療育(発達支援)とは
療育の提供形態と特徴
参考:精神科デイケア
療育(発達支援)を担っている機関と選び方
療育を受けられる場所
療育において指導する領域
参考:社会的相互作用
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療育でおこなわれて指導法の種類
応用行動分析
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TEACCHの構造化技法
TEACCHは、アメリカのノースカロライナ州で実施されている、自閉スペクトラム症の当事者とその家族を総合的に支援するプログラムです。このプログラムでは、当事者が自立できる環境を構築するだけでなく、地域社会との共生や協働も含まれています。
TEACCHでは、自閉スペクトラム症の特性を考慮した構造化が重要な役割を果たしています。
- 物理的構造化:各活動内容に適した場所を明確にする。
- 時間の構造化:個別に時間の流れを文字や写真などで提示する。
- 手順の構造化:課題の種類、実施時間、終了時点、課題終了後の行動を示す。
- 課題の組織化:視覚的手がかりを使って、課題のやり方を明確に提示する。
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参考:暴露法
ソーシャルスキルトレーニング(SST)
ソーシャルストーリー
コミック会話
コミック会話とは、会話中の意図理解に困難を感じる人に対して、人物の線画と吹き出しの言葉を用いてコミュニケーションを取る技法です。紙とペンさえあればどこでも実践できる手軽さから、近年注目を集めています。
コミック会話のメリット
- 双方向コミュニケーションの促進: 会話を視覚化することで、言葉だけでなく絵の情報も加わり、互いの理解を深め、スムーズなコミュニケーションを可能にします。
- 説明力の向上: 順序立てて絵を描くことで、論理的に考え、相手に分かりやすく説明する力が身につきます。
- 共感力の育成: 相手の表情や行動を絵で表現することで、相手の気持ちに気付き、共感する力が育まれます。
- 自己表現の手段: 言葉で表現するのが難しい気持ちを、絵を通して伝えることができます。
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コミック会話の活用例
- 発達障害のある子どもとのコミュニケーション: 言葉でのやり取りが難しい子どもでも、絵と文字でコミュニケーションを取ることができます。
- 外国人とのコミュニケーション: 共通の言語がなくても、絵と文字で意思疎通することができます。
- 高齢者とのコミュニケーション: 認知症などで言葉でのコミュニケーションが困難な高齢者でも、絵と文字でコミュニケーションを取ることができます。
- プレゼンテーション: 複雑な内容を分かりやすく説明したい場合に、絵と文字を用いることで効果的に伝えることができます。
コミック会話の始め方
- 簡単な絵から始める: 最初は、棒人間やシンプルな表情の絵から始めましょう。
- 相手に合わせて絵を描く: 相手の理解度に合わせて、絵の複雑さを調整しましょう。
- 一緒に絵を描く: 相手と一緒に絵を描くことで、より深いコミュニケーションを取ることができます。
- ユーモアを取り入れる: ユーモアのある絵を描くことで、相手を楽しませることができます。
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拡大・代替コミュニケーション
拡大・代替コミュニケーションとは、話し言葉以外の手段を用いる方法で、以下が代表的です。
- 絵カード交換式コミュニケーションシステム(PECS):絵カードを手渡しすることから始め、語彙の拡大や要求の伝達などの機能を獲得することを目的としています。指導は6つのフェーズから構成され、コミュニケーションの方法を学び、それをさまざまな場面で使えるように一般化し、さらに欲求や質問への応答へと発展させます。
- 音声出力会話補助装置(VOCA):VOCAには、録音された単語を発する装置と、キーボード入力された文を音声で出力する装置があります。使いやすさを考慮して、シンプルな構造になっているものが多いです。
- シンボル(任意に作られた意味を持つ記号):日本工業規格の「コミュニケーション支援用絵記号」や、視覚支援シンボル集「ドロップス」が有名です。現在では、スマートフォンやタブレットにアプリケーションを入れて利用できるものが増えています。
マカトンサイン
マカトンサインは、イギリスで開発された言語指導方法で、音声、動作サイン、線画シンボルを同時に提示することを基本としています。聴覚情報だけでなく視覚情報も利用することで、言語発達の促進やコミュニケーション手段の習得を目指します。
マカトンでは、日常生活に必要な最低限の語彙として330語を選び出し、生活の拡大や発達に応じて語彙を増やしていきます。
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インリアルアプローチ
インリアルアプローチは、子どもと大人が互いに反応し合うことで学習とコミュニケーションの発達を促進する方法です。特徴として、子どもと大人の関わり場面を録画し、その後に分析してコミュニケーションが成立している部分を客観的に評価する点が挙げられます。効果的なアプローチを行うために、以下の技法が用いられます。
- ミラリング:子どもの行動をそのまま真似る。
- モニタリング:子どもの音声や言葉をそのまま真似る。
- パラレルトーク:子どもの行動や気持ちを言語化する。
- セルフトーク:大人自身の行動や気持ちを言語化する。
- リフレクティング:子どもの言い誤りを正しく言い直して聞かせる。
- エキスパンション:子どもの言葉を意味的・文法的に広げて返す。
- モデリング:子どもに行動や新しい言葉のモデルを示す。
参考:障害者総合支援法とは?
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感覚統合療法
感覚統合療法は、アメリカの作業療法士によって体系化された理論で、主に身体の感覚に焦点を当てています。
- 前庭覚:適切な姿勢やバランス、運動の維持、眼球運動の調整
- 固有覚:身体各部の位置や運動を知覚、筋緊張の調整、身体イメージの形成
- 触覚:人や物との距離を感じる、身体位置や部位を知覚
- 視覚:人や物に視線を向ける眼球運動、視線を向ける際のピント調整機能
これらの感覚を調整・改善することで、発達を促進します。
発達障害がある場合、感覚を統合する脳の中枢神経に特殊性があり、感覚過敏や感覚鈍麻、不器用さが見られることがあります。まずは感覚特徴や運動機能をアセスメントし、対象者の状態に合わせたプログラムを導入することで、運動企画や協調運動の向上を目指します。
ムーブメント教育・療法
ムーブメント教育・療法は、知覚運動理論家によって体系化されたもので、楽しい軽運動を通じて「からだ」「あたま」「こころ」の包括的な発達を支援します。発達状況を把握するためのアセスメントも開発されており、運動・感覚、言語、社会性を評価できます。
実際の活動では、音楽や場所を有効に活用し、自主性や自発性を引き出します。また、カラーロープ、プレーバンド、ビーンズバッグ、パラシュート、フランコ、スカーフ、フープなどの遊具を取り入れて展開します。
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音楽療法
音楽療法は、音楽の力を利用して人の生理・心理・社会・認知状態に働きかけ、音楽との関わりを通じてQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上を目指すものです。心身の発達促進だけでなく、コミュニケーション手段としての利用、情緒の安定や問題行動の減少にも効果があります。
音楽療法の方法には、楽器演奏や身体動作を伴う表現活動などの能動的なものと、音楽を聴いてリラクゼーションや瞑想状態を作る受動的な方法があります。
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療育の効果
プログラムの内容によりますが、食事や排泄が一人でできるようになったり、受け答えや挨拶ができるようになり、他者の表情や感情を理解して適切なコミュニケーションが取れるようになる効果が期待できます。
一人ひとりの特性に応じて、得意なことを伸ばし、苦手なことを改善するようにプログラムを組んでいきます。
療育は劇的な効果を期待するものではなく、基本的には長期にわたってゆっくりと着実な成長を促すものです。そのため、時間がかかることを理解しておくことが重要です。
早期療育の重要性
療育には時間がかかります。開始から1ヶ月で苦手なことができるようになるわけではありません。しかし、できるだけ早期に始めることで、その子の特性を周囲が理解し、得意なことを伸ばしながら苦手を克服していくことが重要です。
発達障害のある子どもがその特性に気づかず、周囲の理解を得られないまま成長すると、集団生活にうまく馴染めず、叱られたり非難を受けたりすることが多くなります。
参考:自己肯定感
参考:介護療養型医療施設
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これにより自信を失い、自尊心が育たずに抑うつ状態に陥ることがあります。こうした問題を二次障害といいますが、早期から適切な環境を整えることで二次障害を防ぐことができます。
療育を始める時期は、可能な限り早期が好ましいと言われています。その理由は、養育者へのバックアップがあるからです。
お子さんの発達促進は、身近な存在の助けがあってこそ成立するものです。まずは保護者の方が、子育てに関する悩みや不安を和らげ、必要な知識を得ることが重要です。焦らず、少しずつ「お子さんの良き理解者」になって下さい。
療育に関する誤った認識として、早期療育の開始は、早期から療育の時間を多分に確保する意味ではありません。
月齢が低い時は、身体機能を十分に加味し、当事者の発達状態に沿った時間・回数を設定すべきです。お子さんが療育に追われないよう配慮して下さい。
ぜひ、早めに相談し、適切な環境を作ってあげられるようにしてください。
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療育を受けるまでの流れ
1.相談
まずは公的機関や医療機関に相談しましょう。
公的機関では、子育て・発達支援室、療育センター、児童相談所、障害福祉課などで相談ができます。その後、検査機関を紹介してもらえることが多いです。
症状が気になって先に医療機関を受診した場合でも、基本的には必要な検査情報や支援制度について説明してくれるでしょう。いずれの場合も、受給者証の申請などで自治体の支援が必要になるため、公的機関に問い合わせて今後の流れを確認することをおすすめします。
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2. 発達検査
検査方法は年齢に応じてさまざまで、複数の検査を組み合わせて結果を導きます。
発達検査の種類には以下のようなものがあります。
- 新版K式発達検査
- 乳幼児精神発達診断法
- 日本版Bayley-III乳幼児発達検査
- ASQ-3
- KIDS乳幼児発達スケール
- ブラゼルトン新生児行動評価法
- 日本版デンバー式発達スクリーニング検査
これらの中で、日本でよく使用される検査は「新版K式発達検査」と「乳幼児精神発達診断法」です。
検査を受けるまでに時間がかかることがありますし、発達障害の診断は一度の診察で確定するのが難しいこともあります。そのため、定期的な通院が必要になることが多いです。
子どもの発達障害を診断できる医師や医療機関は限られているため、予約が取りにくくなることもあります。まずは発達支援センターなどで情報収集をすることをおすすめします。
3. 療育施設の選定
療育施設には、行政が運営するものから民間のものまでさまざまあり、対象年齢やサービス内容も多岐にわたります。ご自身とお子さんの生活に合った施設を選びましょう。
市区町村役所の福祉窓口で施設の紹介を受けることができ、施設によっては見学や体験が可能なところもあります。
4. 受給者証申請・交付
利用する施設によって交付される受給者証の種類は異なります。地域によっては診断書の準備が必要な場合もあるため、お住まいの自治体に確認しておきましょう。
審査が終わると、支給の有無やサービス内容が決定され、受給者証が交付されます。
施設を利用する際には、障害児支援利用計画案の提出が必要です。これは障害児相談支援事業所に依頼して作成してもらうことができます。利用者の負担額は発生しません。また、自分で作成することも可能です。
5. 施設利用の開始
ご利用予定の事業所に「通所受給者証」を提示し、利用契約を結びます。
契約を結んだ後は、契約内容および受給者証に定められた種類と量の範囲内でサービスを利用できます。
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保護者を対象にしたサポートプログラム
子どもの療育には、保護者向けのサポートプログラムもあります。これにより、保護者は子どもとの関わり方や困りごとへの対応方法を学ぶことができます。
ペアレントトレーニング
保護者が子どもとのより良い関わり方を学び、子育ての困りごとを解消し、子どもの発達促進や行動改善を目指すプログラムです。
このプログラムは、もともと知的障害や自閉症の子どもを持つ家族を対象にアメリカで開発されました。現在では、厚生労働省による発達障害者支援施策の一環として提供されています。
親子通園
児童発達支援センターや児童発達支援事業所の中には、子どもの療育に保護者も同伴して親子遊びや教材を使いながら一緒に学ぶ機会を提供しているところがあります。また、子どもの療育と並行して保護者向けの学習会を行っている施設もあります。
これにより、保護者も子どもの成長のために何をすべきかを一緒に考えることができます。
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児童発達支援センターや児童発達支援事業所
児童発達支援センターや児童発達支援事業所の中には、子どもの療育に保護者も同伴し、親子遊びや教材を使って一緒に学ぶ機会を提供しているところがあります。また、子どもの療育と並行して保護者向けの学習会を開催している施設もあります。
これにより、保護者も子どもの成長のために何をすべきか一緒に考えることができます。
ピアサポート
「ピア」は英語の「peer」で、仲間や対等という意味があります。ピアサポートは、親の会などで同じ悩みを抱える保護者同士が集まり、経験を共有し、相談し合うことです。
他の保護者の対処法を学ぶだけでなく、同じ悩みを持つ者同士で深く共感し合えるため、精神的なサポート効果も期待できます。
ペアレントメンターによる支援
ペアレントメンターとは、発達障害のある子どもを育てた経験があり、相談支援に関する一定のトレーニングを受けた親のことを指します。
メンターは、同じく発達障害の子どもを持つ親に対して、情報提供や精神的サポートを行います。
この家族支援システムは、厚生労働省でも有効な支援方法として推奨されています。
り、今後も更なる雇用機会の拡大に向けた取り組みが進められています。
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障害のあるお子様への支援:早期発見・支援の重要性
障害のあるお子様は、一人ひとりの成長の仕方やスピードが異なります。 その子に合った接し方や環境を用意することが、療育(発達支援)機関の役割です。
療育は早期に始めることが、お子様の成長にとって非常に重要です。しかし、どこに相談したらいいのかわからないという保護者の方も多いと思います。
そこで、まずはお住まいの市区町村の障害福祉課に相談することをおすすめします。 障害福祉課では、療育機関や支援団体に関する情報提供はもちろん、保護者向けのサポートプログラムも用意しています。
近年、自治体や民間団体による療育のサポートは充実してきており、一人悩む必要はありません。 すぐに相談窓口に問い合わせて、お子様に合った支援を見つけていきましょう。
厚生労働省のウェブサイトでは、全国の療育機関や支援団体を検索することができます。
https://www.mhlw.go.jp/index.html
障害のあるお子様も、適切な支援を受けることで、社会の一員として自立した生活を送ることができます。 一人でも多くのお子様が、必要な支援を受けられるよう、社会全体で取り組んでいきましょう。
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