすることで、うつ病不安障害不眠症などの精神疾患を発症してしまうものです。

発達障害グレーゾーンの方は、周囲から理解や配慮を得られにくい場合があり、これが二次障害の発症リスクを高める可能性があります。 発達障害と診断を受けていれば周囲も理解してくれることが多いですが、グレーゾーンの場合は「変わった人」という印象を持たれて避けられてしまうことがあり、より生きづらさを感じやすくなります。

二次障害の症状としては、以下のようなものが挙げられます。

二次障害の症状が出ている場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。 二次障害は、早期に適切な治療を受ければ改善することが可能です。放置すると症状が悪化し、治療が長期化したり、場合によっては入院治療が必要になることもあります。

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発達障害の特性への工夫を参考にする

医師から指摘された特性について詳しく調べ、実際に確定診断を受けた方々の工夫を参考に、自分なりの特性との向き合い方を見つけることが重要です。 これは、生きづらさを軽減し、より充実した生活を送るための大きな助けとなります。

例えば、ADHDの傾向がある場合、集中力を妨げる要素を排除したシンプルな作業環境を整えたり、作業を小分けにして休憩を挟んだりすることで、特性と上手く付き合っていくことができます。

さらに、発達障害グレーゾーンの方は、行動力や創造性などの特性に優れている場合が多くあります。 これらの長所を活かせる環境に身を置くことも、グレーゾーンでの生活をより豊かにするための有効な方法です。

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発達障害グレーゾーンの場合障害者手帳は取得できる?

発達障害グレーゾーンの方は、医師による確定診断がなければ障害者手帳を取得することができません。 障害者手帳は、障害によって日常生活や仕事における困難や支援を必要とする人に発行されるもので、税金の減免や公共料金の割引などのメリットを受けられます。

発達障害と診断された方は、「精神障害者保健福祉手帳」の取得対象となりますが、グレーゾーンの場合は確定診断が出ていないため、手帳の交付を受けることはできません。

ただし、発達障害グレーゾーンの方でも、二次障害と呼ばれる精神疾患を併発している場合は、その症状によって手帳を取得できる可能性があります。 二次障害には、うつ病双極性障害不安障害など幅広い精神疾患が含まれます。

そのため、発達障害グレーゾーンの方は、二次障害の症状も含めて医師に相談することをおすすめします。 もちろん、症状の程度によって診断が下りないこともあります。

こちらも参考に:クローズ就労とは?両方で働いてみて分かったこと。メリットやデメリット

こちらも参考に:働きながら障害年金をもらえる人。障害者雇用枠フルタイムで仕事をしている場合

参考:躁病エピソードとは?

参考:自己犠牲とは?

グレーゾーンの人でも相談できる機関

グレーゾーンの人でも、仕事や日常生活における困りごとに関して相談できる公共機関があります。確定診断の無い発達障害グレーゾーンの人が相談先として利用できる4つの相談先を紹介します。

発達障害者支援センター

発達障害者支援センターは、発達障害のある方やその家族が相談できる専門機関です。 各都道府県や政令指定都市に設置されており、都道府県知事等が指定する社会福祉法人特定非営利活動法人等によって運営されています。

センターでは、診断を受けている方だけでなく、診断を受けていないものの発達障害の可能性がある方への支援も行っています。 相談内容は、日常生活での困りごとやコミュニケーションで気になること、就労に関する悩みなど、幅広く対応しています。

具体的な支援内容は、センターによって多少異なりますが、以下のようなものが挙げられます。

  • 個別相談: 専門スタッフが個別に相談を受け、適切な支援方法を提案します。
  • 情報提供: 発達障害に関する情報提供や、地域の支援機関の紹介を行います。
  • 心理療法: 心理療法や行動療法など、症状に合わせた治療を行います。
  • 就労支援: 就労に向けたトレーニングや、就職活動のサポートを行います。
  • 療育訓練: 療育訓練を通して、日常生活に必要なスキルを身につけるための支援を行います。

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就労に関する相談については、ハローワーク地域障害者職業センター障害者就業・生活支援センターといった労働関連機関と連携し、必要な情報提供や支援を行います。

また、必要に応じてセンターのスタッフが就労先を訪問し、障害特性や職業適性に関するコンサルテーションを提供するほか、作業プロセスの改善や職場環境の合理的配慮の調整を行うこともあります。

センターの利用は基本的に無料ですが、サービス内容は各自治体により異なるため、詳細については各センターに直接問い合わせましょう。

参考:発達障害者支援センター(TOSCA・トスカ)

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障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、障害をお持ちの方の雇用促進と安定を目的とした、全国各地に設置された機関です。手帳や確定診断がなくても利用が可能です。

発達障害を持つ就業者の方、あるいは就業を希望される方に対し、日常生活の自己管理と、衣食住を安定させるための支援や制度の紹介を行っています。

具体的には、就労支援機関との連携による仕事探し、入社前後のサポート、日常生活に関するアドバイスなどが提供されます。

2023年4月現在、全国に337ものセンターが設置されており、お住まいの地域に立ち寄りやすい施設を見つけることも容易です。

参考:障害者就業・生活支援センター

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ハローワーク

ハローワークは、厚生労働省が運営する無料で利用できる職業紹介所です。各都道府県に設置されており、求職者と求人企業のマッチングを支援しています。

発達障害を持つ方のために、障害への専門知識を持つ担当者によるサポートを受けられる「障害者相談窓口」を設置しています。障害者手帳の有無に関わらず、自身の特性による困りごとを相談し、求人情報の提供、就職活動のアドバイス、就職後の継続的な支援などを受けることが可能です。

ハローワークで受けられる支援

  • 個人に合った求人情報の提供あっせん
  • 採用面接への同行
  • 障害のある方を対象とした就職面接会への参加
  • その他、就職活動に関する様々なサポート

ハローワークの利用方法

  • お住まいの地域のハローワークに直接来所
  • 電話で相談
  • インターネットで求人情報検索

ハローワークは、就職活動を成功させるための頼れるパートナーです。発達障害がある方でも、安心して相談することができます。

参考:ハローワーク(公共職業安定所)

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就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、障害をお持ちの方が一般企業で安定的に働くことを目指せる福祉サービスです。全国約3,300箇所以上に設置されており、お住まいの地域に合った事業所を見つけやすい環境が整っています。

事業所では、

  • 就職前に必要なスキルや知識を習得できる職業訓練
  • 自分に合った求人探しや面接対策など、就職活動に関する相談やアドバイス
  • 就職後も安心して働き続けられるよう、職場での定着支援

などのサポートを受けることができます。スキルアップのための研修やトレーニングも充実しており、一人ひとりのニーズに合わせた支援を提供しています。

利用対象者

  • 18歳以上65歳未満の方
  • 発達障害等、障害をお持ちの方
  • 一般企業で働くことを希望する方

就労移行支援事業所は、確定診断がなくても構いませんが、医師の診断書が必要な場合があります。

入所を検討している就労移行支援事業所に一度問い合わせをお勧めします。

こちらも参考に:就労移行支援とは

こちらも参考に:診断書をもらえないケースについて解説。注意点、理由と対処法

こちらも参考に:発達障害者の雇用まとめ ~特性、定着率、雇用状況、採用・安定就労のポイント~

グレーゾーンの人が仕事でできる工夫

発達障害グレーゾーンと診断を受けた方にとって、「症状が軽い」「あまり困っていない」という誤解や偏見は、大きな負担となります。実際には、仕事や対人関係で様々な困難を抱えていることが多く、発達障害のある方と同様に、特性や困りごとに合わせた工夫が必要です。

発達障害グレーゾーンの症状や困りごとは、環境によって大きく左右されることが多いため、環境調整が最も重要です。具体的な工夫としては、主に以下の2つが挙げられます。

こちらも参考に:軽度知的障害の大人の特徴。判断基準や年齢別、原因・困りごと・仕事や生活に役立つ情報の解説

こちらも参考に:コミュニケーション障害(社会的コミュニケーション症)とは?症状と種類、診断、原因について解説

発達障害のある人が実践している工夫を取り入れる

  • スケジュール管理: ToDoリストやカレンダーなどを活用して、予定を可視化し、漏れや遅刻を防ぐ
  • 時間管理: タイマーを活用して、集中しにくい作業の時間を区切る
  • コミュニケーション: 相手の言葉だけでなく、表情や声のトーンも意識して理解する
  • 情報処理: 書類やメールなどは、一度に読み込まずに、メモを取りながら整理する

こちらも参考に:反復性うつ病性障害/反復性短期抑うつ障害の診断基準症状・治療について

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周囲の理解者を増やしていく

 

  • 自分の特性や困りごとを周囲に説明する: 周囲の理解と協力を得るために、自分の特性や困りごとを具体的に説明する
  • 周囲の協力を得られるような具体的なお願いをする: 周囲に協力を求める際には、具体的なお願いをすることで、より効果的に支援を受けられる
  • 発達障害に関する理解を深めるための研修を職場や地域で実施する: 周囲の理解を深めるために、発達障害に関する研修などを開催する

発達障害グレーゾーンは、決して「軽い」ものではありません。自分らしさを発揮し、充実した生活を送るためには、周囲の理解と協力が不可欠です。

上記の工夫を参考に、自分に合った方法を見つけていきましょう

参考:労働基準法とは?

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まとめ:グレーゾーンは制度を利用するかしないか 本人に委ねられた状態とも

グレーゾーン」や「傾向がある」と診断されたあなたへ。

あなたは、

  • 発達障害と自認し、障害者手帳の申請や服薬を検討することも
  • 工夫や努力を重ね、今の職場や生活を維持することも
  • どちらの道を選ぶか、ご自身の判断に委ねられる状態

にあります。

「診断を受けるべきかどうか」は、あなたにとって有利になるか不利になるか微妙なラインであり、医師にとっても判断が難しい場合があるのです。

多くの医療機関では、診察時間は1ヶ月に5~10分程度しかありません。医師だけに頼らず、ご家族や発達障害の専門家などに相談することをおすすめします。

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グレーゾーンに関するQ&A

Q
グレーゾーンであることはどう証明するのか?診断名がなく逆につらい思いをしている
A

グレーゾーンであることを証明することよりも、困りごとを抱えていることを周囲に伝え、自分自身でできる工夫をすることが大切です。

ASD(自閉スペクトラム症)の診断名にも含まれる「スペクトラム」とは、日本語で連続体と訳され、症状が全く表れない健常な状態から重度な状態まで連続しているという考え方です。つまり、診断名による線引きではなく、症状の重さでその人の困りごとを捉えることが重要なのです。

診断を受けていなくても、特性による症状や困りごとを抱えている場合は、発達障害の方と同様に、自身の特性に合わせた工夫をしたり、場合によっては周囲に適切な支援を求めていくことも有効です。

 
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Q
発達障害グレーゾーンは何人に1人ですか?
A
ASD(自閉スペクトラム症)の診断はないものの、保護者がASDの可能性を感じている「グレーゾーン」の子どもたちの割合は、5.4%という調査結果が発表されました。これは、20人に1人以上の子どもがグレーゾーンに該当する可能性を示唆しており、近年増加傾向にあると考えられます。
 
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