不登校の原因や背景は、お子さん一人ひとりにより異なるものです。しかし、個々に異なるように見える不登校の状況にも、共通する要素が多く見られます。
現在「不登校」という言葉は社会で広く認知されていますが、具体的にどのような状態を指しているのでしょうか。
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子どもが学校に行きたがらない様子を見て「ひょっとすると、これが不登校なのだろうか」「ただ学校を休んでいる状況とどう違うのだろうか」「何か特別な対処が必要なのだろうか」と不安に思う保護者もいるかもしれません。
これまでの支援経験や先行研究を基に、不登校の状況をいくつかのタイプに分類し、お子さんの変化や成長過程を4つの時期に分けて分析しました。
お子さんの成長を支援する際の参考としてご活用いただければ幸いです。
前駆期 |
何かしらの要因で心理状態が悪くなり、学校を休み始めるまでの期間 |
---|---|
進行期 |
不登校が始まり、心理的な落ち込みが激化する期間 |
混乱期 |
落ち込んだ状態や無気力が固定する。改善見込みが立たず、時間が経ってしまう時期 |
回復期 |
心理状態が回復し、エネルギーが溜まってくる時期。一人で外出が可能になる |
参考:不登校への対応
文部科学省による「不登校」の定義と、ひきこもりとの違い
発達障害で仕事を転々としていましたが、脱サラして地元でスナックを開業しました。
文部科学省の分類では、「保護者の教育に関する考え方、無理解・無関心、家族の介護、家事手伝いなどの家庭の事情から長期欠席している者」は、たとえ長期にわたって学校を欠席していても、その背景に心理的な要因などが考えられないため、「不登校」には該当しないとされています。
不登校と一口にいっても、当てはまる状況は多岐にわたることがわかります。
なお、似たような表現として「ひきこもり」という言葉がありますが、こちらは厚生労働省によって異なる状態を指すものとして定義されています。「ひきこもり」とは、仕事や学校に通わず、家族以外の人とほとんど交流を持たずに、6カ月以上にわたり継続して自宅に引きこもっている状態を指します。
ひきこもりの特徴は、少なくとも6カ月以上の長期間にわたることに加え、対象者が就学中の学生に限られず、高校を中途退学した人や学校卒業後の成人も含まれる点です。
また、不登校の場合は学校に通っていない期間中であっても、友人と会ったり、習い事などの学校外での活動に積極的に参加したりするケースが多々あります。一方で、ひきこもりは、社会や他者との関わりをほとんど断っている状況が前提とされています。
不登校とひきこもりは、それぞれ異なる状態ですが、不登校が長期化すると、ひきこもりへとつながる可能性があります。大切なのは、早期に適切な支援を行い、子どもが再び社会とのつながりを築けるよう、周囲で支えていくことです。
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不登校の現状~中学生ではクラスに1人は不登校を経験
昨今では、不登校は決して珍しい状況ではありません。
文部科学省の調査報告書「令和四年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」によると、2022年度に不登校状態にあった小中学生は全国で29万48人、割合にして3.2%が不登校になっていたことがわかっています。
実に31人に1人、1クラスに1人以上が不登校を経験している計算です。
一方、高校では、同年に不登校状態にあった人数は6万575人、割合は2%となっています。
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一見すると不登校の数は少なく思えるかもしれませんが、その背景には高校生が出席日数の不足などを理由に原級留置(留年)を避けるために中途退学(中退)を選ぶケースが一定数含まれていると考えられます。不登校は、一部の人だけが経験する特別な現象ではなく、誰にとっても身近で起こりうる問題であるといえるでしょう。
不登校を引き起こす原因は多岐にわたり、非常に複雑です。学校に関連する要因としては、友人や教師との人間関係の問題や学力面での不安が挙げられます。また、家庭に関係する要因としては、家族の生活リズムの変化や家庭内でのトラブルなどが影響する場合もあります。さらに、個人に起因する要因として、「何をするにも意欲が湧かない」「学校に通う意義を見いだせない」といった心理的な問題が見られることもあります。これらの要因が複雑に絡み合い、不登校の状態を生み出しているケースが多いのです。
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参考:自己肯定感とは?
【要因別】不登校の7つのタイプと家庭でできる対処法
不登校にはさまざまな状態が含まれるため、学校復帰に向けた対応策も一律ではありません。以下では、不登校に至ったきっかけや、その状態が長期化している原因のうち、特に本人に関わる要因に注目し、不登校を7つのタイプに分類しています。さらに、それぞれのタイプに応じて、家庭で取り組める具体的な対処法についても解説します。
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タイプ1 不安タイプ(良い子息切れ型タイプ)
情緒的に混乱しており、漠然とした不安から登校できないタイプです。
本人は学校に行きたいという気持ちがあるにもかかわらず、朝になると体調が悪くなり、登校できない場合があります。このタイプの不登校は、学校や家庭において周囲の期待に応えようと頑張りすぎた結果、ストレスや疲労が蓄積し、その限界に達している可能性が考えられます。
そのため、まずはゆっくりと休息を取ることが大切です。必要に応じてカウンセラーや医療機関(心療内科など)にも相談し、自分のペースで再スタートできるエネルギーを取り戻せるようにしましょう。
特徴
- 感受性が強く、内向的な考え方をする傾向があります。
- 勉強やスポーツなどに努力し、親や教師の期待に応えようとしてきました。
- 性格的には真面目で几帳面、神経質で完璧主義的な傾向があります。
- 不登校になる以前は皆勤に近い状態であることも少なくありません。
- 学校を休むことへの罪悪感が強く、家に閉じこもりがちです。
参考:スクールカウンセラー
注意点
- これまでの本人の努力を認め、挫折感を理解することが重要です。
- 状況を打開するために励ますや、さらに頑張るよう促すことは逆効果になることがあるため、注意が必要です。
- 期待をかけないように態度を変えると、見捨てられたと感じることがあるため、注意が必要です。
- 登校への意欲が見えるまでは、登校を促す刺激を与えるのは控えた方が良いです。
- 子どもの意思に合った目標や進め方を共に考え、サポートしていくことが大切です。
不安タイプ(良い子息切れ型タイプ)の前駆期
強い不安や焦りから逃れるために、インターネットに没頭するようになったり、睡眠トラブルが生じ、結果として昼夜逆転の生活に陥ることがあります。
親の対応によっては、拒否的、反抗的な態度を取ったり、家族と話そうとせず、食事も一緒に取らなくなり、自分の部屋に閉じこもりがちになります。
時には暴力的な行動をとることもあり、親に無理難題を要求したり、場合によっては金品を要求することがあります。
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また、自傷行為や拒食(過食)などの症状を出す場合もあります。
まずは否定的な言葉を言ったり、登校刺激をすることを避け、本人を追い詰めるようなことはやめます。
休み始めたら、本人にはしばらく休んでもいいことを伝え、安心感を与えます。
子どもが話すことができたら、本人の思いをひたすら聴き、受け止めます。話の最後にアドバイスをしたり、これからの行動を指示するようなことは避けます。
本人の思いを受け止める親の方にも負担がかかるので、場合によっては信頼できる相談機関を探します。
参考:スクールソーシャルワーカーとは?
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不安タイプ(良い子息切れ型タイプ)の混乱期
しばらく学校に行かなくてもいいことが分かると、自責の念が軽減されて身体症状が軽減されてきます。昼夜逆転の状態が少しずつ変化し、昼前には起きてくるなど、生活リズムが戻り始めます。
家族とのコミュニケーションが増えたり、学校のことを話題にしても以前ほどの抵抗感がなくなってきます。
勉強が遅れていることや、進路や将来などこれから先のことが見えないために、不安や葛藤が増大してきます。親の対応と学校との連携では、失敗やつまずくことがあっても良いこと、いろいろな選択肢があることを伝えて一緒にやり直して行こうと伝えることが大切です。
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本人の興味や関心のあることを広げるために、できそうなことから一緒に行動を起こしていきます。勉強や同級生からの遅れが気になっている場合は、親から学校に連絡を取り、学校の様子を伝えて安心させます。
ただ見守るだけではなく、学校復帰に向けた具体的な取り組みを準備することで、子どもの不安や葛藤が整理されやすくなります。もし家庭訪問に抵抗がない場合は、学校の先生に来てもらい、楽しい話題を中心にした会話を通して、子どもに安心感を与えるのも効果的です。
参考:環境要因とは?
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不安タイプ(良い子息切れ型タイプ)の回復期
心的エネルギーが戻り始め、家にいるときには開放された気分的にになることができます。
登校への意欲が少しずつ高まることで、午前中だけの登校や保健室登校といった、慣らし登校にも挑戦できるようになります。今後のことに対して漠然とした不安や焦りを抱えていたとしても、適切なサポートがあれば、学習に取り組む意欲を引き出すことも可能です。そのため、慣らし登校を行う時には少しずつ環境に慣れていくことが大切です。
学校では元気に振る舞っているものの、依然として不安や緊張が強く、帰宅後にはぐったりと疲れ果てる日々が続いています。慣らし登校を始めたばかりの時期は、精神的にも身体的にも大きな負担がかかるため、家庭では十分な休息とリラックスできる環境を整え、しっかりと回復できるようサポートすることが大切です。
親の対応と学校との連携では、勉強の遅れや体力の低下、生活習慣の乱れなど具体的な課題に対処し、学校に戻る自信をつけていく対応が必要になります。
クラスで奇異な目で見られたり、孤立したりしないよう、先生や仲の良い友達に関わってもらいましょう。
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タイプ2 母子分離不安タイプ
親(母親)と離れて一人になることや、集団の中に入ることに強い不安や恐怖を感じ、行動できなくなるタイプです。
親(母親)の愛情を切望しているが、それが叶えられない悲しみを抱いていたり、罪悪感からうまく表現できないでいることもあります。自分がうまくできないことで見捨てられることへの不安や、同世代の子たちの中で自信を持つことができないことから劣等感を抱いている場合もあります。
母親がそばにいることで情緒が安定し、一緒に登校できることもあります。その結果、同級生の前でも自信を持って振る舞えるようになるでしょう。就学前には、多くの子どもが「登園しぶり」を経験することがあり、この傾向は特に小学校低学年に多く見られますが、近年では高学年の子どもにも増えてきています。
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特徴
- 母親への過剰な関心: 母親の関心や愛情をいつも確認しようとし、母親との絆を強く意識します。
- 分離不安: 母親から離れることに強い不安を感じ、母親の外出を嫌がり、常にそばにいたいと願います。
- 独占欲: 母親を独占したい気持ちが強く、父親や兄弟姉妹に対して嫉妬や敵意を示すことがあります。
- 幼児退行: 母親の膝に乗ったり、スキンシップを求めるなど、赤ちゃんに戻ったような行動(幼児退行)が見られることがあります。
- 母親の存在感: 母親がそばにいると安心し、友達と元気に遊ぶなど、積極的な行動が見られる傾向があります。
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注意点
・子どもの確認行為や、母親から離れることの不安を無視したり、注意や叱責したりすることは避けます。
・子どもに幼さを感じたとしても、拒絶したり、母親の都合で中断したりせずに、退行年齢に合わせて子どもの生理的な欲求を満たしてあげることが大切です。
・母親の態度と感情が分離しないように、感情を子どもと共有できるように表現します。
・子どもの幼児退行現象を受け止めようとすると、母親に負担が集中するため、父親や周囲の人間が母親をサポートするようにすることが重要です。
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母子分離不安型の前駆期
子どもが着替えなど、これまで一人でできていたことができなくなるという兆候が見られ、「友達がいない」「先生が怖い」といった不安を訴えて登校を渋るようになります。
学校では強い緊張感を抱え、気持ちが不安定な状態になったり、無理をして元気に振る舞おうとする様子が見受けられます。登校時間になると、母親に泣きながらしがみつき、母親が一緒でなければ登校できないこともあります。また、友達の家に行くのを嫌がり、自宅で遊ぶ時間が増える傾向も見られます。
子どもに不安な様子が見られたら、できるだけ抱いてやったり、話を聞いてやるなど、母性的なかかわりを多くするよう心掛けます。
学校には登校を渋り始めたら、母親と一緒の登校や、保健室登校を認めてもらうなど、柔軟な対応を学校にお願いし、家庭と学校で共通理解を作るようにしましょう。
子どもの不安をさらに高めてしまうような強引な登校の促しは避けましょう。もし学校の先生が家庭訪問できる場合は、子どもに負担をかけない範囲で一緒に遊んだり、楽しい話をして過ごし、その後はさりげなく帰ってもらうことで、子どもに安心感を与えると良いでしょう。
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母子分離不安型の進行期
母子分離不安型の混乱期
直接的に学校に行かせようとしなければ、学校のことを話題にしても抵抗感が少なくなる場合があり、家族とのコミュニケーションも増えて、家族と一緒であれば外出できるなど、行動範囲が広くなっていくこともあります。
家の手伝いや短い時間の留守番などができるようになります。
家で好きなことをして過ごし、気分的に安定している様子が見られ、子ども自身が学校のことや勉強の遅れなどを気にするようになることもあるでしょう。
母親から少しずつ離れて一人でできることが増えるかもしれませんが、回復してきてもいきなり突き放さず、母性的なかかわりは継続します。
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子どもが好きなテレビや映画、本、運動などを母親も一緒に楽しみ、共に体験することで心のつながりを深めていきます。また、家事などを子どもと協力して行い、その中でできたことに対してしっかりと褒めたり、認めたりする機会を増やしていくことが大切です。
また、家で学習を進めたり、提出物をつくったり、学校復帰のための準備を少しずつ始めることも重要です。
さらに、学校の先生に行事や提出物、学習の進度などを確認し、母親から学校の様子をそれとなく伝えていくことも大切です。家庭訪問への抵抗感が少なくなってくるため、家族以外の人に会うことにもチャレンジすることができます。
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母子分離不安型の回復期
家の中では、母親と離れていても元気に過ごすことが多くなり、次第に学校の勉強や提出物にも取り組めるようになっていきます。
また、友達や支援者と自宅で会うことにも抵抗がなくなり、家族や支援者と一緒であれば放課後に学校を訪れたり、先生に会いに行ったりすることもできるようになります。
母親や友達、支援者と一緒なら保健室登校や教室への登校や外出ができるようになり、徐々に学校行事や授業に参加したり、学校で過ごす時間が長くなります。
子どもの様子を見て、学校への誘いかけを行い、母親や支援者と一緒の登校など、柔軟な形での登校を学校と調整します。
いきなり長い時間や週に何度もの登校は目指さず、慣らし登校の期間を十分にとります。慣らし登校の時期には、再び子どもが不安に感じたり、ストレスを強く受けるため、家庭内では母性的な関わりを継続して十分な休息と回復を図ります。
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タイプ3 遊び・非行タイプ
遊び目的で非行グループに加わっていたり、学校に通うことの意義を感じられずに登校しないタイプもあります。このような場合、学校だけでなく、必要に応じて外部の専門機関(児童相談所、教育センター、少年サポートセンターなど)にも相談しながら対処するのがよいでしょう。しっかりとルールを守らせる教育的指導を行うとともに、規則正しい生活習慣を身に付けさせたり、学習に関心を持つよう導いたりすることが、不登校の解消につながります。
特徴
- 落ち込んでいるときもあるが、好きなことや楽しいことはできる。学校での出来事など、不登校になったきっかけはあるが、原因が明確でない。
- 基本的な生活習慣が十分身についていないため、生活リズムが乱れがちであり、逃避や回避的傾向が強く、何かを最後までやり遂げた経験が少ない。
- 友人関係での些細なトラブルや、学校での失敗がきっかけで登校をためらうことがあります。このタイプは、年齢に対して精神的に幼さが残り、我慢する力や将来への自立心が十分に育っていない傾向があります。
- 集団生活に必要な倫理観が十分に備わっていないことがあり、学校の規則などにも適応できないことがあります。ストレスがかかると情緒が不安定になり、身体的な症状が出ることもありますが、深く思い悩む様子は少なく、無気力に見える傾向が見られます。
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注意点
- 社会的・情緒的に未成熟であるため、傷つきやすく、自己表現を過剰に恥ずかしがる傾向があります。責任を回避しがちであるため、自主性・自発性を育てる取り組みを継続していく必要があります。
- ストレスに対して敏感な一方で、焦りや不安が少ないため、見守るのみの対応をすると長期化・慢性化する恐れがあります。
- 段階的に課題を与え、課題に直面するたびに対処の仕方を教えていくことを繰り返し、じっくりと本人の成長を援助する必要があります。
- 本人の中で意志や希望がはっきりしておらず、無気力な様子が見られるため、まずは興味や関心を広げる体験が必要です。
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遊び・非行タイプの前駆期
身体的な不調を訴え、断続的に休むようになり、決まった曜日に休むこともあります。
前日の夜には「明日は学校に行く」と話すものの、朝になると起きられなかったり、起きても長時間トイレから出てこられないといった様子が見られます。しかし、登校時間が過ぎると元気を取り戻し、テレビを見たりゲームをしたりするようになります。
登校を促すと学校に行くこともありますが、長続きしません。休日は、友達と楽しそうに遊んだりします。
刺激する人(親や先生)は避けますが、そうでない人には甘えたり、よくしゃべる傾向があります。
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対応としては、元気がなくなって来たら、まず子どもの気持ちをじっくり聴いてやります。本人の良いところを認め、小さな努力を褒めながら励まします。
学校生活や習い事等で余裕がなくなっているようであれば、子どもと話し合いながらやることを整理し、生活を立て直します。
きっかけが友人関係のトラブルや行き違いの場合、早期に心のわだかまりを解消するよう調整を図り、本人の学びの機会とします。
身体症状がある場合は、学校からの登校刺激を一時見合わせてもらいます。
参考:環境調整とは?
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遊び・非行タイプの進行期
遊び・非行タイプの回復期
学校や勉強のことについて家族と普通に会話ができるようになります。
子どもの登校意欲を確かめながら、本人が行きやすい形で慣らし登校の計画を立てます。
行事や放課後の部活動、保健室登校など、本人が通いやすい形式であれば、徐々に登校できるようになります。遅刻や早退を繰り返しながらも、自分で決めた時間帯や好きな教科の時間には、教室で過ごせるようになることもあります。
新しい課題やトラブルに直面すると、途中で立ち止まったり、責任を避けようとすることがあります。その際には、本人の気持ちを丁寧に聴きながら、必要なサポートを行い、乗り越える方法を教えていくことで、習慣的に問題解決の力を身につけられるよう援助します。
勉強の遅れや基本的な生活習慣についての課題に着実に対処していきます。学校にいきなり通い始めるのが難しい場合は、訪問の支援者を入れたり、フリースクール・塾等への通学を行い、社会的に未成熟な部分の育成を行います。
子どもの興味や関心を伸ばし、知識や技能を深め、学校生活の中でも自信を持てるようにします。
学校生活の中で、自分の得意なことを活かして活躍できる場面や役割が与えられるよう、配慮してもらうことが大切です。また、善悪の判断基準や社会で必要な心構え、親として大切にしている思いについては、叱ったり恥ずかしがったりせず、丁寧に伝えていくよう心がけましょう。
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タイプ4 無気力タイプ
特徴
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注意点
・周囲が見守るだけの対応では、不登校の期間が長引き、長期のひきこもりに至る可能性があります。
・本人の内面には、親や先生など社会に対する不信感や、進学や就労についての不安感が多く存在し、「どのように生きていけばよいのか」という根本的な疑問に向き合う必要があります。
・感情に共感しつつも、これまで経験してこなかったことに取り組ませ、本人の自己を確立し、将来のキャリアについて援助していくことが重要です。
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無気力タイプの前駆期
「めんどくさい」「だるい」という言葉がよく口にされ、元気がなくなり無気力になっていく傾向が見られます。
また、「先生が嫌いだ」「学校が面白くない」といった理由で休もうとすることがありますが、具体的な原因は明確ではありません。
友人の誘いや学校の先生の訪問には応じることがありますが、登校意欲は一貫しないです。登校しない場合でも、家族関係は悪化せず、和やかに過ごすことができます。その間、テレビやゲームなど、好きなことをして一日を過ごすことがあります。
無気力感の原因を明確に言語化できないため、原因を根掘り葉掘り聞くことは避けます。
本人の興味や関心に共感して情緒的な交流を図ります。
本人が心を開いてきたら、学校や進路に関する困りごとがないかを聞き、親も一緒に考える姿勢を示します。また、親や先生は大人としての一面を見せるのではなく、若い頃の経験や失敗について話し、成長には失敗や困難がつきものであることを伝えます。
無気力タイプの進行期
学校に行かないと宣言して休み始めることがあります。
生活リズムが崩れ、一日中ネットやスマホを使い、昼夜逆転状態になることもあります。表情も暗くなり、家族との会話も最低限になり、学校の話題を避ける傾向が見られます。
刺激を避け、コミュニケーションをとりたい人とは普通に話すことができる一方で、自室に閉じこもる生活となり、外出しなくなることもあります。
登校刺激を控え、本人の興味や関心について話題にして、普通の会話を取り戻すことが重要です。
両親は指示的なかかわりを避け、子どもの気持ちを理解し、共感を示すように心がけるべきです。
さらに、人生に行き詰まりを感じていることが多いため、「自分の人生だから」と突き放してしまうと、問題が長期化する恐れがあります。
高校生の場合、出席日数や単位の取得が進級に直結するため、学校の先生に進級の条件や各教科の出欠状況を確認しておくことが欠かせません。
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無気力タイプの混乱期
家族との会話が増え、刺激を与えなければ落ち着いて過ごせるようになります。また、出席日数や進級に関心を持ち始め、自分から学校の話題を口にすることも出てくるようになります。
学校への復帰に対しては積極的ではないものの、「アルバイトをしてみたい」「一人暮らしをしたい」といった独立心を見せることがあります。また、ネットで転編入や進学、受験、就職について調べていることもあり、少しずつ意欲が出始めている様子も見られます。
こうした意欲を支えるためには、「これを買ったら学校へ行く?」といった条件付きの提案で釣るような対応は避けることが大切です。
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本人の小さな意欲を行動につなげるために、親も一緒に行動することを伝え、本人が今抱えている問題、進路上の課題について一緒に解決していく姿勢を見せます。
進級の見込みがある場合は、学校の先生から「まだ間に合う」「取り戻すことができる」と前向きなメッセージを本人に伝えてもらいましょう。
一方で、進級が難しい状況であれば、親が子どもの気持ちに寄り添いながら進路の情報を集め、共に学校見学などを行い、次の選択肢を一緒に考えていくことが大切です。
無気力タイプの回復期
特徴
・嫌がらせやいじめ、友人や教師とのトラブル、転校による環境の変化に適応できないといった明確な人間関係の問題が原因で、登校が難しくなることがあります。本人には登校したいという意思があるものの、これらの問題を自力で解決するのが難しく、その結果として学校へ行けない状態が続いているのです。
・ストレスが積み重なった結果、体調を崩して頭痛や腹痛などの身体症状を訴えることもあります。
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参考:認知行動療法(CBT)とは?
注意点
・早期対応が早期解決の鍵となることが多いので、事情が分かればすぐに解決を図っていくことが必要です。
・本人があまり話したがらない場合は、無理に聞き出すとその状況や言われたことを思い出し、さらに傷つく可能性があるので、注意が必要です。
・子どもの訴えが、内面の未熟さと結びついている可能性がありますが、「わがまま」や「甘え」として責めると、当面の問題が解決しても登校できなくなる可能性があります。
・特定の人だけでなく、人間や社会全体に対する不信感へとつながる恐れがあるため、本人の心にあるわだかまりを解消していくことが重要です。
こちらも参考に:精神障害者雇用にまつわる誤解 | 就業上の配慮と雇用時のポイント
人間関係タイプの前駆期
人間関係タイプの進行期
トラブルの解決が図られないことへの絶望感が強く、情緒的に不安定になることがあります。
不登校が始まると、登校できない焦りから生活が乱れ、昼夜逆転の生活に陥ることがあります。また、部屋に閉じこもり、家族との関わりを避けるようになることもあり、親の対応次第では拒否的・反抗的な態度を見せたり、時には暴力的な行動を取る場合もあります。
いじめが原因の場合、この問題が解決されないまま時が過ぎると、ストレスから神経症を発症したり、時には自殺を考えることもあります。
親はお子さんの気持ちをじっくり聴き、トラブルの解決に向けて一緒に取り組む姿勢を示すことで、安心感を与えることが大切です。さらに、両親と学校が協力して話し合い、トラブル解決に向けた具体的な行動を始めます。
場合によっては信頼できる第三者機関に入ってもらい、調整を図ります。いじめや教師とのトラブルの場合、学校に本人の苦しみを十分に理解してもらい、学校としての対応の状況や経過について本人が納得できるように説明してもらいます。
学校でのトラブル解決においては、本人の心に残るわだかまりを取り除くことが重要です。そのため、本人の気持ちを最優先にし、親が前面に立たないように配慮することが大切です。
参考:脳内マジカルバナナとは?
こちらも参考に:非自殺的な自傷行為について
人間関係タイプの混乱期
人間関係タイプの回復期
学校やこれからのことについて、家族や学校の先生とじっくり話をすることができるようになります。
保健室登校などの慣らし登校を始められるようになり、徐々に以前の活力が戻ってきます。遅れてしまった勉強にも一生懸命取り組むようになり、原因となった出来事へのこだわりは残っているものの、少しずつ学校生活に適応しようと努力しています。
本人が希望する限り、保健室への登校や時間をずらしての登校を継続できるよう配慮し、これまでの経緯について教職員全体で共通の理解を持ってもらうことが重要です。
いじめが原因の場合は、一定期間、本人と加害者双方への配慮を行い、学校としての防止策について本人に丁寧に説明し、安心感を与えることが必要です。
参考:精神病理学とは?
タイプ6 ストレスによる神経症を伴うタイプ
ストレスによる神経症を伴うものであり、特定の子どもに発生することがあります。子どもごとに症状は異なりますが、心理的な要因、例えば家庭環境や人間関係などが関与していると考えられています。そのため、ストレスや不安感を軽減することが非常に重要です。
こちらも参考に:双極性障害(躁うつ病)の方への接し方で大切な事と悩んだ際の対処法
特徴
・「情緒混乱型」の一部の子どもに、これらの症状が見られる場合があります。
・彼らは通常、几帳面な性格を持ち、独自の主観的なこだわりを持っています。また、自分の内面に閉じこもる傾向があります。
・身体的な症状としては、頭痛、腹痛、吐き気、発熱などが報告されることがあります。また、強迫性の神経症状もみられることがあります。
注意点
・登校への刺激による外的ストレスや不登校状態にあることから生じる内的なストレス、自身の否定的な感情や見方、考え方などによる反応です。そのため、子どもの不安を和らげることが重要です。
・症状の表れ方は個々に異なりますが、背景には家庭生活や人間関係での葛藤、自己の確立不足などの心理的要因が存在します。
・精神疾患の初期症状として不登校が見られる場合があります。その中でも代表的なものは「統合失調症」であり、特に思春期に発症しやすい傾向があります。
・精神疾患の可能性が疑われる場合は、できるだけ早く信頼できる医療機関を受診することが重要です。本人が外出できない場合でも、親が医療機関や相談機関に連絡し、適切な対応について相談することが必要です。
ストレスによる神経症を伴うタイプの前駆期
登校時や授業中に、頭痛や腹痛、吐き気、発熱などの身体症状を訴え、遅刻や早退が増えて目立つようになります。これらは、精神疾患でよく見られる症状でもあります。
対人恐怖:自分が無視されていると思い込んで人に会うのを怖がる
醜形恐怖:自分の容姿や体の一部が醜いと感じ、鏡を何十回も見ることが習慣となったりします
不潔恐怖:身の回りの清潔さに異常な執着を見せ、洗ったり拭いたりを繰り返すことがあります
摂食障害:拒食または過食の症状を出し、体調を崩すこともあります
統合失調症:突発的な行動、不自然な動き、脈絡のない会話が見受けられる場合、被害妄想、幻聴、幻覚があるかもしれません
参考:双極性障害、一型と二型の違いとは?
参考:醜形恐怖とは?
親の対応として、本人が次第に元気を失ってきた場合は、まず本人の訴えや苦しみを丁寧に聞いて気持ちを受け止めることが大切です。
親が本人の症状を理解し受け入れることで、症状が軽くなることもあり、これをストレスによる神経症とみることができます。
もし精神疾患の可能性が疑われる場合は、医療機関や相談機関に相談し、適切な対応の方針を得るようにしましょう。同時に、学校とも連絡を取り、本人の状態や対応について共通理解を図ることが重要です。
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ストレスによる神経症を伴うタイプの進行期
不安や緊張、物事がうまくいかないことに対する焦りや怒りによって、ひどい混乱状態に陥ることがあります。
特に母親に対して理解されないと感じたり、家族の対応によっては暴力を振るうこともあり、この状況下では、摂食障害や自傷行為、不潔恐怖、被害妄想などの強迫性の症状が現れることがあります。統合失調症の場合、症状がよりはっきりと出ることもあります。
親や学校との連携では、これらの症状が現れた場合、叱責や登校の刺激を控えることが重要です。
休み始めたら、しばらく休んで療養することを伝え、安心感を与えるようにします。また、親の苦しみや不安も考慮し、医療機関や相談機関に相談して適切な方針を得ることが重要です。精神疾患の場合、本人への適切な治療が必要であり、主治医の指示に従って治療を進めます。
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ストレスによる神経症を伴うタイプの混乱期
親の理解や治療の進行に伴い、症状が緩和されて本人の状態が安定してきますが、何も対処しなかった場合は症状が持続し、悪化が停滞することがあります。
本人は自分の病気から逃れたいと感じ、不安や苦しみを繰り返し訴えることがあります。
治療が進み、気持ちが安定すると、勉強の遅れや将来に対する不安や焦りが表面化することがあります。
本人の立ち直りに時間がかかることを理解し、学校にも本人の状況を理解してもらい、ゆっくりと復帰を目指すことが重要です。
また、精神疾患がある場合は、引き続き主治医の指示に従って治療を進めていきます。しかし、前向きな変化が見られない場合には、他の医師からセカンドオピニオンを受けることも選択肢として検討すると良いでしょう。
参考:セカンドオピニオンとは?
ストレスによる神経症を伴うタイプの回復期
障害者雇用でエンジニアをしています。残業過多から解放されて鬱が軽くなりました。
タイプ 7 発達障害・学習障害を伴うタイプ
不登校児の57%が広汎性発達障害(ASD)や注意欠陥/多動性障害(ADHD)などの発達障害を有しているという統計が示されています。不登校の誘因は複数存在し、対人関係の問題が最も一般的な要因とされています。
特に他害行為が目立たず、行動特性が顕著でないため、発達障害としての認識が遅れることがあり、その結果、診断や教育的な配慮が遅れ、不登校という二次障害が生じることがあります。
行動特性が目立たず、困り感を認識したり表現したりするのが難しい子供たちの発達の偏りを見逃さないためには、教師は学力だけでなく、授業中の態度や時間の守り方、提出物の期限順守などのルール順守能力、グループ活動や学校行事への参加態度、休み時間の友達同士のコミュニケーション能力などについて、積極的かつ細かな観察が不可欠です。
特徴
・特定の教科や分野で理解するのに時間がかかり、極端に苦手な科目があるため、学習への抵抗感が強まり、学習の遅れが生じることがあります。
・クラスメイトとの円滑なコミュニケーションが難しく、人間関係がうまく築けない場合や孤立する場合があります。
・自分のペースに合った活動には積極的に参加しますが、それ以外のことには消極的になる傾向があります。
・課題に直面したり、傷つく出来事があったときに、葛藤や怒りを適切に処理できず、パニックを起こすことがあります。
参考:パニック障害とは?
注意点
・集団の中で不適応を起こしやすい社会的、情緒的未成熟さがあるため、問題が生じた際には、本人の気持ちを尊重し、相手の立場や状況を説明し、学びにつなげることが重要です。
・苦手なことやできないことばかりに焦点を当てるのではなく、得意なことや興味を持つ活動に取り組むことで、本人の自信を育てます。
・学習に関しては、本人の感覚や理解の仕方に合わせて、教育方法を調整する必要があります。場合によっては、個別指導の塾やフリースクールなどの支援も検討します。
・LD、AD/HD、自閉症スペクトラム障害(アスペルガー症候群)、軽度の知的障害などの背景があるかもしれませんが、診断に囚われず、子どもの個性を尊重し、足りない部分を補いながら、社会的自立を目指すことが重要です。
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発達障害・学習障害を伴うタイプの前駆期